レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『ベルばら』よりむしろ『アンジェリク』を連想

2009-01-08 16:01:27 | 
 池上永一『テンペスト』は、去年出たベストセラー。オビのアオリに『ベルばら』琉球版か?とあるので気になったうえに、ヨイショコメントの顔ぶれに三浦しをんさんもいたので大いに食指が動いたのだった。
 幕末の琉球、主人公は男装の美少女・真鶴(まづる)。
 生まれたとき、息子でなかったので父は甥を養子に迎えるが、この義理の兄・嗣勇(しゆう)はあまりのスパルタに耐えかねて家出する。たいへん頭脳明晰で向学心に溢れた真鶴は、自分が男装して(宦官ということにして)試験を受け、みごとパスして王宮に仕えるようになる。
 よきライバルであるマジメ秀才の朝薫(ちょうくん)、遊び人ボンボンの儀間なんとか、おまけに王宮には、女装の踊子として出世した兄までいる。妹が男装してて兄が女装(これはれっきとしたお役目であってヘンタイではない)というシチュエーション、タイプとりどり美男もてんこもりの設定、おおっ少女マンガ~~! もっとも、儀間は予想に反して恋の鞘当には加わらなかったけど。イメージは、煌如星のセクハラ上司淑人や、『北宋風雲伝』の「ビジュアル系侠客」玉堂かな。朝薫は真鶴に惹かれるけど(女と気がつかないうちに)、彼女が恋するのは薩摩武士の青年。この男は、女装(?)の真鶴に出逢って、正体に気づかぬまま恋におちる・・・『リボンの騎士』かい!
 3回くらい投獄されて、そのたびにまた逆転あり、『アンジェリク』なみの激しい浮き沈み。
 後半で活躍する真鶴の友、王の側室真美那(まみな)もさばけて楽しいキャラ。そして、宮廷で権力をふるう「王族神」(巫女みたいなものか)の真牛(モウシ)がすごい。ただの憎々しいおばさんのように出てきたけど、そのうちそれなりに可愛げも出てくるし、宮廷を追われても追われても懲りずに這い上がるし、彼女のために死んでくれる男までいたりして、間違いなくこのキャラは影のヒロインだ。

 たぶんいつかマンガにもなると思うけど、少女マンガに向いているよなぁ。


コメント
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