社会保障関連の予算が膨らみ、国の財政を圧迫している。問題の根は深く、とても私の手に負えるものではないが、こと医療費削減に関しては、根本的ではないが即効的で有用な方法を提案できる。
格差社会と声高に言われているが、その内容実態原因についての国民の理解はさほどでないと思う。私にしても十分理解しているとは言えない。うらみつらみやっかみという三昧を取り除いてもなお、不公平な差が生まれているのは確かだが、その格差は日本では諸外国に比べうんと小さいという事実も押さえておかねばならない。そうでないと三昧の味付けで、真っ当な議論が出来なくなるからだ。
さて、国民皆保険という医療制度で守られているというか仕切られている医療だが、年々増大する額を減らす良い方法がある。これを医師の私が書くと、この野郎と脅されかねないのだが、要するに格差に目を付け出来高制度にメスを入れることだ。一人当たりの医療費の格差は都道府県によって大きく異なり、最大と最小では二倍近い格差がある。その分布を調べると、気候や生活習慣では説明出来ない現象が明らかになる。地域格差と言っても、隣接県で大きな差が認められるのだ。
恐らく厚労省はレセプトの電子化に伴い、そろそろデータを揃えてきていると思われるが、この不思議な格差にメスを入れれば数字的には簡単に10%の医療費を削ることが出来るだろう。勿論、実行には大変な抵抗があり、塩崎さんでは無理、安倍さんでも難しいだろう。だから巧言厚顔無恥の橋下氏への期待があるのかも知れない。ちょっと脱線したが、逆鱗に触れれば取り敢えず十年くらいの医療費削減は可能だと指摘したい。