駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

イタリアの成程

2010年10月30日 | 小考
 インターネットニュースでイタリアでは挑発的ミニスカートに五万円だかの罰金と報じられていた。得たり賢しと膝を打つ何とか親父と思われても心外だが、これは普通の発想で今までが片手落ちの感じがする。まあそれにしても何でイタリアでというか流石イタリアというか、喧しいことだ。
 罰金がいいとは思えないが、ほどほどと云うか場所をわきまえて云うか節度というものがと思う人は多いだろう。電車に乗ると、微妙なところ微かなところに味わいがあるのが忘れられたか、正直と率直をがさつと露骨に履き違えた装いの人が当然作法もなく坐り佇み、こちらを睨んでいることがある。おっとと目をそらすのであるが、良い心地はしない。
 男が駄目になったという論調をよく見かけるのだが、二つの性が纏わる世界で片方だけが駄目になることはあり得ない。濡れ落ち葉亭主などと言われれば、ザリガニ女と呼びたい方も居られると言い返すしたくなる。尤も、悪口を言い合うのは本意ではなく、そんな考えがごく稀に頭を過ぎることもあると申し上げておこう。
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私の背景

2010年10月29日 | 身辺記
 診察机の横の壁、患者さんから見ると私の後ろには愛蔵の小品が飾ってある。年に数回取り替えるのだが、今回から新たに緑の書店(林哲夫のグリーンアップル)が加わった。
 私の絵の腕ではまあまあ?なのだが、写真はからっきし駄目で、なんだこの撮り方はと怒られそうだが、とにかく存在証明に撮ってみた。患者さんの感想はまだない。
 あるいは近づいて見られるように待合室の方がよいかなとも思っているが、しばらくは自分も見られるように此処に掛けておこう。
 この絵は私の好きな二つの流れの線上にあり、軽い透亮な存在感が心地よい。絵を描くのにさほど絵画に詳しくないのだが、17世紀オランダと20世紀前半のアメリカの風景画に惹かれることが多い。絵画の歴史を紐解けば際限もなく、活字の世界と共に未だ知らぬ世界があまりにも膨大で、不思議な心境になることがある。しかし
 今朝診察室に入り、毎朝好きな絵を目にすることができることは小さいかもしれないが確かな幸運と感じたことだ。
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強さの証明

2010年10月28日 | スポーツ
 勝負に於ける強さの証明は簡明にして単純、勝つことだ。技術の詳細や勝負の機微がよく分からない人にも理解できるのが勝ち負けで、碁や将棋からプロ野球Jリーグまでもっともよく眺められるのは星取表なのだ。愛好家はこれ一枚で何時間でも口角泡を飛ばして議論が出来る。
 さて、竜王渡辺明が強さを証明しつつある。否既に証明したと言っても過言ではあるまい。あの羽生に二連勝である。74手目の9六歩そして108手目の3六銀、羽生を相手にやって来いと恐るべき胆力である。殆どの棋士が挫ける中、僅かに深浦が鈍感力で善戦、渡辺が天才を恐れぬ胆力で羽生を跳ね返しつつある。
 こうした評価は素人の評論で技術的には物足らぬかも知れないが、生死を間近に見てきた人間としての肉薄はあるかもしれない。
 ところで、競技が変わって格闘技だが、柔道の金メダリストにして辛辣口舌の輩石井慧は本当に格闘家として強いのだろうか。あれこれ生き延びる方向を探っているようであるが、元格闘家の患者Dさんに聞いてみたら、大したことはないと一刀両断にされた。まあ、要するに石井慧は次に勝てなければ口先男に成り下がることになる。
 先を読んで評価出来れば超一流の評論家だ。ゴルフシングルの患者Aさんは宮里藍は伸びないと予想したが、見事世界ランク一位に上り詰めた。短期間であったが、これで彼女が伸びなかったとは誰も言えない。Aさんが伸びないといった主な理由は身長が足りないと言うことだったのだが、彼女の強靱な心を評価し損なったようである。
 Dさんの予想は如何に、さあ石井慧どうする。
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季節変動がもたらすもの

2010年10月27日 | 世の中
 爽やかな秋空の下を駅まで歩いたと書きたいところだが、今日は冬空の下を駅まで歩いた。厚い鉛色の雲が空を覆い、まるで冬の到来を告げているかのようだった。異常気象と言っても平成生まれの人にはこれが普通に感じられるのかも知れない。
 俳句界はどうするんだろうなと、季節感のぶれがもたらす思わぬ波及効果に考えが及んだ。大袈裟に言えば季語の再構成から俳句観にまで、通常気象になりつつある異常気象は影響するのではないか。
 冬の到来と共に流行するインフルエンザはというと、今のところ小児科で散発している程度で流行の兆しはない。こういう言い方をすると顰蹙を買うのだが、インフルエンザを手ぐすねを引いて待っている医療薬業関係者もおり、未だ出ていませんねと挨拶代わりに話す薬屋さんも多い。
 猛暑も勿論高齢者には大きなストレスなのだが、やはり寒さの方が恐い。肺炎というのは癌や動脈硬化性疾患の陰に隠れてきているが、今もとどめに登場することが多く油断ならない致死性疾患なのだ。健康な高齢者なら突然肺炎になることは少なく、やはり感冒、特に流感が引き金になる(今は流感はインフルエンザとして所謂風邪とは独立して扱われるようになった)。そして風邪は身体の冷えがきっかけで発症することが多く、寒さは猛暑以上の危険因子だ。人間は寒さに備える知恵を身に付けてきたのだが、たった一日で気温が5,6度ぶれる(ひどいときは10度以上)気候では、今までの智慧が追いつかなくなった。我が家でも十月になっても夏物を出したり引っ込めたりで、結局夏物がまだ用意してある。
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苦しい就職前線

2010年10月26日 | 世の中

 当院に事務受付の欠員ができ、ハローワークへ求人を申し込んだ。立て続けに応募があり、一週間で十二名の方の面接を行った。帯に短し襷に長しで、今回はこれだという方が居らず手間取った。ようやく二名に絞ることができた。明日には結論を出さねばならない。
 医院の受付には医療事務と患者対応の二つの質の異なる仕事があるので、二つの能力が求められる。両方の才能に恵まれた人はそんなに沢山は居ない。
 今回の求人では、前回から僅か三年なのに以前と違い、求職者に切迫感が漂っているのに戸惑った。みんな必死なのだ。職を求めてもがいている感じがする。その一方で、やや未熟な印象の人も数名見受けられた。どこまで正直に話されているか分からないが、些細なこと(我々にはそう思えた)で辞めてもっと条件の良い所と面接に来られるのだ。仕事を幅広く教えて貰えないや就業時間が三十分延びて困るなどは、ご自身にも問題がありそうだし、それくらいの時間は今のご時世やむを得ないのではと思ったりした。離婚して母子家庭の方も複数名来られ、何とかしてあげたいという気持ちにはなったのだが。 
 たかだか三年で、景気が深刻に低迷しているのを肌で感じた。菅さんにそれがわかっているだろうか?誠に心許ない。見回してもこれという政治家が居ない。まじで王貞治や岡田武史の方がましではないかと思ってしまう。
  

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