駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

非人道的なこと、出かける前に一言

2011年04月28日 | 世の中

 原発作業員の人数が足りないので年間被爆許容量を上げて余計に働かせようとしている。こんな人道にもとる暴挙があってよいものだろうか。はっきり申し上げておくが原発作業員の仕事は特別に難しいわけではなく、作業現場が危険なだけだ。ジャーナリストはなぜ原発作業員の実態を深く掘り下げて報道しないのだろう。

 役員の高給を減らしても、こんな一部の人に危険を押し付けるような方針を打ち出すのではまやかしの自省と言わざるを得ない。責任のある立場の人が本当のリスクを取るのでなければ、必ず再び効率のよい欠かせない発電方法という美名の下に、十分な安全検証のない原発施策が復興してくる。

 被爆許容量などというものは便宜的なものと嘯く御仁には、ご本人とその家族にその許容量で働いていただこう。それは筋違いと強弁するなら、孫受けではなく東電の正社員に出て頂くのが筋だろう。想定外を免罪符させてはならない。そうすれば何が起きても想定外で逃げる無責任責任者が利潤利権に眼が眩んだ施策を打ち出してくるだろう。

 災害支援に義捐金を出していただいた方々やボランティアで働かれた方々も、こうした一部の人に危険を押し付ける方策に声を上げなければ、その尊い精神の信憑性が疑われると申し上げたい。

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暫しの休憩

2011年04月28日 | 身辺記

 明日から思い切って一週間の休診にする。長いなあという患者さんと、先生も休みを取らなくちゃあという患者さんとがいる。こうした長い休暇が取れるのも当番医システムと訪問看護ステーションがあるからなのだ。幸い、今、在宅患者さん達はまずまず落ち着いており、この一週間で急変と言うことはないと思う。万が一何かあっても、当番医が面倒を見てくれるようになっている。実際には訪問看護師さんが対応してくれることがほとんどで、当番の出動はまずないのだが。

 百人近い医師の居る総合病院も長期休暇中は大変で、当直医はほとんど眠れないと思う。まあ、比較的若いから何とか対応できるので、今の私にはとてもできない。個人差はあるが医者も四十歳くらいまでは重症患者が嬉しかった?ものだ。今は大病院の院長の要職にある外科医Mなどは、交通事故で呼び出されると喜色満面でやってきて、裂傷打撲だけだとなんだあと詰まらなそうにしていたのを思い出す。比較的若い当直医にはそうした気持ちがあるから、なんとか激務をこなせるところもあると思う。

 町医者も実際に往診しなければならないことは稀でも、毎日時間外に電話が鳴る生活はなかなかストレスでどうしても半年に一回くらいは見えない糸を切らないと耐え難い。正直、年を取るほどに辛くなった。ほとんど毎日書いてきたブログも暫し、休むことにしよう。

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足元を見つめ直す時に

2011年04月27日 | 町医者診言

 

 朝は肌寒く今日は気温が低いかのかなと思っていると日中は汗ばむ陽気で身体がついて行かない。十年くらい前だったか、ちょうど二十一世紀に入いった頃からだんだん気候が暦通りでなくなった感じがしていた。そこへ昨年夏の猛暑、今年は例年になく桜が遅かった。四月半ばを過ぎても肌寒い日が時々ある。高々人間個体の六十年の記憶で、地学的な変動を言えば火山が臍で茶を沸かすだろうが、病気も異例で四月に入ってインフルエンザの流行があり、麻疹(はしか)の流行の兆しがあると知れば、どうしても猛暑から巨大地震へと天変地異の連想が働いてしまう。

 不安を煽るつもりもないし、きちんとした観測データ無しにものを言うつもりもないが、立ち止まって生活を見直す好機であることは間違いない。今日は昨日のそして明日は今日の繋がりではあるが、明日も昨日のようにとは問屋が卸さないのに気付かされた。

 どうすればよいか、泣いている暇はないということは明白だ。悪いけれども芸能人の涙はもう結構。ケネディの言葉Ask not ・・を思い起こす。手足を動かし頭を働かすことだ、涙は汗にまぎらせと言いたい。直接でなくとも自分にできる範囲のまっとうな生活は支援になると考えている。ああしたらこうしたらからあいつが悪いこいつが駄目まで、玉石混交の議論は大いに結構だが、命令指揮系統と大方針だけはしっかりまともに機能させなければ、船が山に登る、山に登った船が降ろせない。

 緊急時だから指揮官交代論は封じ込めろと言う人は歴史を知らない。ジャーナリストは拡声器ではあるまい、記者会見で言われたことを書くだけなら中学生でもできる(中学生のほうが鋭い質問をしそうだ)。三日あれば原子炉の概要は掴める。三週間あれば、広く浅い知識では十分専門家に太刀打ちできるようになる。ジャーナリスト本領発揮の時ではないか。今を見つめ直そうとしている国民に現場の本当の情報を脈打つ動脈の血流のように送ってほしい。

 無冠の帝王は既得権に阿ねない。

 

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ご飯の炊き加減

2011年04月26日 | 旨い物

 ほぼ月に一回、コントラクトブリッジを楽しんでいる。私は記名力の低下で一向に上達しないが、なんとか紳士?と淑女の仲間に伍してワンハートなどと一丁前にプレイしている。四十歳から七十五歳の年齢層にカナダ東海岸出身とアメリカアメリカ西海岸出身の二人の女性が加わる幅広い構成なので、話題も豊富で一休みのおしゃべりも楽しい。

 先日は連休前なので、夕御飯も一緒にいかがと主宰者のMさんの呼びかけで、女性軍が食べ物を持ち寄ってくれ、小さいパーティを開いた。サラダ、煮物など美味しく頂いたが、Mさん特製のタイカレーが好評だった。さほど辛くなくカナダから来たJさんは「これ、ちょうどいい辛さ」。とお代わりをしていた。「Sさんも好きでしょう」。とお勧め頂き大変美味しく頂いたのだが、本当はちょっとご飯が軟らかい感じがした。これはまったくの好みと言うか、母の味と言うことなのだろうが、私はご飯はやや硬め、特にカレーの場合にはという感覚なのだ。I氏も無言で食べていたので、きっとご飯硬め派なのだろう。これは微妙な問題で、ご馳走になっている場合、論評は差し控えるべき問題なのだが、つい美味い飯の硬さはいかようなものかなどと考えてしまった。昔はきっと、嫁さんは姑のご飯を食べて美味しいラッキーと思ったか、えっこれ何と思ったか、微妙で重大な問題でもあったろう。どの硬さが美味いかは好みもあり微妙だが、飯の硬さなんて気にならないと言う御仁は、少なくともプロの料理人にはなれないだろう。

 話が妙な方へずれたが、ゲームは今回もカナダハリファックスから嫁に来たJさん組が勝利を収めた。Jさんは笑顔の素敵なバランスの取れた女性で、はっきりさっぱりしているので、気疲れがせず楽しく得がたい仲間だ。

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相対性理論を待つまでもなく

2011年04月25日 | 町医者診言

 重力によって光が曲がるエディントンの観測結果に民衆は沸立ったけれども、アインシュタインは当然だとさほどの感動もなく受け取ったようだ。この物理の発見に先立つこと数千年前に、鋭い人間の観測者達は人間の言説は発言者の都合の良いように曲げられることに気付いていただろう。

 人間の政治的社会的発言には勿論内容の吟味評価が第一ではあるが、なぜそういう発言をするかというメタ解析が欠かせない。そしてもう一つ、発言者の辿って来た軌跡を追って置くことも忘れてはならない。こうした見方を裏を見るようで潔しとしないあるいは単純にそのまま発言を受け取ってしまうと、気付かない内に自分に不釣合いな方策に賛成していることになってしまう。

 人間と言うのは身勝手なもので、手術をしても延命できるのは五人に一人ですと説明されると患者さんの五人の内の四人は自分はその一人に入れると思うものだ。人間は自分は特別と思いやすい。特別とまでは思わなくても、少なくとも中流と思ってしまう。それを一歩踏み出て、既存マスメディアの構図を見破りたい。御用学者どころかに気付くだろう。

 尤も、医者の言葉までも脅しているだけだなどと裏読みで受け取るのは止して頂きたい。

 「えっどうしてまだS病院へ行っていないの、きちんと紹介状を渡したじゃない」。

 「あー、痛みが治まったんでいいかなと思ったんだよ」。

 「それじゃあ、手遅れになってしまうかもしれない。明日行ってください」。

 「まあ、そう言われてもね。運転免許の更新とかあるから、連休明けでいいでしょ」。

  がんが隠れていることもあるって、別に脅しているわけじゃあないんだが。

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