駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

Dr.Tのご意見

2013年08月31日 | 小験

            

  八月の終わりはどうしたわけか、同業者との会食が多い。医者にはあれこれはっきりものを言う人が結構いる。隣席したT先生、某病院の副院長なのだが、「私はものをよく知らないので」と謙遜されながら、世の中を一刀両断し、ちっとも譲られない。私も言いたいことを言う方だが、だいぶ上を行っておられる。

 温厚だが芯は強いK先生、「TPPで負けるようなことがあってはいけませんね」。

 「あれは、農協が駄目なんだよ。まず、農協を潰さなくちゃ」。とT先生。

 「うーん、そうは言っても、関税がなくなったら日本の農業は潰れてしまいますよ」。と私。

 「いや、零細農業を守って、のさばる農協は潰さなくちゃ」。

 「うーん、確かにそうかもしれませんが、それでは日本の農家は大打撃ですよ」。

 「それは、当然ですよ」。とにべもないT先生。

 「いや、それでもTPPで負けてはいけませんよ」。と繰り返すK先生。

 「国民はわかっていないんですよ、アホだからね。マスコミに踊らされてんだよ」。と駄目を押すT先生。

 確かに、マスコミは無責任で偏っていますねとこれには一堂同意したが。

 酔っぱらってよく憶えていないが、言いたいことを言い合って悪酔いはしなかった。

 

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三つ子の魂を見出し育む

2013年08月30日 | 町医者診言

                       

 小学校四年のことだったか、夏休み理科の観察日記の講評でK先生はS(私)に字が多いなあ、今は亡きT君に絵ばかりで字が少ないなあ、お前たちは混ぜるとちょうどいい、という不思議な評価を下さった。

 何のことはない、三つ子の魂いつまでもというわけで、私は字を書く習性を持っていたらしい。先日医者ばかりの慰労会で、ブログの話が出て、私もやっていたやっているという仲間が三人ばかりいたのだが、みんな文章を書くのが面倒で止めてしまった、今は文章は面倒なので写真を時々載せるだけになったと、尻すぼみのようだった。

 人間というのは自分ができることは大して難しくないと思うものらしく、私は字を連ねることなど朝飯後の三十分で出来るのにと思っていたがそうでもないらしい。結局、面倒に感じないことは続けられるし取りかかり易いということだろう。

 私は音痴で希に無理やり連れて行かされたカラオケでは逃げ回っているが、何曲も歌いマイクを離さない人も居るので、誠に人さまざまだなあと思う。尤も、離さないM氏、音痴の私にはさほど上手には聞こえない。さてとおもむろにマイクを取り上げて歌うH氏は確かに上手い。

 さて、そのさまざまな習性や才能の萌芽は幼い時に芽生えている。優れた小学校の教諭はそれを見出して伸ばす力と楽しみを持っていたのだと、懐かしいI先生を思い出す。I先生が居らっしゃらなければ私は変りものと退けられて、勉強嫌いになっていたことだろう。

 話が飛躍するようだが、そうした優れた教諭がどれほど残っているだろう。教育の基本は小学校にある、子供は磨けば光る宝、優れた小学校の先生も宝物と申し上げたい。

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 不思議な静けさ

2013年08月29日 | 世の中

                   

 目にさやかに見える秋が来ている。まだまだ日中は暑いのだけれども、朝、新聞を取りに外へ出た時、色濃く秋を感ずる。

 衝撃的な?参院選結果もいつの間にか浸透し猛暑も一段落したせいか、世に不思議な静けさが満ちているようだ。

 実際にはTPP交渉も始まったし、消費税率引き上げが決断されるようだし、シリアを始めとする中東の情勢は不穏だし、社会面のニュースは絶えることはない。それでも私は、これは私だけかもしれないが、何か不思議な静けさが日本を覆っているように感ずる。

 遠くを見ることもなく手の届くところを、従容と静かに歩いているような印象がある。この静けさが唯々諾々ではなく、地に足を付けた黙々とした明日への歩みであれば良いのだが、一体何なのだろう。

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きめ細かい日本の介護

2013年08月28日 | 医療

             

 先日、当院で往診している患者さんのサービス担当者会議に出席した。

 サービス担当者会議というのは、介護保険を利用している高齢の患者さんで問題を抱えている症例について、担当する介護看護医療関係者が一堂に集まって解決策を考える会議である。患者家族、ケアマネージャー、地域包括、訪問看護師、医師、マッサージ師、介護用品提供業者、介護タクシー運転士、デイサービスセンター担当者、ショートステイ担当者とだいたい十人程度の会議で小一時間掛かる。

 当院で介護保険を利用している患者さんは五十人程度居るが、幸い問題のある患者さんは少ないので、この担当者会議は年数回で済んでいる。医師の感覚ではトラブルの多くは患者さん家族内あるいは患者家族と介護担当者間の人間関係なので、ケアマネで処理できるのではと感じることもある。尤も、ケアマネが押されぎみで医師看護師・・の助勢を求める意味合いもあるようだ。ケアマネも色々で、この家族には強いAさんの方が良いこの家族には優しいBさんの方が良いと内心交代をと思うこともある。まあ、良い解決策が出なくても、顔を見ながら話し合いができるというのは、とても有意義で、無駄だったと感じることはまずない。

 それにしても九十五歳で寝たきりのMさんに、デイサービスケアの食事介助が手を出し過ぎ、マットがちょっと柔らかすぎる**さんに変えるように頼んだのにやってくれない・・・ときめ細かい内容で、地域の介護支援包括センター長が、九十五歳でここまで出来ているのですからまあまあと、取りなす場面もあった。勿論、この会議は無報酬だ。

 欧米では考えられないきめ細かいあるいは細部こだわる介護だと思う。

 

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消費税率引き上げへタキシング

2013年08月27日 | 政治経済

                    

 政府が消費税率引き上げへの離陸を準備し始めている。首相独断の印象を避け、国民の同意を得やすくするため、有識者専門家六十人からの意見聴取が始まった。六、七名ずつ意見を聞いてゆくようだが、毎回反対意見の人を一二名入れるように首相から指示があったようだ。首相は中々優れた演出家である。

 安倍さんは既に消費税を予定通り上げようと決めている。国民も業界も八分通りそのつもりで動いている。その証拠に大工の患者さんが、この頃忙しいと言っている。所謂駆け込み需要が始まっているのだ。それに今の状況で、消費税を上げる決断をしなければ、いつまで経っても消費税を上げることはできないだろう。

 有識者という人達はどういう人たちなのだろう。どうも多くは業界の代表らしい。正確に言えば有識者というよりも有力者と呼んだ方が相応しい人達に見える。それは身近な地域の医師会長を見ていればわかる。彼等は業界の利益を代弁代表して意見を述べる。

 専門家というのは経済の専門家だと思うが、経済ほど諸説紛々の学問は少ない。医者は治すことができなくても正確に予後を予測できれば名医である。果たして名経済学者いるのだろうか。今、専門家に期待されているのは正確な予想である。マスコミは彼らの言質を正確に記録しておいていただきたい。

 前へ外への方向は正しいが内容には問題があると町医者は何度も書いてきた。安部さんに年内は順風だが、年明けは春一番と共に逆風も吹くようになるとも申し上げておきたい。

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