駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

性というもの

2013年05月31日 | 小考

          

 女というもの、それはどうしようもないものというのが多くの男の本音であろう。

 おそらく女も、男をどうしようもないものと感じているだろう。

 それでも、お互いに惹かれ愛し合ってきた。

 それが神の思し召しか、

 何百万年、何千万年、何億年と青い地球という惑星に命を紡ぐ戦略か、

 は知らない。

 限られた個の命の奥に燃える松明。愛しき性哀しき性、心の奥底で仄暗く命を紡ぐ性。

 悪戯に、賢しらに性を語るなかれ。

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箱が置かれている

2013年05月30日 | 診療

          

 例年より早い五月の梅雨入り宣言があった。宣言通り今朝は本格的な降りで、駅まで歩くうち片袖が濡れてしまった。気のせいか乗客の口数は少なく、話し声のしない窓際に立ち尽くすうち医院のある駅に付いた。

 二階に上がると食堂のテーブルの上に昨日Tさんのお嬢さんが持ってきた大きな菓子箱がぽつんと置いてある。不謹慎の謗りを受けるかもしれないが、Tさんが箱になってしまったような気がして暫くぼーと見つめてしまった。

 84歳の年男だった昨年は比較的元気で、一人で通院できていた。今年に入り来院されなくなったのでどうしたのかなと、思っていたのだが、先月妻に付き添われ小さくなって虚ろな眼をしたTさんが現れた。何でも昨年の暮れ、物忘れが目立つということで、ご家族が総合病院の神経内科を受診させたらしい。認知症と言われ薬を飲み始めたのだが、食欲がなくなり元気がなくなったという。神経内科の医師の指示で薬を止めたが、元に戻らないのでどうしたものかと、再度当院にやってきたとのことであった。

 ああそうですかと診察し検査をしたのだが、なんとなく不機嫌で自発性が乏しく、動作がのろくなった他には異常はなく、検査でも内臓には問題がないようであった。それでは又前のお薬で様子を診ましょうとお返しした。今月半ばの再来では、体重が少し増えた以外は変りなく、相変わらず自分からは話さず、世話を焼けば「いい。いい」と拒否して、元には戻らないようだった。

 そして、今週初めの月曜日、気分が悪いとトイレに行き倒れられた。妻からどうすればよいかと電話が入ったので救急車を呼ぶように指示したのだが、即日入院され夜半には眠るように亡くなったと、挨拶に来られたお嬢さんからお聞きした。

 「苦しみませんでしたので、よかったです」。ある程度予想していたことではあったが、「ああ、それはそれは」。と頭を下げたことだ。

 

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人間はコンピュータと違う

2013年05月29日 | 町医者診言

              

 橋下氏が海外メディアに対し記者会見を開き、慰安婦発言の弁明を試みたが、起死回生の目論見は人間洞察力のある外国人記者に依って挫かれた。

 マスメディアは詳細な報道をしていないようだが、ネットの報道を引用すれば、{韓国ケーブルテレビの記者は、「がっかりした。いままでの話の繰り返しで、何も新しい話は出なかった。マルチャンナン(言葉のいたずら)だ。欧米のマスコミから免罪符をもらうためのね」と失望を隠さなかった。会場からも「何も答えていないじゃないか」という声が上がった。

 3時間にわたり、橋下氏は「日本だけが悪くない。お前たちもやってたじゃないか」「日本は強制連行してない」と持論を展開することに終始した}ということだ。

 こうした報道に、一部の引用で誤報だと橋下氏は攻撃は最大の防御と反論するのだろうが、欧米記者の「言っている人が言っている人だからね」。という一刀両断の評価があるように、人間は発言の意図や裏を読むので、もはや通用しないだろう。

 もっと正直な深みのある内省を込めた発言であれば、いくらか理解を得られたと思うのだが。

 俺は正しいあんたは間違っているという思考法は不毛で和平を遠ざける。人を叩けば自分が浮かび上がるという人の隣に居たら、碌なことはないだろう。違いを受け入れ違いが分かるのが大人と申し上げたい。

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心に咲く花

2013年05月28日 | 人生

        

  患者が途切れた時、看護師のTが「先生、お身体の調子が悪いんですか?」。と聞いてきた。

 「いや、どうして」。

 「何だか、先生この頃元気がないと、みんなで話していたんです」。

 「いや、ちょっと。疲れているだけだよ」。と答えながら、嬉しく有り難く思った。優しさは骨身に滲みる。

 この頃は診療の後、疲れるようになって、夜は書斎でぼーっと音楽を聴いていることが多い。昨日はネットで「花は咲く」。を見付けて何度も何度も聞いた。

 この歌は共に仙台出身の岩井俊二が作詞し菅野よう子が作曲した。菅野が「100年経って、なんのために、あるいはどんなきっかけで出来た曲か忘れられて、詠み人知らずで残る曲になるといいなあと願っています」と語っている。

 そうなるといいなあ。

 http://vimeo.com/51717456

       

           

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身だしなみとお洒落

2013年05月27日 | 身辺記

                   

 今朝は靴箱の奥から履きくたびれた茶色の革靴を出して履いてきた。靴の手入れなぞ碌にしないのであちこち色が剥げ、先とかかとが減っている。家内から捨てるように言われていた奴だが、歩くという靴の機能は損なわれていないので、仕舞ってあったのだ。

 というのは、今まで履いていた靴(左)の後ろの皮が剥がれ中の肉がはみ出してしまったからだ。まだ買って二年ほどで、他のところはさほど痛んでいないのだが、これは流石に捨てることになるだろう。

 履いてきた靴はサラリーマンなら、上司から注意を受けそうだ。医者ならいいとは言えないのかもしれないが、私は気にしない。尤も、家内に見つかれば、色々言われそうだ。

 実は靴はお洒落に重要な役割を果たしている。靴が決まっていないとお洒落は台無しになる。他人のお洒落、特に女性、には目が光ってしまう。私の目に適うお洒落をしている女性は一割に満たない。まあ厳しく見積もれば5%くらいのものだろう。それに比して身だしなみに難ありの女性は多い。二割くらい居そうだ、若い女性では三割近いだろう。身だしなみと言うのは他人に不快を与えないというマナーで、不必要というか不自然というか、はっきり言って爽やかでない露出はその対象になる。何だか自分のことを棚に上げてあげつらうなど、政治家のようなので、この辺で口を噤もう。

 これからはキラリト光る女性美を見付ける楽しみな季節である。 

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