駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

宇宙飛行医師

2023年03月02日 | 医者

                  

 

 宇宙飛行士に二人が選ばれた。諏訪理さん46歳男性と米田あゆさん28歳女性だ。米田さんは外科医だそうだ。そうすると直ぐ思い浮かぶのが日本初の女性宇宙飛行士の向井千秋さんだ。向井さんも外科医で、どうも宇宙飛行士を目指す医師は外科系が多い。十二人の日本人宇宙飛行士の内三人までが医師で全て外科医だ。

 今もそう言うかどうか知らないが昔は医師を大きくメスを持つ持たないで二区分していた。それはメスを持つ医師と持たない医師の違いが意識されていたからだと思う。大雑把に言えば外向的で決断力があり手を動かす仕事を好む外科系と内向的で思慮深く指導会話を好む内科系ということになるだろうか。もう少し上手な説明があると思うが、兎に角メスを持つ医師と持たない医師に気質の違いがあるのは確かだ。勿論、時々は例外があり何であいつが**科なのということはあった。例外と云うことは同級生を見渡せば成る程という科の選択が多く、性格と専門科には何かしらの親和性があるのだ。

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寡黙は金か

2016年03月02日 | 医者

                      

 十数年前と違い、今ではインフルエンザの診断は九割方、迅速検査キットに依っている。勿論、インフルエンザの検査が陰性でも臨床的にインフルエンザだと診断することはあるが、うんと少なくなってきている。

 昨日の午後、二三日前から6度8分くらいの微熱があり、少し鼻がぐずつくと三十代後半の男性が受診した。一寸風邪っぽいというだけで他に咽頭痛、咳痰、関節痛もなく、特にだるくもないと言う。以前なら軽い風邪と葛根湯などを処方して返したと思う。患者さん自身も受診するほどのこともないと思ったのですが、同僚にインフルエンザの人が居るので調べて欲しくて来たと言われる。希望されるなら、違うと思いますが調べましょうと検査してみた。三分もしないうちに看護師が出ましたとAにくっきり線が出てきた検査板を持ってきた。あれあれ、違うと思ったのですがA型のインフルエンザでしたと説明する羽目になった。

 発症して二三日経っているし、判定の線も色濃く出ているので初期でこれから高熱が出るというわけでもなさそうだ。ワクチンを打ってあるかと聞いたところ打っていないという。どうも何十人か何百人に一人くらい、症状が軽くてインフルエンザと気が付かないインフルエンザ症例が居るようだ。こういう患者さんが、ちょっと風邪っぽいなあと思っても、問題なく動けるのでそのまま仕事をして周りにウイルスをまき散らしている可能性がありそうだ。所謂保菌者とは違うが似たような状況を作り出しているに相違ない。本人に自覚が乏しく医者も見逃しそうなのが厄介なところだ。

 穏やかで言葉少なくても能力があれば、いぶし銀と高く評価されようが、静かで大人しいがミスを多発する人材はどうも大歓迎とは行かないようだ。

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名医とは誰のこと

2015年03月21日 | 医者

            

 三寒四温とはよく言ったものだ。暖かくなったり寒くなったりしながら、少しずつ暖かくなってきた。一週間もすれば桜がほころびそうだ。春分の日の連休でちょっと遠出をした。

 医者というのは、改めて言うまでもないことだが、大変な仕事なのだと今更ながら書いておきたい。何が大変と言えば、やはり人の命に関わる仕事だからだ。

 よく名医と言われるが、世に言われる名医はどこまで頼れるか怪しい?気がしている。名が売れていても手を下さない医師は名医とは言い難い。それに大体、我々は名医と言うことは少ない。勿論、褒めて言うこともあるが多少揶揄を含んでいることもある。よく出来る、力がある、信頼できる、手術が上手い、・・は大丈夫、・・は駄目・・はやめた方がいいなどと評価することの方が多い。

 病気というのは重篤で難しいものからほおっておいても治るものまで色々で、これは素人には中々分からない。そして、病気はありふれていても、向き合うのが難しい患者さんがいる。医者が医者を見ていると難しい重くなる病気や難しい患者を上手に避けておられる先生がいる。口は達者でもこういう先生は名医とは言わないだろう。重い病気や難しい病気病人でも、矢面に立って手を下せる医師を我々は・・・なら大丈夫と言っている。

 

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本当にいる名人

2011年12月19日 | 医者

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 医療、特に外科系では技術力が大きな部分を占める。そのせいか外科医には手術の上手い伝説の人が居る。手術が下手というと、言い過ぎで本当に下手な人は淘汰されるから、名人、上手に並と分けられよう。誰でも努力研鑽で上手には成れるが、名人は生まれるものらしい。私の故郷に半世紀前M先生という外科医が居た。手術が上手いと評判だった。子供で医者ではない私には何がどう上手いのかは分からなかったが、秘かに尊敬していた。

 医者になって十年くらいしてから、東京生まれ東京育ちのK先生とタクシーに同乗した時私の田舎を聞かれた。ああ、あそこ、M先生が居るねとM先生の話になった。K先生がMGH(マサチューセッツジェネラルホスピタル)に居た時、日本から来ていた麻酔科医が地方に凄い外科医が居るとM先生のこと話していたと言う。「切っても血が出ない、あんな凄い外科医は見たことがない」と。大学紛争の時代で、大学に居てもしょうがないと麻酔をかけながら全国を渡り歩いていたその麻酔医にM先生は強烈な印象を与えたのだ。

 手術の上手下手などと言うことは一般の人にはなかなか分からない。麻酔科医や看護婦が感心して漏らした言葉が広がって伝説の名人は世に知られるようだ。

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よく考えてください

2010年12月25日 | 医者

 今朝の風は冷たく二十分ほど歩くと手が痛くなるほどだった。北国では冬将軍が登場し吹雪らしい。

 歌を忘れたカナリア同様考えることを忘れた人間にも厳しい現実が待っていそうで、寒さが身に浸みる。

 昨夕、六十代の男性患者が来院。三年ほど前に一度血圧が心配と受診したことがある人だ。インフルエンザの予防注射を打って3,4日したら、頭が重くてだるいので来たと言う。37.2Cと微熱がある。当院で接種したわけではないので、打って貰った所で診てもらった方がよいと話す。

 いやあ専門でないから内科へ行けと言われましたとのこと。話を聞けば脳神経科(脳外科出身の医師らしい)で、普段血圧とコレステロールの薬を貰っている。そこで予防注射を打って貰った。注射の後調子が悪いと受診したら、頭重にはMRIを撮って異常ないと言われ、あとは専門でないのでわからないから内科へ行けと言われたとのこと。

 なんだかおかしい。高血圧や高脂血症の治療をしている医師が感冒様症状に対応できないはずはあるまい。患者が予防注射を打った後調子悪いと言ってきたので、関わるのを避けたようにも感じる。それにしてはなぜ高額な画像検査をたかだか全身症状の一部と見られる頭重くらいでしたのだろう。私の理解を超えている。

 患者さんもなぜ高血圧や高脂血症を診てくれている医師が、これしきのことで専門でないと他医受診を勧めるのか、変に思わないのだろうか。何となく血圧やコレステロールは薬を出すだけで、診療とは見なしていない節も感じる。

 一通り診察して、感冒の初期と診断。インフルエンザワクチン接種後軽い感冒様症状が出ることがあるが、打ってから少し時間が経っているので偶然重なった可能性もある。はっきりしないが心配なものではないので感冒薬で様子を診るように説明して帰す。なんだか変だなあ。

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