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映画館でなく自宅でだが、久しぶりに映画を見た。「浮き雲」というアキ・カウリスマキというフィンランド出身の監督の映画だ。この監督の映画は以前にも見たことがあり(過去のない男)、見たことのある俳優カティ・オウティネンも出ていた。おそらくロケ地もフィンランドだと思うが、何というか映像に北国の感じが溢れている。派手な動きや雄大な画面は一つもなく、不思議な静けさの中で起きる悲劇的な出来事が淡々と描かれてゆく。カティ・オウティネンという女優はこの監督の映画の常連のようだが、美人ではなくちょっと狐っぽい独特の容貌の持ち主で、まるで実話のように画面とストーリーに溶け込んでいた。他の俳優の演技表情も控えめで、静かでどこか寂しい北欧の雰囲気に包まれ、ハリウッド映画の対蹠と感じた。後味の悪い映画ではなくほっとするところもあり、面白くはないかもしれないが、一つの作品を見た感じがしてお勧めできる。色々な批評があると思うが、北欧フィンランドが陰の主役と感じた。
学生時代はそこそこ映画を見た。六十過ぎてから年に数本、今はコロナで映画館は行かないが再び見るようになっている。アランアーキンは何とも味のある俳優でThe Heart Is a Lonely Hunter(愛すれど心さびしく)を見て心に残り、高く評価していた。八十九歳だから大往生なのだが、寂しく感じる。同じように不思議な存在感のある俳優としてロバートデュバル、ハーベイカイテルが思い浮かぶ。勿論、持ち味は異なるのだけれども、三人とも大柄ではなく台詞がなくても映っているだけで何かを伝えてくる個性に魅力がある。今は映画館へ行かなくても家でも映画を見られるので、機会があれば出演作品を見てみたい。
この数か月、ネットで映画とテレビ映画を見ている。外国のテレビ映画は映画に負けず面白い。刑事モースを全部見てしまったので、今度はファーゴを見た。映画のファーゴを見ていたので、テレビ映画のファーゴはどうだろうかと思って見始めた。思いがけぬ展開に次はどうなると固唾を飲まされて面白いのだがどうも微かに後味が悪い。コーエン兄弟の映画はバートンフィンク、ファーゴ、ノーカントリーの三本しか見ていないが、面白く惹きつけられるけれどもどこかに不協和音というか嫌な感じがある。それは不条理ですよなどと解説されるのかもしれないが、残虐不気味で底知れぬ悪者と石頭の愚かな上司が出てきてやり切れない。こんな人達を相手にしたらとても勝てないと感じた。刑事モースやミレニアムなどにも残酷な場面出てくるのだが、ファーゴほどの軋むような不快感はない。ファーゴの残酷さは執拗で救いがなく異様に感じた。
ミネソタがコーエン兄弟の作品を歓迎しているかどうか知らないが、ミネソタの風土と季節(特に冬)が作品と分かちがたく結びついている。雪の一本道が脳裏に焼き付けられてしまう。抜群に面白いが楽しかったとは簡単には言えない作品だと書いておこう。