駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

変わる繁華街事情

2018年12月10日 | 

  

 

 もう師走も十日になるが、今朝は風がなかったせいか予報に反し寒くなかった。夜は冷え込み、街中はイルミネーションが輝き、そこそこ賑わって師走の雰囲気が出ているようだ。

 街も生きており、少しずつ繁華街の勢力図が変わってきている。三十年前の所謂繁華街がちょっと寂れ、純粋にアルコールや食事を楽しもうという店は五十メートルばかり周辺に移動し、中に何だか怪しげな店が残った。まあ、全体としては夜半の人出は減って芋を洗うような混雑はなくなってきている。

 店の種類も変わり、市内で河豚を食べさせる店は一軒だけになり、其れも規模を縮小している。正式のすき焼きを食べさせてくれる料亭も老舗が一軒残っているだけだ。接待がなくなったからですよというのが、同年代の医者仲間の診断だ。確かに十年くらい前までの医療界には濃厚な接待習慣が残っていた。おそらく他の業界でも接待は減っているのだろう。あまり接待とは関係ないと思うがフレンチも激減しイタリアンが増えた。これはお値段の関係だろうと思う。いくらディナーといっても一人一万円近い料金を自腹で払う人は少ない。

 それでも堅実というか適当な飲食店は結構繁盛しており、ふりに入っては満員です、予約が入ってますと断られることが多い。勿論、競争の激しい業界だから長く繁盛するには、裏で凄い努力と工夫があると見ている。飲んで食べればすぐわかってしまうから、難しいはずだ。我が業界でも皮膚科は素人でもすぐ結果が分かるから、その点が難しいと言われる。

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世界の流れに

2018年12月09日 | 町医者診言

   

 

 師走はなんとなく気ぜわしいのだが、締めくくりとして一年を振り返って考えてみる良い機会でもある。フランスでは燃料税増税をきっかけに大規模なデモが起き、ドイツでは移民政策への反発からメルケル首相が退き、米中対立に火花が飛び、日本では国会が機能せず入管法が碌な議論もなく国会で成立してしまった。これだけ大きな問題を一纏めに議論理解するのは非常に難しいが、通底するものはある。まず現象としては社会の不安定化とそれから生まれる不信恐怖、そして思考短絡と力依存だと思う。

 無知の知の自覚、謙虚な視点が戦後今ほど求められる時はないのではないか。僅かな知識しかないのに、憎悪嫌悪で物事を判断してしまう。そういう人達はさほど多くないような気もするが、その大声と勢いに流されてしまう人達が多い?ように見える。

 どうすればに対する私、一介の臨床医にすぎないが、の処方箋は広い視野を持ち多様な意見に耳を傾けることだ。議論が深まると決められないような印象が生まれるが、複雑な問題には漸進が真っ当、英断と見せる短絡鉈切りは間違ってきた。

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峠からの眺め

2018年12月08日 | 町医者診言

      

 

 Fさんは91歳、独り暮らしのお婆さん。院内は杖歩行だが一人で歩ける。診察室に入る時、少しよろけた。「この頃よろけてよろ子さんになってしまったわ」とにっこりされた。品の良いお婆さんというより老婦人という方で、お頭の方はまだまだしっかりしている。漸く介護を申請される気になり、ホーム入所も考え始めておられるようだ。

 Nさんは89歳、一年前までは一人で来れたのだがこの頃はアラカンといっても女優並みに美しい娘さんに連れられてやってくる。息子さんはNさんに似ているのだが、お嬢さんはちょっとクオーターのようで大柄だ。「娘は主人に似たのね」と言われる。だいぶん背中が丸くなり、診察する時ベットにあおむけになれない。「背中が丸くなりましたね」に「人間が丸くなればいいんだけど」とにっこりされた。

 Tさんは92歳、分限者で駅前に広い土地を持っておられる。駅前の再開発に伴って一部の土地をどこかの店舗に貸与されるようだ。ぼつぼつ工事が始まっている。「駅前も変わりますね」、「完成する頃にゃ、わしゃ死んでる」とにべもない。慌てて「百まで大丈夫ですよ」と申し上げたのだが。

 今は少し幸運に恵まれれば90に手が届く時代だ。しかしこれは所謂一つの峠で、かなり幸運でないと矍鑠とは越せない。どこか自分を客観視できる脳力を保って、この峠に立てれば僥倖と街中の臨床医は思う。

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最後の砦?

2018年12月07日 | 医療

    

 

 介護療養型病院というものがある。ホームページを見ると医療介護の統合と言った理想的な事が書いてあるが、実態はどうもちょっと違うようだ。慢性的に人手不足で、医師の労働環境は厳しいものらしい。二百床の病院で常勤医が五名以下となれば推して知るべしで、月に六七回当直であんまり家に帰れませんと聞くと「先生、大丈夫ですか」と声を掛けたくなる。病院の性質に加え経営があるからできるだけ介護度の重い患者を受け入れている。そのため判定会議というものがあって、入院の可否を決めている。介護度Ⅲ以下では入院は難しいと言われる。生活保護も受け入れていないと言う。数年前までは何十人も希望者がいて何か月待ちの状態のようだったが、最近は競合施設ができ数週間待ちになり、事務長は遠慮なく相談してくださいと言われる。

 入院してくるのは病院で治療の限界を迎えた高齢者や家庭で診られない慢性の寝たきりの患者さんで、二百人の入院患者が居て歩いて帰れた患者さんは五年に一人くらいと聞いた。言葉の綾と言っては言い過ぎかもしれないが、そうした病院で院長が披瀝する前向き使命感に溢れた言葉は半ば本心だろうが、長としての立場から責務を果たそうとして生まれたものにも感じる。

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七十後半はまだ若い

2018年12月06日 | 診療

                 

 

 今朝は寒かったがそれは昨日に比べてのことで十二月始めの平均気温らしい。

 何百枚もの死亡診断書を書いてきた。内科医の大きな仕事の一つだと思っている。亡くなる時も人さまざまと言えるだけの症例を見てきた。開業してからは高齢者が殆どで、この十年ほどは九十代も多い。枯れて火が消えるように亡くなり、家族の方も静かに見守られる。月曜の夜、H氏が亡くなった。忘年会の合間で家に居たので臨終に間に合った。享年七十八歳。

 亡くなったことを告げるとご家族が号泣され、こちらまで言葉に詰まってしまった。質の悪い病気で本人もご家族も覚悟されていたようだったが、別れは辛く悲しみは大きかったようだ。

 これが私が医者に成りたての四十年前だと、少し違ったような気がする。七十半ば過ぎ八十近ければ勿論悲しみは大きいのだが、どこかに十分生きたという感覚があったように思う。今は八十代後半でないとそうした感覚がないようだ。九十四歳で亡くなったブッシュ元大統領の葬儀は悲しみに包まれと言うよりは天寿を全うという感覚からか穏やかなもののようだった。

 死は最も個人的なことで医者の私が患者さんの終わりに何か言うのは適切ではないが、寿命の感覚も時代によって変わってゆくと感じている。

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立ち止まってちょっと考えたい

2018年12月05日 | 世の中

    

 

 昨日は暖かいを通り越して暑いくらいだった。クーラーを入れたという患者さんまで居た。12月にクーラーは夜明けにバナナ並みにおかしい。世の中なんだかしっちゃかめっちゃかで、真面目に取り組むのを放棄したくなる。

 インフルエンザワクチンだけ私の所に打ちに来る患者さんが数十名居られる。他の医院に掛かられているのは現在服用中の薬を確認するので分かる。どこですかとは聞かないが、なんでそこで打たないのだろうと内心思うこともある。昨日はコレステロールの薬を飲んでいますと申告される人が居た。ああそうですかと答えると毎月通って毎回血液検査をしていますと言う。えっ毎月通って検査しているのと思わず口に出た。内心、過剰だと思ったが業界の掟で論評はしなかった。

 そうかと思うと胸が重苦しいのでK医院へ行ってきた。心電図胸の写真骨密度を検査したが異常ないと言われた。どうすればと聞いたら内科に行けと言われたので来たという患者さんもいた。どうしてKさんへ行ったの循環器じゃないでしょ、なんで骨密度の検査をしたの。あそこはよく検査をしてくれると聞いたからとの返事。渡る世間には仏面した仏でない人も多いんですよとは言わなかったが、思わず顔をじっと見てしまった。

 大袈裟ではあるが血を流してたどり着いた民主主義は民衆によって破綻してゆくのかもしれない。自分だけを最優先する人が増えれば格差は拡大するし、そういう人が一定の率を越えれば自分優先が自分も没落を招くだろう。

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何だねー、何だとー

2018年12月04日 | 町医者診言

            

 

 三浦雄一郎さんが86歳でアコンカグア登頂を目指すとのこと、アコンカグアと言えば南米最高峰、生半可のことでは登れない強風渦巻くアンデスの高峰だ。何で又という気がしないでもない。何か難しい目立つ目標を立てて、傍迷惑は顧みずやらずにはいられないらしい。申し訳ないが一種の病気ではないだろうかという考えが一瞬頭を掠める。そういえば太平洋一人ぼっちの堀江さんも二番煎じ三番煎じの大洋横断をやられている。

 どちらも最初は偉い凄いと思ったが、繰り返されると何だねー又かねーという印象も生まれる。

 なんだねーはご愛敬だが、東名煽り運転で死亡事故を起こした石橋和歩の無罪主張には何だとーと言いたい。懲役十年でも甘いと思う。懲役の趣旨は教育刑というが、性根が叩き直せるだろうか、閻魔様でないと難しい気もする。

 今朝は小雨がちょっとぱらついたが氷雨ではなく、十月に戻ったような陽気だった。最近の天候には変動が大きく身体が付いてゆけない。

 米中対立小休止のようだが、一体どうなるのかねと煽りを食らう日本の住人としては固唾を飲んで見守るばかりだ。仲介を企てる安倍首相は国内では相当の策略家で失礼ながらちょっと幼稚な野党を交わし続けてきたが、プーチントランプ習近平の策略には敵わないのではと懸念する。

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惜別の言葉

2018年12月03日 | 診療

              

 

 「先生、随分大きくなったなあ」、ここにお掛けと寝たきり爺さんがベットの脇の隙間をポンポンと叩く。確かに九十過ぎのあなたから見ればうんと若いけれども、もう孫も居る前期高齢者ですから、そんな小さな場所には座れません。ええっ、寝ろですって、冗談もほどほどにしてください。昨晩はここは何処だと騒いでお嬢さんを困られたそうじゃあないですか。ベットの柵を揺すって大声を出すなんて、プロレスラーのつもりですか。親子は似ているので、娘さんも遂に怒り出し、空手チョップをお見舞いしたようで、すわ虐待ではとケアマネが騒いでいるようですが、私はそうは思いません。これは痛み分けです。

 そうやって3年半、掛かりつけ医に往診を断られお鉢が回ってきた私がお引き受けし往診で面倒を見させていただきましたが、今度はあなたの奥様、お嬢さんのお母さんが倒れられ介護が必要になったので、お嬢さんも限界で遂にあなたは施設入所になるようですね。かの有名な患者を選別する老人病院に入院許可が下りました。競合施設が出来てきたので合格ラインが下がったとの噂です。

 新しい所は最初は慣れなくて大変かもしれませんが、24時間の対応が出来ているようですから、暴れず優等生でお願いします。私はもう往診にはゆけませんが、お嬢さんはお見舞に行かれると思います。どうぞお大事に、ごきげんよう。

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知らない世界

2018年12月02日 | 世の中

           

 

 先日、絵の仲間に連れられて珍しくバーへ行った。アルコールは月に一二度少量飲むだけで、居酒屋とかバーには滅多には行かない。当然なじみのバーや居酒屋はない。入り組んだビルの隙間を抜けて辿り着いた一枚のドアの向こうにはほの暗い別世界があった。7,8メートルはありそうなカウンターの向こうに蝶ネクタイのバーテンダーが佇ずみ、背後には百本はあろうかというウイスキーバーボン・・の酒瓶が勢揃いしていた。窓外には夜の闇にネオンが浮かび、室内には先客の声が浮かんでいる。よく読むダンチュ-の最後にバーテンダー紹介のページがあるが、こういう人達や店があるんだと斜め読みするだけで、なかなか足が向かうことはなかった。

 目立たないドアの向こうに知らない世界がいくつもあるのだろうなと思った。それらを知らずに生きて来たことがちょっと残念な気がした。さて、これからどれくらい知らない世界を知ることが出来るだろう。

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妻のトリセツに何と書いてあるのだろう

2018年12月01日 | 人生

       

 

 このところ晴天が続いている。さほど寒くない。今日から師走、いつもながら一年は短い。正確にはますます短くなる。父も母も短命ではなかったが長命でもなかった。それでも老いというものは見せておいてくれた。

 毎日高血圧コレステロール前立腺と4種類の薬を飲んでいる。これは錠剤だからうまく飲める。昨日からなんとなく風邪っぽいので、今朝は追加で葛根湯を飲んだのだが、これは顆粒で四分の一くらいこぼしてしまった。ズボンにこぼれた細かい粒を払いながら、情けないというか年を取ったと思った。幸い女房が見ておらず余計な一言がなくて良かった。

 貴乃花夫妻が離婚した、残念な気がするがいろいろ事情があったのだろう。この年になってもというか、勉強会の後で後輩たち(同年配で勉強会に出る仲間は激減した)とビールを飲みながら連れ合いの話になることがある。もう結婚して三十年前後のはずなのに難しい困るとこぼす。先生は奥さんと仲がいいですねえなどと珍しいように言われる。自分は特別夫婦仲がよいとは思っていないが、一緒に行動することが多いのでそう見えるらしい。そういえば妻のトリセツという本が出たようだよと言うと、異口同音にそれは早速読まなくちゃと言う。自分はまだ読んでいないが、何か参考になる事が書いてあるだろうか?。

 自分は長年の経験から三手の読みで、こうすればああでてくるのでこうしようと、争いをうまく避ける方法を身に付けたような気がする。腕力を封じられたら勝てる相手ではない。

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