駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

トランプ台風の行方

2016年04月29日 | 小考

       

 トランプ旋風がマジの大型台風になりそうな勢いだ。悪いこと?は重なるもので対抗馬のクルーズが全く魅力のない人物で、歯止めが掛からない。トランプが狡賢い自己肥大の人物なのは太平洋を隔てても透けて見えるのに、格差で虐げられたと感じている白人層の熱い支持を受けている。エスタブリッシュメントを叩いてくれるなら、低賃金で働く邪魔なメキシコ人を排除しれくれるなら、破壊工作を行うイスラム教徒を排除してくれるなら、怪しげでも自己中でもいいということらしい。果たしてそれが、支持を得るための口先の戦略だと知っても支持するのだろうか?。毒食わば皿まで、頭に血が上れば、思考力判断力は鈍り、恵まれた階層への憎悪と復讐の感情に火が付くばかりのようだ。

 アメリカさえ良ければいいのだと、守って貰っているのに費用負担をしない(実際には多額を負担している)在日米軍は引き上げる、アメリカ産製品を圧迫するTPPなんてとんでもないなどの主張が受けを狙った口先だけの、巡り巡ってアメリカの為にならない単純過ぎる主張だと言う指摘を、泡沫候補がすかしたことを言うなと内容とは関係ない反論で一蹴する。そのののしりが支持者には大受けだ。一体どうなっているのと思うと同時に、何だかどこか似ているなあとも感じる。

 格差が固定し格差が広がっているのは、大いに問題だが、優秀な人物が支えている側面を見逃してはならない。恨み辛みにつけ込んで創り出した妄想の高揚感の果てに何が待ち受けているか、遂にはトランプはトランプ現象を支えきれなくなるだろう。

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他山の石だらけ

2016年04月28日 | 小験

            

 三菱自動車の不正、客が半減は当然だが、二十五年前からと聞いてあきれる。二十年前にパジェロイオを二年で手放したのは正解だった。形に惚れたが、トラブルの多い車で、F氏に大丈夫なのはエンジンだけじゃないと駄目を押されて、他社に切り替えたのを思い出した。

 それでもあまりに多い車のインチキに、現在の愛車は大丈夫かいなと気になる。係のKは当社は大丈夫ですと太鼓判を押してくれるのだが、セールスマンの知らないところでの不正だからな。

 なぜこういうことが起きるか、それは閉鎖的なこととその場しのぎ感覚が蔓延しているからだ。そしておかしいという人を排除する組織の姿勢だろう。性能や利益へのプレッシャーがあるからは、言い訳にならない。そういうプレッシャーのない会社があれば教えて欲しい。

 強い町工場の秘密、弱くあえぐ町工場も多いと思うが、はその規模にあると思う。社長の目が隅々に行き届き、異論を排さず、その場しのぎが通じないからだと見ている。私も医院の経営者なので、以て他山の石としたい。医院というのは質の良い医療をできるだけ廉価で提供するのが仕事で、それを染み渡らせる努力をしている。人間は弱いので、私に無断では注射薬や消耗品を発注させないようにしている。男が美人に弱いのと同じように女も好男子には弱い。「先生、こうした方が」というアドバイスは話し合って取り入れることも多い。

 残念ながら辞めて戴いた職員が二十六年間に二人ばかりいる。そうした職員に、院長や仲間の悪口は言われても、診療内容ではけちを付けられないと自負しているが?。

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差を認めない料金の不思議

2016年04月27日 | 世の中

         

 手術には上手い下手がある。手術ほど分かり易くはないが、本当は内科系の診察にも上手い下手がある。論文の数とは無関係、論文の内容や質とは少し関係があるかも知れない。

 誰が手術が上手いかは業界の人間は大体分かって居る。勿論、手術にも色々あるから、微妙な所は専門家でないと評価は難しい。多くの場合、手術が必要な症例を見付けてくるのは内科系の医師で、患者の強い希望がなければ自分が評価している外科医に紹介することが多い。普通大学病院や総合病院は院内の外科に患者を回すことが多いのだが、時々外の病院へ送ることもあった。多分、今もあるだろう。

 上手い下手があるといっても、明らかな差が出るのは十例に一例くらいの難しい症例で、殆どは並みの腕で問題はないようだ。ようだというのは私は外科医ではないので、詳しいことは知らないわからないからだ。下手は淘汰されて行くはずだが、希にえっと思うこともある。決して何にも言わないが心の中では納得しにくいことも起きるのだ。

 技術に差があるのは、何の不思議もない。周りを見渡せば直ぐ分かる。時々行く鮨屋は息子より親爺の方が断然旨い。寿司飯とネタを握るだけなのに全然味が違う。一言も言わないのに、この頃は雰囲気を察したか必ず親爺が握ってくれるようになった。改めて書くまでもないと思うが、技術というのは手先の器用さだけではない。大いに脳が関係している。

 微妙な話をざっくりと書いたが、手術料というのは誰が手術しても同じというのが医療保険制度で、この辺りは何だかおかしい。結局は誰がどうやって違いを認めるかで揉めて挫折してしまうのだ。世の中にはこうした判定しにくいから同一認定が多い。一方で才能を過剰評価する世界もある。才能はまあいいが人気となると煽り便乗する人間も多く、何が何だか分からないものもある。

 衆愚と言えば語弊もあり反発もあろうが、衆賢とまでは行かずとも衆知して妥当な判断を導かないと腹膜炎を併発することになる。 

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「タックスヘイブン」を読む

2016年04月26日 | 

                

 パナマ文書漏洩を好機と見て文庫本化されたと思われる「タックスヘイブン、橘玲」を表題に惹かれて、平積みになっているのを買ってしまった。闇資金運用破綻絡みのハードボイルド小説で、面白く読んだが、タックスヘイブンのことは殆ど出てこなかった。パナマのタックスヘイブン漏洩以前に書かれているので、なぜこうした題名にしたのかよく分からない。まさか今回のことを予測していたわけでもないと思うがしかし、ひょっとしてと思わせる著者ではある。

 小説では古波倉という合法違法表裏の境を歩く金融コンサルタントが、政治資金作りの破綻に巻き込まれるというか乗じて利を得ようと暗躍する様が書かれている。どの程度こうしたことが現実にあるのだろうか、まんざら出鱈目でもなさそうな感じもした。

 著者は東南アジアや金融税制に詳しい人のようで、そうした書著もあるようだ。ほんの少し胡散臭い?ところもあるようで、Wikipediaでは著者の本人像がはっきりしない。触れない方がよい事実を書いているために、表に出ない配慮をしているようにも感じる。

 こうした裏闇の世界が大好きの人も居て、同業者や知人との会食で、実はこうなんだという話をよく聞かされる。まさかそこまでとうんざりすることも多いのだが、一体全体どの程度こうした闇に隠れた裏社会が世の中にはあるのだろう。医業はともかく、自分が携わる医療には裏や闇は殆どないので、推し量り兼ねる。

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走ってはならぬ、電車も遅れることがある

2016年04月25日 | 小験

       

 誰も寝てはならぬという無理難題のアリアがある。それで思い出すのが、医者は走ってはならぬという教えだ。もう五十年近い昔のことだが外科のT先生は実習で回ってきた我々に医者は走ってはならないと注意された。患者の急変などで呼ばれ、走ると息も切れ焦る気持ちが生まれ、正しい判断ができず手も震え良い処置が出来なくなるからだ。これは至言で、急いで走ると碌なことはない。別にこれは医者に限らない。仕事をする人全てに言えることだと思う。

 もっと言えばどんな時も急ぐために走るのはよくない。普段運動していない人は血管に破綻をきたすかもしれない。転ぶかも知れない。忘れ物落とし物をするかも知れない。間違った判断をするかも知れない。

 実は先日、東京に出て内科学会の講演を聴いて来た。折角の東京、帰りに旨いカレーを食べようと下町に出たはいいが二十人ほどの行列で時間がかかり、予定の列車に遅れそうになった。タクシーよりも地下鉄が確実と乗った地下鉄がどこかの信号機の異常で遅れてしまった。慌てて電車を降り階段を駆け上がりタクシーを拾ったはいいが息が上がって八重洲口がかすれてしまい、何度も聞き返されてしまった。お釣りはいいと二千円渡して改札まで走ったはいいが、切符を入れていた定期券入れがない。改めて切符を買い予定の電車で帰ってきたのだが、本当に馬鹿を見た。

 教訓二つ。急いでも走ってはならない。

        電車も遅れることがある。

 後日談二つ。T先生に言われ、なるほどそうかと呼ばれたが走ってはいけないかならなと病棟の廊下をゆっくり歩いていたら、Nにお前のような下っ端は走らなくちゃと言われてしまった。  

        失くした定期入れがタクシー会社から届きほっとしていたら受付のMが「日頃の心掛けがいいからですね」とびっくりするようなことを言ってくれた。

コメント (2)
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