駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ブログ効果

2009年04月30日 | 小考
 遅ればせながらブログを書き始めて、もう一年数ヶ月になる。当初は物珍しさと物言わぬは腹ふくるる業ということもあって始めたのだが、今では書くことが習慣になってしまい、朝始業前にコーヒーを飲みながら、頭の始動を兼ねてキーボードを叩くようになった。小さな鬱屈や思い、短い報告や評論を発信すると、心がいくらか軽くなる感じがする。発信するだけでも解放されるものがあるが、読んでくださる方が居られるので世界が広くなる感じもする。
 大人になるというか大人として暮らすと世間が狭くなる。特に専門職に就いていると、どうしても同業者との接触が多くなり、医者の常識は世間の非常識などと揶揄されることになる。これは医者が叩きやすいために(叩きがいがある?)槍玉に挙がるだけで、実はほとんどの職業人に通じる視野狭窄の危険性を言っている。ブログにはそうした視野狭窄をいくらかでも和らげる効果があると思う。勿論、薬には必ず副作用があり、用い方によっては視野狭窄が深まる恐れもある。しかしまあ、薬に喩えることができるくらいだから効用の方が多く、誰もが発信の手だてを持てることは素晴らしい。
 出入りの本屋が置いてゆく出版社の小冊子に目を通すのを楽しみにしているのだが、今月号を見ると売らんかなという出版社の作戦による題名か、頭の使い方脳の生かし方賢い生き方みたいな本がずらりと宣伝されている。著者には出ずっぱりの張り出し大関陣が並んでいる。読まずに言って悪いが、あなた達はなにか錯覚しているのではないか、ひょっとして病気ではないかとさえ言いたくなる。四十そこそこの人達があれもこれもと人生の指南をする。なんだか人生に値段が付いてしまいそうで気味が悪い。強力な発信源に異見を言えるのもブログの効用だろう。
 ブログの中でいくつかの予言をしてかなり当たった。霊感などなくても、常識で考えれば先のことがある程度予測できることの証左になれば嬉しい。
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カンサス田舎風ランチ

2009年04月29日 | 身辺記
 今日は山小屋で友人達とミーティング、快晴で気分最高。残念ながら今年の海外遠征は私が9月連休当番医に当たったこと、どうも不景気で懐が淋しいというメンバー、奥方のつむじが曲がってしまった人などなどでキャンセルとなった。海外旅行というと、いつも逃げてしまう塗料店の親父を是非引っ張り出そうと思っていたので残念だ。来年は全員で行けるといいが。
 昼飯はカンサス在住の方の肉料理を真似て作ってみた。本当はスペアリブを使うらしいが、入手できずオーストラリア肉のサイコロステーキを使用した。肉に焦げ目を付けてから醸造酢砂糖醤油ニンニク生姜の付け汁に一晩浸、翌日人参と新じゃがと一緒に煮こむ。肉に味が滲みていて、なかなか美味しいとの評判だった。
 別に宣伝はしていないが、どこで聞きつけたか、私の料理の腕を見込んでブリッジのメンバーが料理人としてご招待してくれる話が持ち上がっている。また献立を考えねばならない。ブリッジ仲間の方は女性軍が半数居るので、デザートも用意せねばなるまい。
 
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鳥より怖い豚インフルエンザ

2009年04月28日 | 医療
 インフルエンザというのはインフルエンザウイルスによる感染症で毎年冬に流行する。流行の大きさは年によって異なる。今年は大流行ではなかった。
 毎年流行しているインフルエンザの死亡率は0.05%から0.1%程度でさほど高くなく、多く見積もって千人に一人くらいで、しかも亡くなる方の多くは高齢者で毎年のことなので大騒ぎにはならない。
 インフルエンザは麻疹や風疹などのウイルスと異なり、連続的抗原変異を起こすために、同じ人が何度も感染してしまう。
 一般には、一度あるウイルスに感染するとそのウイルスに対する抗体(専門の警察官)が出来る(養成される)ため、次にそのウイルスが体内に侵入した時には直ぐ発見され抗体(専門の警察官)が付着し(取り押さえ)排除されるので、感染が成立しない。つまり免疫が出来るわけである。ところがインフルエンザウイルスは連続的抗原変異(変装)をするために、折角用意(養成)した抗体(専門の警察官)が十分に働かず、感染が成立してしまうことが多い。そのためインフルエンザは毎年予想された変異株(変装)用のワクチンを打つ必要がある。
 新型インフルエンザは連続的抗原変異でなく、組み替えによる不連続抗原変異が豚の中で起きるために、全く新しい抗原性を持っている。つまり変装でなく形成手術で目鼻や腕などを取り替えてしまうので、誰もそれに対する抗体を持っておらず大流行する危険が大きいのだ(形成手術が小幅の場合は多少免疫が働く、類推が利く、こともある)。
 何で豚が登場するかというと、豚は鳥のインフルエンザにも人のインフルエンザにも感染するため豚の体内で鳥と人のインフルエンザが交雑して人に感染しうる新種(新型インフルエンザ)ができることがあるのだ。それが今までに大流行した新型インフルエンザの出現メカニズムだと考えられている。この場合生まれる新型インフルエンザは感染力は強くても毒性(死亡率)はさほど高くないと予想されている。毒性(死亡率)が高くないとしても母数が大きくなり億の単位になれば亡くなる方も何百万の数になる可能性があり、まさに非常事態となる。
 もう一つ騒がれている鳥インフルエンザは鳥に発生した鳥の新型インフルエンザ(鳥に対し毒性が高く死亡率も高い)が人への感染性を獲得した場合を想定している。これは人にも強毒性で死亡率が20-40%と極めて高い恐ろしいウイルスで医者も逃げ出すと言われている。しかし、この強毒の鳥インフルエンザ(H5N1)はインフルエンザの専門家の間では大流行はしないと言われている(政府の見解対応と異なるので内緒の話なのだが)。私は医者なので彼等の見解を妥当と受け取り、実際には大流行しない鳥よりも、実際に大流行する可能性の高い豚が怖いと考えている。
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春眠暁を覚える

2009年04月27日 | 自然
 どうも見栄えに囚われて薄緑のカーテンにしたせいか、天気が良いと朝早くから寝室が明るくなる。そうすると、あれ朝かなと眼が覚めてしまう。時計を見るとまだ5時、これは儲けたともう一眠りすることになる。これも春宵一刻値千金のひとつか?。こういう時いつも隣で寝ている人は微動だにせず熟睡しておる。どういう神経をしているのだろうか。どうも精密にできていない機械の方が丈夫で長持ちするらしい。
 朝の光を浴びて目覚めるというのは、生物である人間にいろんな意味で大切なのだ。人間は体内時計を持っていて、日の光が届かない穴蔵で暮らしても、一日の周期を感じて寝起きできるのだが、この体内時計は遅れる性質を持っている。そのため、朝の光を浴びて毎日修正しないとだんだん起床時間が遅くなっていってしまう。暗くなったら寝て明るくなったら起き出して活動する、冬はよく寝て夏は沢山活動するのは自然の理にかなっているのだ。お天道様を欺く電灯が発明された今もその法則は生きている。特に昼夜逆転で夜騒ぐ高齢者には明るい日差しを浴びせ、埃を払って手入れをしてやることが大切だ。寝ているからと寝かせておくと、昼夜逆転が始まる。
 春は眠いとしたものだが、春眠暁を覚えずは四月初め頃のことを言っているのだろう。もうすぐ五月、今の季節は早起きして、どんどん働けと太陽から指令が出始めているようだ。
 それとも私の場合は、ひょっとして年を取って目覚めが早くなったのかな。
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草薙の不連続線

2009年04月26日 | 世の中
 草薙君が深夜酔って全裸で公園で騒ぎ逮捕された。家宅捜索まで受け、番組を降ろされ、申し訳ありませんでしたと項垂れている。
 何だかおかしい。どうしてそんなに厳しい制裁が必要なのか。この程度の悪さは五万とある、もっと悪質な悪意ある悪さも五万とあるではないか。
 自制を欠いた行動は、厳しい注意あるいは強い叱責に値するが、人格を否定するような扱いは行き過ぎだと思う。今までの彼の評価はどこへ行ったのか。
 おそらく過労か過重か鬱屈が溜まっており、それが溢れたのではないか。それとも妙な性癖があるのを隠して、仮面のキャラクターを演じてきたのか。
 今までの彼を評価するなら、この程度のことで手の裏を返すほど批判するのはファンも彼を裏切ることになると思う。今まで仮面の善良を演じてきていたなら、全面批判の前に虚像を見抜けなかった自らの節穴の眼を反省すべきだろう。
 多少演じられた善良の部分があったとしても、私も含めてさほど善良でない大部分の人は石を投げることはできなかろう。
 この程度のことではない重罪と言われる方には、人間がどういう生物か、生きていることがどういうことか、ご存じないのではないかと申し上げたい。
 もし彼が裸で泣いていれば、どう扱われただろうか。警察官の注意に抵抗したと聞くが、理性の抑制がなれば警察官の注意には誰もが当然抵抗するだろう。優しい言葉であれば違った反応があったかもしれない。
 犯罪学をよく知らないが、普通に考えればまさかあの人がということは少ないと思う。まさかというのは、単にその人を上辺でしか知らなかったためのことが多いと思う。身近に医療保険の点数を誤魔化して、罰金を支払った医師が2,3名居るが、やりかねないという人達で別に驚きはなかった。
 人間は平生往生で連続の存在と思う。そのように扱うのが大人の常識ではないか。いつも横柄な人が急に猫なで声を出したらおかしいと思うでしょう。
 
コメント (2)
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