駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

困った質問

2011年09月30日 | 診療

 

 患者さんが何を聞いても、病気のことであれば99%淀みなく応えることが出来る。自分でも驚いてしまうくらいだ。勝手に口が動いて、不得意の分野でもそれなりに答え、場合によりあるいは経過により専門医へご紹介しますなどと言っている。こういう芸当が可能なのは医学的な考え方にはどの分野でも共通したところがあることと、長く多くの患者さんを診ていると似た症例を思い出すことが出来るからだろう。

 しかし病気以外のこととなるとうっと答えに詰まることがある。まあ、私のプライバシーに関するぶしつけな質問は適当にはぐらかす術を心得ているので、困らないのだが。 

 えーっとと詰まってしまうのは、例えばこの窓はどの建物の窓ですかなどという質問だ。・・・よく知らないんですと答えたのであるが、これはどこの建物の窓かなどという鑑賞法は思いつかなかった。市役所でもないし、映画館でもないし、こんな家に住んでいる人が居たかなあとY婆さんは眺めていたわけだ。

 ドラエモン風に、ああこれはどこでも窓なんですよと答えればよかったかなと後から思ったが、年寄りをからかっていると取られても困るので、・・・よく知らないと正直な答えで良かったのだろう。

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日々の些事にも苦楽

2011年09月29日 | 身辺記

 

 毎日いろいろなことがあるが昨日は、帰り際に笑ってしまう微笑ましいことと、後味悪い不快なことが重なった。

 Tさんは58歳のサラリーマン、終診間際に駆け込んできて、診察室に入るなり「ただいま」と言う。ええっと看護師と二人で顔を見合わせ笑うと、気が付いたT氏、しどろもどろで「えへへ」と照れ笑いで紛らす。なんだかいつもより血圧が高く、今日は失敗したからと、言い訳をして帰られた。

 きっと良い夫良い父の家庭人なのだろうと思ったことだ。

 家内が迎えにきたので車を運転して帰った。交差点で直進の対向車が六七十メートルほど離れていたので右折したところ直進車が突然ライトを上げ警笛を鳴らしアクセルを踏んで突進してきた。曲がり切った背後を走り去ったのだが、どうしてそんな馬鹿なことをするのかと、嫌な気分になった。会社で怒られたか恋人と喧嘩をしてムシャクシャしていたのかよくわからないが、相手の微かな落ち度?(私は自分の判断が適切だと考える)を咎め嫌がらせをしようとする心情は後味が悪い。先行き不透明で不景気な世相を反映しているのだろうか。なんでも世の中のせいにするのは行き過ぎかもしれないが、そんな気もした。

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岡目八目とは限らない

2011年09月28日 | 趣味

 

 渡辺竜王が羽生王座の20連覇を阻み、王座を奪取した。ヘボの私も手に汗握る大熱戦で、あの羽生名人の猛攻を冷静沈着に凌いだ渡辺竜王の肝っ玉には恐れ入った。唯一、羽生名人が苦手とすることになった棋士が渡辺竜王のようである。ヘボの私には感覚としてしかわからないが、渡辺竜王が羽生名人に強いのは肝っ玉が太いからとしか表現のしようがない。

 渡辺竜王は奥さんのブログhttp://inaw.exblog.jp/を笑って?許す度量があり、それが利いているのか? ちなみに奥さんのブログ、妻の小言、は抜群に面白く、竜王の素顔が伺い知れる。

 ところで、解説を読みながらネットで観戦していて、検討陣の力不足を再認識した。一流のプロが解説しても、当事者の深い読みには及ばないことが殆どのようだった。岡目八目は戦う当事者よりも、傍で見ている者の方が冷静で視野が広く、良い手が見付けやすいという譬えのようだが、こと将棋には当てはまらないように感じた。あるいは将棋に限らず真の実力者はぎりぎりの場面に於いて、観戦解説者よりも深く読んでいるのかもしれない。

 勿論、私程度のレベルでは岡目八目は概ね真実で、何だそんな手があったかとしばしばドジを踏んだものだ。

 さて、将棋の超一流プロのように、深く読んで仕事をしている指導者がどれだけいるだろうか?

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繰り返す挨拶の言葉

2011年09月27日 | 診療

 

 診察に付いている看護師は又かいなと思っているに違いないが、だいたいその日の患者さんに対する挨拶や話題はワンパターンになる。

 今日は「めっきり涼しくなりましたね」を何回言ったことか。勿論、バリエーションがあり、「昔の人は偉いですね、暑さ寒さも彼岸までですね」。とか「今朝は寒いくらいでしたね」。とか時々変えてはいる。患者さんの反応は概ね、同意や相づちが多いのだが、いつもちょっと違うことを答える臍曲がりが居る。こちらも慣れたもので「そうですかねえ」。と適当に受け流す。

 こうした患者さんはやりにくそうで実はそうではなくて、自分の意見をお持ちなので話が弾むことの方が多い。やりにくいのはちゃんと聞こえているのに碌に返事をしないおっさんだ。高血圧症の横に不機嫌症と病名を付けたくなる。

 本当に涼しくなると身体が楽になる。暑さ寒さは中高年には知らないうちに応えているのだ。患者さんとちょうどいい時期は短いねえと、言い合う。

 写真は「四国の山村と自然を撮る」から拝借したものです。

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異形の人達

2011年09月26日 | 趣味

 

 録画しておいた将棋アマ名人戦を見た。決勝進出者が両者とも奨励会経験者というのはヘボアマとしてはすっきりしないのだが、まあ将棋好きに免じて多めに見ることにしよう。本当はこの辺りの取り決めについては大山康晴先生のご意見を伺いたいところだが、代弁すべき米長会長は代弁しないだろう。難しいところだ。

 いつも思うのは決勝進出者の風貌だ。どう見ても普通の人には見えない。試合前のせいもあるのだろうが、武士しかも浪人のような気配がある。今泉さんの方は背広なのだが、それでも並の眼光ではない。加来さんは夜遅く歩いていれば職質を受けかねない無頼の雰囲気を漂わせている。

 尤も口を開けば、しごくまっとう謙遜な言葉が出てくるのは、盤上に総てがあり理詰勝敗が明白な将棋という競技の性質によるのだろう。

 解説した森内名人の方が大企業や官僚の部長のようで、プロも本当に強くなると常識を身に付けて世を渡る術を心得るのだろうかと面白く感じた。

 しかし、それでも何かに秀でた人は風貌もどこか違う気がする。背広を着てネクタイをしていても、すれ違った時、何者と思わせるものを持っている。

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