駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

目先を変えた値上がり

2015年07月31日 | 世の中

            

 週に一度はファーストフードを口にする。中々連れ合いと意見が合わなくて(彼女は要するにファーストフードが好きではない)希望通りには行かないことも多いのだが、このところ丸亀製麺の新メニューに挑戦している。

 豚マヨも美味しかったが鬼おろし肉ぶっかけも中々いける。チェーン店だからどこも同じ味のはずだが、行きつけの店が一番旨いと思う。ここの親父は新店舗に指導に行くベテランで、どこかが僅かに違う。単に私を憶えていて声を掛けてくれる心理的な効果かも知れない。女房はつゆに指が入っていることがあると嫌っているので、向こうも察して?余計な事は何も言わない。

 ファーストフード店の開発担当者は寝る間も惜しんで新メニューを考えているのだろうと思う。私は丸亀製麺の担当者には合格点を上げたい。吉野家にも新メニューが加わった。麦とろとか野菜丼とかどうも健康志向の世の中を読んだらしい。しかし、吉野家の主客はおっさん連中で、野菜不足だから野菜丼しようとするお客は少なそうだ。あるいは若い女性客を新たに発掘しようという意図があるのかも知れない。

 残念ながらいずれにしても当たり前だが、値上がりしている。確かに新メニューで目先は変わったが、五百円でおつりが来なくなった。これでは多少給料が上がっても庶民の懐は焼け石に水だろう。我々開業医は富裕層に入るらしいが収入は横ばいなのに税金が増え、アベノミクスの恩恵を受けていない。舌に嬉しい新メニューも背景には大きな問題を包含しているようだ。TPPはどうなってどんな影響を国民の生活に与えるだろう。首相がセールストークをするのは止めて欲しい。正直に本当のことを話して戴きたい。まさか法の安定性などたいした問題ではないと同根で庶民の懐具合など大して問題ではないというのではあるまいな。

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お化粧を観察

2015年07月30日 | 人物、女

               

 板塀に反射する蝉の声に方向感覚がおかしくなりそうになりながら駅までの道を歩いてきた。 

 今朝の電車はさほど混んでは居なかったが、座ることはできなかった。斜め前に空いた席があったのだが二十代の女性に先に座わられてしまった。私に席を譲ってもよさそうな元気溌剌な感じの女性だったが、どうもやることがあったようだ。

 膝に置いたバッグから丸い鏡と七つ道具を取り出し、お化粧を始めた。卵形でやや目が小さいが整った顔立ちだ。そういえば眉毛が薄い感じはしたが、お化粧前にしてはつるっとして綺麗な肌をしている。左手の甲に第一クリームを揺りそれを右手に付けて先ず顔全体にのばす。次いで第二クリームを頬を中心に塗る。次いで第三クリームを目の下を中心に塗り最後に目を閉じまぶたにも少し塗る。頬に赤みが差し目の周りがうっすらと青みがかり深みが増した。次いで眉毛を延長する。弓張り月が現れる。最後に目の周りと睫毛に墨を入れる。残念ながら右目が終わったところで降りたのだが、中々の美人に仕上がっていた。

 ジーと見るのは失礼なのでちらちらっと観察したのだが、全く他人の目など気にせず、没頭されていた。知人や友人が居なければよいのだろうか、時々電車内でお化粧される女性が居られる。この女性の場合は化けるという感じはなく、成る程こうすると大人しい感じがちょっとあでやかになるもんだと感心した。

 恐らくプロの化粧品販売員ならこの顔はこうすればこうなるというのが一目で分かるのだろう。私は化粧品の販売経験は無いが、目元が大切次いで口元だろうと思う。尤も若い人にはお化粧は最小限でいいと申し上げたい。

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気持ちは分かるけれども

2015年07月29日 | 医療

                

 今朝は曇天でやや涼しかった。運良く電車では席に座れたので、頭痛の特集を少し読めた。たかが頭痛でも十年で学会の分類が変わる。そんなものかねと直ぐ忘れるのだが取り敢えず頭に入れた。 

 Yさんは73才、まだパートで数時間働いておられる。15年前の交通事故の後遺症で右足の上がりが僅かに制限されているが問題なく歩くことが出来、月に一度、自分でを車を運転して通院されている。

 昨日受診した時に、突然介護保険を申請したので宜しくと言われた。「えっ」と一寸驚いた顔をしたら、介護を受けなくても済むように予防するために要支援になりたい。ついては先生宜しくと頼まれる。何でも先生の意見が一番重要と聞いたと、頼めばなんとかなるような口ぶりに、どうも介護保険を誤解しておられると感じた。「あなた、呆けてもいないし一人で何でも出来るじゃない」。「今はそうだがこれから要介護にならないように支援を受けたいんですよ」。と押し返される。気持ちは分かるしそういう理屈も成り立ちそうだが、介護保険は自立して生活できない人を支援介護するためのもので、現在働けており、自分のことがきちんと自分で出来る人は対象にならないとお話しする。「そうか駄目か」と不服そうだったが、とにかくお願いしますと帰って行かれた。

 どうも要支援という判定を拡大解釈しているらしい。それと誰かに吹き込まれたか自分で閃いたか介護保険料を払っているのだから使わないと損という気持ちもあるようだ。

 欧米の感覚には疎いが、日本では損得に敏感というか損得を基準にして居られる方が結構居られる。それは収入の多寡に関係ないようで、四半世紀前、入ったばかりの医師会の会合で、その頃公表されていた長者番付のベスト二十に入ろうかというI先生がそれでは損だからなと、改定された医療費算定への対応で発言されたのに驚いたのを憶えている。

 偉そうなことを言うつもりはないが、損得感覚が世の中では意外に大きな力を持っており、それには副作用もあるようだ。

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山高きが故に

2015年07月28日 | 政治経済

               

 今日は曇天だが蒸し暑い。本格的な夏が来たのだ。幸い暑くても食欲は衰えず、何でも美味しく戴ける。先日の山小屋カレーは好評だった。いつも違う味だけど美味しいという褒め言葉?を戴いた。家内はあなたがカレー屋をやればメニューは日替わりカレーねという。

 参議院に場所を移して安保法制の審議が始まる。衆議院で116時間審議をしたにも拘わらず、理解が進んでいないと政府与党も認め始めている。指摘したいのは審議が尽くされたかどうかは時間では測れないということ。質問に答えず長々と自分の考えを述べるような答弁ではたとえ二百時間時間審議したところで、時間をやり過ごしただけで二時間の審議と変わらない。正面から質問に答える審議をしていただきたい。与党の質問には答え野党の質問には持論を長々と繰り返しはぐらかして答えないようでは審議とは言えない。質問も同じ轍を踏まないように、演説は質問ではない。

 だいたい六十日ルールを見越して強行採決しておいて、後から説明するというのは順序が逆で冗談が過ぎる。国民を馬鹿にしていると思う。国民を守るためともっともらしく言われるが、一体国民というのは誰のことなのだろうかと疑問が湧いてくる。安倍政権に批判的な者(過半数)も員数に入っているのだろうか。安倍政権では拉致被害者は一人も取り返せていない。言葉だけが空しく響いている。

 六十日は七十五日よりも短い。忘れることなく飽きることなく隠し球を見逃すことのないように実のある審議をお願いしたい。裏付けのない言葉の応酬に終始する空疎な討論はごめん被る。

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「憲法の条件」を読む

2015年07月27日 | 

                       

 本の香りと手触りが好きな自分は電子書籍には無縁と思っていた。ところが先日、これ良いですよと娘婿がkindle paperwhiteを見せてくれ興味を持った。彼は流行を追う男なので、話半分に聞かなければならないのだが、五 日後には私もkindle paperwhiteを手にしていた。

 キンドルが本当に良いか私に役立つかはこれから使ってみてのことで不明だが、既に大きな福音をもたらした。試しにとダウンロードした「憲法を読む」NHK出版新書が私がこうしたことを論じた本はないだろうかと求めていた類い希な本だったからだ。社会学者の大沢真幸さんと憲法学者の木村草太さんの対論で日本の憲法を論じた本なのだが、そうなんだよ良く言ってくれたという勇気ある正鵠を射った発言に肯き、成る程そうかという明晰な説明分析に膝を打った。

 前半に出てくる大沢さんの言葉には自分があれこれ考えてきた社会現象や歴史的意味に明確な表現を与えて貰った気がしてすっきりしたのだが、敗戦を受け入れ兼ねている日本人の精神心理分析や不思議な実態のない国体についての断言にそこまで言って危険が危なくないのだろうかと心配にもなった。尤も、こうした学者の表現には反発は少ないのかも知れない。

 木村草太さんからは法というものの考え方ありかたを教えられた。唯、安倍総理は官僚と公明党の言い回しに乗せられ実のない名だけを手にしているという指摘は学者の見方で政治家の立ち回りに疎いと感じた。それにしても国会でもマスコミでも何と雑な議論が交わされてきたのだろう。やはり、本書は国民必読の書と思う。碌に読みもせず、すかした学者の空論という非難はあるだろうが、そうした皮相の拒絶の意味も解き明かしてある。

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