駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ノーホエアカントリー

2010年11月30日 | 世の中

 第二次世界大戦(大東亜戦争)前夜の昭和十年前後の雰囲気は、生まれる前のことで知る由もないが、今の社会の雰囲気とどかこ似ているのではないかと危惧している。
 勿論、北朝鮮関連の焦臭さから連想してそう言われる方は居るのだけれども、私はそれよりも国内に色濃く漂う閉塞感に、それは国の借金地獄から抜け出せない体質や最低の就職事情などから来ているのだが、視野狭窄の暴走が誘発される危険を感じる。
 大衆は愚にして賢と言うが、どうも賢にして愚に変わってきている恐れがある。国家は実は国民自らが形成しているのに、恰も別仕立てのように無い物ねだりの機運をどことなく感知する。何とかしろではなくて、何とかしなくてはと自ら動こうとする機運が乏しい。悪貨と言えば言い過ぎだが、善良でも少しく視野の狭い人達はネズミ講のような、成立しない甘い話に暴走することがある。暴走を始めると黙々と地道に頑張っている謂わば良貨の人達を跳ね飛ばしてしまうので恐ろしい。
 先の世界大戦の敗戦から学ぶべき事は第一に戦争をしてはならないということだが、それには如何にしてを省いてはならない。賢いと言っても成績の良い優秀な官僚と官僚機構には限界があることを、負けるべくして負けた先の戦争から学ばなくてはと思う。泣く子と地頭に勝てる政治家が今こそ必要なのだ。仮想敵国や一時凌ぎのあめ玉で問題から目を逸らせさせようなどという政治家には要注意だ。恐ろしいのは戦争だけでない、別のカタストロフィも起こり得ることにも気付かなければならない。
 どうしてこんな大問題を書いたかと言うと昨日の深夜、NHKで如何に日本が借金大国になったかを大蔵官僚OBの述懐を交えて放送していたのを偶然見たからだ。それに日頃、子供が親を別居させて生活保護にして、その上で末期診療や癌診療を受けさせているのをつぶさに診ているからだ。医療側が十分な事をしているのに、子供さんの中には不満げな方もおり、口には出さない(出しにくい)のだが医療は有料しかも重症だと高額なのだがと思う事がある。
 あなた任せで保証され、額に汗せず旨い物が食えるノーホエアカントリーに住めるのはノーホエアマンだけだ。

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できないと気付いても

2010年11月29日 | 小験

 面白いと評判の本、あるいは賞を貰った本、さて手に取って読み始めると読めないことが結構ある。面白くないのだ。若い時ならなんとか読めた。試験勉強でなくても、評判の本や著明な本は頑張って読み終えることができた気がする。時間と体力があり、好奇心功名心が強かったせいだろう。何でもやってみようという気持ちに無知と無恥が拍車を駆けていた。 
 今も好奇心はそこそこ残っているから、評価の高い本をネットで取り寄せたり店頭で買ったりする。三分一読了できているかどうか怪しい。三行で放り出す臭い本、三頁で諦める難解本、三分の一で残りが分かり途中下車する水増し本。それは私の個人的な評価で勿論偏向しているのだが、まあ年を取ると自分の基準があるというか硬直したというか、人は人自分は自分となる。
 孔子は四十を不惑と言ったが、個人差はあっても四十ぐらいが新機軸を受けいれる端境期のように思う。還暦を過ぎて始めた何とかは昔取った杵柄が殆どだろう。さもなくば冷や水に終わることが多いと思う。別に新規のことを始めなくてもちょっと囓ったことだけでも数多く奥深く、残っている時間を考えれば手に余る。ひょっとして孔子さんの言ったのはそういう意味かもしれん。 

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信じ難い

2010年11月28日 | 政治経済

 菅首相が鳩山元首相と会談した際、支持率が1%になっても辞めないと言ったとのこと、信じ難い発言だ。どういう意図でそう言ったのか理解できない。辞める辞めないは客観情勢で冷静に判断することで、政治家として一番と言ってよいほど重要な決断だ。1%の支持で首相が務まることはあり得ない。マスコミに誘導される部分があり評価が難しい支持率ではあるが、それでも20%を切れば意味ないと退けることはできない。1%は比喩だと言い訳するのなら、政治家の基本ができていない。まして首相であれば失格だ。自分の発言がどう受け取られるかを推し量らないで、場当たりの反発から物を言うのでは愚かと批判されても仕方がない。愚かだからだ。
 支持率が急速に低下しているので、就任当初の高支持率は小沢氏を悪玉に仕立てた作戦の結果に過ぎなかったと判明した。小沢氏との論戦でも感じたのだが菅さんは首相の器ではなかった。
 国民は政権交代を望んだけれども、この体たらくには呆れているだろう。尤も、形の上では責任は国民にある。実質的にも、マスコミに誘導されたにせよ国民の責任は大きい。疑ったり批判することをまるで悪いことのように言って、批判を逃れようとする勢力があるけれども、本当かどうかを疑って吟味し、おかしいところがあれば批判して是正を求めるのは、より良い道を探す、ほとんど唯一の方法だ。悪口とは違う、自ら考えて物事を吟味するのは明日を切り開く手立て、私ごときに言う資格はないが、願うことは構わないだろう。
 テレビ新聞雑誌に是非インターネット情報を加えて、日本の政治をよく考えよう。

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ニュース拾い読み

2010年11月27日 | 町医者診言

 歌舞伎俳優の海老蔵が殴られて全治2ヶ月と報道されている。詳しいいきさつは分からないが、これは犯罪ではないのか。例によってネットニュースと週刊誌の見出しを見ているだけだが、海老蔵に同情的でなく被害者扱いしていない。暴力を咎める論調も乏しい。目撃者が居ないわけはなく、六本木が無法地帯化しているように読める。
 
 仙谷官房長官、馬淵国土交通大臣の問責決議案が可決された。どうなっているのかと思うが、日本の出来事のように感じられない。管内閣は死に体で形骸化している。死に体になっているとうっちゃりは無効で不可能だ。尤も、端からうっちゃりは無理で腰砕けが関の山か。選手交代と言いたいがベンチに人が居ない。

 渡辺竜王が二連敗で羽生名人に追いつかれた。三局四局共、終盤の入り口で微かに有利になっているのに、戦略がふらついて負けている。これではタイトルを守りきれない、しかも相手がハブ、明危し。

 アジア大会囲碁が男子銅メダルで女子はメダル無しだ。日本の技術と頭脳は大丈夫という楽観論に水が差された感じがする。勝負弱くなっている。頭脳というか知力も実は心に支えられているのが忘れられているのではないか。

 世の中は棒ほど願って針ほど叶う。低俗劣化するマスコミに唯一対抗でき、光をもたらすのは玉石混淆市民のインターネットのような気がする。

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素知らぬ暴力と犯罪

2010年11月26日 | 小験

 診療中に電話が掛かってくる。いくらは減ったのだがマンション株投資の勧誘である。明らかにそれと分かる電話は受付で断って貰っているが、横浜の鈴木さんからお電話と言われればひょっとしてMかと思うので出ると「わたくし**の何とかでございます。先生でいらっしゃいますか」。と投資勧誘の電話である。すぐ「結構です」。と切ることにしているが、診療を途切らせ電話代と勧誘員の給与を支払い、なんという法外なビジネスをしているのだろうかと思う。腹を立てて「馬鹿野郎」。などと切ると後で嫌がらせの電話が掛かってきたりすると聞くので、馬鹿野郎とは言わないがそう言いたいこともある。
 毎日十数通の郵便物が来るが、中にしばしばアンケートや調査票が混じっている。一瞥するだけで殆ど返事をしないのだが、中に役所や医師会関係のものが混じっていてこれには返答せざるを得ない。診療状況の調査や組織の運用への注文を聞いてきたりするのだが、意外に煩雑で手間を取り、私は医者だビリビリブッケンブーと文句を言いたくなる。事務仕事はそれを仕事にされている方にはさほど苦もなく時に楽しい作業で、つい微に入り細に入り凝ってややこしい書類を作り上げて悦に入っておられるかも知れないが、事務に不慣れな者には書類を読み込んで調べて書き込むのは苦痛だ。勿論、中にはH医師のように医師業に負けず事務能力に優れ、眼光紙背に徹し、回答の不備を突いてきた役所を逆にやりこめて、申し訳ありませんでしたと言わせたとほくそ笑む強者もいるのだが、これは例外。
 暴力に見えない暴力、それは時間強奪の勧誘電話とアンケート調査。目に見えにくい犯罪、それは情報漏洩だ。

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