やはり顔に疲れが出ていたのだろう。昨日は数名の患者さんに「先生、大変ね」とか「お大事に」。と言われてしまった。一日の患者数が百名を超えることは年に数回あるが、今の時期には異例のことだ。多少インフルエンザと感冒が流行してはいるが、実はこの忙しさは人為的なものだ。
というのは新型インフルエンザワクチンが10ml容器即ち20人分で届けられたのだ。今まで季節性のワクチンは1ml容器だったから2名ずつ予約を入れていたのだが、10ml容器だと20人を同じ日に集中的に接種しなければならない(開けるとその日の内に使い切らねばならない)。事務が適応患者に電話を掛けまくり20名揃えたは良いが既に予約が入っている季節性インフルエンザワクチン接種予定者をキャンセルするわけには行かず、四十名ほどのワクチン接種者が押し寄せたわけだ。
10ml容器は一度に20名を集めなければならないので、確かに大変だが、数週間前から予め入荷日が分かっていればさほど困らない。明日入荷ですと突然持ち込まれるのだから堪らない。まだかとせっつかれているし、ゆっくりしていては新型の流行が終わってしまう。早く接種してあげようと、せかせかと電話して集めたわけだ。
容器の大小は医療の質には直接関わらないので問題とする報道は少なかったが、配送日時と割当数の秘密主義と相俟って現場が混乱したことを明らかにしておきたい。
さて、優先順位の割り当てが天地神明に誓って公正だったかは、そのつもりですくらいが正直な答えだ。喘息など明らかなものは迷わないのだが、重症度を勘案する場合はちょっと迷った。同じような病態の時は希望が強い患者さんや長く通院している患者さんの方を選んだかもしれない。どこだったかくじ引きという凄い医院もあったようだが、それはちょっとという気がする。責任の取りようもない判断だが、医療行為の主体者として決定作業は放棄しない方針だ。