駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

最高の調味料

2011年11月30日 | 小験

   

 医療は日進月歩なのでさまざまな勉強会や講演会に出席する。この勉強会や講演会は半数以上薬品メーカーが協賛というか実質主導している。講演の後には情報交換会という名の宴会が付き物だ。立食形式が多いのだが十数名の小規模の勉強会では豪華弁当やフルコースが付いている。糖尿病の勉強会などは食事指導の話が出て、ご馳走満腹は御法度と聞いたばかりなのに、ご馳走が出てきて変な感じがする。 ホテルでは粗食を出すことはできないらしく、ご馳走を食べたくない時に出てくるご馳走には閉口する。おまけに講師の話が聞いたことのある自慢話では、申し訳ないが少し残すことになる。

 旨いものはどんなに美味しくても設えと心身の状態が整っていないと、あまり美味しくない。適度な空腹と楽しい会話が、何よりの調味料と言われる由縁だ。

 会食に限らず、楽しみも設えが悪いと厚意が有難迷惑になることもある。内緒の話だが焼き立てのタイ焼き、金つばに特製シュークリームが小母さん患者さん達の差し入れで鉢合わせすると、昼食の後先生もどうぞと言われてちょっとだけ困る。どういうわけか食後ちょっと口淋しい時には何も頂けず、頂く時は重なることが多いのだ。

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心の防波堤は

2011年11月29日 | 世の中

   

  なんだかおかしい。医者の口出しすることではないかもしれんが、生活保護の患者さんが多い。1%を越える。医院のある場所(ウエストエンド)のせいもあるようだが、八十人に一人は多いと感じる。なんでこの人がと思う人が数人に一人居る。「まだ、仕事が見付かんねえー」。とふて腐れた小父さんから小綺麗なお姉さん、そして、あんた子供夫婦が隣に住んでいるじゃないか、どうなっているのかねと聞きたくなってしまうお婆さんまで。

 不運が重なったり、不幸が重なったりで恵まれない人を咎める気持ちは毛頭ないが、どうもそうでもないように見える方も居られるのは確かだ。生活保護の審査はどうなっているのだろう。公正に公平に適応されているのだろうか。・・・がなくても、生活保護があるからという気持ちがどこかにあるとすれば怖い。歯止めが効かなくなって、そのうち患者さんの四十人に一人は生活保護というような事態になれば、公的資金で支えきれなくなると思う。

 弱いものいじめと誤解されては困るけれども、自助自立が動物界の掟、心の錦を静かに後押ししたい。

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両刃の剣

2011年11月28日 | 医療

   

  橋下氏が大阪市長選挙で圧勝した。毀誉褒貶を言い立てられる人ではあるが、氏の考えは本人により巧みに表現されている。その言葉を吟味したい。メディアを介したさまざまな勢力による論評は退けたい。両刃の刃でなければ、切れないものもある。

 今朝は緊急往診でまとまったブログを書く時間がなかった。。

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旨い蕎麦

2011年11月27日 | 旨い物

 四十を過ぎてから、本当に蕎麦が旨いと感じるようになった。子供の頃はなぜこんな物を旨いと大人は言うのだろうと思っていた。

 幸い当地には旨い蕎麦屋が数軒あり、月に二三回食べに行く。蕎麦のレベルは一口食べれば分かるのだが、暖かい蕎麦と冷たい蕎麦では趣向が違う。冷たい蕎麦が旨い店はまず間違いなく温かい蕎麦も旨いのだが、温かい蕎麦が旨くても冷たい蕎麦が旨いとは限らない。

 まあ、蕎麦の旨さはもりやざるで際立つものなのだろうが、寒い時期には温かい蕎麦も捨てがたく美味しいものだ。

 蕎麦の食べ方については落語から吉村昭まで、いろいろ講釈がある。まあ基本的に江戸っ子の喰い物なのでつべこべ言わずあっさり粋にさっと食べるのが良いらしい。弟子がもさもさ噛んでいようものなら、先日亡くなった談志はきっと不味くなるからお前はあっちで食えと言っただろう、否、お前は蕎麦食う資格がないと言うかもしれない。

 私も蕎麦を全部汁に浸すような野暮はしない。まあ半分浸けるくらいが一番旨い。マジで良い蕎麦はこの方が味と香りを楽しむことができる。ただ碌に噛まずに飲み込むまでは行っていない。本当の蕎麦喰いは喉越しが一番と碌に噛まないらしいが、私は二口三口噛むのでまだ修行が足りない。

 外国旅行に行くと懐かしく食べたくなるのが鮨、鰻、蕎麦ということになっている。いろいろ意見はあるだろうが、この三つに優る日本の旨い物はそうはないと思う。どういうわけかこれにも異論はあるだろうが江戸前が一番のようだ。現在の江戸前は旨い物を支える人口の多さから旨い物が切磋琢磨で磨かれるという次第で、江戸の産物から生まれている訳ではないのだが。

 ちょいと脱線したが、蕎麦は清潔で外連味のない店の暖簾をくぐり、お姉さんの「いらっしゃい」。を聞いて、五分と待たせず出てきたのをさっと頂き、蕎麦湯で一息ついて、あいよとお足を払い、「まいどありい」。を背に出てくるのがよろしい。

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不思議な明るさLED

2011年11月26日 | 小験

    

 LED電球を初めて買った、正確に言えば買っていた。というのは白熱電球(ミニクリプトン)を買いにN電気に行ったところ普通の白熱電球よりもLEDの売り場の方が広く、売り子の説明で単価は高いけれども、長寿命低電力消費で実質廉価とわかり、それでは試しにと買っていた。

 一番の魅力は長寿命(数十倍)なことで、設計施工を別にしたせいか、こじゃれた電灯配置でミニ電球が数多い我が家は、数か月に一度ではあるが切れた電球を交換するのに手間取っていたからだ(梯子を使わないと交換できない場所が多い)。

 早速階段の踊り場の電灯に取り付けたのだが、何とも不思議な光だ。後から調べたのではLEDにもいろいろな光があるらしいのだが、購入してきたのは蛍光灯に似た白いのっぺりした光で、光が照るというより光が塗られている感じがする。十分明るいので、明るさではノープロブレムなのだが、ちょいと宇宙的な違和感を微かに覚える。蛍光灯が出た当初のようななんとなく安っぽい感じはないのだが、きめ細かく静寂で冷たい白い光には見慣れぬ異邦人の横顔がある。勿論、そのうち慣れると思う。

                                                                  Photo. R.Ogawa

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