駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ぶり返すインフルエンザ

2018年01月31日 | 診療

 

 一時収束するかに見えたインフルエンザの流行がこの十日余りの寒さのせいか、またぶり返して遷延している。なぜか非典型例も多く、微熱でもインフルエンザキットが陽性と出ることが結構ある。この一週間くらいは風邪の患者さんに軒並み検査してしまっている。検査前に正直に私の予想を告げているのだが、結構外れてしまう。陰性の場合、完全に外れとまでは言えないので(キット検査陰性でも本当はインフルエンザのことが10%くらいある)、もし高熱が一両日で下がらなければもう一度受診するようにご注意申し上げているのだが、患者さんの検査信頼度は高く、キットを見つめて判定に納得される。

 果たして検査キットのなかった時代はどうだったのだろうと考える。優れたキットの出始めた十年前と比べてこの二三年軽症でもインフルエンザだったという症例が増えていると思う。四、五十年前は軽症のインフルエンザは少なく臨床的にかなりの確率で診断できていたのかなあと思うが、データがないのではっきりとは分からない。

 インフルエンザに罹患した患者さんには五日間仕事を休むように診断書を書いているのだが、これによるマイナスの経済効果はどれくらいのものだろう。暮れに丸の内を歩いて来年はなんとなく少しは良い年になるのかなと感じたのだが、どうもこの滑り出しでは予想は外れるのかもしれない。尤もインフルエンザ診断キットを販売している会社は飛ぶように売れて潤っているだろう。

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忖度はともかく阿りは問題

2018年01月30日 | 世の中

 官僚は有能で概ね公平公正に仕事をしているけれども、と書かねばならない問題点というか欠陥を持っている。これには構造的な要素もあり、その発生には根深い歴史的な経緯もあるようだ。

 そうして考えると佐川長官というのはどうも典型的な官僚の欠陥を持った人のように見える。忖度が一時随分話題になったが、忖度の是非は簡単に下せるものではなく、いつまで議論しても結論は出ないが、阿(おもね)るとなると問題がありこの人はそれをしたのではないかと推測される。

 私はそうした調査や研究をしたことはなく、新聞テレビネット読書を通じて一般的な情報を得ているだけだが、ほとんどの国民はそれ以上の情報を得ようがなく、自らの人生経験からの類推となる。

 個人の責任を逃れることができる途があると権力に阿る官職は後を絶たづ、権力に抗するジャーナリズムがなければ、責任を逃れ言葉でまやかし口を拭う官職が栄達を得てしまう。口では何とでも言える。答えにならない答えでやり過ごそうとする公的な立場にある人物を見逃すと社会が劣化すると思う。

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さよなら イエレン ご苦労様

2018年01月29日 | 政治経済

 FRB議長のイエレンさんが2月3日で任期満了となる。トランプがイエレンさんを高く評価しながら、オバマの任命だからと再任拒否したためだが、イエレンさん未練もなくさばさばとした離任の言葉を残している。イエレンさんは派手な動きをせず、一挙手一投足が注目されるようなことは少なかったが、金融危機からの回復局面でも緩やかな引き締めにとどめ、米景気を持ち上げ、量的緩和を完全終結に導くなど「金融政策の正常化」が功績となった。米国経済界での評価は前職のバーナンキ氏よりも高いようだ。

 同い年で微かな縁もあり、何となく親しみを覚えていた。アメリカを支えたまともな人が又一人去る。

  写真ネットから借用

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小沢 山口 舛添 トリオ

2018年01月28日 | 人物、男

 

 小沢一郎 山口那津男 舛添要一 不思議な組み合わせと思われるだろうか。山口那津男さんはともかく小沢さんと桝添さんは一部否かなりのマスコミから蛇蝎のごとく嫌われているようだが、私はこの三人の言われることが至極まともに聞こえる。小沢さんは訥弁、山口さんは能弁、桝添さんは駄弁の違いはあるが、筋が通ったまともな内容の話をされる。

 マスコミは山口さんはともかく小沢一郎氏や桝添要一氏の発言をもう少しまともに取り合って頂きたい。質問にまともに答えず、上っ面の言葉だけ丁寧にしてまやかす首相よりも、余程実のあることをこの三人は話されている。人間に間違いや欠点は付きもので、それで全否定は不毛の反応だと思う。

 人間には相性や肌触りがあるから異論もあると思うが、誰の発言かを伏せて内容を吟味してみるのも一興、新たな発見があるだろう。

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目から鱗、日本の通史を読む

2018年01月27日 | 

 「明治維新で変わらなかった日本の核心」猪瀬直樹/磯田道史・PHP新書を読んで、目から鱗が落ちた。いい年をしてしばしばよく目から鱗が落ちる。それだけ知識が足りないということなのだが、実は潜在的に考えていた感じていたということでもあると思う。というのは全く基盤がなければ、成る程と合点がいかないからだ。どこかで何だか変だとかそういうことも有るかもしれないと自覚しないで考えていたから目から鱗と理解できた?。

 いづれにしてもこの本を読んで日本が今なぜこうなっているのかということが、歴史という深みを通して理解できた気がする。それにしても、昭和史の知識不足は勿論、鎌倉室町戦国江戸という時代も通り一遍のステレオタイプの見方で、理解していたものだと思う。磯田さんが通史の重要さを強調されているのを重く受け止めた。

 猪瀬直樹さんは外見とものの言い方で、マスコミ的には軽い人物と受け止められがちで同情するが、中々の知識人で深く考えておられる。磯田さんはテレビで拝見したことがあるが、今が旬の該博な知識と分かりやすいプレゼンテーションで歴史を語れる人のようである。

 この本の内容は十分濃いが、対談で史実としては切り取りのところがあり、更に学ぶきっかけとすべきものだろう。全くの門外漢ではあるが網野善彦さんのお仕事など不十分に扱われているのではないかとも思った。

 人間の理解には歴史の知識と考察が欠かせないのに、欠けている人物が政治家をやっているのに驚いてしまう。磯田さんの終わりの言葉は意味深長である。

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