駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

何処吹く風に揺らぐ

2014年07月31日 | 世の中

                  

 医者という職業は教師と同じように**先生と呼ばれる。この先生は便利な言葉らしく、色々な職種や立場の人も先生と呼ばれるようで、街中で石を投げれば先生に当たると揶揄される。

 医者は古くから先生と呼ばれつけている職種なので、抵抗もなく先生と呼ばれて「はい」と返事をしているが、ある日突然患者さんに、**さん場合によっては**と呼び捨てにされるようになったら、驚きとても嫌な感じがすると思う。犯罪は犯していないが、何十年前には未熟と過信からいくつか小失敗をしているから、誰かが私を陥れようと昔のドジをほじくり出したのかなと身に覚えのない突然の呼称の変化に戸惑い不安になるだろう。

 周永康氏、今回報道されるまで知らなかった人物だが、突然同士だかの敬称がなくなり、呼び捨て(中国で何というのか知らない)にされるようになったと報道されている。失脚、場合により逮捕の前触れらしい。何と嫌な事をするのだろう。権力争いというか権力固めの方策の一端らしい。国家主席としては不正や悪を罰するのは当然、権力から7番目とか8番目も例外ではないということだろう。背後の詳細ははっきりしないが、起きていることは単純露骨で、**団と変わらない。

 行ったこともないのに弁護するわけではないが、友人や出張経験のある患者さんの話では、民衆一人一人は特別異常あるいは敵対するわけではなく、多少違いは感じられても庶民そのもののようだ。これが組織の幹部になるとだんだん奇妙になるらしい。民衆にとってはどこ吹く風の政府の動きだが、そこは権力の恐ろしさでいつの間にか揺らいでいるのだろう。

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フィンランドのテント市

2014年07月30日 | 

               

 多少風があり僅かに涼しいといっても朝から暑く、駅に着く頃には汗ばんでしまう。気のせいか耳が遠くなったのか、例年より蝉の声がやや小さい。耳をつんざくほどの音量ではない。

 こちらは目が悪くなったせいではないと思うが、女性の肌の露出もやや控えめな感じがする。なにか相関があるのだろうか、あるいは気象庁が冷夏予想を翻したとはいえ多少は暑さが和らいでいるのだろうか?。尤も、半世紀前の夏の記憶がある者には、猛暑には変わりはないのだが。

 フィンランドがどの程度移民や外国人の出稼ぎを認めているか知らないが、パラパラと東洋系の人を見かけた。ヘルシンキの町中にはテントの市が立ち、アクセサリー、土産物屋に軽食の店が何十もひしめいていた。その中に東南アジア系の顔も見られ、焼きそばや焼き飯が売られていた。

 ヘルシンキから七、八十キロ内陸の小さな街でも、中華料理屋はあり、公園でブルーベリーを売っている東南アジアの顔もあった。中華料理の店では女店主?に特別にこやかな笑顔で迎えられ中国語でたぶん「いらっしゃいませ、どちらからですか」と話かけられたと思うのだが、ちんぷんかんぷんで「ジャパニーズ」と言うとなんだ日本人かと笑顔が消え奥に引っ込んでしまった。手の平を返すような豹変ぶりで、まさかこんなところまで日中関係の悪化が伝染しているわけでもなかろうにと妙な気がした。ブルーベリー売りの女の子は買わない旅行者と分かっているだろうに手振りでいかがですかと人なつっこい笑顔を見せていた。椎名誠風に「うーむ、東南アジアの女の子はいいな」と唸りたいところだ。

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トンデモ医者?

2014年07月29日 | 診療

                       

 一方の話だけを聞いて沙汰をすな、と篤姫が注意していたから、女医さんにも言い分はあるだろうが、Mさんは憤慨して訴えたことだ。

 X総合病院の皮膚科の女の医者は何だ。診察中一言も喋らなかった。じろっと病変を見て、表面からサンプルを取って顕微鏡で見ること一分、ちょちょっとカルテを書いて二分、この間質問も説明もなく、一言もしゃべることなく診察はお終い。受付で処方箋を貰い薬局に行ったら「水虫ですか?」と聞かれた。驚いて「えっ」と言ったら黙まってしまい、塗り薬を二本呉れた。説明書を読むと皮膚真菌症らしいのだが、こんな少しではすぐなくなってしまう。「先生、別の皮膚科を紹介して下さいよ」と憤然としている。

 あり得ることだ。尊大な感じの爺さんの見たくもないただれた皮膚を見せられ、なんだこの女の医者はとじろじろ見られて、何も言いたくなかったのかも知れない。それでも八割方、Mさんの憤慨は理解出来る。どうしてそんな診察がまかり通るのだろう。

 本人にそれでは不十分という自覚がない、そして誰も注意できない存在なんだろう。彼女の言い分を聞かずに断罪は申し訳ないが独善不遜は臨床医には不向きと申し上げたい。

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暑さに参る

2014年07月28日 | 自然

                

  診察には時候の挨拶がつきもので、このところ「暑いですねえ」の一点張りだ。当然ながら返ってくる返事も「本当に、暑いですねえ」など同意が殆どだ。しかし、これだけ暑くても百人に一人くらい「足が冷える」とか「暑いのは平気です」という外れた返事を返して来られる方が居られる。

 寒い時も同様で「寒いのは平気だ」とか「顔が火照る」などという方が、希に居られる。僅かだが男の方が寒さに強く女の方が暑さに強い感じがするが微差で、暑さも寒さも大変という方が殆どだ。

 私は暑さ寒さに比較的耐えられる方だと思うが、どちらも長く続くと耐え難くなる。だから9月の暑さ3月の寒さは苦手で辟易してくる。あまり我慢強くないということかもしれない。

 ヨーロッパや北海道は暖かい時期しか知らないので、北緯60度のフィンランドさえ住みやすそうだななどと思ってしまうのだが、冬を経験すれば又意見が違ってくるだろう。

 まあしかし、北海道は例外かも知れないが、日本は亜熱帯と揶揄されても今の時期だととても反論する気になれない。「そうなんですよ」と同意したい。それにしても暑さ自慢というのはどんなものか、四万十に奪われた日本一を奪回しようと熊谷多治見が虎視眈々と、寒暖計を睨んでいるようだ。しょうもない自慢すなと申し上げたいが、毒食わば皿までか。

 これはヘルシンキの公園の有料トイレ。家を出るとき小銭を忘れないこと。

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鰻丼の危機

2014年07月27日 | 旨い物

                       

 土用の鰻の日が来る。久し振りに鰻丼を食べたいと思っている。私は岐阜出身なのでウナギは蒸さないでこんがりしっとり焼いて皮がパリッと歯ごたえのある蒲焼きが好きだ。幸い当地にも二十年ほど前に名古屋で修行した蒸さない鰻の蒲焼き店ができ、年に数回食べに行くのだが、懐かしい歯ごたえのある最高に旨い鰻丼が食べられる。知人友人に勧めていたら、関東式を食べなれた人にも皮がパリッとした蒲焼きは美味しいらしく、最近は大繁盛のようだ。とは言っても、お値段が二十年で倍になってしまった!。

 実は鰻の養殖といってもこれは、鰻の子供のシラスウナギを捕まえて短期間に大きく育てているだけで、卵から育てているわけではない。このシラスウナギの捕獲量は三十年前から減り続けていた。そしてついに黒船がやってきた。日本鰻が絶滅危惧種に指定されたのだ。さきほどテレビで世界の絶滅危惧種指定委員会から調査員が派遣されてきた様子を放映していた。

 鰻の養殖業者は天然ウナギの漁師のせいだ、天然ウナギの漁師は養殖業者のせいだと言い合っている。調査員はお互いに責任を擦り付け合っていても何の解決にもならないと、両者に鰻流通業界鰻料理業界などを加えた会議を企画したようだ。シラスウナギの漁獲高が減り続けていたのが放置されていた背景には鰻業界の閉じた体質があると解説されていた。こうした会議が突破口となり、鰻丼消滅を防いで欲しいと強く希望する。鰻を保護するには河川環境の回復が不可欠のようだ。鰻丼を守ることが、人間の生活の見直しそしてひいては人類の保護に繋がるとしたら、鰻の蒲焼き考案者に表彰状を送らねばなるまい。

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