ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

娘よ

2009年09月09日 | ノンジャンル
大会を前に休みもなく部活で毎日、猛練習を続ける娘。
先日の予選を突破した快挙に学校も盛り上がっているようだ。

「じゃあ父ちゃん、行って来ます!」 
『おう、気をつけろ!』と日曜日の朝に送り出して、
ものの10分後に、車にはねられたと電話が入った。

駅前の横断歩道で、自転車に乗った娘を前方不注意の車が
はねたらしい。
相手が警察に連絡し、救急車も呼んだとのことで、
搬送先の病院がわかった時点で再度連絡を
もらうことにする。

頭は打っていないようだし、話もきちんとできているから
大したことはないだろうとは思いながら、
イライラと連絡を待つ。
とりあえず必要と思われるものを準備している間に
連絡が入り、車を出したが、ついつい焦っている
自分に気づく。
自分まで事故を起こしては何にもならないと、
気持ちを静めて、病院へ。

骨や神経、靭帯などに問題はなく、打ち身と打撲で
あろうとの診断。
本人も至って元気なので一安心であった。
その後、聴取のため警察へ。

相手は自動車のディーラーの営業マン。
身元もしっかりしていて、子供も二人いるとのこと。
日曜日だけに、無免許だとか、無保険だとかいった
ふざけた相手の可能性もあった。
もしそうだったら殴り飛ばしていたかもしれない。

ここで私の連絡を受けたカミサンがパート先から
駆けつけた。
「あんた、あんなとこで飛ばしたらあかんやん!」
「娘になんかあったらどないしてくれんの!」
びっくりしたのと、心配で矢も楯もたまらず
駆けつけたのと、娘の元気な顔を見てホッとしたのが
ごちゃまぜになって、相手を見たとたん、
爆発したのだろう。
相手はひたすら平身低頭で謝罪を繰り返していた。

大会のことしか頭にない娘は、少しでも早く練習に
復帰したいと先生に訴えたが、安静が最も早い回復だと
諭され、しばらく休養することになった。
とはいえ、痛みがましになってきたからと、もう2日後には
慣らしメニューで練習を始めている。
トレーニングウエアを着ていると、男の子に間違われる
くらい体格はしっかりしているので、それが幸いした。
事故の時も本人はそのまま練習へ行くつもりだったらしい。

それにしても事故というのは、加害者、被害者共に損失のみ
あってつまらないものである。
起こしてしまってからいくら後悔しても仕方がない。
起こさないことを大前提に、起こさないための自覚と意識を
常に新たにしておかねばならない。

まるで断酒そのものではないか。
ただ、断酒ということについて言えば、加害者も被害者も
あり得ないし、あえて言えば自身が加害者であり、同時に
被害者ともなる。

つまり飲むことで損ねるものは自分自身であり、その回復の
ために補償するのも自分である。
損ねたことにより、苦しむのも自分であり、回復の過程に
おいてその苦しみは続く。これほどバカバカしい事はない。

少し話が横にそれた。

自宅にまで手土産を持って、詫びの挨拶に改めて来た相手の
平謝りの姿を見て、「なんか、かわいそう。」とつぶやく娘に、
何よりも素直に成長してきた姿を垣間見て、本当に嬉しい
思いをしたのである。
もちろん、大した怪我もなく、無事であったことには
もとより感謝し、後になって震えるほどホッとしたのでは
あったが、その上での娘の言葉に、何とも言えない感動を
覚えたのである。

いい女になったものだと、感慨もひとしおである。