ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

積算ミス

2012年11月06日 | 入札・談合
岩手県は10月19日、東日本大震災で被災した橋の復旧工事で、材料単価を間違える積算ミスがあり、契約額が約370万円過大になったと発表した。工事は6月に完了し、工事費の支払いも済んでいる。すべて国費で賄われる工事だが、過大な支払い分については県が負担する方針だ。

そもそもミスが発覚したのは、
1月初旬、落札できなかった入札参加者のうちの1社(A社)が、当初の契約設計書の情報開示を県に請求。既に工事が始まった2月中旬に、A社による指摘で積算ミスが発覚した。県の担当者が確認したところ、アスファルト舗装工での上層路盤材の材料単価が、1m3当たり2750円とすべきところを、10倍の同2万7500円としていた。

原因は職員の積算システムへの入力ミス。入力の手順を間違って、通常は自動入力されるはずの材料単価の項目が、手入力に変わった。その際に、単価を1桁誤って入力。さらに、積算結果をチェックした上司は、自動入力の項目にミスがあるとは思わず、誤りを見落としてしまった。

 岩手県では、工事入札の予定価格(=設計価格)を公告時に公表(事前公表)している。正しい積算に基づく「本来の予定価格」より2割以上高かったにもかかわらず、公告時に過大積算を疑う問い合わせはなかったという。

「県側のミスなので、受注者に非はない」として、県は過大と算定した約370万円の回収を断念した。ただし、この工事は国庫補助や国からの交付税で実施しているので、過大となった額は県の予算で補填する予定だ。

再発防止として、(1)複数の職員で多重チェックする、(2)職場内での連携を密にする、(3)各種会議や研修の場で注意喚起する――といったことで徹底を図る。さらに、間違えやすいポイントの情報を水平展開するとともに、積算ミスが生じた場合でも組織全体で的確に対応できる処理方法を明確化する。
(以上、日経コンストラクションから)
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この記事を読んで、私は22年3月議会でのやり取りを(怒りを込めて)思い出した。

平成22年 3月 定例会(第1回)-03月19日-06号議事録から

ひろせ:当然これだけの大きな工事(堀江中学校大規模修繕工事を指しています。)ですと、事前に質疑というものが入札に参加する業者さんにはできることになっております。この案件について質疑は何社から出てきましたか。そして、質疑の件数。合計で質疑件数は何件ありましたか。

財務部次長(新宅秀樹君)これが何社から何件来たかといった点も、今、ちょっと数えますので後ほどお答えさせていただきたいと思います。

ひろせ:疑義ですね。疑義は何社からというのは、これは今、お調べいただいているから、それはそれで後で結構なんですけれども、何件出ましたかとい うことを私、聞きたいんですね。私のほうで調べましたらば、114件出ていますよね。すごい数ですよね。私が聞いたのは、何社から出たんですかと聞いたん ですよ。「何件」はこちらで調べているからわかるんですけれども、「何社から出ましたか」ということのお答えはいただかないと、ちょっと納得しませんけれ ども、114件、これは調べてすぐわかったんですけれども。
 ここで非常に私は問題を感じたんですけれども、
・例えば、図面に書いてあることと設計書に書いてあることに違いがあるから、この114件、出てきたわけですよね。こういうことってあるんでしょうか。

・例えばの話ですよ、図面上では地盤改良 材が消石灰系でやると書いてあるんですけれども、内訳書はセメント系だと。それで質問が出てくるわけですよ、どっちでやるんですかと。何でこういうものは 統一できないのか。この114件というのは、みんなこういうたぐいの疑義ですよね。今まで100件以上も1つの契約で、案件で、疑義が出た事例ってあるん でしょうか。

・あるいは図面上は防音の合わせガラスですか、それで窓をつくりなさいというふうに書いてあったようなんですけれども、内訳書には書いていない。だから疑義が出て、疑問が出て「防音ガラスでやるんですか」と言ったら「はい、そうです」と
 ということは、この設計書、先ほどお名前を読み上げていらっしゃいましたけれども、そこの会社が設計書をつくったとおっしゃいましたよね。設計書と図面作成者というのは同じですか。本当に設計書はINA新建築研究所というところがつくったんですか、間違いなく。設計書というのは普通は市側がつくるのではないんですかね。先ほどのご答弁、それ、もう一度確認させていただきたいんですけ れども、この会社がつくったというのであれば、ある意味では仕事をきちっとされていない。図面と違う設計書をつくっていたということがはっきりしているわ けですけれども、どういうことなんでしょうか。設計屋さんにきちっとお金を払っておきながら実態が余りにも違うから114も質問が出てきた
 さらにその質問の一つの事例を言わせていただきますと、市が示したのは、耐火塗装 に関してですよ、「NB2のコ-200×80では1時間の耐火の認定が受けられないですよ」という指摘が出てきているんですよ。それで、これは疑義を出し た方が「200×100に変更と考えてよろしいでしょうか」と。むしろ入札に参加する人が、1時間の耐火の認定を受けるにはこっちにしなくてはだめではな いですかと提案してきて、市の答えが「よろしいです、それにしてください」と。こんなことってあるんですか。
 そういう意味で、設計上のこれはミスというか、問題を私は非常に感じます。
 あともう一つ、疑義114の中のナンバー102では、参考内訳書ナンバー19でガ ルバリウム鋼板t=0.8となっているが、これは製品がないと。要するに、商品がない。「ガルバリウム鋼板t=0.5でよろしいでしょうか」と疑義を出し ているんですね。そうしたら市側の回答が「それでよろしいです」と。ということは、設計書を市側がつくっていたもの、設計書というのは、それをもとに予定価格とか予算を組んでいたはずなんですよ。それが大幅に狂うような、結局この疑義の中から狂わざるを得ない、あるいは撤回せざるを得ない、変更せざるを得 ないという事態がはっきりとくっきりと出てきたんですけれども、どういうことなんでしょうか

 そしてもう一つ、鉄骨面耐火塗料の問題で「10時間耐火と書かれているが、図面 上、A-015では1時間耐火となっています。どちらが正しいんですか」といったら「1時間耐火です」と市が答えているというね、10時間耐火と書いてあ る部分も、そういうものもあるけれども、でも、ほかの図面では、図面上は1時間耐火になっていますよと。どっちが本当なのかと聞いたら市は1時間でいいと いう、そういうのがざあっと114ですか、出ているわけですよ。そういう意味で私は、これは当然反対討論しますけれども、設計書、見積書あるいは予定価格、全部やり直すべき事案ではないかなと。余りにも設計がいい加減であったと

 あるいは今、問題になっています化学物質の問題で、化学物質の濃度測定、当然引渡 し前に業者さんはされますよね。何種類の濃度を測定し、報告する必要があるんですかと。5種類なのか6種類なのか。それも「「5品目の濃度を測定し、報告」とありますが、内訳書は6品目と書いてある。どちらなんでしょうか」お答えは「6品目である」というね、もうめちゃくちゃではないですか、これは。こ んなもので設計書をつくって、要するに予算をつくって予定価格をつくって入札をするなんていうのは、私たち議会としても非常にこれは大きな問題として受け とめて、今、ここで流してしまうと学校が困るんだけれども、それ以前の問題であると思いますけれども、ご答弁をお願いいたします。

財務部次長(新宅秀樹君):先ほど、この設計の中で、製品がないものを指定してあったり等々の指摘がございました。
 最終的には、設計書を作成するに当たって、財務部の営繕課がこの仕様等の中身の チェックをすべてかけます。その関係で、今回、チェック漏れがあったということで、この点につきましては、今後こういうことのないように十分チェックをし ていきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、設計金額に影響を与えるものではないというふうに認識をしておりまので、今回、この設計関係に何か瑕疵があるとか、そういうことではないというふうに認識しております。
 以上です。

ひろせ:3回目、最後の質疑を行います。
 今、設計金額に影響を与えるものではないとおっしゃいましたけれども、では、もう一つ事例を出します。
 「内訳書に床下点検口が明記されておりませんが、図面A-017では計32カ所の 点検口が明記されております。どうすればいいんでしょうか」といったら「計32個設置すること」と書いてありますよ。要するに、内訳書、市が設計していく 一番大事なものですよ。そこでは32個の点検口は必要ないというふうになって、当然その分、安く見積もっていくと思うんですよ。ところが実際は、工事では やってくれと。そんなことってあるんですか。全部これ、私は、今のご答弁というのは全く納得できない。
 では幾ら、本来の図面の金額とそちら側がつくっている内訳書、見積書とでは幾らの 誤差が出ているんですか。当然それくらいは、これだけの、114件の質疑が出ている以上、計算されていると思いますので、その数字、まず、出したのか出し ていないのか。出していないならその理由、出したのであれば金額を、その差額を教えてください

しつこく言いますけれども、先ほど影響を与えるものではないとおっしゃいましたけれども、その根拠。数字をお示しください。数字でもってお答えをいただかない限り、私たち私か。私は納得できません。影響は、それ は十万二十万、あるいは50万円ぐらいの誤差であればどこかで吸収できるかなと思いますけれども、この質疑・回答書を一つ一つチェックしていくと、かなり の誤差になるのではないかと思われます。でも、影響を与えるものではないと言う以上、誤差の数字をもってお示しください。

財務部次長(新宅秀樹君):これらの差異を認識し、十分納得をされた上で応札に臨まれているわけでして、金額には影響がないということでございます。

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議場でここまで市の対応のまずさを指摘しましたが、結局、この事案に反対したのは私一人でした。
以下の反対討論を行い、議場で一人反対しました。

議案第34号 契約の締結について(堀江中学校校舎大規模改修建築工事(第Ⅲ期))の反対討論を行います。
 この今回、私たちに配られました入札経過書、予定価格は2億6,616万8,000円に対して、87.7%の落札率である2億3,355万8,456円で10社がきれいに横並びに並びました。この光景を異様に思わない人はいないと思います。堀江中学校校舎大規模改修建築工事(第Ⅱ期)も平成21年5月18日、入札がありましたが、ほぼ同じ現象が起きております。9社のうち7社が最低制限価格で横並びになり、応札し、くじ引きで落札者が決まるに至りました。このような事例は、浦安市にはたくさんあります。最低制限価格制度を導入する以上、この奇異な現象は、私は避けられないと思います。
 我が市がこの制度を大々的に導入するようになったのは、昨年春からでした。1度低入札価格調査制度で入札を公告したのに、突然入札中止宣言し、最低制限価格制度で行うのだと仕切り直しをした事例があります。私は、それをこの議場で大変批判したのを覚えております。唐突な入札中止、そして最低制限価格制度の導入の宣言をしましたが、その理由は、低入札価格調査制度によると価格のたたき合いが生じるためだとおっしゃいました。確かに、たたき合いが生じると思います。そして粗雑工事、また、今、はやりの言葉の官製ワーキングプアの排出に公が手を貸すことになる危険性はあります。
 では、最低制限価格制度を導入した場合、この粗雑工事やワーキングプアを防ぐことができるのでしょうか。全くその保証はありません。先ほどの市側の答弁でもそれは証明されました。
 粗雑工事の防止は、工事検査員の質の向上と増員です。抜き打ち検査などをすることです。ワーキングプアは、公契約条例をつくることであり、あるいは先ほどご紹介しましたように、国分寺市が行っているような仕組みを入れれば幾らでもチェックできます。価格のたたき合いを防止するためという最低制限価格の導入は、一見聞こえがいい言葉ですが、これは高値安定で企業を設けさせるだけのものだと私は解釈しております。
 先ほど114の質疑・回答書の幾つかを披露しましたが、これはもっと見ると、他にもたくさんおかしな箇所があります。ですから私は心配しているのです。市の設計書と図面との照らし合わせを、本来であれば第三者機関の専門家に再度やってもらい、設計金額を仕切り直し、つくり直しをすべきではないでしょうか。これは予算に関係してくるからです。
 先ほど市の答弁では、影響はないとおっしゃいましたけれども、では、その具体的な数字を示してほしいと言ったら全く数字は出てきませんでした。数字の根拠がなく「影響がない」と言い切れるこの体質、私は批判をしたいと思います。
 次に、私は、そもそも浦安市が最低制限価格制度の導入をしたことに反対する立場でこの問題を取り上げております。なぜ反対するのか、そして、それを乗り越える方策はどういうものなのか。
 横須賀市の入札監視委員会の意見書が、すべてこの問題を解決してくれていると思いますので、今この場で、少しですけれども、読み上げさせていただきたいと思います。そして、願わくば浦安市の入札監視委員会もこのような意見書に到達することを切に願っているものです。
 横須賀市の入札制度運用に関する入札監視委員会の意見書。04年2月、出ました。
 「入札は、そもそも市場による価格形成を図るための手段であり、官製価格からの脱却が求められるものである。官製価格である予定価格を基準として最低制限価格を設けることは、上限額、下限額ともに官製価格で決めることになり、入札本来の趣旨から考えると疑問が残る方法である。一方、平均額型最低制限価格、これは横須賀市が導入しております、は、実際に事業者が見積もった額の平均額(相場となる市場価格)を基準とする点で、入札本来の趣旨と合致するものである。また、横須賀市の入札制度運用について、一部の業界等からくじ引きで落札者が決まっている、まさに浦安の事例です。あるいは85%の差し値入札だといった批判があるが、それらの批判に対しても対応できる方法である。よって、従来の予定価格を基準として、その何%の価格を最低制限価格とする方法から、実際に入札された価格の平均額を基準として最低制限価格を求める方法に転換することが望ましい」。
 私は、一日も早く浦安がこの制度に乗りかえることを願ってやみません。
 以上をもって反対討論といたします。

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