三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

ワンデーポート編『ギャンブル依存との向きあい方』1

2013年04月27日 | 

アルコールや薬物などをコントロールできず、身体をこわし、借金を作り、生活が破壊するのは依存症という病気であり、本人が依存症であることを認めて自助グループのミーティングに参加することで回復する、と私は思っていた。
ところが、中村努・高澤和彦・稲村厚『ギャンブル依存との向きあい方』を読むと、そんな単純な話ではないらしい。

本のカバーには「ギャンブルの問題を「ギャンブル依存症」と一律にとらえるのはやめませんか? ギャンブルの問題を抱えている人の数だけ、さまざまな背景があります。その背景を明確にして、一人ひとりにあった支援を組み立てる必要があります」とある。

『ギャンブル依存との向きあい方』の著者の一人である中村努氏は、自身がギャンブルにはまり、依存症の回復支援施設によって回復し、ギャンブル依存からの回復支援を目的としたワンデーポートを立ち上げた。

ところが、ミーティングでは回復しない人がいる。
「利用者の中には、グループセラピーやミーティングに参加すればするほどに状態が悪くなっていく人がいることに気づきました。再びギャンブルをやってしまう人もいました。その人たちの支援をしていく過程で、あえてミーティングへの参加を控えてもらってみたところ、ギャンブルが止まり、安定する人がいました。金銭管理など生活面での個々の課題に取り組んでもらったところ、仕事に就くことができる人もいることがわかりました」

今まではすべてを「依存症」ととらえてしまい、マニュアルどおりの対応をし、画一的に「依存症」アプローチを提供している。
しかし、一人ひとり能力や特性などに違いがあるし、もともと生活を営む力に問題がある人もいる。
すべてを「依存症」という単一の考え方だけでくくれる問題ではない。
だから、対応策も一律にすべきではなく、その人に合った対応をしなければならない。

そこで、ワンデーポートでは「ギャンブル依存症」ということばを使わず、「ギャンブルの問題」ということばを使うよう提唱しているという。
「ギャンブルの問題をもつ人のなかで、依存症として問題解決が図れる人はごくひと握りで、具体的な環境調整や生活支援によってアプローチしないと問題解決につながらない人がたくさんいることが見逃されているのです」
その人の生活全体に個別にアプローチすることで、問題を解決しようとするのがワンデーポートなんだそうだ。

「今では、依存症というくくりだけでとらえていては、支援が立ちいかない、思うような回復が期待できない人たちがいると考えるようになりました。すべてを依存症でくくることによって、かえって回復が遅れてしまう人がいるのではないか、だから一人ひとりの状態をよく見て、支援を組み立てていく必要があるのではないか、という考え方に変わっていきました」

ギャンブルに問題がある人にはいろんなタイプがある。
・依存症タイプ ギャンブルをやる前に自立した社会生活を送っていて、発達障害の特性がないか、あっても薄い人。
・発達障害タイプ ギャンブルを経験する前から、自立や社会生活に問題を抱えている。
・キャパシティが小さいタイプ 仕事上や家庭内の役割を自分の処理能力以上に背負い込んでしまうと、身動きがとれなくなり、ギャンブルに逃避するタイプ。
・若年タイプ 10歳代から20歳代前半でギャンブルをはじめ、破綻が早いタイプ。その中で、発達障害の特性がないか薄い人。
・心の病をもっているタイプ 統合失調症や躁うつ病などの精神疾患があり、安定した生活や就労の継続が困難な人のタイプ。
・女性
・その他

ワンデーポートの家族相談では、本人がどんなタイプなのか、問題の成り立ちはどのようなのかによって、本人への支援のあり方が異なってくるので、母子手帳や小学校の通知簿を見せてもらうなど、細かく話を聞いて本人の情報を知り、どういうタイプかを判断する。
「我が家のギャンブルの問題がどのようなタイプで、どのような支援があい、それをどのように組み立てていくかを考える手助けを行っている」

「そもそもギャンブルに出会う前からほどよくお金を使うことができなかったり、お金を計画的に使える力が備わっているかどうかはっきりわからなかったりすることがたくさんあるのです。ギャンブルが止まれば常識的なお金の使い方ができるようになるのか、ギャンブルが止まっても見通しをもってお金を使うことができないのかによって支援の仕方は変わります」
なるほど、きめ細かな対応が必要なのか、と納得した次第です。

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4 コメント

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納得です。 (となりのみよちゃん)
2013-04-28 04:47:47
依存症って、一口に片付けないで、きめ細やかなな対応が、必要ってこと。

「携帯は、この国を滅ぼす」を拝読したとき、思ったこと。
(国が亡びる前に、携帯が、ポケベルのように、滅びてしまうと思うけど)、面白い本がたくさんあるのに、それに出会わないため、簡単に手に入る本しか、興味を示さない人達が多いのは、事実だと思います。
例えば、本棚にも、昔の良い本が、どこかに潜んでいるご家庭は、ございませんか?昔の本なら、動もすると、これなんて、ややもすると、ってルビが振ってあると、思いますよ。戦後、漢字が統一されてしまい、今の本では、こういう楽しみ方ができないし、均一の漢字を使っているから、よほど、筋書がしっかりしてないと、面白いとj感じません。
若い人だって、ルビさえ振ってあれば、名作に出会うチャンスが、もっとあるのに、残念なこと・・・

今回の日記とは、直接関係ないこと、書いてしまいましたけど、なにかに、依存しなくては、生きていけない人って、人生の中で、ジ~~ンとくるもの、感動することに、出会う機会が、少なかったのでは、と思うのです。

きめ細かに、対処していくなかで、感動することに、もし遭遇していけたら、その人たちの人生も、変わっていくのかなぁって、思いました。
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年を取るととルビを読むのも一苦労 ()
2013-04-28 16:11:48
>依存しなくては、生きていけない人って、人生の中で、ジ~~ンとくるもの、感動することに、出会う機会が、少なかったのでは、と思うのです。
それはどうでしょうか。
感動したことに依存することもあると思うのですが。

関係の中でしか人は変われないと思います。
でも関わるのもしんどいですけどね。
返信する
同じ阿呆なら踊らにゃ損損 (てるてるぼうず)
2013-04-29 11:44:39
射幸心を煽って金儲けをするものというなら、理に適っている。

しかし、未成年はだめよというのだから大人だけなんでしょう。
大人だから分別がある、身を持ち崩さないから・・・?
で、大人って何なんでしょうか。
生まれてからの時間、二十年経ったら大人・・・法律上はね・・・何でもできる。
大人だったら、誰も身を持ち崩すこともなく暮らしていける・・・いや、何人かは、いけない。

金儲けを企んでいる悪い奴らが法律上で抜け道をつくって博打を仕切る。

本当の金持ちは、いくら博打で摩っても全く困らない。
困る人から金を吸い上げる構造を許している誰かさんこそ元凶なんでしょうね。

どこぞの偉い坊主までお布施を投機(博打)して何億円も穴をあけてシラーっとしている時代、坊主が現世利益を頼んで踊っているのですから、一般庶民は踊るでしょうね。

おーい、マスコミーっ!
競馬、競輪、競艇、宝くじ、パチンコのCMばっかりで金儲けしなさんな。
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またまた橋下 ()
2013-04-29 17:48:30
橋下大阪市長はカジノを大阪に作ると言ってます。
http://www.j-cast.com/2013/01/29163189.html?p=all
金が儲かりゃいいのか! と思いますよね。
返信する

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