世界価値観調査の「自分を宗教的な人だと思うか」という質問に「確信を持って無神論者だと言える」と答える日本人の割合はここ30年間9~12%。
NHKの調査によれば、「宗教とか信仰とかに関係していると思われることがら」について「何も信じていない」と答える人の割合はここ40年間で23~30%の間を上下しているが、「何もおこなっていない」人の割合は8~12%の間を上下している。
自分は無宗教だと思っている人でも、本当に一切の宗教行動をおこなっていない人は1割しかいない。
初詣に参る人の長蛇の行列を見れば、自覚していなくても、多くの人が宗教活動をしているのは一目瞭然です。
また、クリスマスやハロウィン、バレンタインデーなどは一種の儀式であり、宗教と無関係ではないと思います。
葬儀の形が大きく変わりつつあり、葬儀をしない直葬、家族だけで行う家族葬が増えています。
また、子供に負担をかけたくない、墓じまいをすべきだという雰囲気があります。
従来、葬儀や墓は家と先祖祭祀の中で考えられた。
高度経済成長期以前の葬式は地域や会社関係の中での家々の結びつきで行われてきた。
知人の親の葬儀に会葬することは半ば公的で社会的な儀礼だった。
しかし、十数年前までは100~150人くらいの会葬があるのは普通だったのに、今では50人の会葬があれば多いほうという状況になっている。
葬儀が村をあげて行う地域共同体主体の行事だったのが、今は喪家の私の行事となった。
葬儀や墓は私的性格を強くし、公的な性格を弱めた。
地域が主体
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家や家族が主体
さらには、家意識が弱まって、葬儀は故人の家族の行事となりつつある。
「他者(親など)をどう葬るか」ではなく、「自分自身がどう葬られるか」。
家族葬は人に迷惑をかけたくないということだと言われるが、知らせないという意味が大きい。
以前は死を公開すべきものだったのが、死を秘匿すべきことと考えるようになった。
死が公表 葬儀が公開
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死が秘匿 葬儀は非公開
共同体や家の解体は、人との関わりを面倒だと感じ、関係性をなるべく断ちたいとする意識があるからだと感じます。
高齢者と若い人たちとは先祖供養や霊魂についての意識が異なっているそうです。
若い世代は先祖供養より霊や前世に関心を持つ。
先祖の祟りや因縁よりも、自己の前世に現在の問題の原因を探る個人主義的な輪廻思想が受け入れられている。
2000年代はスピリチュアル・ブームだった。
パワースポットとは目に見えないパワーが感じられる場所。
パワースポットや聖地としての神社をめぐる人にとって、ご利益とは金がもうかる、病気が治る、家庭円満といった物質的なご利益ではなく、心理的ご利益、自分のあり方、生き方をよい方向に変え、幸せに気づき、感謝できるようになることである。
このような姿勢は個人主義的なスピリチュアリティに近い。
若い世代は教団に所属せず、スピリチュアルなものに関心を持っている。
ここ20年で信者数が減少している教団はいずれも先祖供養を重視する教団である。
文化庁「宗教年鑑」に記載されている信者数
1995年 2015年
立正佼成会 6485912人 2826297人 -56%
霊友会 3072780人 1340703人 -56%
佛所護念会教団 2190591人 1167960人 -42%
天理教 1907022人 1169744人 -39%
真如苑 733191人 922160人 26%
信者数の減少の理由の一つとして、個人化と先祖供養の後退があげられている。
キリスト教系の信者数総数は1995年に151万9396人だったのが、2015年には195万1381人と、28%増えている。
キリスト教系は先祖供養をしないことと関係があるのではないか。
先祖供養の衰退はイエ意識の変化、そして教団や組織を嫌い、個人、仲間を大切にすることがある。
高齢者が大きな割合を占める先祖供養を重視するタイプの新宗教教団ほど、先祖から前世への転換によって大きな打撃を受けたと推測できる。
このように論じられていますが、先祖供養を強調する教団を離れ、先祖供養を説かない宗教に移る人がどれだけいるものかと思うし、親が熱心に信仰していても、子供はその宗教に興味を示さないということじゃないでしょうか。
幸福の科学の「幸福の科学」No.458が郵便受けに入ってました。
『正しい供養 まちがった供養』という本の広告があり、そこに「大切な人を天国に導くために――。人は死んだらどうなるのか。あの世への旅立ちと供養に関する霊の真実を説いた一冊。先祖が迷っている場合の注意点や天国に還っている方への供養のあり方、さらに、晩年を生きるための心構えなど、故人も遺族も、共に幸福になる道が示されています」と書かれてあります。
幸福の科学の教えはスピリチュアル、すなわちは生まれ変わりを繰り返しながら霊性を向上すること(レベルアップ)を説いていると思っていましたが、追善供養も説くようになったとは知りませんでした。
スピリチュアルだけではなく先祖供養も勧めているわけです。
統一教会も、入信していないために地獄で苦しむ先祖の救い(先祖解怨)を説いています。
若い世代は高齢者よりも霊魂やあの世を信じているそうです。