三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

越智啓太『つくられる偽りの記憶』

2018年10月05日 | あやしい教え・考え

世界こどもサミットでは、胎内記憶や前世の記憶を語る子供たちがスピーカーとして参加していました。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/e/d18b1c1184e8e324a6274a807d87dde6
生まれた時のことだって覚えていないのに、まして胎児や前世のことなど記憶しているものかと思い、越智啓太『つくられる偽りの記憶』を読みました。

自分がもっている思い出は間違いないものと考えるのが普通だが、近年の認知心理学の研究で、記憶はそれほど確実なものではないということが明らかになってきている。

ある出来事の後から入ってきた情報によって、記憶の一部が書き換えられてしまうことを「事後情報効果」という。
事後情報の入力によって記憶を変容させてしまう時、二つの可能性が考えられる。
一つは、もとにあった記憶の該当する部分が、事後に入力された情報によって上書きされて、記憶は書き換えられてしまう。(上書き仮説)
もう一つは、もとにあった記憶と事後に入力された記憶の両方が存在する。(共存仮説)
共存仮説の場合、どちらが本当の記憶なのかわからなくなってしまうため、記憶が混同される。
上書き仮説と共存仮説はともに生じるが、多くの状況で記憶が上書きされてしまうことがわかっている。

情報を聞き取る側の先入観や思い込みが記憶に影響を与える。
たとえば、事件の捜査官が犯人を「めがねをかけた30代の男」と思っていて、目撃者に「犯人はめがねをかけていましたか」とか「犯人は30代くらいでしたか」などと聞くと、目撃者の記憶の中の犯人にめがねや30代が導入される危険性がある。
また、相手の期待に応えようとする思いから、記憶の変容が加速することもある。

記憶が存在しないにもかかわらず、実際には体験していない出来事の記憶をつくり出させることは可能で、記憶を植えつける方法が開発されている。
しかし、一度植えつけられてしまった記憶を消す方法は開発されていない。

この体験していない記憶をフォールスメモリー(虚偽記憶)という。
なぜフォールスメモリーがつくり出されるのか。

記憶を思い出そうと思いをめぐらせると、いろんな記憶の断片が思い出される。
その記憶の断片を「そのとき」の記憶が蘇ってきたと考えてしまうと、ヒントとして提示されたストーリーに従って、それらの記憶が貼り合わされていき、次第に現実感のある記憶が完成されていく。
さらに、これらのイメージを反芻するに従って、記憶はより鮮明で一貫した構造を獲得し、最終的には、リアルな偽の体験の記憶が形成されてしまう。
出生時の記憶、前世の記憶、宇宙人に誘拐された記憶などがそうである。

・生まれた瞬間の記憶
幼児期健忘といって、三歳児よりも幼い時期の記憶は想起できない。
思い出せないのではなく、エピソード記憶(体験した出来事の記憶)という形で保存されないからである。

新生児の目の焦点は20~30cmに合っていて、それより離れるとぼやけてしまう。
だから、出生直後には周囲の光景や両親の姿を認知することが難しい。
そして、新生児は視覚的なイメージを処理する脳の部位が未発達だから、赤ちゃんが知覚しているイメージが記憶され、催眠によって引き出すことが可能だとしても、それはぼやけてはっきりしない色彩の混沌であり、人の顔や周囲の光景をはっきり見える形にはならない

退行催眠を用いて思い出す人がいるが、出生時の記憶を催眠によって思い出すことができると信じている施術者の反応を見ながら、施術者が喜ぶような方向にイメージを形成し、その結果、施術者の思っているとおりの記憶を「思い出す」ようになる。

また、出生時記憶を想起する人は、出生時の記憶があることを固く信じており、催眠によって思い出すことができると考えている。
彼らの多くは「出生時記憶を思い出させてもらうために」催眠にかけてもらう。

・前世の記憶
催眠によって前世の記憶を話し出したという事例は、本格的な調査が行われると、以前に読んだ本などの内容を語っていたなど、話が眉唾だったことがわかる。

前世記憶を思い出すことで、知らない言語を流ちょうに操るという真性異言現象があるとされる。
しかし、真性異言を本物と確認したケースは実際にはほとんどない。
応答的なものではなく、繰り返し的な発話であり、発音も不正確である。
めちゃくちゃな言葉が一方的に話されているのをまわりが真性異言だと解釈していることが多い。

イアン・スティーブンソンによる前世の記憶を持つ子供たちの研究は、多くの研究者が生まれ変わり以外のメカニズムで生じた可能性が大きいと考えている。
たとえば、生まれ変わりを信じる家族、親などがそばにいることが多い。
子どもは容易に大人の誘導に従った証言をしてしまいがちであり、その結果、記憶がつくられることがある。
イアン・スティーブンソンのもとで助手を務めた弁護士は、インタビューがあまりにも誘導的に行われたことなどを指摘している。

実験的に前世の記憶をつくり出すことができる。
カナダのカールトン大学の実験では、110人中、35人が過去の人生を想起した。
83%が前世での名前を想起し、74%がその時代について年まで特定できた。
1人を除いて他のすべては前世が北アメリカか西ヨーロッパだった。
韓国の実験では、過去世が動物だった者が4人いた。
西欧では前世が動物だという輪廻転生思想は存在しない。
このことは、想起される前世の記憶の内容は文化や思想の影響を受けている証拠だと考えられる。

・エイリアン・アブダクション
エイリアンに誘拐されたと主張する人がアメリカには大量にいる。
催眠療法によってエイリアンに誘拐された体験を想起した人と、自発的に想起した人がいる。
しかし、ヨーロッパではそれほど盛んでなく、日本やアジアではほとんど発生しない。

自分がやってはいけないようなことをしてしまう理由、やらなくてはならないことをしない理由、落ち込んでしまう理由、うつになる理由、体調が優れない理由、恋人ができない理由、セックスが嫌いな理由、勉強ができない理由、夜中に起きてしまう理由、虫が嫌いな理由、なにかしっくりこない理由、自分だけが特別だと感じる理由、これらすべてがエイリアンに誘拐されたせいだと考えることができればずいぶん楽になる。

アブダクティー(エイリアンに誘拐された人)の特性
1 思い出す記憶が実際に存在する可能性を信じていなければその記憶を思い出すことはない。つまり、UFOやエイリアン・アブダクションを信じている人ほどエイリアンに誘拐されやすい。
2 催眠にかかりやすい人ほど、エイリアンに誘拐されやすい。
3 頭の中に鮮明なイメージを浮かべやすい人ほど、エイリアンに誘拐されやすい。
4 生じたイメージを現実のものなのか空想のものなのか区別しにくい人ほど、エイリアンに誘拐されやすい。

UFO体験する人は、ESPやサイコキネシス、死後の生存などを信じている傾向がある。
また、自分が予知能力などの超能力をもっていると信じていたり、超自然的な体験、不思議な体験をしている。
これらの特性は出生時や前世の記憶があると主張する人たちにも共通すると思います。

ダウエ・ドラーイスマ『なぜ年をとると時間の経つのが速くなるのか』に、自分の経験を記憶に結びつける「私」がある場合にのみ、自伝的記憶(エピソード記憶の一種)は展開されるとあります。
自己意識が子供に現れはじめる兆候は1歳の誕生日以降で、鏡に映っているのが自分だと理解するのは18カ月ころになってから。
「私」という意識がないときの記憶は作られたものだということでしょう。

孫(3歳10カ月)に「妹が生まれたときのことを覚えているか」とか「お母さんのおっぱいを飲んでいたころを覚えているか」と聞くと、「うん」と答えました。
さらに、「お母さんのお腹の中にいる時は?」と尋ねると、「うん。自動車でお腹に入って・・・」と話してくれました。
胎内記憶や前世記憶を思い出す子供は、質問する大人の誘導で物語を作っているんじゃないかと思います。

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世界こどもサミット

2018年07月11日 | あやしい教え・考え

安倍昭恵氏が発起人の「世界こどもサミット」にKAMIスタイルという新興宗教が深く関わっていると、「週刊文春」が報道しました。
http://bunshun.jp/articles/-/8039

「世界こどもサミット」のHPを見ますと、こんな説明がされています。 

世界こどもサミットとは?
こどもは地球の宝物、その可能性は無限大です。
こども達の中には、既に自分の生きる道や、行動指針、
生まれてきた意味などが、大人から教わらなくても理解している子がいます。(略)

http://wcs-tokyo.com/guideline/

「生まれてきた意味」とは何でしょうか。
15人のこどもスピーカーのうち、4人は胎内記憶や前世の記憶があるそうです。 

斎藤希望さん(さいとう のの)
内記憶を聞こうと3歳頃から5歳頃まで母が聞き出そうとトライしたが全く話す気配もなく、何のことかわからない感じだった。小2の時、突然胎内記憶を2時間くらい話し始めた。
羽生すみれさん 11歳 出身地 東京(はにゅう すみれ)
胎内記憶を持ち、生まれた時から「かみさま」「天使さん」「お腹の中の赤ちゃん」 「見えないけれど温かく見守ってくれる存在」と会話している。
小木曽健登さん 13歳 出身地 名古屋(こぎそ けんと)
幼少の頃、「僕がママを選んだんだよ、空からママを見ていてこの人がいいって思ってジャンプしたんだ~」と言ったり、産まれた直後NICUに居た時の記憶を話すなどしていた。映画「かみさまとのやくそく」を見たことで、前世の記憶を思い出す。
中塚彩葉さん 13歳 東京(なかつか いろは)
2才頃、母親からお腹の中にいた時の事を聞かれ、胎内記憶、生まれる前の事を話し始めた。どうやって親を選び生まれてきたか、生まれる前にどこにいて何を学んだか、何のために生まれて来たか、といった話を日常の中で自然に話していた。

『かみさまとのやくそく』の池川明氏と子供たちが、世界こどもサミットで胎内記憶や中間生について話し合いをしています。

私としたら、こんなことを話すような集まりはうさんくさいと思うのですが。

胎内記憶や前世の記憶を思い出すということは、スピリチュアルの考えの一つです。
生まれ変わりを繰り返しながら霊性を向上させるのが生まれてきた目的である。
向上するために、自分で課題を持ち、自分で両親や環境を選んで生まれてくる。
たとえば、障害を持ったり子供を亡くしたりすることは、そういうつらい経験をすることによって学び、自分自身を向上させるためである。

これはスピリチュアルの世界ではよく聞く話ですが、おかしな点はたくさんあります。
『かみさまとのやくそく』の上映運動をしている人と会うことがあったので、「親から虐待されて殺される子供もそういう親を選んで生まれてきたのか」と尋ねたら、「そんなことは考えたことがなかった」と言ってました。
身分差別でも同じで、自分で選んで生まれたわけですから、差別は社会の問題ではなく、自己責任ということになります。
さらには、虐待した親や差別する人に、いい経験をさせてもらったと感謝しないといけません。

実際、江原啓之氏は「自分は殺されたことにより、殺された心の痛みを理解できて、二度と人を殺さない魂になれる。だから、その人のおかげで自分はそれだけ向上できるんだから、そして自分のことでカルマを背負ってくださるから、その人を愛さなきゃいけない」なんてことを言っています。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/e/a8d36437a4ed4ddcfbe21b66e0eed5c1
だったら、オウム真理教事件の被害者も麻原彰晃たちに感謝し、愛さなくてはいけません。
死刑囚も、死刑という得がたい経験をするために生まれてきたのか。
安倍昭恵氏や池川明氏たちはそこらをどのように考えているのでしょうか。

福島史織氏が自身のフェイスブックに、安倍昭恵氏は「神の存在に近い」と書いていることについて、知人が「オウム事件がなぜ起きてしまったのか分かっているのか、いや、分かっていないのだろうなと思う」と指摘してました。
私はそのことに気づかなくて、ああ、そうだったと思いました。

「神の存在に近い」ということ、これは単なるおべんちゃらかもしれませんが、もしも本当にそう思っているとしたら、生き神信仰みたいなもので、問題ありです。
つまり、麻原彰晃を最終解脱者として絶対視したオウム真理教の信者と変わりません。
自分を神に祀り上げようとしている人なんて信用しないほうがいいし、愛想で言ったのなら、これまたろくな人間ではないと、誰かが安倍昭恵氏に忠告すべきだと思います。

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高橋昌一郎『反オカルト論』

2018年04月04日 | あやしい教え・考え

高橋昌一郎『反オカルト論』は「教授」と「助手」との会話で話がすすみ、読みやすくて面白く、ためになる本です。

・フォックス姉妹とスピリチュアリズム(心霊主義)
死者の霊と交流できるという霊媒師のトリックに一流の科学者やコナン・ドイルたち文化人がだまされた。
それに対して、霊媒のインチキを暴くフーディーニ。

あらゆる手段を尽くして観客を騙すことが、手品の目的なのである。

しかし、霊媒を信じ、擁護する人が多くいた。

科学者は、平気で信頼関係を覆してインチキをする人がいるとは考えない。
詐欺師である霊媒は、まさかそんなことはしないだろうということをする。
科学者、はいったん騙されると一般人以上に信じこんでしまう。

2000年に発覚した旧石器発掘捏造事件もその一例。
「神の手を持つ男」と呼ばれていた人物が、前もって発掘現場に石器を埋めておいて、それをあたかも発見したかのように捏造することを20年以上にわたってしていた。
そして、その捏造石器を資料として論文を書いた考古学者が大勢いた。

人は、苦悩が深ければ深いほど、その苦悩から解放してくれる話に、安易に飛びつきやすくなってしまう。


奇術師のジェームズ・ランディがユリ・ゲラーのトリックを暴いても、ユリ・ゲラーの超能力を支持し、物理学の基本法則を見直すべきだと考える科学者が今もいる。
その時代の一流知識人をトリックで騙すのは容易だということである。

・STAP事件
フーディー二が書いたとされる『狡猾な若い女性はいかにしてバカな「科学者たち」を騙したか』という冊子は、ある女霊媒師のトリックを暴露した。
その人間模様はSTAP細胞と小保方晴子氏を連想させる。

どんなに再現に失敗しても「STAP細胞は存在しない」とは言い切れない。いくら交霊会のトリックを暴いても「霊は存在しない」とは証明できないのと同じ論法だ。

その論法で人を騙すのが霊媒師だが、科学者も同じことをする。

常温核融合のマヤカシが明らかになり、ある物理学者は「安易に実験結果を信じる軽率な科学者、組織の名誉を汚す理事、税金を浪費する政治家、大衆を煽る浅薄なジャーナリスト、彼ら全員が、オカルトを生み出してしまったんだ」と嘆いていたという。

STAP事件は現代社会における「オカルト事件」なのかもしれない。


小保方晴子氏は、文章や画像を他者の論文やサイトから無断でコピペし、実験データの写真を切り貼りし、実験そのものを捏造した。
理研は、最終的に小保方晴子氏による捏造・改竄・盗用などの研究不正を認定した。
小保方晴子氏の博士論文は約100ページ中の20ページがコピペ、参考文献もコピペで、26カ所の研究不正が認定され、博士学位を剥奪した。

朝永振一郎『物理学とは何だろうか』にこのようにあります。

科学というものは、いつの時代においても、その前の時代のそれを踏まえて進められ積み重ねられてだんだんにできてきたものです。

STAP細胞はそうではなかったということです。

2014年度の理研の総予算が約834億円、2013年度の笹井氏の研究費は約5億8千万円。
STAP事件で株価操作やファイナンスで大儲けをした人がいる。
理研がSTAP事件の対応のために使った経費は8360万円。
2年間に小保方晴子氏に支給した研究費は給与以外に4600万円で、その大部分は税金だった。
しかし理研は、小保方晴子氏が理研を退職後に懲戒解雇相当にし、疑問をうやむやのまま、責任を取る者はいなかった。

なのに、いまだに小保方晴子氏を擁護する意見が少なくないどころか、小保方晴子氏は陥れられたといった陰謀説が唱えられている。
小保方晴子氏も『あの日』で、自分は陰謀の犠牲者だと自己正当化しているそうです。

私がES細胞を混入されたというストーリーに収束するように仕組まれているように感じた。実際に、これら一連の発表は、私の上司にあたる人たちによって、周到に準備され、張り巡らされた伏線によって仕掛けられた罠だったとも受け取れた。

その陰謀の黒幕が若山照彦氏だと、小保方晴子氏は告発しています。

『あの日』の売り上げは発売1か月以内で26万部を超えたそうです。
印税が1割と仮定した場合、1冊1400円(税別)×1割×26万部で、およそ3640万円の収入です。

アマゾンのレビュー858、平均4.2です。(2018年4月4日)
星5つ 60%
星4つ 11%
星3つ 9%
星2つ 3%
星1つ 17%

ところが、須田桃子『捏造の科学者』はレビュー195で、平均3.2。
星5つ 30%
星4つ 23%
星3つ 14%
星2つ 6%
星1つ 27%

星1つのレビューにこんなのがあります。
「何の知識もない、ただ成功していた小保方に嫉妬して狂った正義ヅラした悪人が書いた書籍。」
小保方晴子氏が犠牲者だと信じ、味方になっている人がいかに多いかです。

なぜか。

一般に、虚偽や幻想を真実であるかのように語る行為は、「詐欺」か「病気」の範疇に分類されるはずなんだがね。カルト宗教の教祖や、自己啓発セミナーの主宰者は、まさに「魅力的」で「ピシッとよどみない文」で断定する人物が多いんだよ。

妖精を信じるコナン・ドイルみたいだと、「助手」は言います。

なぜ人は荒唐無稽な話を信じてしまうのでしょうか。

人は、何でも妄信するように生まれついていると考える方がわかりやすい。

 

結局、人間は、見たいものを見て、信じたいものを信じるということだよ。


森友問題の文書改竄、イラク派遣部隊の日報隠蔽を大したことではないと言い切る人がいますが、通じるように思います。

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事故物件の損害賠償

2017年12月23日 | あやしい教え・考え

精神科医の野田正彰氏が講演でこんな話をしています。

アパートで自死すると、膨大なお金を請求されることがあります。葬儀の席に管理会社がやって来て、「お祓い料を払え」「部屋と隣の部屋に人が入らなくなったから家賃三年分を払え」「入り手がいなくなったので家を建て替えないといけない。建築費を払え」などと、遺族に執拗に請求します。多くの家族は自死したことを隠そうとしますので、泣き寝入りして、黙って払います。私たちの社会が自死対策を言いながら、いかに残酷な社会かということです。

家族が突然死んでただでさえつらいのに、金をむしり取る大家や不動産屋はひどい、と思いました。

不動産屋のニュースレターが郵便受けに入ってて、それに事故物件について書かれてて、大家や不動産を責めればいいという、そんな単純な話ではないことを知りました。
入居者が殺害されたり、自殺や孤独死したりした建物や部屋は「事故物件」と呼ばれます。


不動産を取引する場合には、物件の重要事項を客に説明する義務がある。
雨漏りの有無、白アリ被害、地中埋設物などを告知書で買い主に伝える仕組みになっている。
「物理的」「法律的」な問題が隠れていた場合の責任の取り方について、契約書の条文で取り決めている。

判定が難しいのが「心理的瑕疵」の問題。
その物件で殺人事件があったとか、自殺した人がいる場合は、心理的な問題が瑕疵となる。
自殺があると、現場を跡形もなく修繕し、リフォームを行うなどしても、「告知」をしなければ、後から自殺があったことを知った借り主(買い主)に損害賠償請求をされてしまうリスクがある。
事故物件のある土地を売却し、建物を取り壊して新築しても、敷地内であったことなので、不動産売買する際にはきちんと事件や事故があったことを告知しなければいけない。
「告知」をすれば、借りたい(買いたい)人が少ないので、賃料や価格を安くして取引をすることになる。
建物を壊して更地で売る場合の価格は、通常であれば5~7割下がる。

では、いつまで告知しなければならないのか。

この告知義務は曖昧で、何人目まで告知する義務があるのか、告知義務は何年間なのかといったことは法令では定められていない。
「5年は告知したほうがいい」「10年は必要だ」「1人、入れ替わればいい」など、いろんな話が伝えられる。
しかし、告知義務が必要でなくなる期間は法律で定められているわけではなく、裁判例も地域性やその時の状況で事例が異なる。
50年前に起きた殺人事件現場の物件でも、告知すべき瑕疵があるとした判決例もある。

大家は借り主の相続人である遺族に、以下の支払いを請求することになる。

①残置物撤去・消毒費用
②貸室の原状回復費用
③賃料減額分の損害賠償
とてもつらい交渉であることに例外はない。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171102-00006894-bengocom-soci
これは日本人の宗教観(霊信仰)と関係する問題です。

「大島てる事故物件公示サイト」といって、大島てるという不動産屋が自殺、孤独死、事故死などで死亡者の出た物件の住所や部屋番号、元入居者の死因を公開していました。

不動産業界の関係者はこのサイトを活用している人が多いそうです。

鈴木信行『宝くじで1億円当たった人の末路』に、大島てる氏へのインタビューが載ってます。

「大島てる事故物件公示サイト」にはマンション名だけでなく、部屋番号まで載っているのはなぜか。
告知義務があるのは事故があった部屋だけとされ、隣室や階下で事故があった部屋に、何も知らずに住んでいるということはある。
殺人事件などがあった場合、マンション名だけがひとり歩きしてしまうと、関係ない部屋の持ち主まで風評被害を受けかねない。

「事故があったのに何事もなかったかのように振る舞い、通常どおりの家賃で入居者を募集する業者も存在します。そんな悪徳業者や悪徳大家から、消費者を守るのも当サイトの重要な役割の一つです」

こんなことを大島てる氏は言ってますが、何から「消費者を守る」のでしょうか。
小野不由美『残穢』のように、怨みを残して死んだ人間の地縛霊がいつまでも災いをもたらすからでしょうか。
しかし大島てる氏によると、事故物件では事故が連鎖的に起きる場合があるが、それは『残穢』のような心霊現象ではなく、ほとんどが合理的な説明ができるそうです。

たしかに、自殺や殺人があった部屋は気色悪いという気持ちは理解できます。
しかし、そうした不安が生じるのは、成仏していない霊で脅す霊視商法、霊感商法に惑わされているからです。
祟りなどないのであれば、わざわざ騒ぎ立てる必要はありません。

「大島てる事故物件公示サイト」では「孤独死」も事故物件と定義しています。

「入居者の立場からすれば「孤独死は事故にあらず」という理屈は通らないと思うんです。そもそも、「すぐ死体が発見されたから事故ではない」と言いますが、なぜ施錠された部屋の中の死体がすぐ発見されたのか考えてみてください。それだけひどい悪臭がもれ出ていたからです」
大島てる氏の説明にうなずくわけにはいきません。
だからどうしたというのでしょうか。

部屋をきれいにすればすむ話です。

とはいえ、この事故物件の告知義務や遺族への弁償請求といった問題はそんな簡単には片付かないでしょう。

何が、どのように、なぜイヤなのかはよくわからないけど、とにかくイヤだという、理屈じゃ納得できないところにこの問題の難しさがあります。

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柿田睦夫『霊・因縁・たたり』とM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』(2)

2017年12月18日 | あやしい教え・考え

ニセの霊媒が有害なのは、仕事上の決断、家族の問題などを霊媒に相談して決めることで、霊媒に自分の人生をゆだねてしまうことと、『サイキック・マフィア』にあります。
『サイキック・マフィア』は、1960年代に霊媒として大金を稼いでいたM・ラマー・キーンの告白録です。

キーンは心霊主義の教会で行われている交霊会に参加して、講習会に参加するようになる。
「心霊主義」とは、死後の生や霊魂などの実在を信じ、霊媒を通して死者の霊のメッセージを受け取ったり、交信できるとする思想です。
キーンは最初のころ、霊媒たちが心霊的なメッセージを受けとることができ、基本的に善意で行動していて、心霊主義への信仰を強めることを望んでいると本気で思い、自分たちも霊媒として開業することに決める。
物理的な現象をでっちあげるつもりはなかったが、人々は、霊の姿や直接談話現象、心霊写真といった奇跡を求めていると気づき、次第にイカサマに手を染める。

キーンは心霊主義教会をひきつぎ、世界心霊主義者協会の理事にもなります。

教会を設立して、自分を「師」と名乗る法律的な権利を得るのは簡単で、弁護士に教会の定款を作ってもらい、8名の理事を集めて、州務長官が承認すれば、自分にどんな権限や肩書きを与えていい。
他の者を心霊主義の聖職者に叙任し、宗教学校を経営して自分に学位を与えることもできるそうです。

アメリカには各地に心霊キャンプがあり、インディアナ州チェスターフィールドには、毎年、夏になると数千、数万もの人が愛する故人と話をするためにやって来て、毎年の収益は百万ドルになる。

人々は亡くなった愛する人と交信するためなら、いくらでも金を出す。
キャンプ・チェスターフィールドに数十万ドルを遺贈した人、50万ドル以上を残した人もいる。

キーンの主催する集団交霊会の参加費は3ドルから10ドル。

毎日25回の交霊会を開き、1日あたり千ドルを稼いだ。
キーンの教会(信者300人)でも、一晩の礼拝で1万から2万ドルを集めたことがある。
1960年の10ドルは、2016年だと82.33ドルだそうですから、1~2万ドルは現在の10万ドルということでしょうか。
https://westegg.com/inflation/

キーンは交霊会のトリックを暴露しています。

交霊室は真っ暗なので、霊媒が何をしているか列席者にはわからない。
そして、キャビネット(仕切り部屋)が交霊室にあり、秘密の出入り口や隠し場所として使われる。

・参加者の個人情報(家族の名前、社会保障番号など)を伝える

交霊会の列席者の情報を集めるための手段。
霊媒は交霊会に来た人たちのファイルを作っていて、それを霊媒師たちが共有する。
この情報交換によって、未知の人が来ても、彼らや亡くなった人についての情報を言い当てることができる。
カードの符丁は、名前の横の×はその人が死んでいること、○は生きていること、ハート・マークは参加者が愛していた人。
「父は目の手術をしたが、失明した」「父方の祖母はウィルバーという名前」などが書かれている。
ある霊媒は個人名のカードを数万枚も持っており、今度来たときに物品引寄で返す私物をクリップで留めていた。
教会の礼拝前に、マジックミラーや盗聴器を使って誰が来ているかを確かめ、霊からのメッセージを用意する。
あるいは、交霊会の時にハンドバッグや財布を盗み、社会保障番号や銀行通帳などのデータを得る。

・物品引寄現象(アポーツ)

何もないところから物品を取り出したり、参加者が紛失したものを取り出す。
交霊会のときに、こっそり私物を手に入れ、しばらく経ってから、本人がなくしたと思っていたその私物を物品引寄で取り出す。
たとえば、指輪を探してほしいと頼まれた霊媒は、指輪は自宅の冷蔵庫の角氷の中に氷漬けになっていると告げた。

・トランペットを使って霊の声を伝える

小さな赤い電球しかついていない暗闇のなかで、蛍光塗料をつけたトランペット(楽器ではなくメガホンのことらしい)が室内を飛びまわり、いくつもの声を発した。
その声は腹話術によるものだった。
トランペットが宙に浮かぶのは、トランペットは組み立て式で、120cmまで伸ばすことができるから。

・エクトプラズムの身体からの放出

エクトプラズムはシフォン(薄く柔らかい織物)を使う。
闇の中で見えないように黒いソックスとパンツをはき、シフォンでできた霊の衣裳を身につける。
そして、キャビネットから姿を現す。
霊の衣裳は霊媒のパンツや身体の穴に隠す。

・空中浮揚

黒装束で見えない霊媒と共犯者が椅子を持ち上げる。

つまりは、霊のしわざではなく、手品にすぎないわけです。

『霊・因縁・たたり』に、本覚寺の教師が名前を書いたお札をコップの水に浸すと、水は黒くなり、教師が「水の黒さは先祖の因縁の深さのあらわれ。先祖供養をもっとしなければならない」と言ったとあります。
墨で書いた紙を浸せば水が黒くなるのは当たり前で、キーンに比べると、ずいぶんちゃちな手口を使っているものです。

霊媒が死んだ配偶者や恋人の肉体を呼び出せると信じる人たちは、交霊室での死者とのセックスを求めた。

要望に応えてセックスする霊媒もいたし、霊媒のほうから交霊セックスを仕掛けることもあった。

人をだますという仕事をしている霊媒は常に大きな重圧にさらされていながら、秘密を家族にも言えず、親しい友人関係を築くことはできないために孤独である。

耐えきれなくなったキーンは教会の評議員に、霊媒能力はすべてインチキだと告白し、イカサマをやめるよう訴えた。
ところが、ほとんどのメンバーが信じなかった。

霊媒が愛する人々からの言葉を伝えてくれると信じ、そう信じることで心の安らぎを得ている交霊会の列席者は、霊媒があからさまなイカサマをしても、それを見ようとしないし、見たくない。

「認知的不協和理論」が説明するように、心霊主義者はインチキを認めず、正当化する意見だけ耳をかたむけるわけです。
https://psychoterm.jp/basic/society/06.html

キーンはこのように言っています。

人々に嘘を信じこませるのがいかに簡単かは知っていたが、同じ人々が、嘘をつきつけられたとき、真実よりも嘘を選ぶとは予想していなかった。(略)
まったく正気の人間が、幻想やペテンに夢中になるがあまり、真実が白日のもとにさらされたあともなお、それにしがみつこうとするのはなぜか。(略)
いくら論理をつくしたところで、嘘とわかっていながら信じる気持ちを打ち砕くことはできない。

 キーンはFBIや州法務長官のところを訪れ、イカサマについて告白しました。
しかし、警察は一人の霊媒も取り調べようとしなかったし、内国歳入庁が霊媒の帳簿を調査した形跡もないそうです。

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柿田睦夫『霊・因縁・たたり』とM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』(1)

2017年12月14日 | あやしい教え・考え

柿田睦夫『霊・因縁・たたり』とM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』を再読。

霊能者や霊媒が、死者がどうのこうのというインチキでだますという点では同じですが、日米の違いがあります。
日本の場合は霊障、霊のたたりで脅し、不安にさせます。
ところが、アメリカでは霊媒が死者との交信をしても、死者の霊が迷っているなどの脅しはないようです。

『霊・因縁・たたり』には、本覚寺の霊視商法、阿含宗の霊視鑑定、統一協会の霊感商法、コスモメイトの除霊・救霊、細木数子の墓相を取り上げています。

それらの共通点
 1 はじめに恐怖あり
相談者が悩みを相談すると、原因を霊視鑑定によってつきとめるのだが、必ず「水子のたたり」や「先祖の不成仏霊」といったことになる。
霊障(たたり)がいかに恐ろしいかを強調し、いま何とかしないといっそう悪くなると脅す。

本覚寺で説く不幸の原因

・犠牲霊 あなたの家系の御先祖を何代も辿っていくと、悪い因縁による犠牲霊が数え切れない程あるはずなのです。
・不成仏霊 この世に何の未練も残さず、大往生できる人が何人いるでしょうか。事故死・自殺・他殺・病死・災害による死など、ほとんどの人がこの世に執着を持ちながら死んでいるのです。
・水子霊 様々な事情で水子にしてしまった人はもちろん、全く身に覚えのない人でも、身内・親戚などに水子がいた場合、心優しいあなたに取り憑く事があるのです。
・変死霊 御家族や親戚・縁者に、不可解な亡くなり方をした人はいませんか?・・・のまま放っておくと、あなたやあなたの御家族にも必ず災いが起こるし、将来あなたの子供、孫、曽孫と永遠にその霊障は受け継がれ、災いを起こし続けるのです。

2 救いの方法を教える
「先祖が霊界で苦しんでいる。この因縁を切らないと、あなたや子供が不幸になる」などと脅し、供養、除霊、仏像の購入などといった救い(アメ)をさしのべる。

不安の原因がなぜ霊障なのか、その説明はない。

桐山靖雄「あるからある、というよりほかにない」
本覚寺「体験によってのみ知ることができる」
霊能者といっても、実際にそんな能力があるわけではなく、説教のマニュアル(手引き書)に書かれてあるとおりに演技をし、暗記したセリフをしゃべるだけのこと。

「本覚寺=明覚寺の「霊視鑑定」マニュアル」から一部引用 

Ⅰ 受け込み
「この部屋には、あなたと私と仏様だけだから、安心してなんでもお話しなさい」
質問事項
・今日はどういうご相談で来ましたか?
・そのような状態になる原因に心当たりは?
・家系、親類に、自殺、事故死、行方不明は?
・家系、親類に病死、若死にした人は?
・時々いやな気配を感じないか?
・家の中で寒々しい感じ、重苦しい感じがしないか?
・家は持ち家?敷地内に何か祀っていないか、それはキチンと供養されているか?
・先祖供養はどのようにしているか?
・水子供養は?
Ⅱ 確認
何をどうしたいのか明確にさせる。
「今の・・・の状態を・・・したいのネ!」
Ⅲ 霊示を聞く
Ⅳ 抑え
※ゆっくり、かんで含めるように、権威を持って、断言していく。
(1)ご託宣(霊示を受ける)
「うーん、良いもの素晴らしいものを一杯持っているね」
「例えば・・・(良いところを話す)」
「しかし、守りが弱く、邪魔が強いね」
「このままじゃどうしようもないネェ。まだ良いほうだよ、今の状態は・・・」
Ⅴ 切り返し、決定
(1)結論的今後の運命の断言
「このままにして置くと・・・こうなるよ」
「修行と祭祀、やるしかないね」
「まぁ、決めるのはあんただが、重い因縁背負って、霊障がすぐに出だしている状況で、このまま悪くなる一方の悲惨な人生を歩むなんて馬鹿げているもんな!」
「昔からお祀りとか仏事とかは女の役目、一々ご主人に相談してやっていないよね。ご主人や子供、家族の幸福のためにあなたが頑張らなくっちゃ」
「わかっていてやらない、知らん顔するのが何と言ってもご先祖さまや水子にたいして一番罪作りだからね」
「今、あなたは試されているんだよ。ご先祖様に、神仏に」

「統一協会の「霊感商法」マニュアル」から

お客様のウイーク・ポイントをつかむために
・自殺者はいないか
・精神病者はいないか
・どういう病死か(ガン、心臓病、脳障害等)
・事故因縁(水死、転落死、交通事故等)はないか
・水子がないか
・家庭不和はないか
・女系の家系ではないか
・直系の中に養子縁組がないか
・短命の家系ではないか
・親子関係は良いか(嫁と姑も)
・武士(殺傷)の因縁はないか
・離婚、再婚はないか
・高齢独身者はいないか

もちろん、祈禱や供養によって問題が解決するわけはない。
コスモメイト「私たちには、種々の霊が複雑に絡み合っているので、なかなか一回や二回の除霊(救霊)では救い切れません」
こんな無責任なことを言って、何度も祈禱や供養をするよう仕向ける。

相談料は3千~1万円程度だが、祈禱・供養は別料金で、しかもだんだん高くなる。
供養の金を出せない人には、新たな相談者を連れてくるように指示し、その人数に応じて供養金に換算するというシステムもある。
関連企業を持ってて、仏壇、仏具類の販売、出版、旅行社、医療法人などによっても稼ぐ。

供養金を出さないと、「信仰を捨てたら地獄におちる」「罰(ばち)があたる」と脅して恐怖を植えつけるので、だまされていたと気づきながらもやめられないし、やめても不安にさいなまれ、霊のたたりの世界から逃げ切れない。


『霊・因縁・たたり』に載っている霊・因縁・霊障を教えの基本におく教団です。

真如苑、霊波之光教会、白光真宏会、法の華三法行、大山ねずの命神示教会、日本聖道教団、弁天宗、念法真教、解脱会、生長の家、創価学会、PL教団、霊友会、立正佼成会、妙智会、仏所護念会

霊のたたりなどを説くのは既成仏教も同じことで、以前にも書きましたが、京都仏教会HPには「全ての宗教がその教義において先祖の因縁やたたり等を説いているわけではないと思われるが、宗教の中には、その教義・理念として輪廻や罰などを説いている場合もある」とあり、霊のたたりを否定してはいません。

http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/e59a76eaf968a4d8e87bf16ba8bea1de

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「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(2)

2017年04月11日 | あやしい教え・考え

 安倍昭恵氏と西田亮介氏との対談「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」に、こんなやりとりがあります。

安倍:新しいイノベーションが生まれているし、可能性として、日本はとてもポテンシャルが高いと私は思っています。その日本の精神性が世界をリードしていかないと「地球が終わる」って、本当に信じているんです。
西田:地球が終わるんですか?
安倍:本当に色んなところに、私も主人と行かせてもらっていますが、経済や環境問題にしても、テロや戦争だったりしても、どこの国も安定してないじゃないですか。先進国で比較的安定しているのは、日本しかないと思っているんです。
日本人って、元々が善悪で言うと、すごく「善」だと、私は思っているんですね。
新幹線のお掃除みたいなものであっても、あれは日本人にとっては「まぁ、すごいね」というぐらいだけど、もう観光名所になるくらい、世界からするとすごいことで。
何故外国人がすごいと思うかっていうと、あの素早いお掃除がすごいのではなくて、瞬間的にキレイにできるぐらいしか汚さない日本人のマナーの良さに驚くっていうところもあるっていう。日本って、私はやっぱりすごい国だと、本当に思っていて。
西田:まぁ、そうですね。ただ、大抵どの国にも「すごいところ」と「すごくよくないところ」があるような気もします。
安倍:千何百年ごとに世界の文化の中心が廻ってくる。そういうことを考えても、これからは日本の時代なんですね。
西田:う~ん。


森岡正博『生命観を問いなおす』に「エコ・ナショナリズムとは、自国や自民族の文化や伝統や価値観などを世界に広めてゆくことで、環境問題が解決するというふうに考える思想のことです」とありますが、安倍昭恵氏の環境問題への関心はそういうところにあるようです。

「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」という日本中心主義、日本至上主義の考えは、平田篤胤と似ていると思います。
平田篤胤は『霊能真柱』で、地の中心に日本は位置しており、しかも「皇国の在処は、図の如く大地の頂上也」だから、天に一番近い高い所にあると主張しています。
「万の外国どもは、皇国と比べては、こよなく劣りて卑かるべき」
なぜかというと、日本はイザナギとイザナミが産んだ国だが、その際にはね飛んだ潮が固まってできたのが外国だからです。
八紘一宇、五族協和というのは、いろんな国や民族が平等ということではなく、あくまで日本をリーダーとして、他の国・民族は日本に従うという、日本中心主義です。

辛抱しきれなくなったのか、聞き役のはずの西田亮介氏がニートについて意見を述べます。

西田:ぼくは、政治の研究の他に、若年無業者の研究やっています。いわゆる「ニート」の問題ですね。
若年世代にも今、年間60万人くらい若年無業者がいるんですけど、なかなか大変ですよ。日本の失業率は極めて低くて、失業率は下がっているにも関わらず、若年無業者の数は横ばいなんです。
つまり、子供の人口が減っていることを考え合わせると、比率としては増していることになります。第一次安倍内閣の時に、若者再挑戦のための施策というのは本格的に整備され始めたのですが、やはりその後なかなか、手薄な状態が続いています。
安倍:でも、なんかこう夢を持てない世の中よりは、夢があったほうがいいじゃないですか。
西田:う~ん。「夢」の問題でしょうか。経済や政策の問題じゃないでしょうか。
安倍:私はもう、東京じゃなくて、地方がかっこいいって時代にしたいと思っています。色んなニートの人達とも話しをしたりすることもありますが、なぜニートになるかも考えなくてはいけないと思います。
西田:主にケガと病気ですね。よく「怠けた結果の自己責任だ」などと非難されがちですが、内閣府の統計などを見ると、主たる原因はケガと病気なんですよ。
だから、就労経験を持っている人が大半なんですよね。ブラック企業などに入って働けなくなって…みたいなケースもありますし。
安倍:でもそれで、ケガや病気が治ったりすれば、また気持ちが盛り上がってきて、働けばいいわけじゃないですか。
西田:まさにそれを許さない、復職したい人の気持を受け入れていない/受け入れられていないのが今の社会の在り方ということですね。

2人の話がかみ合っていないのは、安倍昭恵氏が今の日本の現実を見ておらず、夢(すべては心の持ちようというニューエイジ的妄想)の世界にはまっているからだと思います。

では、ご主人の安倍晋三氏はどうなのでしょうか。

安倍:主人自身も特別な宗教があるわけじゃないんですけど、毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているような人なんですね。
西田:何をお祈りされているんですか?
安倍:感謝の言葉を。
西田:それは誰に対してですか?
安倍:神様なのか、先祖なのか、分からないですけど。何か自分の力ではないものに支えてもらっていることに対しての感謝を。
西田:どこに向かって?虚空に向かってなんですかね?
安倍:分からないです。多分、自分に言い聞かせているのかもしれないけど、よく分からないです。

ネットで調べると、安倍晋三氏は「神立の水」を愛飲しているそうです。
「神立の水」は慧光塾という経営者向けのコンサルタント会社と関係があり、慧光塾の内実は宗教だとのことです。

安倍晋三氏と安倍昭恵氏は、スピリチュアル・カルトとナショナリズム・神道原理主義が基盤にあるという点では似たもの夫婦だと思います。

テロ特措法どころではない安倍首相 霊視で組閣 「四人の神」 慧光塾

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「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(1)

2017年04月08日 | あやしい教え・考え

何年か前、ある会で安倍昭恵氏が挨拶をされるのを聴く機会がありました。
挨拶の途中、言い間違いをしたことに気づいた安倍昭恵氏は、「ごめんなさい。間違えました」と謝りました。
それで私は、この人は誠実な人だなと好感を持ったわけです。

安倍昭恵氏は、貧困、差別、LGBT、女性、子供、難民、原発、平和といった人権問題や社会問題に関わり、発言しているところに共感を持てます。
しかし、その一方で、『歴史通』で「アッキーのスマイル対談」を連載していたり、森友学園問題をめぐる発言や行動にはうなずけないものがあります。

毎日新聞にこんなことが書かれてありました。

強い自然志向でリベラル色をにじませる半面、神道や伝統を礼賛し、教育勅語を唱和させる籠池氏の塚本幼稚園(大阪市)に心を寄せる。昭恵氏の行動原理は分かりにくい。
 昭恵氏から指名を受けてインタビューをしたことのある東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は「イデオロギーや思想は感じられなかったが、直感的でスピリチュアルなものへの共感が強く、サブカル的、オカルト的なところがある不思議な人だった」と振り返る。「本人に悪意はなく、ありのままに生きているのだろうが、ある程度の政治的影響力があることを考えれば脇が甘かったと言えるだろう」と話した。(毎日新聞2017年3月24日


そこで、社会学者・西田亮介氏による安倍昭恵氏へのインタビュー(対談)である、BLOGOS編集部「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(2016年11月9日)を読んでみたら、安倍昭恵という人が何となくわかった気がしました。

「ある程度の政治的影響力がある」ということ。
松井三郎氏(京都大学名誉教授)が「アフリカにおける勿体ない実践成功例」という講演で、ケニアでエコサントイレを作ろうとして外務省と交渉したけどダメだったことを話しています。

外務省の役人はなかなか理解してくれなくてですね、えいやとばかりに、安倍夫人のところに、首相官邸に行きました。安倍夫人が会ってくれまして聞いてくれましたよ。あの人はすごいですね。その晩に首相と話をしてですね、首相からすぐ連絡が入ってですね、ぐるぐるっとまわって、今年予算がつきました。8000万円もらいましてですね。今年2つの村に入りましたけれども。あのご夫婦のホットラインはすごいですね。

エコサントイレの必要性は認めますが、鶴の一声で助成金を出す力が自分にはあることを安倍昭恵氏はどのように考えているのか。
森友学園にも「夫婦のホットライン」が使われたと思われても仕方ない。
すべて善意だとは思いますが。

「直感的」ということについて。

西田:まず、なぜぼくに興味をお持ちになられたのかということを伺いたいと思います。
安倍:「直感的にお会いしたいと思いました」っていうそれだけで。ほぼ直感で生きているので。
西田:「ほぼ」というのは、どういうことですか?
安倍:「深く考えないで」というか。何をするか考える時にも、「じゃぁ、これ!」みたいな感じで生きているので。

なるほど、と納得しました。
何も考えていないわけです。


安倍昭恵氏は自分の直感に自信を持っているようですが、直感の根拠は何かというと、「スピリチュアルなものへの共感」であり、「オカルト的」なものだという点がトホホです。

西田:麻や大麻には結構関心をお持ちになっていたんですか?
安倍:そうですね。
安倍:麻は、日本にとって伝統的でとても大事な、それこそ、神様と繋がっているもの。
谷崎:しめ縄でもそうですし、神道の儀式に必ず必要なもの。
安倍:なぜあれをずっと使っているかって、それなりに「波動の高い植物」だからだと、私は思うんです。
その神社の神事で使われている麻のほとんどが「中国産」になってしまっていて、ビニールでできたものあるんですね。それは大きな問題で、日本の根幹の神道の中で使われる麻は「国産」であるべきなんです。

どういう意味で「波動の高い植物」と言ってるのかということがありますが、物理学の用語としてではなく、スピリチュアルでの「波動」ということでしょう。
そして、「日本の根幹の神道」という発言から、安倍昭恵氏が神道原理主義者であることをうかがわせます。

森岡正博『生命観を問いなおす』によると、スピリチュアルとナショナリズムとエコロジーは重なり合っています。
安倍昭恵氏の中ではそれらは矛盾なく共存しているんだと思います。

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藤原弘達『創価学会を斬る』

2016年12月26日 | あやしい教え・考え

『創価学会を斬る』を書いた藤原弘達の夫人である光子さんは、『創価学会を斬る』の出版妨害に際に「あの時はダンボール箱に三箱以上の嫌がらせの投書が来ましたし、警察がうちの子供に警備をつけなくてはならないほど脅迫が相次ぎました」(「週刊新潮」2000年3月30日号)と語っています。
さらには、藤原弘達が亡くなった日、夜中じゅう、「おめでとうございます」という電話が続いたそうです。
『創価学会を斬る』の出版は1969年、藤原弘達が死んだのは1999年ですから、30年も経っているのにです。

図書館に『創価学会を斬る』があったので読んでみたら、創価学会の政治への関わりを主に問題にしており、教義についてはさほど触れられていません。

藤原弘達は創価学会の折伏についてこのように書いています。

折伏であるということで入れかわり立ちかわり押しかけてゆく。そして一種の洗脳がはじまるわけである。学会員にとっては、折伏こそ不可欠の宗教的義務であり、使命なのであるから、他人の都合など全くおかまいなしなのである。それも時には集団で押しかけるから、よほど意思強固、思想的立場のはっきりした人でないと、ズルズルと押し切られてしまうことになるようである。その際、現世利益をふりかざすのも彼等の常套手段である。


「折伏」の意味をネットで調べると、

1 仏語。悪人・悪法を打ち砕き、迷いを覚まさせること。摂受 (しょうじゅ) と共に衆生を仏法に導く手段。
2 転じて、執拗に説得して相手を自分の意見・方針に従わせること。

とあり、創価学会の折伏は二番目の意味だと、藤原弘達は考えているのでしょう。

『折伏教典』から引用しています。

個人の不幸、家庭の破滅、社会の悲劇、これらはすべて根本的には邪宗教に根源をもつ。逆にいうならば、正法を誹謗したり、正法を知らない罪により起こっているのである。

 

富士大石寺の大御本尊を拝まないものはすべて謗法である。

現在の創価学会会員は大石寺の御本尊を拝んでいないと思います。

池田大作『立正安国論講義』からの引用です。

相手のもつ邪法を打ち破り、邪見、偏見におおわれていた、清浄無染にして、力強い、尊厳極まりなき、妙法蓮華経という大生命をあらわさんがためである。これ最も相手を尊敬する行為であり、かつ生命の尊厳を基調とする民主主義の先駆をなすものではないか。しかもまた、いかなる迫害にも屈することなく一切衆生の幸福を願って忍耐強く折伏していくことは、最大の寛容ではないか。


藤原弘達の意見です。

彼等にいわせれば、折伏は慈悲の行為なのであるから、大いにそういうようにおどしあげたり、中傷することも、それぞれ慈悲の行為の変形として許されるという理屈になるのであろう。


『創価学会を斬る』の「創価学会・公明党七つの大罪」という章から、大罪を3つご紹介。
・時代錯誤(アナクロニズム)の罪

日蓮の段階で果たしえなかった一種の宗教改革をば、現代社会の条件に強引にあてはめようとする、はなはだしいアクロバット性に大きな問題があるということである。

これは日蓮原理主義ではないでしょうか。

時代錯誤と歴史性無視のマイナス面が、逆にこの宗教勢力の魅力になっている。


・他人を「ノロウ」ものの罪
他人に対する寛容性のなさを実例を挙げて批判しています。

創価学会教学部編になる『日蓮正宗創価学会批判を破す』という本の中に次のように書かれている。
「ちょっと前のことになりますが、学会の悪口をいっていた宗教学者の佐木秋夫氏がお山へ行きたいというので、戸田先生から案内するようにいわれて同行することになったのですが、出発の日に、東京駅で私が待っていたところ、佐木氏の方では、その前日でしたか『子どもが死んだから行けなくなった』というのですね。これは、ハッキリとした罰ですよ。そして帰ってきてからきいたのですが、佐木氏はイナカへ帰って、邪宗日蓮宗で葬式をだしたというのです。まるっきり、なっちゃいないですね。」(略)
 いったい創価学会は人間の死というものをなんと心得ているのであろうか。(略)創価学会を批判する人であったとはいえ、その人の子供の死を罰としてとらえ、しかもこれを当然視する態度はいったい何たることであろうか。

 

「御利益」とか「救い」というが、実は折伏そのものが、人の不幸につけこむものだと断定せざるをえない。
家族が死んだ、病気になった、破産した、クビになった、そうした不幸な人々のところにわざわざやってきて「それは邪教を信じているからだ。日蓮正宗を信じなさい」と説くわけだ。こうしたやり方にも、会員個々の主観的意図とは別に、人間性を無視した目的のためには手段を選ばないサディスティックな異常性を認めざるをえない。


・思考停止、愚民化誘導の罪

創価学会のもっている行動様式の中で、もっとも危険なものと考えられるのは、一種の盲目的服従を組織の原理にしているというところにある。

藤原弘達によると、創価学会の内部からは批判らしい批判が起こっていないそうです。
では、自民党の言いなりになって安保法制やカジノ法案などに賛成している現在の公明党に対する創価学会会員の批判はあるのでしょうか。

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佐々木閑『「律」に学ぶ生き方の智慧』

2016年12月22日 | あやしい教え・考え

佐々木閑『「律」に学ぶ生き方の智慧』に、「生き甲斐のための組織」が問題ある組織かどうか、律と照らし合わせて評価するチェックポイントが書かれています。
私なりにまとめてみました。

・運営の仕方
教団がどういう仕組みで運営しているか、規律がどういう手段で守られているか。
オウム真理教などは、教祖やその側近の恣意的な命令で決まり事が決定される。
統率者の個人的思惑で方向が決まる組織は暴走する可能性が高い。
しかし、サンガという組織を運営するためのマニュアルである律は、サンガのみんなで決めており、釈尊の命令ではない。

・勧誘の方法

どのように勧誘するかについての問題点は、藤原弘達『創価学会を斬る』からご紹介しますので、またまた次回をお楽しみに。

・入会の手続き

仏教のサンガは入会も脱会も自由で、やめたければ、「やめます」と言えば、それで脱会となる。
出たり入ったりを繰り返すことも構わない。
出家は我慢の道ではない。
自分の本当の居場所だと思い、修行生活が自分の進む道だと確信しているから、サンガにいる。
ただし、親の許しがないのに人を比丘・比丘尼にすることはできない。

また、生まれたときからサンガで生活する人はいない。

サンガのメンバーは一般社会の中で生まれ育ち、ある年齢に達してから自分の意志で入ってくる人たちである。
サンガの中で生まれたり、物心がついたらサンガのメンバーだったということはない。
宗教団体やコミューンには、オウム真理教のように家族ぐるみで加わるというスタイルのものがある。
すると、そこの価値観で育った子供は特定の固定化した物の見方しかできなくなり、一般人として普通の価値観で暮らす自由を子供たちから奪うという問題がある。

・信者の扱い

信者をどう扱おうとしているか、組織内の上下関係がいかなる基準によって決定されているか。
特定の人物の主観的な基準で決める組織や、競争主義で序列が決まる組織は、組織全体の勢力拡大を目的としている可能性が高い。
内部が厳しい上下関係で統制されているなら、個人よりも組織の発展やリーダーの面子を重視する全体主義的組織である。
サンガでの師弟関係は、修行の効率化という目的に沿った合理的なものである。
師匠と弟子との関係は、上の者が権力で下の者を支配することは許されない。

師匠と弟子との関係が理性的なものである以上、体罰が用いられることは決してない。

律は「いかなる理由があれ、僧侶が他者に暴力行為を働くことは許されない」と規定している。
ところが、日本の仏教ではこの原則が無視され、指導のために弟子を殴ることが違和感なく認められることがある。

このことで思うのが、仏教では苦行でも快楽でもない中道を説きます。
ところが、明治政府から僧侶の肉食妻帯が許されると、どの宗派の僧侶もいそいそと戒律を捨てました。
その一方で、釈尊が否定している苦行を行い、時には暴力を振るうこともあるように、ある面では厳しいというのも妙な話です。

・資金の獲得方法

組織の資金をどんな方法で獲得しているか、メンバーに負担をかけないように運営している組織か、生活に脅威を与えるほどの寄付を要求する組織か。
法外な寄付を要求するなら、必要以上の金銭を集める強欲な集団といえる。
オウム真理教は、出家者の個人資産すべてをオウム真理教に寄付させていた。
仏教の場合、出家する人が自分の財産をどう処理するかは、その人が決めることであって、サンガが口を出すことは決してない。

・社会との関係

教団と社会との関係をどう設定しているのか、公開されているか密室か。
生産活動を一切しないサンガが存続するためには、世間からの支援なしには運営が立ち行かないので、サンガ内部は常に開かれていた。
そのためには尊敬される姿を見せなければいけないので、最低限、世間から非難されることのない行儀作法を身につく行動マニュアルが律である。
世間での信用を失墜させる行為は御法度である。
オウム真理教は外部に自分たちの実態が漏れることを嫌い、教団を閉鎖的な秘密空間にした。

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