三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

橘木俊詔『日本の構造』(1)

2023年10月17日 | 

橘木俊詔『日本の構造』によると、日本は小さな政府の伝統があるそうです。

国民負担率は、国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合です。
アメリカが33.3%、日本の42.6%(2022年度は47.5%)、イギリスの46.5%。
アメリカはとても小さな政府の国である。
フランス67.1%、スウェーデン56.9%は大きな政府。
ちなみに、日本の一人あたりの国民所得は2019年に25位。

政府支出の対GNP比率を見ると、アメリカ、日本、スイス、オーストラリアは小さな政府。

アメリカは自立の精神がとても強いから、他人の助けには依存せず、政府に頼る気持ちが希薄なので、国民は政府のサービスを受ける気がさほどなく、政府も国民に福祉を提供する必要がないと考えている。

日本も福祉、介護、子供の養育・教育は家庭の責任という信念が強いので、政府に頼らない国民性がある。
そのため、政府は教育への支出が少なく、社会保障にあまり金を出さない。

女性(特に母子家庭)と男性、正規と非正規との賃金格差、保険や年金格差、教育格差などがあるが、格差は自己責任とされ、政府が格差を是正しなくてもいいと考える。

日本の企業は終身雇用、年功序列といった安定志向、平等志向があったが、今は市場主義、競争賛美と能力・実績主義へと変化している。
会社は社員を定年まで面倒を見ることをやめ、保険や年金を払いたくないので非正規が増えています。

格差はどうでしょうか。
日本は富裕層と貧困層の格差が存在する国になっている。
賃金だけでなく、教育格差、地域格差、健康格差にまで拡大しており、格差の是正が必要かどうか論争がある。

①所得格差
日本は地域間格差の大きい国で、地域による所得格差も開いている。
東京都の一人あたりの所得は543万円、2位の愛知県が369万円。
最下位の沖縄県が235万円と、東京都とは2.31倍の違いがある。

企業規模間格差が賃金でも格差を生じている。
大企業とは常用従業員数が1000人以上、中企業が100~900人、小企業が10~99人の企業である。

男性の平均月収は、大企業が38万7000円、中企業が32万1500円、小企業が29万2000円。
女性は、大企業が27万700円、中企業が24万4400円、小企業が22万3700円。

規模間格差が目立つのは日本、ドイツ、アメリカ。
イギリス、オランダ、デンマーク、フィンランドなどは賃金の企業規模間格差がほとんど存在しない。

所得格差の大きい国(アメリカ、ブラジル、南アフリカなど)では犯罪率が高い。
失業者が多くて、貧困率の高い国も犯罪率は高い。

②正規と非正規の格差
1992年は、女性の39.0%、男性の9.8%、男女計21.5%が非正規労働者だった。
ところが、2017年は女性の56.7%、男性の27.4%、男女計38.2%が非正規労働者となり、非正規雇用比率は4割に増えた。

男性の正規労働者で平均年収が561万円、非正規労働者で226万円、女性の正規労働者で389万円、非正規労働者で152万円である。
男女計だと、それぞれが503万円、175万円で、非正規の人の年収は正規の人の60%近く低い。

2021年の調査だと、正社員・正職員の賃金に対して正社員・正職員以外の賃金は男女計で平均67.0%の金額となってます。
https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/1093.html
しかも、非正規労働者は昇給がほとんどない。

母子家庭は圧倒的に非正規労働者が多い。
母子家庭の母親の収入は約243万円で、母子家庭の約半数は貧困である。

非正規労働者は賃金格差に加え、別の格差がある。
・週20時間未満の労働時間しかない非正規労働者は、各種の社会保険制度に加入できない。医療保険制度においては、被扶養人として働いている配偶者の保険に加入できるが、年金や失業に関しては不可能である。

・企業が経営不振に陥ったとき、最初に雇用打ち切りの対象になるのは非正規労働者である。しかも失業後に次の仕事を見つけるのも容易ではない。

・企業は非正規労働者に職業訓練の機会を与えないので、資質や生産性の向上が見られないこともある。

③結婚
結婚と収入は関係があります。
年収300万円未満の男性は、交際経験なしが33.6%。

結婚についても男女の考えの違いがあります。
再婚率は、女性の29~30%に対して、男性は44~59%。
これは女性が結婚生活はもうこりごりと思っているのに対して、男性は渋々離婚していることの説明になるし、独り身だと家事や子育てに苦労するので、再婚を希望することになる。

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