三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

輸血拒否と反ワクチン

2023年01月31日 | 陰謀論

お店などに入る際、「マスクをつけて下さい」と言われても拒む人がいます。
映画館でマスクをするように言われ、健康上と宗教上の理由でマスクはしないと言ってもめた人のツイッターを見ました。

映画館の責任者とのやりとりを見ていた息子が泣き始め、そんなの我慢してマスクくらいしていたらいい、そんなふうに言い合うのが恥ずかしい、(お母さん)1人の時にやればいい、もうやめてほしいと言って泣いたそうです。
https://twitter.com/high_non_sense/status/1611270336343068677/photo/1
この子供、カルト2世と似た状況にあると思います。

ニュージーランドで、緊急手術を必要としている生後4か月の乳児の両親が、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種者からの輸血を拒否しているため、手術が遅れ、当局が乳児の保護を求めて提訴した裁判がありました。

手術必要な乳児、裁判所が後見に ワクチン接種者からの輸血を両親が拒否 NZ
ニュージーランドで救命のために心臓手術を必要とする生後6カ月の男の子が、新型コロナウイルスワクチンを接種した人からの輸血を拒む両親のために手術ができず、高裁の判断で一時的に後見人の保護下に置かれた。
ニュージーランド高裁のイアン・ゴールト裁判官は7日、男の子が手術から回復するまで、裁判所が後見となって乳児を保護すると言い渡した。
さらに、手術と輸血に関する問題の監督者として医師2人を任命した。
男の子は心臓に先天性の疾患があり、救命のためには心臓手術を必要とする。しかし両親が、新型コロナのワクチンを接種していない人から提供された血液しか使わせないと主張したことで、手術が遅れていた。
ワクチンをめぐっては、世界で接種が始まった2年前から偽情報が拡散。両親は「ワクチンを接種した人の血中にはスパイクたんぱく質が存在し、そうしたたんぱく質が輸血に関連した予想外の死をもたらす」と主張していた。
両親は当初、家族が選んだ人物からの血液提供を求めていたが、輸血団体はワクチン接種者と未接種者の区別はしていないとしてこの求めに応じなかった。
男の子の治療と輸血について両親と医師の間で合意できなかったことから、ニュージーランド保健省は11月、児童保護の法律に基づき、治療のみを目的として一時的に男の子の後見人となる医師を任命するよう、裁判所に求めた。(CNN2022年12月8日)

https://www.cnn.co.jp/world/35197120.html
乳児は手術を終えたそうです。

ワクチン接種者の血液を輸血することと、手術をしないこと、どちらが死ぬ可能性が高いかというと後者でしょう。
でも、反ワクチン団体はアーダーン首相への抗議の声を上げています。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022120900679&g=int

1985年に起きたエホバの証人の輸血拒否事件を思い出しました。
自転車に乗っていた10歳の小学生がダンプカーと接触して両足骨折などで5時間後に死亡。
親が輸血を拒否したためです。

エホバの証人は聖書に説かれている教えに従わないと世界の終末後に天国に生まれて永遠の命を得ることができないと説きます。
輸血をすることによってこの世で数十年の人生を過ごすよりも、天国での永遠の生と子供との再会を両親は選んだわけです。

神による試練と考えたのかもしれません。
アブラハムの信仰を試そうとした神は息子のイサクを生け贄にするよう求め、アブラハムがイサクを殺そうとした時、神はとめたという話が旧約聖書にあります。

試練を乗り越えることによって信仰が一層深まるのでしょう。
父親は半年後に長女とともに洗礼を受け、1年後、「私の信仰心はあれからさらに強まった」と語っています。(大泉実成『説得 エホバの証人と輸血拒否事件』)

ペストが流行した1348年、マルセイユ周辺の村では、井戸に毒を入れたとしてユダヤ人を虐殺したことがジョン・ケリー『黒死病』に書かれています。
場所によっては改宗を迫ったが、ユダヤ人は死ぬほうを選んだ。
ある年代記。

母親はわが子にキリスト教の洗礼を受けさせるくらいなら死んだほうがましだといって、子供を炎のなかに投げこみ、それから自分も炎のなかに飛び込んで・・・夫や子供とともに焼け死んだ。


日本でも、拷問を受けても棄教せずに死を選んだキリシタンがいました。
山本博文「日本人の名誉心及び死生観と殉教」(竹内誠監修『外国人が見た近世日本』)によると、日本人のキリスト教信者の特質は、強固な信仰を持つ者は信仰を捨てるよりも命を捨てるほうがよいと信じ込んでいたことです。

殉教の勧めはイエズス会士らがキリストの教えとして持ち込んだもので、山本博文さんはその特徴を3つあげています。
①迫害は、神の教えが真実であることを示すために神がはかられたものであり、迫害の場で初めてそのものの信仰が真実であるかどうかが試される。
②棄教を迫られた時、口先だけでも神を否定することは、棄教することと同じである。
③殉教者になることは、神の前で高い地位に就くことになる。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/e/0023d74c95cd2f7500f856f60f17f140
これは、現世の命と永遠の命という2つの選択肢のうちどちらを選ぶかということですから、エホバの証人の輸血拒否と同じです。

教えに背いたら地獄に堕ちるという宗教信念によって死を選ぶ自由を認めるなら、三悪道に堕ちることを防ぐために殺人をするというオウム真理教のポアを肯定することになります。

坂本堤弁護士の言葉を紹介します。

1989年10月31日、オウム真理教の幹部が横浜法律事務所を訪れた。「われわれには信教の自由がある」との言に対して、坂本堤弁護士は「人を不幸にする自由はあり得ない」と切り返している。その3日後、坂本弁護士は家族とともに非業の最期を遂げ、この言葉が彼の遺言となった。

http://chikyuza.net/archives/121469

子供も「人」です。
親といえども子供を不幸にする自由はありません。
しかし、親は子供の幸福のためだと信じているわけです。
それに対してどういう論理で対抗したらいいのか難しい問題です。

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ジョン・ケリー『黒死病』

2023年01月23日 | 陰謀論

ジョン・ケリー『黒死病 ペストの中世史』は1447年から1450年にヨーロッパを襲ったペストの流行について書かれた本です。

ペストの死亡率は人口の30%、場所によっては50~60%が死んだとされる。
1343年~1450年、ヨーロッパの人口は、少なく見積もって30~40%、多くて60~70%を失った。

大勢の人が死亡したのはこの時だけではありません。
天然痘、インフルエンザ、赤痢、チフス、炭疽病などがくり返し流行し、人口の10~20%が死ぬこともあった。

また、地震、洪水、大雨、強風などの天候異変による災害で飢饉になることがしばしばだった。
13世紀末から次第に寒冷化し、1315~1322年には長雨と低温のために凶作が続いて大飢饉となり、イングランドの人口6~700万人のうち50万人が死亡。
ビタミン欠乏症、麦角中毒、発疹チフスなど様々な病気でも大勢が死んでいます。

飢饉とペストの流行は関係があるジョン・ケリーは書いています。
ペストが大流行する前には飢饉や伝染病の流行がありました。
胎児期や幼児期の栄養不良は免疫系の発達を阻害し、病気にかかりやすくなる。

2014年から2016年にかけて、ギニア、リベリア、シエラネオでエボラ出血熱が流行しましたが、リベリアでは1989年から2003年、シエラネオでは1991年から2002年に内戦が起きています。
内戦がエボラ出血熱流行の要因の一つかもしれません。

当時の衛生状態はひどいものでした。
ロンドンやパリといった都会でも、豚、牛、馬、羊、鶏、犬などが飼われていたし、ゴミや糞尿が大量に捨てられ、悪臭に満ちていた。
人々は服を着替えず、風呂にも入らない。
ネズミやノミが好む状態だったわけです。

当時の人はなぜペストで大勢が死ぬのかわかりませんでした。
鞭打ち行者が自分の罪を償うために自分自身を鞭打った。
これは苦行による滅罪で、神の怒り(ペストの流行)を和らげるためだったそうです。

ユダヤ人の陰謀と考える人たちもいました。
ペストの流行が広がると、ユダヤ人が井戸に毒を投げこんだなどの噂が流れ、各地でユダヤ人が虐殺された。

1348年11月には、フランス東部の情報通のあいだでは、ペストの原因が神の怒りでも汚染された空気でもなく、世界制覇をもくろむユダヤ人の国際的陰謀だということを知らない者はいなかった。

ユダヤ人も大勢死んでいるだろうに、どうしてユダヤ人の陰謀と思ったのでしょうか。

ヨーロッパ中世のキリスト教徒は悪いことが起こると常にユダヤ人に罪があると考えた。
ユダヤ人は金貸しをしているので金を持っており、それを奪うのも虐殺をする理由の一つだった。

1321年2月の大雪の後、フランスではらい患者が皆殺しにされた。
フランス国王に新しい王をすえ、男爵や伯爵も新しくしようというライ患者の、企みが明るみに出たためだという。
ライ患者は灰色か黒の服を着て、警戒を促すガラガラを持たなければいけなかった。
ユダヤ人とムスリムが盟約を結び、井戸に毒を入れるようライ患者を雇った。

ユダヤ人は儀式のために子供を殺しているという噂も流れた。
ディープステートという世界征服をたくらむ闇の組織の存在を信じる人は、彼らは小児性愛者だと言い、子供が行方不明になると、やっぱりと思うようです。

細菌やウイルスの存在を知らない中世の人がユダヤ人の陰謀だと信じたのは仕方ないかもしれません。
では、科学知識のあるはずの現代で、反コロナ、反ワクチンの荒唐無稽な陰謀論を信じる人が少なくないのはどうしてでしょうか。

ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕 議事堂襲撃を画策と
ドイツ連邦検察は7日、政府転覆を図ったとして、25人を逮捕したと発表した。貴族の末裔や極右関係者、元軍人、ロシア人女性、陰謀論「Qアノン」の信奉者などで構成されるグループが、連邦議会議事堂を襲撃し、政権を奪取するつもりだったという。(BBCニュース2022年12月8日)

https://www.bbc.com/japanese/63884601

陰謀論者はバカだと笑ってすますわけにはいきません。
反ワクチン、反マスクの信者も過激な行動していますし。

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反マスクとエボラ出血熱陰謀論(2)

2022年12月05日 | 陰謀論

上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は世界のあちこちに行って、現地の人が食べているものをリポートする番組を書籍化した本です。

リベリアの首都モンロビアの市場で猿やコウモリの肉を見かけて驚く。
https://www.tv-tokyo.co.jp/hyperhard/article/?id=019873

2014年から2015年の1年間、リベリア、ギニア、シエラレオネを中心にエボラ出血熱が流行し、死者は1万1千人以上だった。
リベリアでは2014年から2016年に症例数が10675人、そのうち4809人が死亡し、致死率45%。
エボラ出血熱には予防ワクチンも治療薬もない。

大流行の原因の一つと言われているのが野生獣食文化。
野生獣の肉はエボラ出血熱のウィルスを媒介するので、野生獣の取引は禁止されている。
ところが、市場で猿やコウモリの肉を売っていた。

店のおばさんに尋ねる。

上出「エボラは大丈夫?」
おばさん「エボラなんて無いんだよ。私たちはしょっちゅう猿でもコウモリでも食べてる。エボラっていうのは、外国の連中が勝手に言ってるだけなんだから。心配いらないんだよ」

客も「エボラなんて存在しない」と言ってる。
死屍累々だった1年前の光景をもってしても、外国の嘘とする。

感染して生還した22歳の女性もエボラ出血熱を否定しています。

最初は私がエボラなんて思わなかった。突然救急車が来て連れていかれたんだ。誰かが通報したんだと思う。(略)
祖母も母も死んだ。妹も死んだ。みんな死んで、自分だけ生き残った。


どうして生き残ることができたのか。

女性「私だけは、病院で出された薬を飲まなかったんだ」
上出「拒否したってこと?」
女性「飲んだふりをして、全て捨てた」
上出「それで生き残ったの? 薬が悪いってこと?」
女性「絶対そうだよ。祖母も母も妹も、みんな医者に言われるまま薬を飲んで死んでいったんだ」


母の妹もこう言う。

エボラで死ぬなんていうのは嘘。私はエボラなんて怖くない。(略)
私は姉の看病もした。ずっと一緒にいたし、トイレの世話もしたけどなんともなかった。だけど姉は病院に連れていかれて死んだんだ。


「コロナは存在しない」と同じです。
病気そのもので死ぬことはなく、治療という名目で投与された薬剤によって死に至るということ、ワクチンを打ったら死ぬという主張とこれまた一緒。

それらが示すのは、壮大な陰謀論の存在だった。何種もの説が渾然一体となり、何がなんだかわからないまま国民は疑心暗鬼に陥っていた。西アフリカ諸国で採れるダイヤモンドや石油資源を奪うべく、先進国が軍隊を投入する正当な理由を作るためにウイルスをばらまいたとする説や、〝食人儀式のための口実(それが何を意味するのか僕にもわからない)〟のためにウイルスをばらまいたとする説など様々だが、共通していたのはエボラが〝その治療としての投薬によってのみ感染する生物兵器〟であると主張する点だ。この現象はかつて世界を凍りつかせたエイズ陰謀論とよく似て見える。ただしエボラ陰謀論がそれと違ったのは、多くの国民が迷妄に囚われて積極的かつ具体的な行動をとったことだろう。


人々が隔離施設を襲撃した。

高校が、エボラ出血熱の臨時隔離施設となっていた。ある日、スラムに暮らす数百人が棍棒などで武装し施設を襲撃。「エボラは存在しない」と口々に叫びながら、血のついたマットレスや医療機器を収奪した。この時、施設に収容されていた感染者17人は逃亡し、そのまま行方をくらませた。

日本でも神真都Q会がワクチン接種会場に押し入って逮捕されています。

リベリアはアメリカの解放奴隷が建国した国です。

アメリカラブなはずの国民も、根っこには先進国に対する深刻な不信感を抱いていることが見て取れた。被害者意識が内在化して、拗らせて強者に縋りつつ、同時にいつ裏切られるかも知れぬと怯えている。それがこの国の人々の姿なのかもしれない。

アメリカに対する日本人の複雑な感情と似ているように思います。

反ワクチンの人の中には、mRNAワクチンだけでなく、あらゆるワクチンを否定する人もいます。
天然痘や小児マヒのワクチンもダメなんでしょうか。

陰謀論者は自分の考えに都合の悪い質問には無視します。
ですから、妄想の世界に住んでいる陰謀論者を説得するのは困難です。

コロナは風邪と同じというので何の対策を取らず、ワクチンの開発もしなかったなら、スペイン風邪の流行時と同じ状態になったのではないでしょうか。

スペイン風邪の時(1918年~1920年)、世界の人口は18億人で、感染者数は6億人、死亡者はに2000万~4000万人で、致死率は3.4~6.7%でした。
世界の人間の1~2%がスペイン風邪によって死亡したわけです。
2020年9月、新型コロナウイルスの世界の致死率は3,3%ですから、スペイン風邪と同じくらい。
現在の人口は80億だから、1%が死亡すると8000万人です。

マラリアの死者は年間100万人以上だそうです。
新型コロナウイルスによる死亡者数も慣れたら何とも思わなくなるかもしれません。

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反マスクとエボラ出血熱陰謀論(1)

2022年11月29日 | 陰謀論

ネットを見てたら、反マスクの人が少なくないのに驚きます。
しかし、毎日新聞の世論調査(2022年11月22日)によると、「新型コロナウイルス対策のマスク着用をどう思うか」という質問に、
「これからも着用を続けたい」53%
「そろそろ外す機会を増やしたい」43%
「マスクはしていない」3%
https://mainichi.jp/articles/20221122/ddm/002/010/086000c
マスクをしない人は少数派です。

なぜ反マスクなのか。
・新型コロナウイルスの毒性はインフルエンザと変わらない。欧米ではマスクをする人はほとんどいない。
60歳未満では重症化率、致死率ともに季節性インフルエンザと同じくらいですから、もっともな意見と思えます。
しかし、60歳以上では季節性インフルエンザの3~4倍の重症化率、致死率です。
人と話をする時などはマスクをつけたほうがいいと思います。

・マスクをするのは身体に悪い。
反マスク派の考えはこちらでしょう。
マスクが身体にどのように悪いのか、そこらがはっきり指摘していないように思います。
夏には熱中症になると言ってましたが、冬だと問題はないはずです。
マスクをしても感染を防げないとも言われます。
ネットを調べると、マスクは飛沫感染をある程度防げるそうです。

・マスクは世界征服をたくらむ秘密組織の陰謀。
これは論外ですが、反マスク派の人は「コロナは存在しない」「ワクチンは毒」という反コロナ、反ワクチンでもあるようです。

全国有志医師の会というのがあり、「新型コロナワクチン接種事業の即時中止を強く求めます」とのことです。
医師347人、歯科医師150人、獣医師56人、その他の医療従事者720人 合計1273人とありますから、「医師の会」というより「医療従事者の会」です。
https://vmed.jp/
ワクチンを接種しない人、マスクをしない人が増えそうな気がします。

批判したツイッターです。
https://twitter.com/high_non_sense/status/1596882261898858497
全国有志医師の会には、波動医学、ナノオゾン水、Oリングテストなど疑似科学とされるものを医療に使っている医師がいるそうです。

左巻健男『陰謀論とニセ科学』にこんなことが書かれています。

インチキ治療でお金を巻き上げる医師やクリニック。根拠はないのに健康に良いと信じ込ませて儲ける健康系商品販売業者など、世には陰謀論やニセ科学を信じさせて金儲けをする人たちが大勢います。

たとえば、Oリングテスト、波動測定器、ニセ科学的水商品など。
ニセ医学でだまそうとする商品には、その説明にいくつかのキーワードが見られる。
波動、抗酸化作用、エネルギー、活性化、免疫力、万能など。

トム・クイン『人類対インフルエンザ』の原著は2008年の出版。
新型コロナウィルスの大流行と、それに伴う医療崩壊を予言しています。

現在では、鳥インフルエンザウイルスと豚インフルエンザウイルスが大きな脅威と見なされている。しかし将来パンデミックの中心となるのは、それらのウイルスがヒトインフルエンザウイルスと複雑に混じり合ったものであることは、ほぼ間違いない。大都市には人間がかつてないほど密集しているため、そんなウイルスの格好の標的となりやすい。しかも新型インフルエンザとなると、人間には全く免疫がない可能性もある。
パンデミックを引き起こすウイルスが誕生しやすいのは、鳥や豚などの家畜が密集しているそばに、大勢の人間が住んでいるような地域である。きわめて厄介なことに、世界にはこのような地域がいくつかある。とりわけ懸念されているのが中国南部だ。この地域では、人間が大量の鳥と生活空間を共有している。そのため、鳥インフルエンザウイルスが種の壁を飛び越えて人間に感染する危険がきわめて高い。すべてとは言わないが、非常に致死率の高い新型インフルエンザウイルスの大半が、この地域で生まれているものと思われる。

インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスとは別のウイルスですが、パンデミックが中国で起きる可能性があると、以前から指摘されていたそうです。

人類はまだ、この鳥インフルエンザに対する歴史的免疫がない。鳥インフルエンザウイルスが鳥から人間へ伝染するだけでなく、人から人へ伝染するようなウイルスに変異したら、スペイン風邪をはるかに上回る大惨事を招く恐れがある。


医療崩壊の危険性も警告しています。

日本を含むほとんどの先進国では、ここ50年以上、大規模な救急医療サービスを設ける必要がなかった。そのため、こうしたサービスを円滑に機能させるために必要な技術や知識が不足している。今から救急病院のネットワークを整備しておくことが急務だろう。

ところが、日本では病院や保健所の統合がなされていました。

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ネトウヨと陰謀論

2022年08月19日 | 陰謀論

Kヒロ「「東京ドームに押しかけて接種妨害」反ワクチン団体に参加しているのはどんな人々なのか」(プレジデントオンライン2022年3月31日)にこうあります。

ノーマスクで反ワクチンを訴える陰謀論団体が新型コロナウイルスワクチンの接種会場となった東京ドームに押しかけ、開場を2時間近く遅らせた騒動があった。(略)
彼らはワクチンを批判する情報に感化されて反ワクチン派になったのではない。まず知的エリートへの劣等感や医療への不信感があり、そうした感情を正当化したり肯定したりしてくれるものとしてワクチン害悪論や陰謀論に引き寄せられた面が大きいのではないか。

https://president.jp/articles/-/56072?page=1

この記事からワクチン陰謀論を信じる人たちの特徴をいくつかあげてみます。
①反知性
「専門家の説明はわからないことが多くて頭に入らない。聞きたくなかった」

②反権威
「尾身さん(尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)のことが気に入らない人はみんな、『偉そうに指図しやがって』と思っている」

③被害者意識
「専門家に『間違っている』と言われる」
「どうして嫌みを言われていじめられなくてはいけなかったのか」

④承認欲求
「『反ワクチンの先生たちは自分たちをわかってくれている』という信頼感がすごい。わかってもらえたり認めてもらえたりした経験がきっかけで、深入りしていったみたいです」(家族が反ワクチン派の女性)

⑤敵
ワクチン害悪論や陰謀論には、大抵「敵」が設定されている。金もうけをする製薬会社や医師、世界を支配しようとする権力者や民族などさまざまだが、神真都Qの場合は「悪い宇宙人」が敵だ。

⑥仲間
敵と闘う仲間同士が助け合い、尊重し合うことで、それぞれの自尊心が満たされる。

⑦居場所
「この世界は自分の目に見えたままに存在している」と信じ、これがすべての人が共有している世界と疑わない人々が世の中にはいる。世界観が狭く、多面的で複雑な情報を処理できない。自分の感覚がすべてで、自分と違う価値観や知識を持つ人を受け入れられない。神真都Qはこうした人々に、いま目に見えている世界の意味と解釈を初めて与えたのだ。

これらの特徴はネトウヨと共通していると思います。
たとえば敵です。
日本をおとしめたり、他国の属国にしようとたくらむ個人・組織・国家があるという陰謀論的な主張がネトウヨには見られます。

GHQが主導した戦後教育によって日本人は自虐史観をすり込まれたいった考えです。
WGIP(War Guilt Information Program)はGHQの情報政策で、ウォー・ギルト工作などと訳されます。
石戸諭『ルポ百田尚樹現象』によると、右派論壇では「第二次大戦について、日本人に罪悪感を持たせるための洗脳工作」といった趣旨で使われることが多いそうです。

百田尚樹は、戦後教育を受けた世代の間で時限爆弾のようにじわじわと浸透していったという解釈を披露している。
洗脳された世代が自虐史観に囚われ、日本国憲法を賛美した。
彼らがメディアを牛耳り、反日報道をリードしていく。
この手の言説の源流は江藤淳にある。

WGIPについて、賀茂道子名古屋大学特任講師はこのように説明している。

80年代に「自虐史観」という言葉が広がってから、WGIPも広がるようになりました。ですが、占領期の多くの史料を見ると、そもそもWGIPという言葉はGHQの一文書にしか使われていないものです。


右派が根拠とする文書は、日本人に東条英機を賛美する動きがあることを理由に「新たな施策を行うべきだ」という勧告にすぎない。
さらに、勧告に沿った施策は大半が実行されなかった。

2016年、平成天皇がフィリピン出発時に発表した「おことば」に、「フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては、膨大な数に及ぶ無辜のフィリピン市民が犠牲になりました」とある。

ところが、マニラ戦では民間人の犠牲者は10万人に達したことなどを多くの人は知りません。

GHQによる洗脳が成功していれば、そして百田史観が正しければ、戦後教育を受けた世代以降で、マニラで起きたこと、捕虜虐待が語り継がれているはずだ。


反日勢力が教育行政やメディアを支配しているなら、とっくに反日勢力が政権を取っていると思うのですが。
統一協会は自民党の政治家と深い関係にあるわけですから、統一協会が日本支配をたくらんでいるほうがあり得そうです。

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ロシアのウクライナ侵攻と陰謀論(2)

2022年04月27日 | 陰謀論

トランプ前大統領もロシアのウクライナ侵攻はアメリカの挑発が原因だと言っています。

「プーチンを援護射撃するトランプ氏とフォックス・ニュース(JBpress2022年4月18日)
「米国内にはウラジーミル・プーチン露大統領のウクライナ侵攻を「支持」する者がいる。
ドナルド・トランプ前大統領と同氏を支持する保守派フォックス・ニュースだ。(略)
トランプ氏はこれまで「ロシアがウクライナに侵攻したのは、ウクライナをNATO加盟させようとしたのが原因だ」という主張を繰り返してきた」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e841f3c3716b595f0af11216792c034a66524b61?page=3

この記事で気になるのが、ロシアとの取引を続けたい産業界はプーチン大統領を支持しているということです。
これは地球温暖化を認めない企業もそうなのですが、目先の利益しか考えていない人たちが自分の利益のために陰謀論をまき散らしているわけです。

三井誠『ルポ人は科学が苦手』に、20世紀後半から、規制を嫌う産業界と中絶に反対するキリスト教福音派が結びついて反科学勢力となり、共和党に大きな影響力を持つようになったとあります。
キリスト教福音派もロシア支持だそうです。

真鍋厚「ロシア情報戦に「Qアノン・反ワクチン」が接近…人が自らフェイクを求める理由とは?社会への不信の行き先」(ウィズニュース2022年3月25日)
「反ワクチンや福音主義者、極右などコロナに懐疑的なグループにおいて、ウクライナ侵攻をディープステートへの攻撃と称賛する陰謀論であふれかえっている。(略)
宗教学者のアンシア・バトラーは、アメリカの福音主義者たちが「イスラム教徒に対する強硬姿勢や、何よりも反LGBTQを掲げているロシア大統領に長い間惹かれてきた」事実に触れ、「プーチンの国家、家族、教会(この例ではロシア正教会)についてのレトリックは多くの人を魅了し、ここアメリカでも同様の政治的行動をとるように駆り立てた」と述べます。(略)
アメリカにおいては宗教右派、福音派のような人々にとって、バイデン大統領率いるアメリカ政府とウクライナが悪巧みをしているという情報は、真偽に関わらず大変好都合なのです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/4ace954403d39b36588ad92520a9f457b3ec2cff

なぜロシアはウクライナに侵攻したのか、真鍋厚さんは「ウクライナ侵攻がコロナワクチンの被害から目を逸らさせるためにアメリカ政府が作り出したという陰謀論が意図的にまき散らされていた」と紹介しています。
「トニー・ラエリアン」は、ディープステートがロシア経済を支配するためという考えです。

「「ウクライナ危機」の裏 堤未果の緊急解説講座の一部を公開!」(2022年3月25日)
●ディープステイト・DS側は、ロシアの支配の乗り出し、ロシアの民営化を推し進めた。プーチンは、このグローバル企業のロシア侵略の真の目的を知り、海外資本を追い出し、ロシアの資源など、ロシアが取り戻した。
●プーチンがロシア民営化を潰したことを受けて、周到なプーチン潰しが始まった。
●ウクライナはそのための「道具」となった。
●ディープステイト・DS側が、その国を支配する時に、IMF(国際通貨基金)が使われる。いわゆる国家間の銀行。金貸し。ウクライナに対し、お金を融資して欲しいなら、ウクライナを民営化しろと迫る。お金を借りてしまうと、もはや、ウクライナの主要企業なども、支配されてしまうという構図。
https://ameblo.jp/tony-9/entry-12733741523.html

これはまるっきりの嘘ではないと思います。
ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』は新自由主義の信奉者が何をしてきたかが書かれています。

アメリカ政府とグローバル企業は、戦争や自然災害、政変などの危機につけこんだり、内乱を起こすことで、過激な市場主義経済改革を強行し、アメリカとグローバル企業がその国の経済を乗っ取ってきた。
IMFや世界銀行も彼らに加担しており、IMFの勧告に従わないと、融資は止まり、為替は暴落する。
国営企業を民営化し、自分たちが利益を独占した。
国民には還元されないので、失業率が上昇して貧困層が増え、格差は拡大した。
自由を制限し、抗議行動を弾圧した。

チリのピノチェトら南米の軍事政権、アパルトヘイト後の南アフリカ、アジア経済危機、イラク戦争、ソ連崩壊後のロシアなどがその例です。
ですから、ロシア経済を自分たちのものにするためにプーチンの失脚を画策する勢力があるとは思います。

しかし、堤未果さんがディープステートに言及しているかはわかりませんが、ロシアのウクライナ侵攻の背後にディープステートがいて、トランプとプーチンはディープステートの世界支配に立ち向かう光の戦士だとなると、これは妄想です。
習近平や金正恩も光の戦士とされるかもしれません。

4月7日、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種会場に押し入って逮捕された人たちは神真都Qのメンバーだそうです。
https://www.sankei.com/article/20220407-TIFBBSTOLNKBXK4AAX3CCG3RFA/

神真都Q会結成宣言
http://urx3.nu/6rwh

陰謀論者がこうした行動を取るようになると、どんな考えを持とうが思想・信条の自由だとは言えなくなってしまいます。

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ロシアのウクライナ侵攻と陰謀論(1)

2022年04月19日 | 陰謀論

今年2月、呉市会議員が旅客機に搭乗した際、マスク着用を拒んだため、離陸前に飛行機から降ろされました。
この市会議員は3月には、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、平和的解決を求める呉市議会の決議案を、採決前の反対討論で「現地の人々はロシア軍により解放されたと喜んでいるとの情報も届いている」などと主張して、反対票を投じています。

このことの是非はともかく、反コロナ・反ワクチンの人は、コロナだけでなく、ロシアのウクライナ侵攻もでっち上げだと考え、プーチン大統領を支持しているようです。
「親露アカウントの9割、過去に反ワクチン関連ツイート 東大大学院教授分析」(産経新聞2022年4月20日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3db921df5b73181fbafec5fec6044bab9e8533fc

ロシアに対する陰謀には3つの考えがあると思います。
・ロシアはウクライナに侵攻していない。ウクライナの自作自演。
・ウクライナのロシア系住民が極右民族主義者、ネオナチによって虐殺されており、ロシアは虐殺を防ぐためウクライナに侵攻した。
・プーチン大統領はアメリカに挑発されてウクライナを攻撃した。

ロシアは侵攻したのか、していないのか、真逆の主張なのですが、陰謀論の常として陰謀論者はそんなことは気にしません。

まず、ロシアはウクライナを攻撃していないということ。
「ロシア、ウクライナでの民間人殺害を断固否定 映像は米国の策略」(Reuters2022年4月4日)
「ブチャにおける民間人とみられる多数の遺体の写真や映像について、ロシアを非難するための策略で、米国の「指示」によるものだと主張した」
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-bucha-zakharova-idJPKCN2LW0I0

「ウクライナに飛び込み撮影した男性が公表しました。追記」(「トニー・ラエリアン」2022年3月22日)
「キエフ市内を歩いていて、戦闘の証拠を見つけることが出来ません。キエフの町は、映画のセットとなっています。廃車などが戦闘の小道具として置かれています」
ブログ主のコメント
「ウクライナに入った米FOXテレビの取材班が狙撃され、カメラマンが射殺された理由が分かるようです。FOXテレビは、ロシアの言っていることは真実だと、タブーを破って、アメリカのテレビで報道しました」
http://u0u1.net/wPj0

ニュースやツイッターなどで見るロシアの空爆や破壊された街の映像などは作られたものだそうです、
FOXテレビについては後に触れます。

「トニー・ラエリアン」というブログ名は、宇宙人のメッセージを全人類に伝えようとしているラエリアン・ムーブメントと関係があるのでしょうか。
他の記事を見ると、反コロナ・反ワクチンの立場です。

日本経済新聞編集局長も「ロシア軍が原発攻撃って誰が言ってるんだ。分かんないだろ。(ウクライナ側の)自作自演の可能性もある」と言っています。
https://bunshun.jp/denshiban/articles/b2674

こうした「戦争はメディアの捏造だ」「役者やCGによって創作されている」「欧米諸国が誇張している」という主張をBBCが検証した記事です。
シャヤン・サルダリザデフ「ウクライナ侵攻は「でっちあげ」というネットの偽情報」(BBCニュース2022年3月8日)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60657780

都市が廃墟と化していないなら、戦争終結後にバレてしまいます。
450万人以上もの国外避難民がエキストラなら、誰かが「お金をもらった」と言いそうです。
あり得ない話だと思うのですが。

ロシア系住民がウクライナ軍によって虐殺されているということ。
「ウクライナ危機、フランス人ジャーナリストが証言「ウクライナを爆撃しているのはロシア軍ではない」(CNEWS2022年3月1日)
https://www.youtube.com/watch?v=V1rffL9EEOM

ロシアが占領しているドンバス地方にウクライナが空爆しているという訴えです。
呉市会議員が言う「現地の人々はロシア軍により解放されたと喜んでいる」のはドンバス地方のことであり、「現地の人」とはロシア系住民だと思います。
2014年に始まったドンバス戦争が現在も続いていることを私は知りませんでした。
しかし、ウクライナがドンバス地方が爆撃していたとしても、ロシアの侵攻が正当化されるわけではないのはもちろんです。

アメリカがロシアを挑発したということ。
古谷経衡さんに届く「一方的にプーチンが悪いとか、ロシアが悪いと言わないでください!」というメッセージには、馬渕睦夫元駐ウクライナ大使の対談が引用されているそうです。

古谷経衡「「プーチンさんを悪く言わないで!」という”陰謀論”動画の正体」(2022年3月4日)
馬渕睦夫「ヒトラーが世界制覇を狙ってるとかって言ってね、ヒトラーを倒せということで、アメリカとイギリス、フランスもいましたけど組んで、とにかくヒトラーを挑発したわけですね。で、ポーランドに最終的には侵攻させてね。
その侵攻の直接の原因になったのは、ポーランドの西側って旧ドイツ領ですからね、ドイツ人がたくさん住んでいるんですよ。そこでポーランド政府側がドイツ人の虐殺をやったんですよ。だから結局ヒトラーも追い詰められて、侵攻せざるを得なかった。同じことが行われている。まずそうやって挑発させてね、東ウクライナでね、ロシア人を虐殺する。そうするとプーチンだって黙っていられない訳ですよ」
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20220304-00284877
太平洋戦争はルーズベルトが仕掛けたという陰謀論が根強くありますが、ヒトラーも挑発されて、やむを得ずポーランドに侵攻したという説は初めて知りました。

馬渕睦夫さんはロシアのウクライナ侵攻自体は否定していないようです。
誰がロシアの侵攻という嘘をでっち上げたのか、もしくは挑発してウクライナを攻撃させたのか、馬渕睦夫さんによると、おなじみのディープステート(=バイデン大統領たち)です。

馬渕睦夫さんは「ユダヤ系が結局、ソ連が崩壊して、あたらめてロシアの実権を握ったと。で、それに対して彼らの手からロシア人の手に取り戻したのがプーチン大統領なんですね(笑)。ということはいまトランプ大統領が、ディープステートの手から自分たちの手に、つまりアメリカのピープルの手にアメリカ政治を取り戻そうとしているのと、同じ構図なんです」とも語っています。

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地球温暖化と陰謀論(3)

2021年09月11日 | 陰謀論

地球は温暖化しているか、温暖化しているとして原因は何か、どういう影響があるかなどについて、どの意見が正しいかは素人にはわかりません。
とはいえ、地球温暖化肯定論の背景には陰謀があるという考えはおかしいことはわかります。

渋谷で若者対象ワクチン接種に朝から大行列というニュースに対し、ワクチン反対派の人たちがエキストラだとツイートしています。
http://urx3.nu/QRXg
陰謀論者の想像力には驚くばかりです。

ワクチン陰謀論者の主張は矛盾に満ちているし、人によって考えも違っています。
だからといって、陰謀論者の間で論争があるわけでもないようです。
これはなぜなのか不思議だったのですが、ナカイサヤカさんによると、解釈の相違にすぎないそうです。

國枝すみれ「新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか」

ワクチン反対派の一部が、トランプ前米大統領の選挙での敗北を認めずに連邦議会議事堂に突入した陰謀論者「Qアノン」に合流していくのだ。白人至上主義者や、政界などが小児性愛者に操られていると信じる人たち、そしてワクチン反対派が、一つの傘の下に集まる。寄せ集めで主張もまとまりがなさそうなのに、「Q」がネットで発する文脈を共有することで共存する現象が起きている。なぜだろう。
「コミュニティー型だからでしょう。Qアノンは、与えられた言説を信じるのではなく、Qという人物の謎かけに対して、ああでもない、こうでもない、と自分たちで回答を考える集団です。自分たちが編み出した答えだから、どんな内容であってもそれは正しいのです。答えが千差万別であっても、それは解釈の相違なのです」

https://mainichi.jp/articles/20210707/k00/00m/040/134000c

池内了『疑似科学入門』にこうあります。
政治家は信用できない、大手企業は自分たちの利益しか考えない、メディアの伝える情報は歪んでいると我々は思いがちだ。

途上国開発や、巨額な予算の使い道や、企業の不正に対して私たちが憤るのは大事なことだ。その怒りをまっとうにぶつければ実のある成果が得られるだろう。なのになぜか怒りの矛先が的を外れ、子供じみた空想と結びついてしまった。「巨大製薬会社は悪だから代替医療のほうがいい」と考えるのと同じくらい浅はかで短絡的である。


代替医療についてもナカイサヤカさんの説明が参考になります。

「代替医療やマルチ商法も反ワクチン派の温床です。代替医療にとって、治らない病気を抱える人はいつまでも通い続けてくれる上客です。代替医療やマルチ商法に取り込まれると、ちゃんとした医者に行かなくなるので、客の囲い込みになるのです」


ワクチンに反対している人の中には、真面目に否定している人ばかりではなく、金儲けのためにウソを垂れ流している人もいるようです。
ロバート・ケネディの息子ロバート・ケネディ・ジュニアも反ワクチン派だそうです。
「米国民に広がる接種の抵抗感、なぜ…? 著名な反ワクチン活動家・ケネディ氏に聞く」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/76341

しかし、ロバート・ケネディ・ジュニアは反ワクチンで294万ドル稼いだそうです。
「「反ワクチン」が産業に 収益40億円、雇用も生み出す―NGO」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081200307&g=int

池内了さんはこのようにも書いています。

地球環境問題の否定派は、それだけを見れば真っ当な意見を述べる。(あるいは、真っ当な点のみを取り上げる。)間違ってはいないのだ。そして逆に、肯定派が犯した間違いや盲点をついて、いかにも環境問題は誤認の上で騒いでいるに過ぎないという印象を与えることに腐心する。非常に巧みな戦術である。

歴史修正主義者の手口がそうです。

池内了さんによると、環境問題などないと主張する理由の一つは責任逃れです。

環境問題は存在しないと批判している人の意見にも聞くべきところはある。かれらの言うことは部分的には正しいのだ。しかし、環境問題に責任を感じなくてもよいと安心させてくれるため支持されている側面も忘れてはならない。環境問題に人間が関係していることは間違いなく、それを免除するかのような意見を一面的に受け取るのは危険なのである。

「環境問題に責任を感じなくてもよいと安心させてくれる」ということが重要です。

グレタ・トゥーンベリさんは中国の手先とみなされているそうです。
志葉玲「「グレタさんは中国を批判しない」は本当?―10億人の子ども達が直面する危機とは」

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんについて、日本テレビが「グレタさん“日本は世界の子ども苦しめる”」と題した記事を今月21日に配信したことが、一部ネット上で論議を呼んでいる。ツイッターなどでは、右派/保守系層を中心に、最大の温室効果ガス排出国である中国をせず、日本を名指しするのはおかしいとの投稿が相次いだが、実際にはグレタさんは日本だけを名指ししたわけではない。日テレの記事タイトルにも問題があるが、グレタさんに「中国の手先」とのレッテルを貼ることで、温暖化防止に対する自国の責任をうやむやにしようとする、日本のネット上の風潮もおかしいのだろう。

志葉玲さんは門田隆将の「スポンサーと噂される中国に益々肩入れ(?)のグレタさん。立派な大人になりましたね。」というツイートを引用しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20210830-00255727

「温暖化防止に対する自国の責任をうやむやにしようとする」のはなぜか。
我々が快適な生活を求めたために環境が破壊し、地球は温暖化したとなると、我々一人ひとりにも責任があります。
それはイヤだし、温暖化防止のためには今の生活を変えないといけない。
それよりも、地球は温暖化していない、環境は破壊されていない、今まで通りの生活をしていいんだ、と学者言ってくれたほうがうれしいです。
たとえそれがウソであったとしても。

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地球温暖化と陰謀論(2)

2021年09月03日 | 陰謀論

世界経済フォーラムやディープステートの陰謀を告発した「グレートリセット:パンデミックはチャンスである」という番組を製作したCBNはクリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワークの略で、テレビ伝道師のパット・ロバートソンが1960年に設立じた放送局です。
パット・ロバートソンはプロテスタント保守派で、1988年の大統領選挙では共和党の予備選に出馬しています。

この番組に出てくるジャスティン・ハスキンズはハートランド・インスティテュートの論説員、研究員です。
https://www.heartland.org/about-us/who-we-are/justin-haskins

ハートランド・インスティテュートは右派系の利益団体で、タバコ会社、石油産業、資産家などから資金を提供されています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Heartland_Institute
ハートランド・インスティチュートは地球温暖化の人為的要素を否定しています。

三井誠「アメリカで根強い「地球温暖化懐疑論」は、誰が支えているのか?」
ハートランド研究所は「なぜ科学者は地球温暖化に同意していないのか」という110ページの冊子を、アメリカ国内の小中高校の理科教師や政治家、メディア関係者ら約30万人に無料で配った。

ハートランド研究所ジョセフ・バスト所長「地球温暖化は否定しないが、(大部分は自然変動の結果であり)人間活動のために引き起こされた地球温暖化はわずかだ。さらに、地球温暖化の悪影響は小さく、恩恵のほうが上回るはずだ」

https://honsuki.jp/pickup/19100.html

気候変動に関する学校教育を誘導する運動にハートランド・インスティチュートが資金提供していたことが問題となっています。
「気候変動否定派、米学校教育へ関与する動き発覚」
https://www.afpbb.com/articles/-/2861353

キリスト教福音派と共和党支持者には地球温暖化を認めない人が少なくないようです。
ナカイサヤカさんの福音派についての指摘にはなるほどと納得しました。

國枝すみれ「新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか」

トランプ氏の支持基盤であるキリスト教福音派も偶然を信じない傾向がある。
「すべては神の計画どおりなのです。神が自然のなかに残したさまざまな法則を、神に導かれた人間が再発見する。それが科学でした。そこに進化論がきて大論争が起きる。進化論が衝撃的だった理由は、『進化は突然変異による偶然』と主張したからです。神が残した法則を探していたつもりなのに、それは偶然でした、と言われてしまった。だから、福音派は絶対に進化論を否定するのです」

https://mainichi.jp/articles/20210707/k00/00m/040/134000c

つまり、地球が温暖化しているとしても、それは神の意志であり、我々にはうかがい知れない神の計画があるのだから、人間が環境問題をはからうべきではないということでしょう。

共和党支持者は保守的で敬虔なキリスト教徒が多いとされます。
そして、共和党は小さな政府を志向し、政府の介入を最小にしようとします。
共和党は地球温暖化に懐疑的な議員が多く、経済を優先する傾向があります。
ジョージ・W・ブッシュ政権が都議定書から離脱し、トランプ政権もパリ協定から離脱しています。 

企業は温暖化対策の費用が莫大かかるので、利益を最優先とする経営者は温暖化を認ようとしません。
そうした企業は規制緩和を推進する共和党を支持するわけです。

町山智浩『トランピストはマスクをしない』はトランプのこんな発言を紹介しています。
地球温暖化をウソだと否定しているトランプは、グレタ・トゥーンベリさんの2019年9月の国連での演説の翌日、「自由を求めるなら自国に誇りを持て。民主主義を求めるなら自国の主権を守れ。平和を求めるなら自国を愛せ。優れた指導者は何よりも自国第一に考える。未来は国際主義者ではなく、愛国者のものだ」と演説した。
すぐにドイツの代表が「国際協調こそが愛国だ」と反論した。

トランプは環境問題を無視します。
マイケル・ムーア『華氏119』は、ミシガン州フリント市の水道水汚染を取り上げています。

『トランピストはマスクをしない』もこのことについて書いています。
ミシガン州フリント市は財政が破綻し、経費節減のために水源を近くのフリント川にしたため、2014年から水道の水が飲めない事態が続いている。
フリント川は廃液で汚染され、しかも水道管に安い鉛管を使ったので、子どもたちに化学物質や鉛による健康被害が出た。
被害者のほとんどは引っ越す金がない最貧困の黒人だった。
オバマ大統領は飲料水を配給し、水道管の設置工事を始めたが、2019年9月現在もまだ飲める水道水は出ていない。
オバマ政権は川や湖などの水質の最低基準を設定したが、トランプはその規制を撤廃すると発表した。

マイケル・ムーアはリック・スナイダー前ミシガン州知事はもちろん、オバマ大統領も批判しています。
ちなみに、リック・スナイダーは起訴されました。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/flint-water-rick-snyder_jp_5ffe37f2c5b6c77d85eb0424

地球温暖化を認めない立場にある人たちは反知性、反政府の傾向があると言えそうです。

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地球温暖化と陰謀論(1)

2021年08月28日 | 陰謀論

カナダで49.6度、ギリシャで47.1度、イタリアで48.8度を記録し、各地で山火事が相次ぎました。
シベリアの北極圏でも38度です。
ドイツや中国などで大雨が降って河川が氾濫し大きな被害が出ました。
日本でも毎年のように水害によって大勢が亡くなっています。
異常気象が続くのは地球温暖化が要因の一つだと思うのですが、温暖化を否定する専門家がいます。

地球温暖化否定論には、
・地球温暖化そのものを否定する人。
・温暖化は自然変動の結果であり、人為的要素が引き起こしたのではないとする人。
・地球温暖化は認めるが、悪影響はほとんどないと考える人。
などがあり、主張が異なっています。

温暖化否定論を信じる人はどれくらいいるのでしょうか。
南龍太「地球温暖化の原因を、世界の人々はどう考えているのか」

2019年10月にアメリカの成人男女3,627人を対象に行った調査では、「人間活動が地球規模の気候変動に与える影響」について尋ね、49%が「とても大きい」と回答、30%が「ある程度」、20%が「それほど大きくない/全くない」と答えた。気候変動が人為的とみる人の割合が大きい一方、その影響を軽視する人も2割ほどいたという結果を示した。
回答を政治思想別に見ると、民主党支持者の方が人間の影響を認める傾向が強く、特にリベラル層は84%が「とても大きい」、12%が「ある程度」で計96%を占めた。共和党支持者は逆の結果を示し、保守層で「とても大きい」と答えたのは14%だった。ただ、保守層でも、「とても大きい」と「ある程度」を合わせると半数を超えた。
一方、「気候変動に対する地球環境の自然サイクルの影響」について尋ねたところ、全体の35%が「とても大きい」、44%が「ある程度」と答え、約8割は自然現象による影響もあると考えていると読み取れる。政治思想別では、自然現象によると答えたのは、民主リベラル層ほど少なく、共和保守層ほど多い結果となった。

https://energy-shift.com/news/f445fa6f-0442-4fed-b3d0-a832bd6e2d84

地球温暖化を否定する人は保守派が多く、アメリカでは共和党支持者に多いようです。
上坂昇『神の国アメリカの論理』に、福音派の人で「温暖化のたしかな証拠がある」と答えた人は70%、「温暖化は人間活動の結果」と考える人は37%とあります。

2017年、トランプ大統領がパリ協定から離脱を発表したのは、キリスト教福音派の支持を取り付けるためだそうです。
http://www.yasuienv.net/MitsuiBookUSA.htm

トランプ支持者、アメリカ大統領選挙に不正があったと主張する人、新型コロナウイルスの存在を否定する人。ワクチン反対派は地球温暖化も認めないように感じます。

私の知人も地球温暖化の人為的要素を否定しています。
知人がシェアしているフェイスブックの投稿は温暖化陰謀論というべきものです。

キャスターが「97%の科学者が気○温○化に同意しています」と言うのに対して、こう述べます。
「政府は2.5億ドルを毎年気候調査に使っています。このお金は民○党の推すグローバルな気○温○化の科学的結果を出す科学者に支払われます。だから彼らは選べません。お金が貰いたければ、彼らの立ち位置をサポートするしかありません。ですから87%の発表されている科学的論文はグルーバルナ気○温○化を肯定するものなのです。何故か。それは政府がお金になる方に資金を出すからです」
https://www.facebook.com/100012815677013/videos/223557476166040

動画の右に貼られているリンクをクリックすると、CBNニュース「グレートリセット:パンデミックはチャンスである」という番組でした。
世界経済フォーラム(ダボス会議)のグレートリセットを批判しています。

世界経済フォーラムは世界の動き方を変えるため、コロナウイルスパンデミックを歴史的チャンスと見ている。
デイル・ハード「彼らの解決とは、基本的に世界的社会主義です。グリーン・ニューディールとCOVID19ロックダウン制限の組み合わせを考えてください。そして、第4次産業革命と呼ばれるものが投入されるのです」
ジャスティン・ハスキンズ「社会のテクノクラート達ですが、最も教育された人間であり、社会を操作する能力があり、社会のレバーを引くのです。そして、社会を操作します」
デイル・ハード「トランプの再選は、グレートリセットに巨大な穴を開けるところでした。選挙の一週間前に、イタリアの大司教であるカルロ・マリア・ビガノが書きました、公開書簡を大統領にです。彼に警告したのです、グレートリセットは、冷酷で、正体不明の専制だと。これは全人類を征服するものだと。そして、トランプ大統領と米国は、ディープステート、闇の子供への最終攻撃に対する防波堤だと」
ジャスティン・ハスキンズ「過去4年間にわたり、ドナルド・トランプは単一の最大の障害物でした、国際的・グローバリスト的アジェンダを推進する者にとってです」
デイル・ハード「ダボスのエリート達が今頼っているのは、バイデンの勝利です、彼らのグレートリセットを前に進めるためにです。世界経済フォーラムとバイデン選対は同じスローガンを掲げてさえいるのです。Build Back Better(よりよい復興)です」
ジェームズ・デリングポール「このフレーズは他でも聞きますね。ジャスティン・トルドー、法王、チャールズ皇太子、世界のリーダー達です。驚くでしょうね、いかに多くの世界リーダーが、このグローバリストの計画に乗っているかをです。保守派と自称する人達でさえもです。これはナチズムより悪いです。これは共産主義より悪いです。ファシズムよりもです。この連中は、世界征服を計画しているのです」
デイル・ハード「ホワイトハウスにいようがいまいが、ドナルド・トランプが力であることが期待されています」
https://jimakudaio.com/yt?v=4JB9-uL9o-w&lang=ja

この番組は世界支配を狙うディープステートという陰謀論を説いているわけです。

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