町山智浩『トランピストはマスクをしない』には、こんなことも書かれています。
アメリカでは毎年1万2000~3万6000人が治療費を払えないためインフルエンザで亡くなる。
コロナの検査も貧しい人は受けられない。
2020年3月12日、ケイティ・ポーター下院議員が疾病予防管理センター(CDC)の医師に質問した。
「保険がないとコロナの検査にいくらかかるかご存じですか」
「い、いえ」
「だいたいでいいです」
「すみません。わかりません」
「1331ドルです。陽性で隔離入院になると4000ドルかかります。アメリカでは国民の4割が400ドルの医療費を払えず、3割が治療を延期しています」
レッドフィールド所長に尋ねた。
「コロナに感染するのは金持ちだけですか」
「誰にでも感染します」
「CDCには、検査や治療を無料で国民に提供すると決定する権限が法律で定められていますよね。それを行使しますか」
「そのために全力を尽くすとだけは言えます」
「いえ、それじゃダメです。この危機において、国民の検査を無料にしますか」
「詳細を精査して」
「詳細は手紙に書いて1週間前にあなたに届けました。検査を無料にしますか」
「その方法を話し合っている最中で」
「方法は明日考えましょう。無料にしますか」
「あなたは素晴らしい質問者ですね。答えはイエスです」
「素晴らしい。アメリカの皆さん、聞きましたね。保険のあるなしにかかわらず、誰でも検査を受けられることになりました」
日本の国会審議で、質問にちゃんと答えない(答えられない)首相、大臣、官僚に、野党議員がこういった突っ込みをしてほしいです。
この決定にトランプ大統領はどうしたのか気になります。
横田増生『トランプ信者潜入一年』からです。
アメリカでは、毎年約1000人が警官によって殺害されている。
黒人男性が警官に殺害される割合は、白人男性の約3倍。
黒人と白人の平均年収の差は1.7倍で、黒人の無保険者の割合は白人の1.8倍。
白人に比べ貯蓄高が低い黒人は、コロナ禍であっても、感染リスクの高い職業に従事することが少なくない。
また、密集した集合住宅で生活していることなどから、新型コロナに感染しやすくなる。
さらに、医療へのアクセスが乏しいことや、高血圧や肥満、糖尿病などの基礎疾患により、重症化するリスクが高まる。
制度的人種差別という言葉がある。
収入格差や資産格差、教育格差や医療格差など多くの面で、黒人は白人と同じ条件を享受することができない。
制度的人種差別とは、貴堂嘉之さんによるとこういう意味です。
社会的な弱者が不利となる仕組みが社会構造に組みこまれていて、黒人が黒人として生まれただけで、以後の人生が自動的に不利になってしまう。その悪循環から抜け出せない。そうして、個人の自助努力では克服しがたい構造的な差別のこと。
トランプやトランプ支持者は制度的人種差別の存在を認めません。
2020年5月、ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドが白人の警察官によって窒息死させられる事件が起きた。
制度的人種差別が原因だったが、トランプ大統領は否定した。
警官は素晴らしい仕事をしている。その中に、たまたま悪いやつがいるだけなんだ。警官が大きなプレッシャーにさらされて、事態をうまく処理できないこともある。そんなとき、首を絞めることだってあるだろう。けれど、制度的な人種差別があるなんてまったく信じられない。
https://www.fsight.jp/articles/-/48675不法移民について「トランプ政権の移民摘発、背後に巨大ビジネス 米政府は移民取り締まり関連企業に対する支出を1~5月に前年比50%増額」(ウォール・ストリート・ジャーナル2025年6月3日)という記事があります。
https://jp.wsj.com/articles/the-billion-dollar-business-behind-trumps-immigration-crackdown-667e3932?st=M279mK
https://jp.wsj.com/articles/the-billion-dollar-business-behind-trumps-immigration-crackdown-667e3932?st=M279mK
移民の摘発でも金儲けしているわけです。
やることなすことすべて「今だけ 金だけ 自分だけ」のトランプです。
やることなすことすべて「今だけ 金だけ 自分だけ」のトランプです。
トランプの手法をまねた政治家が増え、支持を広げています。
日本もポピュリズム政党が陰謀論、排他主義、歴史修正主義を唱えて議席を増やしており、嘆かしく思う日々です。
「サービス終了に伴い、10月1日にブログ記事の新規投稿及び編集機能を終了させていただく予定です」とのことなので、このブログはこれでおしまいにします。
長い間ありがとうございました。