三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

何のために生きているのか

2005年05月21日 | 日記

岡村力『1リットルの涙』は、14歳の時に脊髄小脳変性症になり、だんだんと手足が動かなくなり、言葉が不自由になり、そして25歳でなくなった木藤亜也さんをモデルにした映画である。

木藤亜也さんが「私は生きたい」と言うシーンがあり、安楽死を求めた『海を飛ぶ夢』の主人公ラモンを連想した。
ラモンは26年間寝たきりだから、木藤さんと単純に比べるわけにはいかないが、どうして違うのだろうか。

などと考えていたら、大石法夫『生まれてよかったですか』の中にこういう話が出てきた。
大石法夫さんが小学校3年生のお孫さんから、
「人間は何のために生きているの」
と尋ねられる。
「野菊をだまって見ておるだけで、おじいちゃんの心によろこびをもたらした」
そして、
「何かのために生きているのではありません」
と大石法夫さんは答える。

それで思ったのだが、「何のために生きているのか」という問いは、問いの立て方が間違っているのではなかろうか。
私の大嫌いな飯田史彦といったニューエイジ・スピリチュアル信者は、生まれる前に自分で課題を選び、役割を決めて生まれてくるんだどというたわごとをほざいている。役割を終えたら、あるいは役割を果たすことができなくなったら、生きている価値がないということになる。
『海を飛ぶ夢』のラモンが「死にたい」と言うのは、そういう考えからきているのかもしれない。

「何のために生きているのか」ではなく、「生きているということはどういうことなのか」ということを問うていかないといけないと思う。
その答えは、「私が生きていること、そのことが一隅を照らしている」ということではないだろうかと考えた。
「私が一隅を照らす」ということだと、一隅を照らすことが私の役割となってしまう。
そうではなく、生きている、それ自体が一隅を照らしているんだろうと思う。

たとえば、野菊がそこに咲いていることで大石法夫さんは喜びを感じる。
ラモンがそこに存在していることが家族や知人を支えている。
ロサなんてラモンのおかげで生きる元気をもらっているようなものだ。

木藤亜也さんもそうで、もう木藤亜也さんはなくなっているけれども、しかし『1リットルの涙』を見て、難病物は嫌いじゃとアホにしていた私がこういうようなことを考えることができた。
もっとも、私が寝たきりになり、身体が動かせなくなった時に、死を願わないかというと、それは自信がないけれど。

(追記)
『海を飛ぶ夢』は↓に書いています。
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/5d8c8d3435ee6e647ce64d8b27e5d6fe

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4 コメント

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お知らせ (京都8月2日)
2007-05-15 18:57:41
飯田史彦が、京都大学で講演会を開催するそうです。
とりあえず、管理人さんにお知らせしておきます。
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やっぱおかしい ()
2007-05-16 20:16:08
>飯田史彦が、京都大学で講演会を開催するそうです。

むむ。
だけど、高倉会館でスピリチュアルの講演をするのに比べるとねえ・・・

飯田史彦研究室を見ましたら、ずいぶん興奮しておられるようです。
http://homepage2.nifty.com/fumi-rin/
福島大学の先生は京都大学に憧れを持っていらっしゃる感じを受けました。
劣等感といったら失礼ですが。

で、京都大学のHPにも案内がありました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/070621_1.htm
「講師の飯田教授は、メンタルヘルス・マネジメントの観点からスピリチュアル・ケア論を展開することにより、総計150万部を超えるベストセラーとなった「生きがい論」シリーズの著者として知られています」
日本語として何だか変な文章ですが、飯田史彦の言ってることがスピリチュアル・ケアなんでしょうかねえ。
そして、京都大学のこころの未来研究センターというところでの講演なんですけど、「こころ」なんて薄っぺらな言葉を使うセンスの悪さは本願寺並みと思ってしまいました。http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data06/tpc070329_2/070329_22.htm
返信する
こんなんもあります。 (京都8月2日)
2007-05-22 18:52:04
こういうのも出てきました。
早稲田大学に「預言カフェ」いうのが、あるみたいです。
本当、色々出てきます。
返信する
ほんとらしいけど ()
2007-05-23 08:25:19
検索して調べてみると、北澤という人の記事だけのようですね。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070516/11191
たしか長崎に超能力を持つ人がやっている喫茶店があって、一時話題になってました。
手品師が簡単にタネを見破りましたけど。
飯田橋の教会というのは実際にあるんですかね。
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