衆議院選挙で自民党は284議席を獲得し、安倍内閣は信任されたことになりました。
安倍内閣の支持率より不支持率のほうが高かったのに、圧勝するのも不思議な話です。
議席を維持した原因は、麻生財務相の考えでは「明らかに北朝鮮のおかげもありましょうし」です。
投票率が戦後二番目に低い53.68%だったこともありますが、これは台風と雨のおかげかもしれません。
安倍首相は強運の持ち主です。
そして、「安倍政権を倒す」と言いながらリベラル候補を排除し、立憲民主党の候補に刺客を立てるなどして、野党勢力を分裂させた小池・希望の党のおかげ。
裏読みすれば、憲法改正をもくろむ小池百合子の深謀遠慮かもしれません。
となると、小池百合子の自民党復党はありえます。
そして、野党第1党を解体した前原・民進党のおかげ。
公明党の力も大きいです。
議席数からすれば自民党の単独政権でいいはずなのに、なぜ公明党と連立を組むのか。
公明党の比例代表の得票数は6,977,712票、得票率は12.51%です。
2014年(投票率52.66%) 7,314,236票 13.71%
2012年(投票率59.32%) 7,116,474票 11.83%
創価学会の信者数は公表されていませんが、約542万人だそうです。
確実に1割の得票を計算できる公明党支持者=創価学会信者の票がなければ自民党は議席を減らしたはずです。
かつて公明党は平和・護憲の党でした。
1988年に出版された創価学会婦人部平和委員会編『まんが・わたしたちの平和憲法』という本があります。
第6章のとびらに「いま憲法(特に第九条)が変えられる動きがあります。一人ひとりが憲法に関心を持ち、第九条の平和の心を守っていきましょう」と書かれています。
http://seoul-life.blog.jp/archives/62149212.html
今は権力という魔にとりつかれ、自民党の言いなりになっている公明党の皆さんに読んでいただきたい。
自民党の日本国憲法改正草案は大日本帝国憲法の復活を目指しています。
http://constitution.jimin.jp/draft/
すなわち、日本国憲法の三本柱の改変です。
・国民主権→天皇主権
・基本的人権の尊重→基本的人権の制限
・平和主義→軍備増強・国防軍の設置
自民党の日本国憲法改正草案についての平川正信名古屋大学名誉教授の説明をまとめました。
・立憲主義
現行憲法の前文は、「日本国民は」という言葉で始まる。
改憲案の前文は、「日本国は」で始まり、国家が憲法の主語になっている。
現行憲法では「国民が憲法で国家を縛る」ことは明確だが、改憲案は「国家が憲法によって国民を縛る」という性格が強くなっている。
・国民主権
改憲案では、前文に日本国は「天皇を戴く国家」とあり、第一条で天皇は「元首」になっている。
これは国民主権の弱体化。
・基本的人権の尊重
現在の13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定している。
改憲案では「人として尊重される」という文言になっている。
「個人として尊重される」というのは、一人ひとりの人間を個性と人格を持った存在として尊重しますという意味になるが、「人として」だと個人の尊重が弱まる。
人権保障に関しては、「公益及び公の秩序に反してはならない」という制限が出てくる。
何が「公益」で、何が「公の秩序」なのか、人権を制約する法律を作るときには立法者が判断することになる。
多くの場合、法案を作るのはは内閣だから、政府がこういうことは公益に反するとして禁止する法案を作り、それを国会が認めれば、禁止できることになる。
・平和主義
9条が置かれている第2章のタイトルが、現在の「戦争の放棄」から「安全保障」に変えられている。
9条1項は現在と大きくは違わないが、2項は「戦力の不保持」と「交戦権の否認」の規定から、「自衛権の発動を妨げるものではない」という自衛戦争を認める規定に変えられている。
さらに9条の2、9条の3という、新しい条文が付け加えられている。
9条の2では「国防軍を保持する」(2項)とされている。
国防軍は自衛戦争ができるだけではなくて、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」(3項)、すなわち国際的軍事行動も行うことができるとされている。
そして、国防軍の活動のために国防軍の組織や秘密保護に関する軍事法制を整備する(4項)こととされ、それに違反した者を裁判する「審判所」という特別の裁判所を国防軍の中に置く(5項)ものとされている。
9条の3では、国は「国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」と規定されている。
国民は国に協力して国防に当たらなければならないことになり、徴兵制の根拠にもなりかねない。
フランスのル・モンド紙10月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」という特集記事で、安倍首相の歴史修正主義の危うさを指摘しているそうです。
http://lite-ra.com/2017/10/post-3538.html
安倍首相は大日本帝国憲法を復活しようとしているわけで、もっともな指摘です。
片山杜秀『近代日本の右翼思想』によると、右翼は現在に不満を持って現在を変えてしまいたいと考え、失われた過去(事実ではなくイメージにすぎないかもしれない)を志向するということです。
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/fb66abb001cedb5491b84ff2407f6aa8
戦前の日本に回帰しようとする安倍首相は右翼だということになります。
「衆院選 揺れる日の丸、かき消される「アベやめろ」 首相の「アキバ演説」で見えたもの」(毎日新聞10月22日)で、10月21日夜、秋葉原での演説会の映像を見ることができます。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171024/dde/012/010/002000c
無数の日の丸の旗、「安倍晋三」コールをどのように感じるか。
逢坂巌駒沢大准教授は「ナチスを生んだ戦前のドイツが頭をよぎりました」と語っています。
私も不気味さを感じました。