三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

地球温暖化と陰謀論(1)

2021年08月28日 | 陰謀論

カナダで49.6度、ギリシャで47.1度、イタリアで48.8度を記録し、各地で山火事が相次ぎました。
シベリアの北極圏でも38度です。
ドイツや中国などで大雨が降って河川が氾濫し大きな被害が出ました。
日本でも毎年のように水害によって大勢が亡くなっています。
異常気象が続くのは地球温暖化が要因の一つだと思うのですが、温暖化を否定する専門家がいます。

地球温暖化否定論には、
・地球温暖化そのものを否定する人。
・温暖化は自然変動の結果であり、人為的要素が引き起こしたのではないとする人。
・地球温暖化は認めるが、悪影響はほとんどないと考える人。
などがあり、主張が異なっています。

温暖化否定論を信じる人はどれくらいいるのでしょうか。
南龍太「地球温暖化の原因を、世界の人々はどう考えているのか」

2019年10月にアメリカの成人男女3,627人を対象に行った調査では、「人間活動が地球規模の気候変動に与える影響」について尋ね、49%が「とても大きい」と回答、30%が「ある程度」、20%が「それほど大きくない/全くない」と答えた。気候変動が人為的とみる人の割合が大きい一方、その影響を軽視する人も2割ほどいたという結果を示した。
回答を政治思想別に見ると、民主党支持者の方が人間の影響を認める傾向が強く、特にリベラル層は84%が「とても大きい」、12%が「ある程度」で計96%を占めた。共和党支持者は逆の結果を示し、保守層で「とても大きい」と答えたのは14%だった。ただ、保守層でも、「とても大きい」と「ある程度」を合わせると半数を超えた。
一方、「気候変動に対する地球環境の自然サイクルの影響」について尋ねたところ、全体の35%が「とても大きい」、44%が「ある程度」と答え、約8割は自然現象による影響もあると考えていると読み取れる。政治思想別では、自然現象によると答えたのは、民主リベラル層ほど少なく、共和保守層ほど多い結果となった。

https://energy-shift.com/news/f445fa6f-0442-4fed-b3d0-a832bd6e2d84

地球温暖化を否定する人は保守派が多く、アメリカでは共和党支持者に多いようです。
上坂昇『神の国アメリカの論理』に、福音派の人で「温暖化のたしかな証拠がある」と答えた人は70%、「温暖化は人間活動の結果」と考える人は37%とあります。

2017年、トランプ大統領がパリ協定から離脱を発表したのは、キリスト教福音派の支持を取り付けるためだそうです。
http://www.yasuienv.net/MitsuiBookUSA.htm

トランプ支持者、アメリカ大統領選挙に不正があったと主張する人、新型コロナウイルスの存在を否定する人。ワクチン反対派は地球温暖化も認めないように感じます。

私の知人も地球温暖化の人為的要素を否定しています。
知人がシェアしているフェイスブックの投稿は温暖化陰謀論というべきものです。

キャスターが「97%の科学者が気○温○化に同意しています」と言うのに対して、こう述べます。
「政府は2.5億ドルを毎年気候調査に使っています。このお金は民○党の推すグローバルな気○温○化の科学的結果を出す科学者に支払われます。だから彼らは選べません。お金が貰いたければ、彼らの立ち位置をサポートするしかありません。ですから87%の発表されている科学的論文はグルーバルナ気○温○化を肯定するものなのです。何故か。それは政府がお金になる方に資金を出すからです」
https://www.facebook.com/100012815677013/videos/223557476166040

動画の右に貼られているリンクをクリックすると、CBNニュース「グレートリセット:パンデミックはチャンスである」という番組でした。
世界経済フォーラム(ダボス会議)のグレートリセットを批判しています。

世界経済フォーラムは世界の動き方を変えるため、コロナウイルスパンデミックを歴史的チャンスと見ている。
デイル・ハード「彼らの解決とは、基本的に世界的社会主義です。グリーン・ニューディールとCOVID19ロックダウン制限の組み合わせを考えてください。そして、第4次産業革命と呼ばれるものが投入されるのです」
ジャスティン・ハスキンズ「社会のテクノクラート達ですが、最も教育された人間であり、社会を操作する能力があり、社会のレバーを引くのです。そして、社会を操作します」
デイル・ハード「トランプの再選は、グレートリセットに巨大な穴を開けるところでした。選挙の一週間前に、イタリアの大司教であるカルロ・マリア・ビガノが書きました、公開書簡を大統領にです。彼に警告したのです、グレートリセットは、冷酷で、正体不明の専制だと。これは全人類を征服するものだと。そして、トランプ大統領と米国は、ディープステート、闇の子供への最終攻撃に対する防波堤だと」
ジャスティン・ハスキンズ「過去4年間にわたり、ドナルド・トランプは単一の最大の障害物でした、国際的・グローバリスト的アジェンダを推進する者にとってです」
デイル・ハード「ダボスのエリート達が今頼っているのは、バイデンの勝利です、彼らのグレートリセットを前に進めるためにです。世界経済フォーラムとバイデン選対は同じスローガンを掲げてさえいるのです。Build Back Better(よりよい復興)です」
ジェームズ・デリングポール「このフレーズは他でも聞きますね。ジャスティン・トルドー、法王、チャールズ皇太子、世界のリーダー達です。驚くでしょうね、いかに多くの世界リーダーが、このグローバリストの計画に乗っているかをです。保守派と自称する人達でさえもです。これはナチズムより悪いです。これは共産主義より悪いです。ファシズムよりもです。この連中は、世界征服を計画しているのです」
デイル・ハード「ホワイトハウスにいようがいまいが、ドナルド・トランプが力であることが期待されています」
https://jimakudaio.com/yt?v=4JB9-uL9o-w&lang=ja

この番組は世界支配を狙うディープステートという陰謀論を説いているわけです。

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ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』(3)

2021年08月19日 | 

町山智浩『トランピストはマスクをしない』に、一時雇いの働き手による経済のギグ・エコノミーに触れています。
空いてる時間に働いてお金を稼ぐという働き方だともてはやされた。
しかし、正規雇用されないから仕方なしにやっている。

宅配業者の募集広告に「月に20万円から100万円稼げる」などと書かれているが、出来高制だから、1日100軒以上配達する必要がある。
1日8時間で100軒以上配るには、1回の配達を4分から5分でこなさないといけない。
仕事のために自分で車を買う必要があるので、仕事がないと赤字になる。

ギグ・エコノミーが増えたのは経営者がコストを削減するため。
残業代や有給休暇、労災、保険、年金を負担しなくていいし、怪我や事故は自己責任。
ノルマを課すだけでいい。
その実態がケン・ローチ『家族を想うとき』で描かれている。


カリフォルニア州のディズニーランドにはホームレスがいっぱいいる。
入り口でチケットをチェックする人、ゴミを片付ける人、アイスクリームを売る人などのうち、500人は家賃が払えなくて、友達の家や自動車に寝ている人、家を失う寸前の人たちだという。

ディズニーランドの従業員の最低時給はカリフォルニア州の最低賃金で、12ドル台、月給にすると2200ドル。
ディズニーランドがあるアナハイム市の2LDKの家賃の平均は月1835ドル。

ファストフード店やスーパーの従業員にもホームレスやホームレスぎりぎりの人が増えている。
全米に50万人以上いるといわれるホームレスの4割がワーキング・ホームレスだという。

ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』によると、ノマド(放浪生活者)はホームレスと呼ばれるのを嫌い、ハウスレスを自称する。
自分たちをワーキャンパーと呼ぶ。

ワーキャンパーとは短期の雇用を求めてアメリカじゅうを車で移動する季節労働者。
仕事は農場での果物摘み、スーパーボウルの売店、パイプラインのガス漏れ検査員、キャンプサイトの管理などなど。
食事や電気、水、下水道つきの無料駐車スペースが仕事の対価で、時給を払うのは雇い主の一部。
体力的にきつい仕事なので、勤務が終わってもお互いに交流などできないほど疲れてしまう。
怪我をする人、病気になる人も多いが、福利厚生や社会保険をほとんど要求しない。

キャンプ場のスタッフは管理人、レジ係、清掃員、警備員、歓迎係などをこなす。
辞める人がいるのはトイレ掃除などの汚れ仕事が多いから。
時給は去年より20セントアップして9ドル35セント。(当時のカリフォルニア州の最低賃金は時給9ドル)
週40時間働く契約で雇われるが、長時間労働が前提。
45時間以上働かされることもあるが、超過勤務分が支払われないことがある。
予約が減ると勤務時間を減らされ、週給は290ドルを切ってしまう。
雇用契約では随意契約で雇われたにすぎないから、理由や予告なしにいつ解雇されても文句は言えない。

森林局が民間業者に営業許可を与えて管理を任せているが、森林局はスタッフの苦情が寄せられても、対処する権限も、調査する権限もないと言って、関与しない。

アマゾンの倉庫は荒野の中にあり、配送量が増える繁忙期、つまり3~4か月のクリスマスセールの間はノマドを雇う。
近くのトレーラーパークは早くに予約されるので、片道1時間半かかる遠方のトレーラーパークを利用する人もいる。

最低でも10時間は通しで働き、1回の勤務で24キロ以上歩く人もいる。
ある男性は週5日12時間の深夜勤務で、休憩時間(30分1回、15分2回)以外はほぼ立ちどおしで荷受けし、バーコードをスキャンして腱鞘炎になるので、鎮痛剤は無料。
繁忙期が終われば雇用は打ち切られる。

車上生活者はネットやキャンプなどのネットワークがあるそうです。、
ゴミやトイレの後始末方法、車を無料で停める駐車場探し、車の改造方法などを、ネットやコミュニティで情報を交換したり、初心者への指導と助言をする。

私は『ノマドランド』を見て、美しいアメリカの風景、最低限の物で一所不住の生活、助け合いながらも距離を保つノマドの生き方にいいなと憧れました。
とはいえ、ノマドの生活は厳しいです。

冬には車外の気温は氷点下になり、暑い時は40度を超す。
いつ病気になるかわからない。
いつ車の運転ができなくなるかわからない。
いつ仕事ができなくなるかわからない。

国や州の規制が強化され、ノマドは生きづらくなっている。
車上生活者の圧倒的多数は白人で、その理由は、黒人だと警官の人種差別的な取り締まりの犠牲になりかねないし、通行人とのいざこざもあるから。

『ノマドランド』は、高齢者がきつい仕事をしながら移動を続けざるを得ない政治や社会の問題に目を背け、美化しているようにも感じました。

ジェシカ・ブルーダーはこう書いています。
取材を始める前、ノマドの記事を手当たり次第にあさったが、見つかった記事の大半は、ワーキャンパーという生き方を、楽しく明るいライフスタイルか、変わった趣味であるかのように報じていた。
あるニュース番組は、車上生活のわくわく感と連帯感を強調するもので、多くの人に生き方を根本的に変えさせる原因となった困難については話題にするのを避けていた。

だけども、ジェシカ・ブルーダーは政治批判を書いていません。
トランプ大統領をノマドたちはどう思っているのでしょうか。

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ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』(2)

2021年08月11日 | 

ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』によると、アメリカの構成者、特にひとり暮らしの高齢女性の生活は厳しいです。

高齢者の大半は公的年金が唯一の収入源となっているが、年金額は驚くほど少ない。
退職後に働かずに過ごせる見込みの人は17%しかいない。
中流層の半数近くは、退職後は日に5ドルの食費でやりくりすることになる。

2016年に65歳以上のアメリカ人被雇用者数は900万人ちかくで、10年間で60%増加し、全労働者に占める高齢者の割合も増え続けている。

アメリカでは2015年の国勢調査によると、貧困ラインを割っている高齢者の数は、女性は271万人と、男性(149万人)の倍近い。
ひとり暮らしの高齢女性は6人に1人以上が貧困ライン以下の生活をしている。

公的年金は平均で女性は男性より月341ドル少ない。
男性の収入1ドルに対して女性の収入は80セント程度と賃金格差があるから。
平均寿命は女性が男性より5年長いから、女性は男性より少ない貯蓄で長期間やりくりしなければならない。

アメリカでは毎年1万2000~3万6000人がインフルエンザで亡くなる。
治療費を払えないから。
アメリカ人の3人に1人以上が歯科治療をカバーする保険に加入していない。

経済学者モニーク・モリシー

私たちが直面しているのは、退職後の保障が無に帰すという、近代アメリカ史上初の事態です。後期ベビーブーム以降に生まれた人たちは世代が進むほど、リタイア後にそれまでと同程度の生活をするのが難しくなっています。


家を失ってホームレスになる人、車で生活しながら移動するノマドは高齢者ばかりではありません。

町山智浩『トランピストはマスクをしない』によると、アメリカでは家族単位でホームレスになるケースが多く、学齢期の子どもが含まれる。
公立学校の生徒の1割がホームレスないしホームレスに落ちる寸前だといわれる。
カリフォルニア州では30万人以上の子どもがホームレスだと推測されている。
ホームレスの7割が英語の基礎テストに落第し、6割が高校を卒業できない。
そんな子どもたちに最低賃金以上の仕事を得ることは難しい。
ノマドは10代や子連れもいます。

「コロナ禍のアメリカで立ち退き猶予措置が失効 数百万人がホームレスになる恐れ」(2021年8月2日)
新型コロナウイルス禍で家賃が払えなくなった人向けに米政府が設けていた立ち退き猶予措置が、7月末で期限切れとなった。数百万人の借り手が住む場所を失う恐れが出ている。(略)
家主でつくる団体は立ち退き猶予措置に反対し、家賃収入なしでは住宅ローンや税金、保険料の支払いに苦慮する家主も一部で出ている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-96822.php

全米で50万人がホームレスになっており、ロサンゼルスでは年間5千人が路上で死んでいますが、10倍近い人が家から追い出されるわけです。
家賃が滞納しては、土地価格の急騰で、家主も税金が払えなくなります。

それでも、行政や民間が貧困対策をしているそうです。
各都市がホームレスの住処を建て始めている。
サンフランシスコ市は2024年までに1700世帯を収容できる住居を建設すると発表。
ニューヨークでは毎年1億ドルの予算で2800世帯を目標に建設計画を立てている。
ホームレスが自分の住居を持てるように手助けをするため、シェルターと食事を提供し、就労のカウンセリングや医療ケアを行うことで自立を助ける民間団体がある。


カリフォルニア州では、個人事業主に対しても正規雇用と同じ待遇にしなければならないとする州法が成立した。
これが実施されると、企業の負担が3割増しになる。

では、日本はどうなのか。
各国の男女の格差を分析した指数であるジェンダーギャップ指数は、日本は2018年は110位、2019年は121位、2020年に156カ国のうち120位。
韓国や中国、ASEAN諸国より低い。
ところが自民党は選択的夫婦別姓、LGBT法案、クオータ制に反対しています。

竹中平蔵さんはこんなことを言っています。

私が、若い人に1つだけ言いたいのは、「みなさんには貧しくなる自由がある」ということだ。「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ1つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」と。(東洋経済 2012年11月30日)

https://toyokeizai.net/articles/-/11927?page=2

人件費を切りつめることが大好きな新自由主義者の竹中平蔵さんが内閣参与をしているのですから、緊縮財政を続け、医療や福祉などは切り詰めるでしょう。
非正規雇用(女性が多い)の正規化など弱者のための政治は難しく、アメリカのことを言っておれなくなるように思います。

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ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』(1)

2021年08月04日 | 

クロエ・ジャオ『ノマドランド』の原作ジェシカ・ブルーダー『ノマド 漂流する高齢労働者たち』を読みました。

ネバダ州エンパイアは人口300人の石膏ボードを製造する工場町だったが、2010年、工場が閉鎖されることになり、エンパイアはゴーストタウンになった。

『ノマドランド』は、町が消滅して自宅を失い、ノマド(放浪の民)という生き方を選んだ女性が主人公です。

2000年代に入って、ガソリンと食料を買うために季節労働に従事し、安眠できる場所を求めて車で移動を続ける高齢者が増えた。

『ノマドランド』に出演したリンダ・メイは『ノマド 漂流する高齢労働者たち』にも登場しています。
2002年、レジ係(時給10ドル50セント)をしていたが、トレーラーハウスの賃料は月600ドルをやっと払えるかどうかの額。
12歳から働いているが、年金は月524ドルで、65歳になると424ドルになるので、年金だけでは生活できない。
リンダ・メイの娘一家(夫婦、子供3人)の住むアパートは寝室の数が足りず、孫息子は台所で寝ている。
娘の夫が病気になったためにアパートの家賃が払えなくなり、娘夫婦は十代の3人の子供とともにトレーラー暮らしになった。
リンダ・メイはノマドという生き方を選ぶ。

高収入だった人、安定した雇用と年金の中流階級の暮らしをしていた人もいる。
家を持ち、資産もある中流階級がなぜ車上生活者になり、季節労働をするのでしょうか。

『ノマド 漂流する高齢労働者たち』と町山智浩『トランピストはマスクをしない』によると、不動産価格の高騰に収入が追いつかないからです。

アメリカでは、4%の超富裕層が全米の富の40%を独占している。
平均的な所得者の税率が28%なのに対し、超富裕層の税率は23%。
なぜなら、富裕層の収入の多くは持ち株の利益で、株式収入への課税率が低く抑えられている。
富裕層への課税率が上がらないのは、政治家に献金しているから。

アメリカの貧困率は大恐慌時代の1930年が最大で、1960年代に最小になった。
ルーズベルト大統領はニューディール政策で、富裕層への課税率を63%に上げた。
第二次世界大戦中は最大94%、戦後も70%に維持され、法人税は最大50%。
そうして中流階級が拡大し、巨大な消費者となって企業を潤した。
当時、平均家賃は平均収入の28%だった。

しかし、レーガンは富裕層への課税率を50%にし、さらに28%まで下げ、福祉を削減したため、経済格差が開いた。
さらにトランプは富裕層の税率を23%に、法人税を21%にさげた。

アメリカでは2008年の金融危機から11年も好景気が続き、株価は上がり続け、失業率は過去25年間で最低レベルの3.5%に下がっている。
それなのに、仕事を失い、貯蓄を失い、ホームレスやノマドになる人がいる。
それは不動産価格が高騰し、家賃が上がるスピードに最低賃金が追いつかないから。

マンハッタンの平均家賃は月4245ドル、ブルックリン2936ドル、サンフランシスコ3733ドル、ロサンゼルス2530ドル、クイーンズでは2412ドル。

ネットで調べると、金額はいろいろのようですが安くはない。
2019年の記事によると、マンハッタンで快適に生活するために必要な年収の平均は11万5800ドルで、住民の年収平均の倍近く。家賃の平均はの4190ドル。
https://www.dailysunny.com/2019/08/06/nynews190806-21/

こちらも2019年の記事。
マンハッタンの平均的なマンションでは、1カ月の家賃は3000ドル以上で、アメリカでニューヨークよりも家賃が高いのはサンフランシスコだけ。
マンハッタンの2019年1~3月期の平均家賃は史上最高となる3217ドル。マンハッタンの中でも最も安い最北端のインウッド地区でも1623ドル。
https://www.businessinsider.jp/post-192555

ジョン・M・チュウ『イン・ザ・ハイツ』は、マンハッタン北部のワシントンハイツが舞台。
住民の多くはドミニカ人です。
ダウンタウンの部屋を借りようとしたら、家賃の40倍の年収証明書が必要だと不動産屋が言います。
ワシントンハイツはワンルームマンションの家賃が1669ドルで、マンハッタンで2番目に安い。
安いといっても、40倍だと約6万4千ドル。
年収が600万円以上ないといけないことになる。

別の記事によると、1980年から比べると、アパートメントの家賃は場所によっては6倍から10倍程度に跳ね上がった。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17336

もっとも、コロナの影響で家賃が下がったそうです。
2021年1~3月期のマンハッタンの家賃の中央値は前年同期比17%減の月額2700ドルで、集計を開始した10年以来で最低。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270H60X20C21A4000000/

ニューヨーク周辺の最低時給はよくて15ドル。
休日や深夜残業して月に3000ドル稼いで、家賃1000ドルくらいのアパートなら生活できるが、貯金はできない。

ニューヨークだけの話ではありません。
家賃の3倍が理想的月収だが、収入の半分以上を住居費に費やしているアメリカ人家庭は6世帯に1世帯。
住居費を収入の30%以下に抑えたければ、連邦政府が定める最低賃金の倍以上、少なくとも時給16.35ドルは稼ぐ必要がある。
法廷最低賃金で働く正社員の収入でワンベッドルームのアパートの賃貸料をまかなえる地域は、全米で11の郡と大都市圏が1つだけ。

会社の倒産、解雇、病気、怪我などで仕事を失った人。、
離婚(訴訟費用や養育費の支払い)で破産した人。
修士号や博士号を取っても仕事がない人。
学生ローンを返却できない人。
リーマンショックによる金融危機で資産を失った人。

ぎりぎりの生活の人たちは、いつ家賃の支払いや住宅ローンの返済ができなくなって、住む場所を失うかわからない。

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