新国立競技場の建設費が2500億円もかかることの批判の声が高まり、計画が白紙に戻されました。
私はオリンピックの開催自体に反対で、安倍首相が「汚染水の影響は完全にブロックされている」とか「コントロールできており、東京には何の影響も与えない。問題ない」という嘘をついてまで東京に招致すべきではなかったと考えています。
ネットを見ますと、この2500億円という金額、公共工事としてはそれほど大した金額ではないそうです。
新東名高速道路の静岡県御殿場~三ヶ日JCTまでの区間の工費は、2520億円では18キロ。
北陸新幹線の長野~金沢間、2520億円で作れるのは32.3キロ分だそうです。
森喜朗組織委員長の「国がたった2500億円も出せなかったのかね」という発言はもっともです。
松本宣崇(環瀬戸内海会議事務局長)「瀬戸内にも戦争に使う土砂は一粒もない!!」に、辺野古埋め立て用土砂の予定量は約2100万、そのうち岩ズリ(採石)の使用量が1644とあります。
岩ズリとは「廃土」とも呼ばれ、採石するために剝いだ土砂や石のことで、通常は採石が終われば山に埋め戻していた二束三文の土砂だという、「沖縄タイムス」(2015年4月23日」の記事がコピーされています。
鹿児島、熊本、長崎、福岡、山口、香川の採石場から1600万以上が購入され、2100万の土砂採取費用は1300億円とされている。
「沖縄タイムス」の記事はこの二束三文の土砂に群がる動きを取り上げたものです。
新国立競技場建設費が無駄遣いだと騒ぐなら、こちらも問題にしてほしいです。
そもそも戦争の準備には金がかかります。
小西誠・きさらぎやよい『ネコでもわかる? 有事法制』(2002年刊)には、海上自衛隊の輸送・補給艦艇はすべて含めても8隻1万6000トン。
航空自衛隊でもC-1輸送機(定員60人)27機とC-130輸送機(定員92人)16機、輸送ヘリ60機。
これらすべてを合わせても、自衛隊が使う有事の軍需物資の数十分の一も輸送できないとあります。
これは2002年の話で、現在はどうなのかというと、海上自衛隊のHPを見ますと、8900トンの輸送艦が3隻、1万3500トンの補給艦が2隻、8100トンの補給艦が3隻、その他があります。
10年ちょっとでずいぶん増えたものです。
どれくらいのお金がかかったのでしょうか。
こんな記事が毎日新聞に載っていました。
◇優れた事業も国補助必須
生活保護受給者の子どもが大人になった時に自身も受給者になる“貧困の連鎖”を断とうと、埼玉県は生活保護家庭の中高生の学習を無料で支援する教室を開いている。2010年度以降1000人以上の中学生が教室を卒業し、13年度以降500人近い高校生が参加してきた。教室は高校進学率を向上させ、高校中退率を抑えるなど実績を上げているが、今年度から国の全額補助が半減し、支援体制の縮小を迫られている。貧困家庭の子どもを救うためにも全額補助に戻すべきだ。
◇「不適応」の裏に家庭の経済力
同県は、生活保護受給者の自立や貧困の連鎖防止のための国の補助金を利用し、10年度からまず中学生を対象に教室を始め、一人一人に支援員がつき、家庭訪問や基礎的な学習の支援に乗り出した。13年度からは、対象を高校生にまで拡大した。14年度は中高合わせ24(独自に同種事業を行うさいたま市を除く)の教室が開かれ、総事業費は4億3000万円余りだった。(略)(毎日新聞7月9日)
日本の将来を担う子供たちのためなのに、たった4億円が出せないのかと思いました。
森喜朗氏にとって4億円なんてはした金でしょうから、なんとかしてもらいたいものです。
「長周新聞」にこうあります。
アメリカでは貧乏人の子弟を軍がリクルートしていくが、自衛隊も似たようなもので給料をたくさんやるから戦争に行けとなる。第二次大戦でも農家の次男、三男が軍隊に多く駆り出されたが、失業と貧困、戦争はセットだ。国内を貧乏にした結果、海外に覇権を求めて侵略していく。
今は農家の次男、三男を戦争に駆り出すのは難しいですから、生活保護世帯などの貧困家庭が狙い目で、だからこそ予算を削ったのかと邪推しました。
大貫恵美子『ねじ曲げられた桜 美意識と軍国主義』にこんなことが書いてあります。
梅澤一亖海軍少尉は母親に対し、特攻に志願することが親孝行の途なのだと説明した。
梅澤の弟は、最後の出撃の数日前に帰宅した兄が、彼のような若者を殺す海軍を罵るのを聞いている。
二階級特進という政策は遺族への補償金の増額を意味した。
こうした補償金の増額は、両親への孝行を天皇への忠義へと置き換えるのに重要な役割を果たした。
札束の力で死地に赴かそうとする政府のやり方は今も昔も変わらないようです。