三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

死刑囚の手紙のやりとり漏えい、国に賠償命令

2014年07月30日 | 死刑

知人から教えてもらったニュースです。

死刑囚の手紙のやりとり漏えい、国に賠償命令 名地裁
 名古屋拘置所の収容者と手紙をやりとりしたことを同拘置所の職員が第三者に漏らしたとして、東京拘置所に収容されている死刑囚が、慰謝料として国を相手に10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、名古屋地裁であった。加島滋人裁判長は「(死刑囚の)プライバシーや通信の秘密が侵害された」と認め、国に8万4千円の支払いを命じた。
 訴えていたのは、埼玉県で1993年、愛犬家ら男女4人が殺害された事件で、殺人罪などで死刑が確定した風間博子死刑囚(57)。
 判決によると2007~08年、名古屋拘置所の職員(当時)は、風間死刑囚らが手紙のやりとりをしたことなどを計14回、名古屋拘置所の別の収容者に、漏えいした。
 職員は11年、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検され、辞職した。
 名古屋拘置所は「判決内容を厳粛に受け止め、内容を精査し、関係機関とも協議の上、適切に対処したい」とのコメントを出した。(中日新聞7月4日)。

この職員は他にも情報漏洩を繰り返したとして停職6か月の懲戒処分を受けているとのこと。
死刑囚が手紙のやり取りをしていることを刑務官が第三者に話したということで書類送検されるとは知らなんだ。

で思ったのが、「週刊新潮」の「「オウム死刑囚」13人の拘置所ライフ」という記事にある「東拘関係者」のこと。

どう考えても刑務官以外にあり得ない。
その死刑囚がいるフロアを担当している刑務官を調べたら、誰が情報を流したかわかるはず。
もうすでに何らかの処分を受けているのだろうか。

ちなみに風間博子死刑囚は冤罪を主張している。
風間博子死刑囚が共同正犯だと供述した共犯者は、公判では「博子さんは無実だと思います」「人も殺していないのに、なんで死刑判決が出るの」と言っているそうです。

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「AKB48は、なぜ中国でこんなにも人気があるのか」

2014年07月26日 | 

中国では日本のアニメやAKB48が人気がある。
なぜか?

中島恵『中国人の誤解 日本人の誤解』によると、中国の中学・高校時代には「青春」や「感動」がないからである。
中国ではクラブ活動は存在しない。
中国の学校では恋愛も禁止。
公式には私立の予備校や塾の設立は認められていないので、生徒は学校に残って、教師の指導のもとで受験勉強をする勉強漬けの毎日。
学生時代でなければできない経験をほとんどせずに卒業する。
こうした青春時代を過ごしてきた中国の若者にとって、「青春」と「感動」を与えてくれる存在が、アニメであり、AKB48や嵐といったアイドルたちなのである。

だったら、韓流アイドルでもいいのではないか。
王氏(30歳)によるとこういうことである。

少女時代(韓流アイドル)が好きな中国人は、足が長い、顔がきれいという見た目重視派が多い。つまり、表面的な美しさに惹かれる人。彼女たちは全員美人で、似たような顔をしています(笑)。AKBが好きな人はそうじゃない。どこにでもいそうな普通の女の子だけど、一人ひとりがみんな違う。ひたむきに努力する過程に共感する人が多い。つまり、内面に惹かれる。韓国が中国同様の競争社会でナンバーワン重視なら、日本はオンリーワンに価値を置きますね。

そしてさらにこう続ける。

僕は韓国(少女時代)よりも日本(AKB48)が発信するコンテンツのほうが、ソフトパワーという点で優れていると思います。それは、日本人の考え方が体現されたコンテンツだからです。日本にはこんなすばらしいコンテンツがあるのに、なぜ政府がそれをもっと世界に向けてアピールしないのかが不思議です。そうすれば、日本が世界からもっと理解されると思う。

原発を輸出するよりも、こちらのほうが日本が世界に愛されるようになると思う。

私たちは中国の学校で経験できなかったものを、日本のアイドルやアニメを通して学ぶことができた。同時に、日本人の考え方や日本文化も理解できるようになった。だから、日本が好きになったんですよ。反日デモのときにも、AKB48のファンはみんな本当に冷静でしたよ。一方的に日本を非難したりはしなかった。それは、生身の日本人アイドルを一人でも知り、彼女の言動を通して日本という国を見ているからじゃないでしょうか。

自衛隊を海外に派遣するよりも、世界平和のためにはAKB48のほうがよっぽど効果的ではないかと妄想しました。

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善行キャンペーン

2014年07月22日 | 戦争

アメリカ軍の善行キャンペーンについて、屋良朝博『砂上の同盟』に書かれてあります。

陸海空の全軍が人道支援活動(医療チームによる一般診療、工兵部隊が学校や公共施設の建設・修繕など)を展開している。
テロとの戦いに力で押さえつけるだけでなく、善行によってアメリカに好意を持つ人を増やそうとするのが目的である。

太平洋陸軍は、2008年上半期にバングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシアを訪問、白内障100人、聴覚障害30人、口蓋破裂30人に手術を施した。
1週間の医療チーム派遣の費用は7万ドル。

太平洋海軍は病院船を巡航、2006年は5万件、2007年には3万件の治療を行った。
2006~2008年で経費は2500万ドル。

ベトナムの医療支援は年間600万ドルを投じ、診療所やラボの建設、現地医療スタッフの教育、トレーニングを行っている。

一方、グアム島のアンダーセン基地の2008年度予算は3億4500万ドル。
巨大格納庫の建設、滑走路の補修工事、病院、体育館、学校、住宅などの生活インフラ、さらには刑務所の新築など。
2015年までに10~20億ドルの予算をつぎ込む予定。

人道支援活動のほうがものすごく安上がり。
集団的自衛権の行使を認めることで、日本を戦争のできる国にするよりも、自衛隊が善行キャンペーンをするほうがよっぽど日本の評価を高めることになると思う。

もっとも屋良朝博氏の名言

軍にとって平和とリストラは同義語だ。

ということを考えると、戦争がなかったら困る人がいるわけで、ウクライナ紛争を喜んでいる人は少なくないと思う。
アメリカ軍がウクライナに行くことになったら、自衛隊も派遣されることになるんでしょうね。

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青草民人「梅の実の効用」

2014年07月18日 | 青草民人のコラム

梅雨の時期を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。むーっとした蒸し暑さと、じめじめ感はなんともやりきれません。私は汗っかきの暑がりなので、この時期が最も難儀です。クーラーのスイッチに手をかけつつも、消費電力の削減と原発再稼働のことを思うと、ハンカチで汗をぬぐい、うちわをフル稼働してがんばっています。

梅雨といえば、梅の実のなる時期に降る雨という意味ですが、青い梅の実には、アミグダリンという成分がふくまれており、これが体内に入りますと青酸という毒に変わり、腹痛を起こすことがあるそうです。


しかし、昔から梅の実を塩漬けし、天日で干し、梅酢に漬けて梅干しにすると、その成分はクエン酸という疲労回復や殺菌効果のある薬効成分に変わります。梅酒や梅ジュースにするのも同じですね。そのままの青梅では、毒となる梅の実も、塩にもまれ、陽にさらされ、酢に漬けられることで薬に変わるのです。


このことは、教育の世界にも通じます。子どもたちが親から受け継いだ遺伝による影響は、約30%だといわれています。あとの約70%は、その子どもたちを取り巻く環境の影響だといいます。


サッカーのワールドカップブラジル大会が、決勝トーナメントに入り、大詰めを迎えていますが、アルゼンチンのメッシのような一流のプレーヤーも、生まれながらにして一流だったわけではありません。彼を取り巻く環境にサッカーが身近にあったのでしょう。


たまに一部の先生や保護者の方の中に、「あの子がいるから、クラスがまとまらない」「あの子は何度言ってもいうことを聞かない」といった子どもにレッテルを貼るような発言を聞くことがあります。


確かに日々の生活の中で、友だちとうまく関われなかったり、集団に適応できなかったりするお子さんはいます。しかし、大人の側に受け止めてあげるキャパシティーがなければ、そこには排除の論理しか生まれません。梅の実のように、手塩にかけて育てれば、その子らしい個性豊かなこどもたちが育つのです。そう信じて、日々精進するのが教育です。


集団的自衛権に関する憲法解釈が閣議決定されました。憲法を無視した暴挙としかいいようがありません。自衛隊をお国のための人柱にするのです。自衛隊が他国の戦争に行くようになれば、志願するものは減り、やがては徴兵制への道を開くことになるでしょう。


「子どもたちを再び戦場に送るな」と教えられて教師を続けてきたものにとっては、憂慮すべき事態だと肌で感じます。国民の反対の声が今一つ大きくならないことは、もっと憂慮すべきことかもしれませんが。

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日本の借金

2014年07月14日 | 日記

日本の借金はGDP比で世界一だという。
2013年度の国債発行残高は750兆円で、地方行政の借金と合わせた公的債務残高は977兆円。
ところが、浜矩子『「アベノミクス」の真相』を見ると、日本は債権大国、すなわち世界一のカネの貸し手でもある。
2011年、日本が保有する海外の証券、金融派生商品、外貨準備などの海外資産は582兆円で、21年連続世界一。
329兆円の海外負債もあるが、差し引いた純資産は253兆円である。

それでもやっぱり大借金には違いなく、国債で収入を調達すると、借金を返済しなければいけないので、将来に負担を転嫁すると批判される。
ところが、神野直彦『税金 常識のウソ』によると、日本の国債はすべて内国債で、政府に対してお金を貸しているのは国民なので、政府が国民に借金を返すことになるという。

借金で政府が財源を調達すると、国民に国債という財産が膨れあがり、将来世代には政府に貸していた使い切れないほどの多額の貨幣が返ってくるのです。
そうだとすると、国債の負担は将来世代には転嫁されないことになります。

日本の国債は家計のように外部から借り入れするわけではない。

家計でも夫が妻に借金をして、夫の名義の自宅を建設するという場合があります。国債という借金は、同一の経済単位の内部でする借金ですので、夫が妻に借金するようなものだと考えて下さい。

ほんとかいなと思うが、『税金 常識のウソ』にはそのように書いてある。
もちろんこんなうまい話ばかりではないと、神野直彦氏は言う。

租税で財源を調達すると、豊かな者に重く、貧しい者に軽く課税することができます。しかし、公債に応募し、公債を所有できる者は、豊かな者に偏ります。

公債が増えると格差が大きくなるわけである。
ハンセン「公債は富の分配の不平等を強化する傾向をもっている」

また、「公債に抱かれた財政」では、民主主義が機能不全に陥ってしまいかねないと神野直彦氏は注意を促す。
というのも、公債を引き受けてもらう金融機関にとって望ましくない政策を打つと、公債消化が困難になるので、金融機関の意向に逆らえなくなってしまうから。
19世紀イギリスのグラッドストーン首相は国債を引き受けてもらっているロンドンの金融界の政策介入に悩み、郵便貯金を考え。

郵便貯金には二つの条件が設けられた。
1,郵便貯金は公債引き受けに限定される
2,預けることのできる郵便貯金の上限を決める
19世紀後半に大不況となり、金利の高い郵便貯金に貯蓄が集まると、金融界が郵便貯金の金利を引き下げるように要求した。
しかし、民主主義が発達し、労働者の政治的発言力が強かったイギリスでは、金融界の要求ははねつけられた。

日本ではどうかというと、1980年代になると郵便貯金への批判が高まり、民営化された。
しかし、民主主義をどうするのかという議論はまったく唱えられなかった。
日本銀行が政府のための金貸し業者と化したと、浜矩子氏は言う。

政府の言いなりにならない中央銀行の存在は、民主主義を守る究極の経済的防波堤だ。

独裁国家においては中央銀行は政府の言いなりなんだそうだが、日本銀行はどうなのかと心配しています。

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池谷裕二『脳には妙なクセがある』

2014年07月10日 | 

煩悩を断ち切った人が仏だが、池谷裕二『脳には妙なクセがある』を読んで、煩悩をなくすのは不可能だと思った。
というのが、煩悩は脳回路に組み込まれているらしい。
他人の不幸を喜ぶ感情をシャーデンフロイデという。
羨むべき同窓生が不幸に陥ったことを知った時、側坐核が活動を始める。

どんなに表面をつくろって同情するそぶりを見せたところで、他人の不幸を気持ちよく感じてしまう本心は、根源的な感情として脳に備わっているわけです。

人の不幸が蜜の味に感じられるのは脳回路に組み込まれた感情なのである。

あるいは、ワインを飲むと、内側眼窩前頭皮質という脳部位が活動する。
内側眼窩前頭皮質は知的快楽を生み出す脳部位で、ワインを飲むことは快感だということである。
5種類のワインの飲み比べをしてもらう。
試飲前に各ワインの価格を教えるが、実際には3種類のワインしか用意されておらず、教える値段もデタラメ。
結果は、教えられた価格が高ければ高いほど、内側眼窩前頭皮質が強く活動する。

私たちの脳はそもそも「ブランド」に反応するように作られている。


もう一つご紹介。
団体に入会するために受ける儀礼が厳しい場合と、それほど厳しくない場合、入会後にその団体が好きかどうかを聞くと、厳しい儀礼を受けた人のほうが団体に対する好感度ほうが高い。
人は、自分の「行動」と「感情」が一致しない時、事実は変えようがないので「感情」を変える。
入団した事実は変えられないので、「感情」を変えて、「私はこの団体が好きなのだ」と思い込むようになる。
これなんて、教団から多額の寄付のノルマが指示され、借金をしてまで寄付をしたり、嘘をついて寄付をさせたりすることや、そんな教団に疑問を持たないことといった、そうした信者の心理の説明になりますね。

フェスティンガーの実験が『脳には妙なクセがある』で紹介されています。
二つのグループに分けて面白くない単調な作業をさせ、片方には20ドル、もう一方には1ドル支払う。
その後、作業がどれほど面白かったかというアンケートに答えてもらうと、1ドルのグループのほうが面白いと感じた。
高額の謝金をもらったほうは、作業をするのは金がもらえるからだと認識する。
しかし、1ドルのほうだと作業をする理由が見当たらないから、「自らすすんでやるほど楽しかった」と納得する。

マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』にも同じような例が書かれてある。
全米退職者協会はある弁護士団体に、1時間あたり30ドルという割引料金で貧しい退職者の法律相談に乗ってくれるかどうかをたずねたら、弁護士団体は断った。
しかし、無料で相談に乗ってくれるかをたずねると、今度は承諾した。
取引ではなく、慈善活動への取り組みを要請されていることがはっきりすると、思いやりを持って対応する。

イギリスでは輸血用の血液はすべて無報酬の自発的献血者でまかなわれるのに対し、アメリカでは一部は献血で、一部は概して貧しい人たちから買い取る血液でまかなわれていた。
アメリカ式は慢性的な血液不足、無駄な廃棄、高コスト、汚染血液の危険を招く。
イギリス式システムのほうがアメリカ式よりもうまくいっている。
血液の売買が広まって血液を市場の商品にすると、無償で献血しようという意欲が奪われ、利他精神が損なわれてしまうのである。

何かをやってもらうためにお金を払っても、無料でやってくれるよう頼む場合ほどの努力を引き出せないことがある。


無償のほうがやる気が出るという心理は、フェスティンガーの実験と似ているが、違うような気がする。
池谷裕二氏によると、人間は自己犠牲的な行動を取るようにプログラムされている。
同情回路(痛みを受けている人を観察しているときに活動する神経システム)があって、誰かがナイフで指を切ったりしたシーンを見ると、背筋がゾクゾクとするのは、他人の痛みをあたかも自分のことのように解釈するからである。
同情する相手はヒトや動物である必要はない。

私は、こうした物に向けられた同情こそが「もったいない」の源になっているのではないかと考えています。「もったいない」とは、〝物〟を擬人化し、その〝痛み〟を脳に投影する精神活動なのでしょう。


人の不幸を喜ぶ気持ちを人間は持っているが、人間は他者の痛みを共有することもできるし、喜んで利他的にもなる。
そうしたことには男女差もあるわけだが、人の不幸を喜ぶ感情は女性よりも男性に強いそうだ。
また、男性は悪人の不正に対して強い制裁の気持ちを持つのに対し、女性は相手が善人悪人にかかわらず、罰を受けてつらい思いをしている人に感情移入する傾向が強い。
蓮如は「女人の身は、五障・三従とて、おとこにまさりてかかるふかきつみのあるなり」というが、男のほうが罪が深い気がする。

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ケヴィン・ネルソン『死と神秘と夢のボーダーランド』

2014年07月05日 | 

臨死体験とは何か、大きく分けると脳内現象説と現実体験説(死後の世界をかいま見たということ)がある。
ケヴィン・ネルソン『死と神秘と夢のボーダーランド』は脳科学から臨死体験を説明している。
臨死体験の特徴というと、トンネル・光・体外離脱が代表的だが、いずれも実験によって再現できるそうだ。

脳の側頭頭頂接合部が遮断されると、体外離脱体験をしたり、〝何者かの存在を感知〟したりする。目や脳の血流が途絶すると、管状視野という障害が起きて、トンネルが見える。

・トンネル
低血圧が網膜の周辺視野を失わせてトンネルを見せる。

・トンネルの向こうに見える光
1 半眼になっているまぶたの隙間から入る周囲の光。
2 レム催眠期の意識が見せる光。

・体外離脱
体外離脱は珍しいものではなく、覚醒と睡眠のボーダーランドで起こることが多い。
ヨーロッパでは体外離脱を5.8%の人が体験している。
池谷裕二『脳には妙なクセがある』には、幽体離脱は30%が経験するとある。
持続時間は通常、数秒、長くても数分で、数時間、数日と続くことは滅多にない。
生涯に1、2回がほとんどだが、毎週のように体外離脱を体験する人もいる。
手術中の体外離脱は、麻酔が不十分なせいで意識があり、周囲の会話を聞いていたなどで説明がつく。(手術中に覚醒する患者は0.18%)

池谷裕二氏によると、頭頂葉を強く刺激すると、実際には動いていないのにもかかわらず、あたかも体が動いたかのように感じる。
頭頂葉の角回を刺激すると、被験者の意識は2メートルほど舞い上がり、天井付近からベッドに寝ている自分が見える。
神を感じる脳回路は側頭葉らしく、側頭葉を磁気刺激すると、40%の人が存在しないはずのもの(キリスト、マリア、祖父の亡霊、エイリアンに誘拐された体験)をありありと感じる。

ケヴィン・ネルソンが新たに提唱したのが〝レム催眠侵入説〟である。
レム催眠とは急速眼球運動を伴う睡眠のことで、身体は深く眠っているのに、眠りが浅くて脳は覚醒に近くて活発に動いている状態にある。

臨死体験というのは、意識不明であるはずなのに、何らかの形で周りのことが分かっている状態ではないかと思うわけだ。

レム催眠と覚醒がくっきりと分けられずに、覚醒・夢(レム催眠)・無意識の混在した〝ボーダーランド〟に脳が入り込んだのが臨死体験だとケヴィン・ネルソンは言う。

超常的な神秘体験をしながら、なおかつそれを意識しているという臨死状態の脳は、まさにこうした覚醒・夢(レム催眠)の中間(ボーダーランド)にあるのではないか。

臨死体験者は高い割合で、日常の覚醒している時間帯にレム催眠が何らかの形で侵入した経験があり、臨死体験者の脳はレム催眠から覚醒へとスムーズに移行せず、混在させてしまう傾向にあるそうだ。

彼らは覚醒していながらレム催眠状態に置かれている。それで、光と体外離脱感覚を体験する。意識はあるのに動けない。めくるめく想像の物語の主人公になる。ここに挙げた臨死体験の三つの主要特徴はすべて、レム催眠に元をたどることができるのだ。


夢を見ていながらこれは夢だと気づくことがある夢を明晰夢というが、臨死体験と近い混成意識状態だそうだ。
明晰夢を見ている人はレム催眠の意識状態にあり、体験する感覚はすべて夢の世界で生じたものである。

臨死体験が夜見る夢と違うのは、普通の意味の夢ではないからだ。強いて言うなら、レム催眠と覚醒のボーダーランドで見る明晰夢に近い。既に覚醒している脳内で、夢見るのの一部が突然起動する。

エイリアンに誘拐された記憶を持つ人も、明晰無を見せるレム催眠侵入とレム催眠麻痺に原因があると考えられるとケヴィン・ネルソンは言う。
明晰夢を見る人は体外離脱を体験しやすいそうで、明晰夢は修行の手段として用いる宗教があり、明晰夢の見方も訓練次第で上達する。

たしかに臨死体験者には宗教的な体験だと感じた人も少なくない。
面倒な修行をしたり、臨死状態にならなくても、脳の側頭葉を上手に刺激すれば悟り体験を得ることも可能なんじゃないかと思う。

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税金の大切さ

2014年07月01日 | 

神野直彦『税金 常識のウソ』と志賀櫻『タックス・ヘイブン』を読み、納税が国民の義務だということに納得しました。
神野直彦氏によると、租税はマンションの管理費のようなものである。
管理費を払って共用スペースを共同管理するし、一階に住む者もエレベーターの管理費を負担する。

管理費を負担することが、嫌われるとは限りません。むしろ管理費の高いマンションのほうが住環境は良いので、好まれる場合が多いはずです。租税も同じことです。租税が低いにもかかわらず、教育が行き届き、インフラも整備されているなどという国家は存在しようがないのです。


租税負担が高いと、格差や貧困が抑えられ、経済成長すら可能になる。
志賀櫻氏も強い経済の背景には必ず分厚い中間所得層の存在があると言っていて、まとめるとこうなります。

中間所得層が働いて正当な報酬を得る
 ↓
勤労意欲が湧き、消費も増える
 ↓
経済は成長する
 ↓
報酬はさらに増える
 ↓
消費はますます増える
 ↓
経済はますます成長する

こういった好循環がかつての日本の高度成長期だったわけです。

日本の租税負担率は国際的にみても著しく低いそうで、日本やアメリカのように租税負担が低いと、格差が広がり、貧困率も高くなる。
発展途上国のように一握りの支配階級が富を独占して、貧富の格差が激しく、二極分化した社会には、強い経済は望めない。
日本もそういう二極分化社会になりつつあると、志賀櫻氏は言う。
浜矩子『「アベノミクス」の真相』にもこうある。

一つの経済社会において、いかに豊かな富が蓄積されていても、それが一握りの人々の手中に全て収まってしまっていたのでは、その富が充分な幸せと豊かさを生んでいるとは言えないだろう。


高額所得者や大企業は税金を払わずにすますことができるが、中間所得層や貧困層はできない。

志賀櫻氏

高額所得者が税金対策を講じて、課税を免れている。そのしわ寄せはどこに来るであろうか。中間所得層である。もっとひどい状態になれば低所得層にも税負担増と福祉の減退というしわ寄せがくる。富裕層の税金が逃げたあとで割を食うのは、まじめに税金を払っている中間所得層と低所得層である。

神野直彦氏

企業の経営者はよく、日本の法人税の負担が高いので、負担を軽減しないのであれば日本を出ていくと主張しています。その一方で日本では、企業経営者は愛国心教育が必要だと熱心に訴えます。国家を支える租税は支払いたくないけれども、経済活動を営むには国家が必要なので、愛国心を高めなければならないという主張だと思います。


本来納付すべき税金と、実際に納付されている税金との差額を「タックス・ギャップ」という。
志賀櫻氏によると、アメリカの内国歳入庁は、2001年のタックス・ギャップを3450億ドルと推計し、このうち2900億ドルが徴収できていない。
日本の課税当局はタックス・ギャップの額を推計しようとさえしていない。
節税と租税回避、租税回避と脱税の境界はあいまいで、明解に区分できないそうだ。
トヨタが5年間法人税を払っていなかったのは節税か租税回避かどちらでしょう。

志賀櫻氏

政府が何もしなければ、富める者はますます富むし、貧しい者はますます貧しくなっていくからである。こうして、かつて日本経済の屋台骨を支えていた中間所得層は切り崩され、やせ細り、ひいてはそれが経済力を低下させていくことになるのである。

真面目にこつこつ働いている人が報われる社会であってほしいと思う。

租税は御上への貢ぎ物ではない。

租税はお互いに負担し合うもの。

神野直彦氏

租税は少なくとも国民を苦しめる「悪」とはいえないように思えます。

 海外に財産を移したり、海外で生活していることにして税金逃れをしているのに、ご立派なことを言っている人が「悪」だと思う。

租税は良き市民が支払う文明の対価だ。 ジェフリー・サックス
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