yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

九月十日 菅原道真

2017-09-26 05:20:04 | 文学
菅原道真公(平安時代)の七言絶句、「九月十日」を紹介します。

去年今夜侍清涼
秋思詩篇獨断腸
恩賜御衣今在此
捧持毎日拜余香.

去年ノ今夜清涼ニ侍ス
秋思ノ詩篇獨リ断腸
恩賜ノ御衣今此ニ在リ
捧持シテ毎日余香ヲ拜ス

「訳」
   思い起こせば、ちょうど去年の今夜は清涼殿で御宴に侍っており、他の臣たちとともに「秋思」の勅題を奉じて詩を作ったが、その折、心に憤り悲しむことがあったせいか、自分の詩だけが腸もちぎれんばかり悲しい思いに満ちていた。その詩が思いがけなく陛下の御感にあずかり、お召しの御衣を手ずから賜った。その御衣は今ここにあり、日ごとに捧げたてまつって移り香を拝し、ひたすら天恩の厚きに感じ入っているのである。
 
「鑑賞」
  九月十日は重陽の節句の翌日にあたり秋の好時節です。道真公が「秋思」の詩を賦して醍醐天皇の御感にあずかり、得意の絶頂にあったかのようですが、その実、宮廷において藤原一門に圧迫され、まったく孤立の状態に陥り、事ごとに悲憤の情に堪えないものがあったとのことです。「秋思」の一篇には、それが自然に表れていて天皇もいたく感動されました。しかし、この後、急転直下、道真公は讒訴により太宰府に左遷されました。

      「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
コメント
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