yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

楽遊原 李商隠

2015-09-21 05:03:05 | 文学
晩唐の詩人 李商隠(812~858)の五言絶句です。

楽遊原 

向晩意不適
駆車登古原
夕陽無限好
只是近黄黄昏

晩(くれ)ニ向(なんなんと)シテ意(こころ)適セズ
車ヲ駆りテ古原(こげん)に登ル
夕陽(せきよう)無限ニ好シ
只ダ是レ黄昏(こうこん)ニ近シ 


「訳」

夕暮れになるにつれて心落ち着かず。
馬車を走らせて楽遊原に登ってみた。
夕陽は無限に美しく輝いているが、ただひたすら黄昏に近づくばかり。


「鑑賞」
 楽遊原は長安の東南の高原で、古くから行楽地でした。李商隠は晩唐の詩人で、同時代の温庭筠(おんていいん)と「温李」と並び称されました。李商隠はこの詩において、最後の光芒を放ちつつ下降してゆく夕陽に、
迫りくる黄昏を鋭く予感しました。この詩が傑出するのは、沈みゆく太陽に没落の一途をたどる唐末の時代状況を重ねあわせて、重層的詩的世界を作りだしているところにあります。

井波律子「中国名詩集」岩波書店


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