マガジンひとり

自分なりの記録

旧作探訪 #151 — イカリエ-XB1

2018-05-25 20:34:21 | 映画(映画館)
Ikarie XB-1@シネマカリテ/監督:インドゥジヒ・ポラーク/原案:スタニスワフ・レム/出演:ズデニェク・シュチェパーネク、フランシチェク・スモリーク、ダナ・メドジツカー、ラドヴァン・ルカフスキー/1963年チェコスロバキア

共産主義下のチェコでつくられた初の本格的SF映画にして、その後のSF作品に多大な影響を与えた先駆的快作が初の劇場公開!

22世紀後半、地球外生命探査の旅に出た宇宙船イカリエXB1は、アルファケンタウリ系へと向かう途上で、漂流中の朽ちた宇宙線を発見する。それはかつて地球から旅立った宇宙船だったが、船内にあるのは謎の死を遂げた乗組員たちの遺体。この難破船に積まれた核兵器の爆発により調査員数名を失う悲劇を経て、さらに旅を続けるイカリエ。しかし謎のダークスターによって乗組員たちはみな眠りに就いてしまい…。1963年にチェコで初めてつくられた本格的SF映画イカリエ-XB1は、密室の中で徐々に狂気に侵される乗組員のサスペンスフルな人間ドラマと、近未来のユートピア的な日常生活を、斬新なスタイルで描き出した。その世界観は『2001年宇宙の旅』にもインスピレーションを与えたといわれている。




1981年から2009年まで続いた長寿のラジオ番組コサキンというのがありまして。パーソナリティを務める小堺一機さんと関根勤さんの名がそのまま番組名。しばしば番組サブタイトルや曜日・時間帯が変ったが、86年から91年まで水曜25時から2時間の深夜黄金枠が続き、内容もこの頃が最高だったですね。

一度、他の番組との絡みだったかも分らないが、佐野元春が選曲するという回があって、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのRunnin' Awayが流れたことが。佐野って人はええかっこしいだと思ったね。良い曲ではあるが、誰もが納得する明快な曲ではない。スライ知らない人に初めて聞かせる俺、かっこいいってやつ。そしてまた別の機会には、リスナー参加のイントロクイズ=イントロを聞いて、連想ゲームのようにギャグでつなげてまったく別の曲名を答えるという=で2問連続で佐野元春の曲のイントロが。この時は連想ゲームでなく、ストレートに彼が盗作した疑いのある原曲が回答で、小堺さんが「佐野元春さん、教育的指導!」と。

ええかっこしいな人は、人から盗んででもええかっこしたいんですかね。楽園くんの自転車泥棒。コサキンには学びがあった。いまにして思うことだが—




しばらくお待ちください。ジョン・ケージという人物にも触れなければならない。現代音楽・前衛アートの代表的な作曲家(1912-1992)。音楽に雑音を持ち込むことを宣言。ピアノの弦に異物を挟むことで打楽器のような効果を生むプリペアドピアノを考案。演奏者が何もしない「4分33秒」を発表。ラジオやテープレコーダーを用いて断片的な音を組み合わせる方法論でも先行。

私のiTunesに佐野元春の曲は2曲入っている。盗みでないオリジナルな才能もあった。ジョン・ケージの曲はWilliams Mixという1曲のみ。テープを用いて無秩序に音が流れ、終ると聴衆はブラボーとブーイングの賛否両論。他にも代表曲とされる曲をYouTubeなどで聞いてみるとよい。彼には作曲の才能はなかった。美しい音楽に不可欠なハーモニーを理解していなかったという話もある。しかし実験精神旺盛で、後に一般化したさまざまなアイデアを最初に試み、世に問うた。その偉大さである。純粋に音楽として比較すれば、無価値。

きょうの映画も、ジョン・ケージの音楽と同じく、1963年にこれを試みたということは意義があったのかも分らないが、やはりなぜ見に行く気になったかといえば、佐野元春のように通ぶりたい、ええかっこしたい、虚栄心に満ちた東京人の消費行為としかいえず、何の糧にもならない映画や演劇を見ることで埋められていた当ブログ初期の虚しい自分との対面を余儀なくされました—

コメント    この記事についてブログを書く
« 読書メーター #7 — 世の中が... | トップ | 26-May-2018 Top 20 Songs »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(映画館)」カテゴリの最新記事