マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

読書録 #29 — イワン・デニーソヴィチの一日、ほか

2022-02-27 16:22:52 | 読書
藤原辰史/カブラの冬 第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆/人文書院2011
第一次世界大戦において連合国と同盟国の双方とも長期化する戦闘の行方を見通せず、英国とドイツ帝国は兵糧攻めを狙い双方海上封鎖を行う。食料の3分の1を輸入に頼るドイツは開戦後から食糧価格高騰に見舞われ、さらにこの海上封鎖とジャガイモの大凶作などで1916年に「カブラ(がジャガイモに代わり主食になる)の冬」が到来、1918年の敗戦までにドイツ国民の餓死者は76万人に及んだ。やがてこの記憶が国民の憎悪感情をイギリス・フランスよりも国内で贅沢に暮らしたり革命を目論む「ユダヤ人・マルクス主義者」に向けさせ、これを利用するナチスの政権獲得につながってゆく。
ポテト供給の止まったファストフードであったりアサリウナギの産地偽装であったり、現今の平和ボケよりも、米騒動や2.26事件の記憶も新しい太平洋戦争中、『暗黒日記』清沢洌や『敗戦日記』高見順は軍部の専横と戦況悪化を憂いながらも肉や酒を入手できており、このとき既に第2の敗戦の種は蒔かれていたというべきであろう。


グレゴリー・ベイトソン/精神と自然 生きた世界の認識論/岩波文庫2022・原著1979
「芸術も、宗教も、商業も、戦争も、そして睡眠までもがそうなのだが、科学もまた前提の上に成立している。ただ科学の場合は、単に思考の道筋が前提によって決まるというだけではない。現在の前提の是非を問い、非ならば破棄して新しい前提を造るところに科学的思考の目標がある」。
次々と変異する新型コロナ。国や年齢層や持病や食生活、千差万別の症状や死亡率。専門家がかかりきりになってもよく分らない。↑で「睡眠」に言及するが、なぜ心身にとって睡眠が不可欠なのか、睡眠中に脳内の情報はどう整理されているのかさえ分かっていない。文明とはおもに道具が発達しただけのことで、ヒトのスペックは太古から変らず、これからも変ることはない。因果関係のはっきりした自然科学を優先して社会のシステムが作られ、人文系の学問は後追いしてシステムの上澄みで踊りを見せる立場であらざるをえない。文明に警鐘を鳴らすとかサイバネティクスwとかおこがましいにもほどがある。大学や投資の関係者が自分を大きく見せたいため利用しそうな価値の低い本。




川島高峰/流言・投書の太平洋戦争/講談社学術文庫2004・原著1997
レバナスをはじめ米国株関連の投資を謳うツイッター・アカウントなども97%(あさり)は証券会社・ユーチューバーによるステマなのではと疑ってしまう。なぜ、そしていつから日本人はこれほど幼稚で恥知らずになったのか。出征兵士を見送り、やがては物不足や空襲に見舞われる「銃後」において人びとはどう考え、振舞っていたのかを当時の資料に当った本書によれば、「アジアを解放する聖戦=大東亜戦争」「鬼畜米英」「欲しがりません勝つまでは」といった政府によるプロパガンダが徹底し、民間人の集団自決まで起った要因として、天皇はもちろん軍人や官僚の社会的地位が高く、また家父長制や隣組などにより、民間人でも指導的な立場にある人ほど政府と自分を重ね合わせ「聖戦意識」によって教化されていたことを挙げている。ゆえにこそ降伏、一転してマッカーサーら占領軍の統治を歓迎する空気が支配的になったのである(全滅を玉砕、占領軍を進駐軍、最近では副作用を副反応という言い換えを強制しなくても整然と即座に)。


シェルドン・ソロモン/なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか/インターシフト2017・原著2015
安っぽい装幀。長くなるため省略した「人間の心の芯に巣食う虫」という副題が原題。著者はヒトが過去や未来を軸として考えることができることによって生じる「死の恐怖」を専門分野として研究し、多くの人は死の恐怖に直面すると自分たちの価値観や文化を強く守ろうとして時にわざわざリスキーな行為にも走らせると考える。
「死すべき運命について思うと、キリスト教徒はユダヤ人を侮辱し、保守派は進歩派を非難し、イタリア人はドイツ人を軽蔑し、…どこの人も移民をあざ笑うことが研究で実証されている」。私見では近年人びとはスマホ(バカホ)によりまるで債務者のように常に人目を意識して時間を区切られ、恐怖から守ってくれる自尊心ではなく「自意識」が肥大してしまい、本来の伝統や文化ではなくそれらを漫画的に誇張したガンダム・ポケモン・安倍・トランプなどに強く自己投影し、アイデンティティー崩壊状態となっているのではないか。


菅原慎一ほか/アジア都市音楽ディスクガイド 韓国・台湾・ベトナム・タイ・インドネシア・香港・マレーシア・シンガポール・フィリピン・中国・ラオスの良曲600選/DU BOOKS2022
80~90年代、J-popが形成され空前のCDバブルを迎える日本の音楽の作詞作曲は、ボウイや小室哲哉に顕著だが「尊大と卑屈の同居」が感じられる。たとえば前哨となるサザンオールスターズの場合も、「いとしのエリー」「ミス・ブランニューデイ」といった代表曲が今聞くと洋楽に寄せた歌謡曲に過ぎず気恥ずかしいのに対し、歌謡曲に徹した「C調言葉に御用心」「私はピアノ」など持ち味が発揮されて完成度が高い。本書は東・東南アジアの都市ポピュラー音楽を曲単位で600集めたということで期待したが、どれも薄味で平凡、初期サザンや許冠傑のような猥雑な魅力は見当たらない。都市化・情報化・教育や社会保障ということ自体、韓国の朴父娘大統領が「日本軍譲りの実用主義」と評されるように音楽の核となる自発性や独立心と相反するものなのだろう。


増田薫/いつか中華屋でチャーハンを/スタンドブックス2000
あまり使いたくない言葉なのだが何かがバズって本書を手に取ったのだが、もうその何かを思い出すことができない。多摩美⇒デザイン事務所⇒バンドマンという著者が「中華屋のオムライス」など定番以外の美味を食べ歩きする漫画形式の好評WEB連載。こういう人たちって現状への怒りとか不満とかないんだろうか。ご本人の生活の匂いが漂ってこない、でもソツがなく人懐っこい、いまどきの。「情報」「WEBの埋め草」に過ぎず、連続して見せられるとどれも同じで、「作品」として自立していない。特定の広告ということでなく、B級グルメ・旅行・WEBメディアなどをゆる~く広告することで食っているのかな。そういう狭い、毒にも薬にもならない漫画が多すぎる。


水木しげる貸本モダンホラー・上/太田出版1998
1960年代前半、貸本時代の短篇を「時代ロマン」「モダンホラー」各2集に編んだ選集。本書には「不思議な異界が隣り合わせ、あるいは人里離れて存在し、ふとしたきっかけで誘い込まれ殺されてしまう」エピソードが多い。
子どものころ学年誌に載っていた鬼太郎をはじめ、売れてからの水木さんの漫画は手抜きして置きにいったものが多く、不遇だった貸本時代の珠玉とは別次元の感。これについて筑摩書房の松田哲夫は「アシスタント志望の変人たちをうまく使うような、水木さんのプロダクション経営の秘訣を聞いたところ『部下を働き虫にすること・売れない本を作らないこと』」と証言。水木さんにとって現代の資本主義社会はかりそめの住処で、貸本時代に描いた不思議な異界・冥界こそ人生の本拠地なのであろう。




渡辺靖/白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」/中公新書2020
米国における白人ナショナリズムの起源には、米大陸先住民(インディアン)は生物学的かつ文化的に自分たち(ヨーロッパ白人)より下等であり、自分たちの支配下に入ることが先住民にとっても幸福であるという、殺戮と強奪を正当化する優越主義的な発想がある。それはたとえば2019年にトランプ大統領が非白人の民主党女性新人議員4名を指して「米国にいることが幸せではなく不満ばかり言っているなら、とても単純なことでこの国を去ればいい」とツイートしたり、日本のネトウヨがデモや政府批判やマイノリティーの訴えをすぐに中国韓国と短絡させて「日本から出ていけ」と集団で叩く様子にも表れる。単一民族幻想に浸り、白人を崇拝し(特に70年代の少女漫画、私見)、常に内向きの歴史修正を試みる日本は、欧米の差別主義者・団体から理想郷とみられている。


将基面貴巳/反「暴君」の思想史/平凡社新書2002
マックス・ヴェーバーが説く政治の「責任倫理」。権力の行使には結果責任が伴う。著者は「オッカムにせよ古代中国の儒家にせよ、組織における上位者への服従が下位者に義務づけられたのは、上位者がその義務を果たす限りであった」。「ところが、これとは対照的に『葉隠』の要求する服従にはそのような制限が一切存在しない」「御家の家臣たちは『主君』の悪事をひた隠すことによって、「主君」の地位を安泰たらしめることに躍起となる」。「吉田松陰答えて曰く、日本の天皇に桀紂のような暴君が現われようとも、一切の国民はただ、並んでひたすらに平伏し、号泣して天皇の改心を祈ることができるだけである。さらに、君がしかるべき人物でない場合には、その国の民は皆『諫死』すべしとまで言い切った」などとして、日本には理念や共通善を現実妥協的にねじ曲げ、集団的無責任によってリーダーを甘やかす精神風土があるとする。明治維新がキリスト教文明の議会政治・戦争・経済成長といった器だけを性急に取り入れた結果、かえって心理面では封建制が根強く残ってしまったのだろう。
 



ソルジェニーツィン/イワン・デニーソヴィチの一日/新潮文庫1963・原著1962
むかし親の書棚にあった。おそらく母が読んだのだろうが、世界的ベストセラーで後にノーベル賞を受けたので父も読んだかも。どこかの学者がコロナでホテル療養が決まり、これを持ち込むとツイートしていたので懐かしく思い入手したが、2度の従軍と、思想犯としての収容所生活、雪解け復権と国外追放という激動を生きた著者の真実の記録は、プーチンの暴走・ウクライナへの侵攻とその後の急展開を受け貴重な読書体験に。プーチンは確かに諜報や政争にかけては天才なのかもしれないが、まっとうな軍人ではなく、政治家としても凡庸なのを、アメリカはじめ西側のメディアが全能の独裁者のように持ち上げることでロシア国民の心情をないがしろにしてきた面があるように思う。収容所の極限状況を必死に生きる主人公は、そうした心情を生々しく伝えて感動的だ。

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26-Feb-2022 Top 20 Hits

2022-02-26 17:15:56 | Weekly Top 15
1. ← 2. 3 Father John Misty / Q4 (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
2. ← 1. 5 Molly Nilsson / Fearless Like a Child (2022 - Extreme)
3. ← 7. 3 Big Thief / Simulation Swarm (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
4. ← 13. 2 Daniel Rossen / Shadow in the Frame (2022 - You Belong There)
5. ← 5. 8 Sondre Lerche / Cut (2022 - Avatars of Love)
6. ← 3. 6 Beach House / Masquerade (2022 - Once Twice Melody)
7. ← 4. 8 Father John Misty / Funny Girl (2022 - Chloë and the Next 20th Century)
8. ← 6.4Los Bitchos / Pista (Fresh Start) (2022 - Lert the Festivities Begin!)
9. ← 11. 4 St. Paul & the Broken Bones / The Last Dance (2022 - The Alien Coast)
10. ← 10. 4 Black Country, New Road / Chaos Space Marine (2021 - Ants From Up There)
11. ← 9. 8 La Máquina Camaleón / Motora (2017 - Amarilla)
12. ← 19. 2 The Head and the Heart / Virginia (Wind in the Night) (2022 - Every Shade of Blue)
13. ← 8. 7 Big Thief / No Reason (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
14. ← 16. 3 Daniel Hope / Come Sunday (2022 - America)



15. NEW 1 Destroyer / Eat the Wine, Drink the Bread (2022 - Labyrinthitis)
16. ← 14. 4 Silvana Estrada / Te guardo (2018 - Marchita)



17. NEW 1 Big Thief / Dragon New Warm Mountain I Believe in You (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
18. ← 12. 9 Mon Laferte / Mi buen amor (feat. Bunbury) (2017 - La trenza)



19. NEW 1 Calexico / El Mirador (2022 - El Mirador)



20. NEW 1 Kamasi Washington / The Garden Path (2022 - Single)


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1992 ─ 50 Best Songs

2022-02-23 14:42:32 | Year End Charts
50) Wonky Alice / Sirius
49) Spectrum / How You Satisfy Me



48) Suzanne Vega / In Liverpool
47) Soda Stereo / Primavera 0
46) The Rembrandts / Johnny Have You Seen Her?
45) The Ocean Blue / Ballerina Out of Control (1991)
44) Blind Melon / No Rain
43) Prefab Sprout / If You Don't Love Me
42) Shakespear's Sister / Hello (Turn Your Radio On)
41) Paul Westerberg / Dyslexic Heart
40) Slowdive / Catch the Breeze (1991)
39) Kris Kross / Jump
38) Tori Amos / Crucify
37) E / Hello Cruel World
36) k.d. lang / Constant Craving
35) Tori Amos / Winter
34) Keziah Jones / Where's Life? (1991)
33) Nirvana / Come as You Are (1991)
32) Nick Cave & the Bad Seeds / Loom of the Land
31) Crowded House / Weather with You (1991)
30) Saint Etienne / Join Our Club
29) Arrested Development / Tennessee
28) Marc Almond / Trois Chansons de Bilitis/The Days of Pearly Spencer (1991)
27) L7 / Pretend We're Dead
26) Vanessa Paradis / Be My Baby
25) The Lemonheads / It's a Shame About Ray
24) The Cure / Friday I'm in Love
23) Charles & Eddie / Would I Lie to You?
22) XTC / The Disappointed
21) Madonna / This Used to Be My Playground
20) Matthew Sweet / Girlfriend (1991)
19) Nick Cave & the Bad Seeds / I Had a Dream, Joe
18) Julee Cruise / Summer Kisses, Winter Tears (1991)
17) Nirvana / Lithium (1991)


16) Sugar / Changes
15) TLC / Ain't 2 Proud 2 Beg



14) Tasmin Archer / Sleeping Satellite
13) 10cc / Woman in Love
12) Red Hot Chili Peppers / Under the Bridge (1991)
11) Enya / Caribbean Blue (1991)
10) The Beautiful South / Old Red Eyes Is Back
9) Nick Cave & the Bad Seeds / John Finn's Wife
8) Eric Clapton / Tears in Heaven
7) The Christians / What's in a Word
6) Bonnie Raitt / I Can't Make You Love Me (1991)
5) Talking Heads / Sax and Violins (1991)
4) My Bloody Valentine / Only Shallow (1991)
3) Sophie B. Hawkins / Damn I Wish I Was Your Lover
2) R.E.M. / Man on the Moon
1) Nirvana / Smells Like Teen Spirit (1991)


さまざまにアンテナを張ったり、そうして集めた曲を取捨選択して、毎週のチャートを続けていくことは、けっこう時間を要するので、自宅でできる仕事の今ならともかく、よくまあ会社に勤めてからも8年余り続けられたものだなと。

誰にも見せない。会社に友だちがまったくゼロというわけでもないが、音楽の話題を共有できる人など皆無。孤独、自分だけの時間があることは、案外大切。


そうした私にも、いよいよ毎週チャートをやめなければならない日が訪れた。
1992年、27歳になった私はちょうど親と折り合いが悪くなっていたこともあり、実家を出る潮時だろうと。7月に大田区北千束のアパートへ入居することになるが、前段として家事を自分でやるとか、出費を切り詰めて引っ越しの準備だとかで、音楽に振り向けるお金も時間もなくなってしまい、年初にチャート断念。↑は自活のため買った家具や家電品の中で最長不倒、20年を超えて使うことになった日立の電子レンジの取説。

2012年5月の記事を改稿しました。
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19-Feb-2022 Top 20 Hits

2022-02-19 16:10:56 | Weekly Top 15
1. ← 1. 4 Molly Nilsson / Fearless Like a Child (2022 - Extreme)
2. ← 10. 2 Father John Misty / Q4 (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
3. ← 2. 5 Beach House / Masquerade (2022 - Once Twice Melody)
4. ← 4. 7 Father John Misty / Funny Girl (2022 - Chloë and the Next 20th Century)
5. ← 6. 7 Sondre Lerche / Cut (2022 - Avatars of Love)
6. ← 8.3Los Bitchos / Pista (Fresh Start) (2022 - Lert the Festivities Begin!)
7. ← 19. 2 Big Thief / Simulation Swarm (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
8. ← 5. 6 Big Thief / No Reason (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
9. ← 3. 7 La Máquina Camaleón / Motora (2017 - Amarilla)
10. ← 12. 3 Black Country, New Road / Chaos Space Marine (2021 - Ants From Up There)
11. ← 15. 3 St. Paul & the Broken Bones / The Last Dance (2022 - The Alien Coast)
12. ← 7. 8 Mon Laferte / Mi buen amor (feat. Bunbury) (2017 - La trenza)



13. NEW 1 Daniel Rossen / Shadow in the Frame (2022 - You Belong There)
14. ← 14. 3 Silvana Estrada / Te guardo (2018 - Marchita)
15. ← 9. 10 Peggy Gou / I Go (2021 - Single)
16. ← 20. 2 Daniel Hope / Come Sunday (2022 - America)
17. ← 11. 5 Fazer / Mara (2018 - Mara)
18. ← 13.11Dave / Black (2019 - Psychodrama)



19. NEW 1 The Head and the Heart / Virginia (Wind in the Night) (2022 - Every Shade of Blue)
20. ← 16. 4 Lana Del Rey / Watercolor Eyes (2022 - Single)


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AVALON6号

2022-02-17 16:22:20 | 書肆(しょし)マガジンひとり
11氏参加の今号、オヨヨさんの美少女コミック勃興記が最終回となり、五藤加純先生・計奈恵先生・中島史雄先生を迎えたインタビューでは80年代美少女コミックがどのように生まれたか、アダルト向けOVA「くりいむレモン」秘話などいにしえのオタク文化黎明期を紐解きます(協力:おてんばベッキーさん)。

参加■オヨヨ/80s美少女コミック勃興記⑤20P■おてんばベッキー/川島よしお物語③4P■JEFFR・再録1P■ヒラメドゥサ・支援サイト発表作再録3P■えろしー・支援サイト発表漫画に加筆3P■保田塾長の教育委員会の方から来ました①書評2P・挿絵:伸長に関する考察■女水着チャレンジ②たかふみ・1P■男水着チャレンジ③ポンスケ・1P■同人作家が選ぶ名曲名盤⑤ファーストサマーぐりこ・9P■真人@階段巡り/10日間野宿しながら四国で階段巡ってみた③カラー旅日記3P■シリーズ路地裏⑤猛暑・1P


📚BOOTH
🍈メロンブックス

紙本発行:2022年2月(COMITIA139)。A5判50ページ・イベントとBOOTH1000円・書店1050円+税。電子書籍版はPDF形式、2月11日ころ登録し、BOOTHで紙本ご購入の方は電子版PDFもダウンロード可能になります。2月20日のコミティア139に配置【い21a】で参加します。当日無料配布のポストカード(ヒラメドゥサさんのイラスト・本誌には小カットとして収録)はBOOTHでも紙本(すべての種類)ご購入の方になくなるまでお付けします。コミティアお越しの際は感染症対策にご留意のうえ無理のない範囲でよろしくお願いします。
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掛け捨て保険くん

2022-02-15 11:33:16 | 亡国クロニクル
ネット上で新型コロナ後遺症やワクチン副作用のことを話すとネトウヨがシュバッてきて叩くのか。貧すれば鈍す、まことにひどい国になった。「検査を増やすと偽陽性などの問題から医療崩壊を招く」「新型コロナ、とくにオミクロン株はただの風邪」、こういうのを広める者たちは、別にDappiや日本会議や笹川財団・統一教会のようなカネとコネで動くわけでなく、多数派にすり寄って異物を探していじめるような、子どもの遊びの延長としてやっているのだと思うが、そもそも実際にお金が動くテレビや政治や企業活動がイベサーの不良大学生の域なので東京五輪・イソジン・あさり・うなぎ・古塔つみ・入管の外国人虐待などなど最近の日本人がらみの風評被害はあらゆる価値をおとしめてとどまるところを知らない。

藤田ニコルの嗅覚が戻るのか心配。でも彼女は俺のこと知らないし病気になっても心配してくれない。イメージを売る商売。がんばって教習所なしで免許を取ってベンツを乗り回す。だから病気になったのにそれまで買ったひがみねたみそねみのため心ない中傷を浴びる。そう考えると人気・知名度というのは借金のようなものでもある。逆境で一気に顕在化し、その人の心や言動を縛って追い詰める。極端な例はアンジャッシュ渡部だ。ハライチだったかラジオでグルメだのアパレルだの旅行だのおしゃれなイメージの広告タイアップ的な仕事は金払いがよいと言っていた。渡部はイメージと真逆のことをやって裏切ったから、脱税のチュートリアル徳井より復帰が難しい。

昨年の6~7月だったか、長く聞いていた有吉弘行のラジオが急激につまらなくなり、しばらく聞かずにいて、気が向いて聞いてみた回、冒頭からタイムマシーン3号とアルコ&ピース、アルピーの平子と酒井、とんねるず石橋と上島竜兵、前者を持ち上げて後者を落とすというくだらない身内イジリの3連発でもう2度と聞くまいと。結婚前から予兆はあった。どこかの高価なダウンジャケットに言及したら、メーカーから彼とアシスタント(デンジャラス安田)の2着をプレゼント。有吉と渡部とカンニング竹山は不定期に会食し、渡部が店を決めて竹山が勘定を払うという、政治のニオイ。案の定、聞かなくなってから、贔屓にしてラジオやテレビに呼んでいた「もう中学生」にみみっちい文春砲。アンジャッシュ児嶋の悪口でプチ炎上。有吉は同輩後輩とのつながりを保険にしているのかも分らないが、狭い界隈に縛られ、世間の空気が変ってきていることに対応できず、本人も評判を落としてしまっている。広告・テレビ・芸能界全体からすれば有吉弘行というタレントもまた切り捨て可能な保険くんの一人に過ぎないのである。




個人事業主という建付け上、労働基準法などの労働法規はいっさい適用されない。男性が労基法の適用される労働者だったら、仮に上記のようなツイートを理由に解雇されても、裁判上で争えば解雇権の濫用と認定されるだろうが、個人請負だとそうした保護もない。
保護がないばかりか、男性はランキングを上げるために、プラットフォーム会社が行うセミナーにお金を払って参加していた。個人請負からセミナーや研修と称して、金銭を徴収する業界はほかにもある。 (経験者が激白!流行する「ギグワーク」過酷な末路 若者たちはどうしてのめり込んでしまうのか:東洋経済ONLINE・2021年11月30日)

本来、こんなにも悲惨な状況に置かれていて、米国なら市民が政府を訴える。このインタビューは日本で読まれる限り、私の言いっ放しになるだろう。官僚や政治家、市民、日本は誰も動かない。米国なら司法を通じて市民が社会を変えることができる。日本は何も変わらない。それが当たり前だ、仕方ない、と思っているから沈んでいるということに気が付くべきだ。一度すべて壊れなければ、若い世代が再興することもできないのだろう。 (ノーベル物理学賞受賞の中村氏「日本は研究者から選ばれない。上意下達が過ぎる」:ニュースイチ2017年11月23日)


元日の記事「世間という民活」にて監視・査定・選別、ときに排除までが日本の世間の機能であるとしましたが、「評価」でなく「査定」としたのは、たとえば中古品を扱う店に私物を持ち込んで買い取ってもらうような、そこでなければ自分ではさばけない、より一方的で因業なニュアンスを持たせたかったので。世間というのは、主婦やOL、学級やサブカルの女たちが徒党を組んで身の安全を図るような、男性が支配する攻撃的な資本主義と対照的に女の防御的な価値観から成り立ち、一時の大金よりも家柄・人間関係・将来性といったように、金銭万能にさせないための保険になってきた面がある。

ところが↑の青色LEDの発明者・中村氏が「日本でLEDの信号機が普及しないのは信号の電球取り換えが警察の天下り利権になっているから」とするように、戦後の日本で会社員の夫と主婦、あるいは妻が被扶養者の範囲でパート労働するような働き方が一般化し、さらに大卒が多数派になって、会社を通してしかお金を得られない、家族を含めて会社の人質のような、自由を嫌う隷属の安定が望まれる時代になり、そこで戦前のような全体主義、しかし表面上は法治・民主主義のまま、人治があいまいに連携する権力一極集中をタイミングよく成功させたのが安倍一派による「日本を取り戻す」である。

安倍晋三が最も敵視する菅直人の「橋下ヒトラー発言」がこうした構造を一部あぶり出す結果につながったのは、暗い世相ながらも愉快な出来事であった。橋下徹が逆上して吠え、維新幹部が応援に駆け付け、テレビ新聞も維新寄りで「ヘイトスピーチ」の意味を歪めて伝え、国会では維新議員がアベノマスク産着コントを披露。これらがすべて「民間人としてテレビ出演しているのになぜ維新が私を攻撃してくるのか」「維新は自民の別働隊なのでは」という菅直人の疑問を裏書きする。大阪が真っ先に医療崩壊しても在阪メディアは別世界。吉村はんはようやっとる。

維新が、N国が、入管が、警察が、検査スンナ派が、幸福の科学やDHCやアパホテルが、経団連や連合が、ネトウヨやテレビの著名人が、騒いだり暴れてくれるのは好都合、しかしほとんどの場合安倍周辺が直接命じてはおらず、あくまでも勝手に遊んでいる。不都合になったら籠池や河合夫妻や日大理事長や愛知県知事リコールのように切り捨ててくれて構わない。普通・平凡に寄せて、異物を排除し身の安全を図るバカ主婦的な「世間」の価値観が、日本人の無責任・付和雷同を極限まで推し進めた最終兵器が安倍晋三であり、日本が衰退しても最後まで守られるご本尊。

米国のように2大政党の力が均衡していればそれが最大の保険。トランプの暴走はどこかで止められる。韓国や台湾は分断国家の緊張があり、国内も左右や地域間の対立が激しいので、民主化と経済成長を急速に達成できた面があり、中国共産党やアマゾンのベゾスは独裁でも人間を信じておらず、データ化して厳密に管理する。日本はあいまいで無責任な人治だからIT化すると困るのである。国民の健康よりもGoToだのユースビオだの関係各所の利権が優先(中村氏の記事の後にはLED信号機も普及してきた。中抜き・天下りの仕組みを整えるので遅くなる)。なので急激に衰退し、格差拡大と貧困化が進んだ。

裏切り・内ゲバ・下剋上。脱税の徳井より復帰が難しい、広告イメージを裏切った渡部。アメリカにとっては日本そのものが、決して歯向かってこない保険くん。コロナとウクライナのドサクサにまぎれてなのか不明だが、日銀が10年国債を0.25%の金利で「無制限に」引き受けるという危険なニオイのする報道が。食品のサイズ・個数を小さくするようなステルス値上げもまた上記のような「ご本尊だけは守る」動きの一環だと思うが、このところ堰を切ったように各所の値上げが続いており、今後さらに事態が悪化し、国民が「日本を取り戻す」「アベノミクス」のウソ・裏切りに気づき始めれば、筒井康隆の全盛期のドタバタをはるかに超える一大スペクタクルを楽しめるであろうと連日ワクワクしています。
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12-Feb-2022 Top 20 Hits

2022-02-12 18:21:58 | Weekly Top 15
1. ← 4. 3 Molly Nilsson / Fearless Like a Child (2022 - Extreme)
2. ← 1. 4 Beach House / Masquerade (2022 - Once Twice Melody)
3. ← 3. 6 La Máquina Camaleón / Motora (2017 - Amarilla)
4. ← 5. 6 Father John Misty / Funny Girl (2022 - Chloë and the Next 20th Century)
5. ← 2. 5 Big Thief / No Reason (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
6. ← 8. 6 Sondre Lerche / Cut (2022 - Avatars of Love)
7. ← 6. 7 Mon Laferte / Mi buen amor (feat. Bunbury) (2017 - La trenza)
8. ← 16.2Los Bitchos / Pista (Fresh Start) (2022 - Lert the Festivities Begin!)
9. ← 7. 9 Peggy Gou / I Go (2021 - Single)



10. NEW 1 Father John Misty / Q4 (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
11. ← 11. 4 Fazer / Mara (2018 - Mara)
12. ← 20. 2 Black Country, New Road / Chaos Space Marine (2021 - Ants From Up There)
13. ← 9.10Dave / Black (2019 - Psychodrama)
14. ← 17. 2 Silvana Estrada / Te guardo (2018 - Marchita)
15. ← 18. 2 St. Paul & the Broken Bones / The Last Dance (2022 - The Alien Coast)
16. ← 14. 3 Lana Del Rey / Watercolor Eyes (2022 - Single)
17. ← 12. 9 Maria Arnal i Marcel Bagés / Tú que vienes a rondarme (2017 - 45 crebros y 1 corazón)
18. ← 10. 9 Los Espíritus / Jugo (2017 - Agua ardiente)



19. NEW 1 Big Thief / Simulation Swarm (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)



20. NEW 1 Daniel Hope / Come Sunday (2022 - America)


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中産階級ハーレム⑱ ─ 投資信託

2022-02-09 13:58:30 | 中産階級ハーレム
パッとしないタレント女「××をやるときは◎◎っていう名前で~」
さえぎって有吉弘行「もうそういうデーモンシステムやめません?」
ロンブー淳「それ気まずいんだよな。俺もビジュアル系バンドでやってたから」
有吉「デーモンシステムと野菜ソムリエやめません?」
淳「完全に俺じゃねーか。おめーがどっかで思ってたこと付け足すんじゃねーよw」

面白い番組だったけどな、ロンドンハーツ。完全に過去形。↑の引用は有吉弘行を中心に据えたタレント進路相談という名物企画だが(2013年OAの回)、アメトークの「おしゃべりクソ野郎」をはじめ彼が人を斬る鮮やかさ、品川祐のように文化人系の仕事がなくなったり、逆に熊田曜子などキャラやいじり方が定着して仕事が増えたりと業界内に影響力があり、有吉は冠番組をいくつも持つなど権力が生まれ、そして有吉もロンハーもめっきりつまらなくなった。

毒舌といっても「なあ川島(劇団ひとり)よ、何であんなひどい開会式のそれも一番意味不明な部分に出させられたの?」「緊急事態宣言を出したのに昭恵さん大分のイベントに呼ばれて喜んで出かけちゃって」「粗末なマスクだな、しかもカビかよ。ユースビオって何者?」「ダウンタウンさんと爆笑問題さんが手打ちをしたのはタイタンが橋下さんのテレビ出演を斡旋することで安倍首相周辺と大阪維新の利益を守ってるからかな」などなど言えるわけないでしょ。タブーがいっぱい、忖度しまくり。長期化するコロナ禍と、その最中に強行されたオリンピックのため、テレビや芸能人やスポーツ選手は本当に必要なのか多くの人が疑問を持ち始めた。なのに大切な問題を避け、身内同士でイジッたり格付けしたりクズぶりを売りにしたり泥仕合をはじめたり懲りないテレビと特にダウンタウンや有吉をはじめとする大物芸人に、マトモな感受性を持つ人ほど不潔感・嫌悪感を抱くように変ってしまった。

身内のイジリ合いといっても、↑の有吉とロンブー淳のやり取りは、両者の実力や立場が拮抗していて面白い。淳は貧しい家庭に生まれ、目立とう精神と上昇志向が強く、「野菜ソムリエ」「城郭検定」「社会人入試」「テスラ株」といったプチブル的に俗悪な記号を集めたがるので、有吉は進路相談の機会を利用して司会者の淳をイジってみせたわけだ。

何年か前のアメトークだったか、とろサーモン久保田が「かまいたち山内さんから薄毛の薬と某仮想通貨を紹介されたけどどっちもインチキだった」と暴露。山内ってお笑いでは有能そうだけど、それ聞いて「普通のバカなおじさんじゃん」って思ったし、そのうち彼が通常なら「トランプか!」って突っ込むような題材に「バイデンか!」って突っ込む熱烈なQアノンであることが知られるように。淳が好む記号とはまた異なる、しかし拝金・射幸性・ルッキズムや排外主義など共通する趣向がうかがえる。飲む打つ買うの芸人さん、中田も西野も。

仮想通貨というのは、通貨として安定的に使えるようになるとはとても思えない、完全な投機だ。上がる理由も下がる理由もよく分らないし、発行元や保有上位の者が操作できる。それらの者が突然逮捕されたり、政府が禁止することもありうる。でも考えてみれば、それってお笑い芸人とよく似ている。アンタッチャブル柴田はなぜ干されていたのか。有吉の結婚の裏事情とは。ヤミ営業やユーチューブ進出。アンジャッシュ渡部やチュートリアル徳井の不祥事。コロナ続出の芸能スポーツ界、最初の犠牲は志村けん。

彼らは、それだけでは空っぽな紙や電波のメディアを下品な話題で満たし、人を集めて賑わせることができる。そして一般人も、投資の様子、仮想通貨よりはとくに「米国株」やそのETF(上場投資信託)類にお金をつぎ込む様子を証券会社のスクショなどツイッターに掲げ、空っぽな自分に変化に富んだ充実した時間を与えることができる。


「投資をやってるんですよ」。「ふーん(損すればいいのに)」。親しい間柄でもお金の話ははばかられる。当ブログでも自分がどうなのかということは避けてきたが、きょう少しお話します。

高卒で電電公社に勤め、民営化してNTTとなりしばらくすると政府がNTTの株式を順次公開することになり、社員持ち株会というのが給与から天引き積み立てる形でスタート、最初にまとまった金額を入れることもでき、私は0.3株ほど持っていて、ブームで高値になったとき退会・売却して利益を得た。これに味をしめて証券会社や銀行で投資信託を買うようになり、ほぼ負けっ放し、長期入院後に退職してからは貯金や親の遺産を元手に数種の投信、特に年3~5%の分配金が出るリート(REIT)と呼ばれる不動産投資信託を生計の中心に据える。これらが2008年のリーマンショックで暴落、総額半分ほどに縮んでしまい、2012年から始めた同人誌の収支との兼ね合いで徐々に投信から個別株、日本株から米国株(配当しないグロース銘柄)に移行、コロナ以降はリーマンショック前の雰囲気に似てきたように察して縮小し、この年明けに完全撤退。

以上の経験に照らすと、↑画像に入れ込んだ「REITは不動産を持ってる連中が下げ相場を見越して証券化し、個人投資家にババを引かせる」というからくりに信憑性を感じる。高名な経済学者ガルブレイスは『大暴落1929』という著書の中で、1929年の暴落が長期・世界的な1930年代の大恐慌を招いた要因を5項目挙げ、うち1つで「企業構造の最大の欠陥は、持株会社投資信託という新種の経営形態と密接に結びついている。持株会社方式は、電力・水道などの公益事業を筆頭に、鉄道や娯楽産業など規模の大きい業界を席巻していた。このような経営形態は、すでに述べた投資信託と同じように、逆レバレッジによって壊滅的打撃を被る危険をはらむ。とくに問題なのは、下流側の事業会社から支払われる配当を、上流側の持株会社が発行した社債の利払いに充てるやり方である」と述べている。

要は持株会社と投資信託という枠組み自体が責任回避・リスク拡散を目的に含むので、そこへ投資ブームが起って個人が借金してまで株や不動産の値上がりを期待して買うと、大きなバブルが一挙に破裂する危険が高まる。バブル崩壊は大なり小なり周期的に起るので、ウォール街をはじめとする金融業者は競って複雑な商品を作り、成績を誇示して夢を売り、近年は低金利・金融緩和にも助けられ、特にGAFAやテスラをはじめとする米国ハイテク株が右肩上がりに高騰し、個別株は高くなりすぎて会社員層が容易に買えないため証券会社は「レバナス=米NASDAQ指数に2倍3倍のレバレッジで連動する」などのさまざまな投信をユーチューブとツイッターで宣伝して取り込みを図る。未熟なカモを集め、保険にしておけば、自分たちは危機を察して先に逃げることが容易になる。

↓の「子どもの学資を~」というのはブームになると毎度現れるネットミームのようなもので、このアカウントは証券会社やユーチューバーのステマなのかも。しかし推しやガチャに慣れているとより魅力的に映ってのめり込む者も少なくないだろう。銘柄などで界隈を形成し、自慢・嫉妬・内ゲバなど渦巻き「魔神ホールド」なる造語が飛び交う。ホールド⇒値下がりしてもいずれ上がると信じて持ち続ける。私の経験では指数や個別株が持ち直しても投資信託は戻らない。目減りする。ましてレバレッジなんて長期で積み立てるものではない、博打だ。



90年代の橋本首相が「アメリカ国債を売りたい誘惑に駆られる」とジョークを飛ばしただけで為替が動き、彼は米政府から大目玉をくらって短命に終った。中曽根・小泉・安倍と、アメリカのケツ舐めが上手いと長期政権になる傾向。中曽根は日和見主義によって、安倍はバカで恥知らずだから、小泉はその中間かな。

アメリカの許しなく戦争なんて…。むしろ挑発だけなら中露にやられっ放しの感。ただフレディ・タンという人物はシンガポールの情報セキュリティ専門家ということで「日本の右翼は少女のようにおぼこい」という比喩はさすが。

少女のようにおぼこい⇒家柄や資産を重視する親から箱入り娘として育てられるような中産階級的な産物であり、外界の人や情報に染まっておらず、夢みがちで、安倍さんトランプさんが民主党と中国をやっつけてくれると信じる。トランプについては軍歴がないが破産歴があること、プーチンらの選挙介入で大統領になれたこと、側近から暴露や裏切りが続出していること、そして何より昨年初めの議事堂襲撃、それらは忘れたりなかったことになる。

最近の目立つデマで、カリフォルニア州では95ドル以下の窃盗が無罪になったので治安が極度に悪化しているというのが、黒人が商品を持ち出している映像と共にツイッターなどで広まっているが、中高年男が多い普通のネトウヨより、若い大卒サラリーマンで安倍とトランプが株価を政策の中心に据えたことをきっかけに投資を始めたような層で好まれるデマだ。

そういう投資初心者のツイッター・アカウントでお決まりのように使われるFIREという言葉も、生計・独立・リタイア・早期を意味する造語だが、若い会社員層が安倍トランプを好むことから、トランプが米リアリティ番組で使ったYou're Fired!(クビだ)に絡めて証券など金融業者が流行現象に仕立てたとみることもできよう。社内の人間関係、長時間労働や通勤を煩わしく思い、早期退職したいが起業の知恵・行動力もなく、流行に煽られ米国株、とくにNASDAQ市場のハイテク株に夢をみる。しかし安倍の「ウラジーミル! 共に駆けて駆けて駆け抜けて」ノシ付けて北方領土譲っちゃったというくらい内弁慶の卑屈なバカで被害者意識と承認欲求だけ一人前なので、リベラルの牙城で平均所得が高い、まさにFIREの本場といえる「カリフォルニアの治安が悪化」なんてデマを信じたいから信じる。株が下がるとバイデンと岸田のせい。

私がウォール街の人間だとしたら「絶好の機会だ。どうせ日本なんて没落するんだからNASDAQ市場のバブルをこいつらに損失をなすりつける形で調整しよう」と考えても不思議はない。既にネットフリックスやフェイスブック(現メタ)といった時価総額の大きい銘柄が1日で20%以上下げており、これからFRBの数回の利上げ、日本から米国の1300銘柄が信用取引できるようになる(反感を買っているアマゾン・フェイスブック・テスラなどを個人が「売りから入れる」ようになる)など目が離せない展開が続きそう。先の橋本発言のように、日米の経済は互いに縛って保険にしている面があり、当時より日本のプレゼンスが半減しているとしても、想定外の惨事になってしまう可能性もある。私が確実にいえるのは、おぼこい少女のFIRE民の多くは願望と裏腹にますます勤務先に縛り付けられてしまうだろうということ。

三浦るり・古市・ひろゆき・手を洗うBAKAといったインチキ人物がコロナでむしろ焼け太り、リケジョ小保方・イソジン大阪・熊本のアサリ・みなし陽性 etc etc せつなさの スピードは高まって とまどうばかりのわたし…


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原曲

2022-02-06 16:40:38 | 音楽

Blind Alfred Reed / How Can a Poor Man Stand Such Times and Live? (1929)



Cannon's Jug Stompers / Walk Right In (1930 - American Epic)


Paul Robeson / Ol' Man River (1936)



Solomon Linda's Original Evening Birds / Mbube (1939 - The History of Township Music)


Bukka White / Parchman Farm Blues (1940)


Amos Milburn / Chicken-Shack Boogie (1948)



Tiny Bradshaw / The Train Kept a-Rollin' (1952 - Blowing the Fuse 1952)



Big Mama Thornton / Hound Dog (1953 - Hound Dog: The Peacock Recordings)


Darrell Glenn / Crying in the Chapel (1953)



The Chords / Sh-Boom (1954 - The Doo Wop Box)


Smiley Lewis / I Hear You Knocking (1955)


The Gladiolas / Little Darlin' (1957)



Don Gibson / Oh Lonesome Me (1958 - Country & Western: A Ride Through History 1924-1960)
Jim Reeves / He'll Have to Go (1959 - Country & Western: A Ride Through History 1924-1960)


The Clovers / Love Potion No. 9 (1959)


The Flamingos / I Only Have Eyes for You (1959 - The Best of Doo Wop Ballads)
同じ2012年にBeck(サイエントロジー信者)とOneohtrix Point Never(ニック・ランドの新反動主義に共鳴)、2人の大物がカバーして話題に。いまさらながら原曲の方がよい。



Lefty Frizzell / The Long Black Veil (1959 - Look What Thoughts Will Do)



Arthur Alexander / You Better Move On (1961 - The Greatest)


The Regents / Barbara Ann (1961)


Arthur Alexander / Anna (Go to Him) (1962)


Jerry Butler / Make It Easy on Yourself (1962)


The Donays / Devil in His Heart (1962)



The Exciters / Do Wah Diddy Diddy (1963 - Early Girls Volume 1: Popsicles and Icicles)


Randy and the Rainbows / Denise (1963)


Bessie Banks / Go Now (1964 - One Kiss Can Lead to Another: Girl Group Sounds Lost and Found)


The Everly Brothers / Gone, Gone, Gone (1964 - The Definitive Pop Collection)
昔の名前で出ていますのロバート・プラントがカントリーのアリソン・クラウスと共演したアルバムで知った。その100倍かっこいい。



Gloria Jones / Tainted Love (1965 - Beg, Scream & Shout!: The Big Ol' Box of 60's Soul)



Porter Wagoner / Green, Green Grass of Home (1965 - RCA Country Legends: Porter Wagoner)


Claude François / Comme d'habitude (1967)



Jake Holmes / Dazed and Confused (1967 - The Above Ground Sound of Jake Holmes)



The Paragons / The Tide Is High (1967 - On the Beach with the Paragons)


Shocking Blue / Love Buzz (1969)



Jorge Ben / Taj Mahal (1972 - Ben)


Dolly Parton / I Will Always Love You (1974)


The Arrows / I Love Rock 'n' Roll (1975)


太田裕美 / 木綿のハンカチーフ (1975)
あだ名・毒舌で再ブレイクした有吉弘行が自分のラジオで、宮本浩次によるこの曲のカバーを貶すのに「高校の頃からエレカシ好きで聞いてたけどこれはヒドイ」とエクスキューズを加えなければならなかった。世間を代弁するような毒舌でなければ許されない。人気商売とは卑屈なもの。政治批判なんてできるわけない。ロングCOVIDで舞台に立てなくなっても泣き寝入り。



Idris Muhammad / Could Heaven Ever Be Like This (1977 - Turn This Mutha Out)


Racey / Kitty (1979)


Umberto Tozzi / Gloria (1979)


i-Ten / Alone (1983)


2020年~コロナ禍のStay Homeに伴ってライブ活動などの道を断たれたミュージシャンたちが過去の、あるいは同時代の名曲をカバーしてYouTubeや各種ストリーミングで配信する流れが。好きなアーティストでもあまり聞きたくない。工夫なくただカバーするだけならカラオケと変りない。

原曲は強い。ドーンとした野太い存在感がある。ずっと前の記事でエルヴィス・コステロのことをジャーナリスト的な同時代性のあるミュージシャンと評したことが。彼に限らず、イギリスのロック・ミュージシャンは時事ネタであるとか知られざる宝石をカバーしてヒット曲に仕立てるとかが目立つ。コステロが米カントリーの曲を集めてカバーしたALMOST BLUEやジョン・レノンのROCK 'N' ROLLなどやはり本来のアルバム制作に比べ後退した感じがあるし、ブライアン・フェリーがスタンダード曲やR&Bの曲をカバーするやり方は二次創作の同人誌のようなオタク感も漂う。成功した白人が黒人の曲をカバーすればチャートの成績で超えるのは容易でも音楽として超えることは稀だ。

原曲の野太さは、コロナと知名度に乗っかってカバー演奏をツイッターで宣伝することと対照的な、聴衆を限定せず、主体的・本能的に音楽を行う姿勢から発せられるのではないか—
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5-Feb-2022 Top 20 Hits

2022-02-05 18:34:59 | Weekly Top 15
1. ← 1. 3 Beach House / Masquerade (2022 - Once Twice Melody)
2. ← 3. 4 Big Thief / No Reason (2022 - Dragon New Warm Mountain I Believe in You)
3. ← 5. 5 La Máquina Camaleón / Motora (2017 - Amarilla)
4. ← 15. 2 Molly Nilsson / Fearless Like a Child (2022 - Extreme)
5. ← 10. 5 Father John Misty / Funny Girl (2022 - Chloë and the Next 20th Century)
6. ← 7. 6 Mon Laferte / Mi buen amor (feat. Bunbury) (2017 - La trenza)
7. ← 2. 8 Peggy Gou / I Go (2021 - Single)
8. ← 12. 5 Sondre Lerche / Cut (2022 - Avatars of Love)
9. ← 6.9Dave / Black (2019 - Psychodrama)
10. ← 4. 8 Los Espíritus / Jugo (2017 - Agua ardiente)
11. ← 13. 3 Fazer / Mara (2018 - Mara)
12. ← 8. 8 Maria Arnal i Marcel Bagés / Tú que vienes a rondarme (2017 - 45 crebros y 1 corazón)
13. ← 9. 9 Angèle / Bruxelles je t'aime (2021 - Nonante-cinq)
14. ← 18. 2 Lana Del Rey / Watercolor Eyes (2022 - Single)
15. ← 11. 8 Shake Stew / I Wear My Heart on the Outside (2021 - Single)



16. NEW 1 Los Bitchos / Pista (Fresh Start) (2022 - Lert the Festivities Begin!)



17. NEW 1 Silvana Estrada / Te guardo (2018 - Marchita)



18. NEW 1 St. Paul & the Broken Bones / The Last Dance (2022 - The Alien Coast)
19. ← 14. 10 Richard Dawson & Circle / Lily (2021 - Henki)



20. NEW 1 Black Country, New Road / Chaos Space Marine (2021 - Ants From Up There)


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