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死してなおジョン・ピール

2007-04-30 16:32:45 | 音楽

2004年に65歳で亡くなった英国BBC放送の名物DJジョン・ピール(John Peel)氏に捧げられた、翌2005年にレコード会社の壁を超えて選曲された2枚組CD『John Peel - A Tribute』
(Disc 1)
1. "Lost John" Lonnie Donegan '56
2. "Debora" Tyrannosaurus Rex '68
3. "Set The Controls For The Heart Of The Sun" Pink Floyd '68
4. "Spanish Castle Magic" The Jimi Hendrix Experience '67
5. "Sweet Thing" Van Morrison '69
6. "Life On Mars?" David Bowie '71
7. "Five To One" The Doors '67
8. "Song To The Siren" Tim Buckley '70
9. "Stay With Me" Faces '71
10. "I Can Take You To The Sun" The Misunderstood '66
11. "Not So Sweet Martha Lorraine" Country Joe & The Fish '67
12. "Meet On The Ledge" Fairport Convention '69
13. "Big Eyed Beans From Venus" Captain Beefheart & The Magic Band '72
14. "Be Careful There's A Baby In The House" Loudon Wainwright III '72
15. "I Am A Lonesome Fugitive" Roy Buchanan '72
16. "Mr Apollo" The Bonzo Dog Doo Dah Band '69
17. "I Don't Wanna Walk Around With You" Ramones '76
18. "Complete Control" The Clash '77
19. "Love Will Tear Us Apart" Joy Division '80
20. "Ceremony" New Order '81

(Disc 2)
1. "Teenage Kicks" The Undertones '78
2. "Happy Birthday" Altered Images '81
3. "How Soon Is Now?" The Smiths '84
4. "Pearly-Dewdrops' Drops" Cocteau Twins '84
5. "Sidewalking" Jesus & Mary Chain '88
6. "Song 2" Blur '97
7. "Lion Rock" Culture '82
8. "A New England" Billy Bragg '83
9. "Shipbuilding" Robert Wyatt '82
10. "Brassneck" The Wedding Present '89
11. "Sheela-Na-Gig" PJ Harvey '92
12. "Common People" Pulp '95
13. "Theme From Sparta F.C. #2" The Fall '04
14. "Something 4 The Weekend" Super Furry Animals '96
15. "Bird Of Cuzco" Nina Nastacia '05
16. "Pull The Wires From The Wall" The Delgados '98
17. "Lazy Line Painter Jane" Belle & Sebastian '97
18. "Two Seconds" Laura Cantrell '00
19. "Chime" Orbital '90
20. "Dust My Blues" Elmore James & His Broom Dusters '55

実に示唆に満ちた選曲で、聴くたびに新しい発見がある。食わず嫌いだったジーザス&メリーチェインに耳を傾けさせてくれたり、Tレックスは初期の変な曲が選ばれていたり、最後にイレクトロニカ系の2-19に続いて渋いブルースで終わるそのカッコよさ。
ロック・パンク・レゲエ・フォークと雑多なジャンルではあるが全体として流れているのは芸人っぽさ、ジプシーっぽさといったもので、権威におもねらない彼の姿勢がかいま見える。
パンク/ニュー・ウェイヴ系のミュージシャンのスタジオ・ライブを収録した『ピール・セッションズ』というシリーズにも、ジョイ・ディヴィジョンをはじめとして名バージョンが多い。
ひるがえって、日本にもこんなDJがいてくれたら…先だっての高校時代の音楽生活をふりかえる企画でちょっと触れたのだが、渋谷陽一およびロッキン・オンのあまりといえばあんまりなひどさ…
渋谷陽一のサウンドストリートを3~4年くらいは聞いていた記憶があるのだが、彼に教えてもらったという記憶のある未知の名曲といえば、ロクシー・ミュージックの「She Sells」とアル・クーパーの「New York City (You're A Woman)」のわずか2曲のみ。
彼は、その信奉するレッド・ツェッペリンの魅力すら立体的に解説することができていなかった…むしろ彼のためにレッド・ツェッペリンを避けて通った若者のほうが多いくらいであろう。
結局は、音楽に対する情熱というよりは、権力と金儲けに対する野心のほうが上回っていたように思われる、ビジネスマンとしての才覚はなかなかのもので、ファッション誌のように体裁を整えてはいたが読むに価するのは海外誌からの転載部分のみ、あとは小児病のような文章で埋め尽くされ、あげくの果てはJ-POPバブルが膨らむ前に創刊したロッキン・オン・ジャパン…
最近つくづく思うのだが、音楽には言葉も国境も超えるようなマジックがある、異なった文化を結びつけるようなはたらきをする、それが音楽のよさではないだろうか、にもかかわらず音楽を国籍でわけへだてするなんて……なるほど子供をだまして商売するには好都合でしょうが…
ここまで渋谷陽一およびロッキン・オンを嫌うのには近親憎悪という側面のあるのも否定はできない、中核派と革マル派が内ゲバで殺しあうみたいな。
信仰に近いものを抱いていた対象に対してほど、裏切られたと感じたときに殺したいほどの憎悪を持ってしまうのが人間の性なのかもしれない、かつての渋谷陽一、ビートたけしのほか、最近では太田光がその列に加わりつつある。
しかしNHK-FMにも立派な番組があったね、1980年にロックンロール発祥25周年ということで、夕方の2時間番組『軽音楽をあなたに』が月曜~金曜の5日間をかけて、特に初期のロックの成り立ちに重点を置いて大特集を組んだのである。
『ドリームガールズ』のときにちょっと触れたが「Sh-Boom」というドゥー・ワップ曲を黒人の原曲と白人のカバーバージョンと二通りかけたりとか、湯川れい子さんも一枚かんでいたよね。
チャック・ベリーは6曲かかったのだが、その内訳は「Maybellene」「Roll Over Beethoven」「School Day」「Rock & Roll Music」「Sweet Little Sixteen」「Johnny B. Goode」で、最近になって発表されたローリングストーン誌の500曲では「School Day」が落ちて「Brown Eyed Handsome Man」が入った、ほとんど同じ6曲が選ばれており、80年の時点でそこまでの定見を持った番組が作られたということに今も感謝の気持ちでいっぱいである。
ところでオラの「冬のマーケットの1000曲」ですが、既に1000曲に達して今、入れ替え戦を行っているところ、なんとか年内には形にしたいと思ってます。

コメント
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