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巻き添え食ってたまるかよ

旧作探訪#101 『愛についてのキンゼイ・レポート』

2010-07-27 23:02:17 | 映画(レンタルその他)
Kinsey@レンタルDVD、ビル・コンドン監督(2004年アメリカ=ドイツ)
誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。いったい世の中の人たちは、どんなセックスをしているのだろうか? 自分の性欲や愛し方、あるいは自慰行為は普通なのか、それとも少し変わっているのか、まったくの変態なのか? そんな疑問を350の質問にして1万8千人を面接し、答えをまとめた報告書が存在する。それが、1948年に男性版、53年に女性版が出版されて世情を騒然とさせた『キンゼイ・リポート=Kinsey Reports』だ。
調べたのは、動物学者のアルフレッド・キンゼイ博士(リーアム・ニーソン)。今から50年前、性のことは口にするのもタブーだったアメリカで、キンゼイは助手と一緒に各地を旅し、さまざまな年齢・職業の人びとに直接インタビューを行った。キンゼイは、相手が心を開いて正直に話してくれるように開発した独自のインタビュー方法で、数々のプライベートな秘密を聞き出すことに成功した。
こうして史上初の、誰もが知りたかったのに誰も聞けなかった他人の性行動をまとめた『キンゼイ・リポート』は、今もなお有名なほどのベストセラーとなったが、同性愛などの背徳的なことを明るみに出したことで、キリスト教保守層を中心に反発を受けることにもなった。やがて研究を支えたロックフェラー財団からの援助が打ち切られ、失意の中、研究を続ける彼は、喜びも悲しみも共に分かち合い、魂で結ばれた妻のクララ(ローラ・リニー)に導かれて、科学を超えた境地にたどり着く。そこで彼が見つけた答えとは、《愛は決して数値化できない》ということだった…。



♪相方は~~ドラマ連発!ビールのCM!スポーツキャスター!!と、かっこいいところを独占するのに、自分はスモウライダーとしてお相撲さんの姿をして原宿などで羞恥責めされなければならなかった極楽とんぼ・山本圭一。
事件を起こして芸能界追放となったことに同情を禁じえないのだが、いまも活躍する相方の加藤浩次との決定的な資質の差を感じさせ、事件への予兆ともなるようなトークが、かつて極楽とんぼとしてやっていた深夜ラジオで聞かれた。

加藤─オレ今でも写真とか映像とか見ないで、想像だけでオナニーすることあるよ
山本─あ、そう!? オレなにか見ないでしたこと、1回もない

あるいは同じTBSラジオで、もっと深い時間帯にやっていたスピードワゴンの番組では、後に離婚することになるが安達祐実と結婚して子どももできていた井戸田潤に対し、「中出しを1回もしたことがない」という相方の小沢一敬が、中出しってどんな感じなのかを聞いていたのが印象深い。オラも1回もないので。
オナニーのやり方のせいもあるんだろうけど、38才以降シロート童貞ではあるが童貞を脱して、女の膣内で摩擦運動をしてみたものの、中でイッたことないですね。さぞ気持ちイイんでしょうね。
そうした最近の例はともかく、先日の「ゆめ禁色」で述べたとおり高2でC野くんを好きになってから、10年近くはホモホモ期が続いたオラなので、その悩みは深かったものだ。深夜ラジオで就職してから聞き始めた番組としては長寿の『コサキン』があるが、下ネタはやや少なかったし、高校から聞いていた『ビートたけしのオールナイト・ニッポン』もたまには聞いた記憶がある。その頃のたけしは、一番弟子となった現・宮崎県知事を筆頭に、体育系のむくつけき男どもを集めて“軍団”を形成しつつあった。中でもグレート義太夫やラッシャー板前は、ガチンコのホモに好まれそうな風貌ではあったが、なんにでもチャレンジしてみなければ気の済まないビートたけしが、ホモっ気のない自分でも男が抱けるかどうか1回くらい試してみようと、あの中ではわりと線の細い柳ユーレイを相手に試みた経験を語っていた。
いまの、老人になってもあつかましく出しゃばるたけしにはいい加減ウンザリだが、過去のそれは彼に「科学する心」が確かにあったことを示しているし、ほかのお笑い芸人に比べ長持ちするだけのスケールの大きさを備えていたことは否定できない。
ホモっ気のない者が、ホモを差別したり忌み嫌うのはありがちな中、あえて試そうとしたのだ。柳ユーレイの意志はどうなるのかって問題もあるけどね。この映画のキンゼイ博士も、父親から厳格なキリスト教の教育を受けたことに反発して生物学の道へ進むのだが、勤めていた大学で相談を受けるうち、そうした性の問題をタブーとして覆い隠す旧来の道徳が、逆に不倫、同性愛、強姦、望まぬ妊娠、性病、子どもへの性的虐待などの温床となって、悩み苦しむ者が後を絶たない現状となっているのを知り、科学者としての信念からも隠されてきた問題を明るみに出そうとしたのが『キンゼイ報告』だったのだ。
ことに↑画像の「キンゼイ・スケール」では、同性愛傾向があるかどうかを0から6まで7段階で数値化し、通説より相当多い男性にその傾向があることを示したのだが、サンプルが偏っていたり面接という方法からも批判を受け、姦通や同性愛を法律で禁じることも多かった当時の風潮では、過激派あつかいもされた。事実、映画の中でも、助手を務めた青年がホモなので、誘いに応じたりとか、助手が異性愛に移行しつつあって妻クララと寝たいと申し出るのにも応じさせたり。
彼自身、両性愛や夫婦交換など乱脈な性関係に惹かれて、他人の性行動の研究にのめり込んだということは動かしがたい事実のようだが、それでも当時の社会的思潮に風穴をもたらした、過激な改革者としての存在意義が減じることはいささかもないように思われる。
ただし、教育テレビなどの30分程度の教養番組でも十分で、前の『ゴッド・アンド・モンスター』といいコンドン監督はホモ題材がお得意のようだが、わざわざたくさんの才能ある俳優・スタッフを動員して映画という形にまとめるのがふさわしい題材とも思えない。事業仕分け。2時間近くのこの映画を見るより、キンゼイ博士のことはネットで済ませて、筒井康隆センセの「泣き語り性教育」という短編小説を読むのが、面白いかどうかでいったら、圧倒的に面白いと思います。

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ゆめ禁色

2010-07-20 22:27:11 | Weblog
その世界では、オラは軍人なのだ。高卒後、志願して。
職業軍人として階段をのぼり、曹長となっていたある日、われわれの部隊にオラ高2のころ好きで好きでたまらなかった初恋の相手で高1のときの級友・C野くんが赴任してくる。大卒の彼はすでに将校で、部隊長として。
われわれの寮では、少尉以上は個室を与えられる決まりとなっていたが、たまたま宿営していた建物の構造の都合から、兵士の中では最上級で現場のことをあれこれと切り盛りしていたオラと、C野くんが2人部屋で同居することになる。
高2の途中から絶交したままのC野くんとオラであったが、いきなり将校で経験不足のC野くんと、兵隊からたたき上げで実質上リーダーシップを握っていたオラはやがてなにかと協力を深め、彼が部隊を離れることになった最後の晩、とうとう結ばれることになった─。

─という夢を見た。けさ。もっと、とりとめのない夢でしたけど、オラは働いてなくて、2度寝・3度寝して夢の余韻にひたったり、設定を補強できたりする身分ですので。
現実においては、C野くんは大卒後はゼネコンに就職して関西へ移ったと聞き、45~46歳の今では外見的なかわいらしさは見る影もないでしょう。夢の中ではC野くんもオラも23~24歳の若者としてホモホモ恋物語を繰り広げる。
そうか。今でも好きなのか。
最近は、西島隆弘くんがかわいいとかいったって余興みたいなもので、オナニーのおかずとして男を使うなんてことも一切なかったのだが、夢に見るってことは、心のどこかに残ってたんだね。
先週の記事で触れた『伊賀野カバ丸』を読み返したことも影響したかも。高校当時、笑い転げたマンガ。
大人になったいま、多少異なった味わいも。山育ちで忍者の修行を積んで名門・金玉(きんぎょく)学院に転入してきたカバ丸は、東京では常識外れの存在だが、狩猟ができるとか骨接ぎができるとか、過酷な環境を生き延びるための実践的な能力に富んでいる。少女マンガのヒーローとして、女性読者を魅了するのに十分な存在。
東京の高校で教わる学問なんて、「就職のための大卒という資格への過程」に過ぎず、実際に社会に出て役に立つことなんてほとんどないでしょう。久しぶりにC野くんのことを思い出して、取っておいた彼の筆跡↑をしのぶ。
河合塾の数学のテキスト。次の関数の導関数を求めよ。C野くんもオラも、こんなことをやらされていた。人生は、数式のように解くことはできない。大学は理数系の学部に進んだ彼も、ゼネコンの仕事で数学を用いるわけではないだろう。まして高卒で就職したオラにとっては苦痛でしかない。
勉強って、ツブシが利かない。スポーツみたいだ。コーナーキックで飛んできたボールに合わせて、キーパーも防げないようなゴールの隅にヘディングでシュートを決めるW杯のサッカー選手の技術はすごい。世界中から賞賛を集める。が、その技術はサッカー以外にはほとんど応用できない。そして、W杯に出られるような選手はほんの一握りで、99%のサッカー選手は、その後の仕事にサッカーを活かすことはできない。活かせるとすれば体力とか、忍耐力とか、べつだんサッカーである必要はない。
だったら学問であってもかまわないのかもしれないが、普通科の高校というのは、大学へ進まないとしたら、あまりにも意味がなさ過ぎる。だからといって、そうした価値体系に反発してドロップアウトしてしまった自分を正当化する気も起きないけどさ。
↓ほかにもあるC野くんの筆跡。高1の時のクラスの女子を1位から最下位までランク付け。オラ彼を好きになったのはクラスが別になった高2の7月から9月にかけて急速に、この頃は普通の友だち関係で、おそらくオラが音楽で自分のヒットチャートを作っていたことから派生して友だち同士こんなランキングを見せ合ったんだと思う。
まったく…実力もないのに、こんなことだけ一人前で…夢の中の設定では、兵隊からたたき上げで実質上の采配を振るったりもするが、現実のオラは就職しても地道な仕事をやりたがらなかったし、家事なども27才で実家を出るまで親がかり。いまの、無職で独身で精神科入院歴があって、ブログのみで能書きを垂れる姿は、高校時代すでに予見されていた。片想いで悲しかったですが、同性愛であるということ以上に、こんなオラにC野くんと結ばれる資格はない。

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言いたかないが、わが国の音楽は世界一みっともない

2010-07-18 21:01:06 | 亡国クロニクル
◆上海─薄れる日本への関心
英国とイタリアのハーフの友人は中国語が堪能だ。「日本も考えたけど、これからは中国の時代と思って」上海に留学し働いている。昨年、中国に留学に来た外国人は約24万人で、約13万人の日本の2倍近い。
知人の上海人女性は「韓国人はイケメンぞろい」と言う。韓流スターの多くは、日本のアイドルよりも人気がある。上海紙は「キムタクしか知らない」と手厳しい。
中国の調査会社は日本車に対する顧客満足度が国別で下から2番目と発表。「故障は少ないけど外観に新味がないから」とは友人の中国人男性。
世界の中国への関心は高まるばかり。一方、中国人の日本への関心は低下していると感じる。
上海万博のジャパンデー。日の丸掲揚の様子が中国全土にテレビ放送されたが反発はほとんどなし。反日感情が薄れるのはうれしいが、日本の地位の低下が理由なら少々寂しい。 ─(小坂井文彦、東京新聞7月14日夕刊)



iTunesプレイリスト <わが国の音楽は世界一…> 42分
1. "伊勢佐木町ブルース" 青江三奈 (1968 - 青江三奈のすべて)



2. "中央線" THE BOOM (1990 - THE BOOM)



3. "冬の稲妻" アリス (1977 - ALICE VI)



4. "地獄先生" 相対性理論 (2009 - ハイファイ新書)
5. "ブルージーンズ メモリー" 近藤真彦 (1981 - MATCHY BEST)



6. "人生が二度あれば" 井上陽水 (1972 - 断絶)



7. "木綿のハンカチーフ" 太田裕美 (1976 - BEST COLLECTION)



8. "Technopolis" Yellow Magic Orchestra (1979 - Solid State Survivor)



9. "不滅の男(ライヴ)" 遠藤賢司バンド (1991 - 不滅の男・赤盤)



10. "CAN YOU CELEBRATE?" 安室奈美恵 (1997 - シングル)

─わが国のサッカーならば、世界でそこそこ通用することが証明された。が、その模様をNHKが伝える際に半強制的に聞かせられる歌=道なき道ウォウ~タマシイレヴォルーショ~ン~=からは、こと音楽に関しては、世界への道のりは果てしなく遠いと感じざるをえない。
こうした、日本語と英語ごちゃ混ぜの歌のハシリとなったのは、1977~79年ころのアリス(3)がフォーク系出身でありながらロック調の編曲でサビの歌詞に英語を取り入れたことではなかったろうか。その延長で佐野元春とかBOφWYになってくると、もう日本語の部分さえ英語風な発音でね、恥ずかしいんだけど、それが恥ずかしいのは英語に限らず海外のさまざまなジャンルの音楽と混ぜて対比させられる場合に限る。
もし、わが国内の音楽だけを聞くとするなら、それはむしろかっこいいとされてきたのだ。カリスマとして君臨するくらいに。日本語という非関税障壁などによって守られた、閉鎖的な、しかし規模としてはかなり大きい市場。幸か不幸か、その市場を制圧すればお金も権力もウッハウハというくらいの。
その特殊性を痛感させられる、米アップル社がもたらした《iTunesというグローバル経済》。にしても、iTunesストアのダウンロード数のチャートで、くだんの「タマシイレボリューション」は1位になったみたいね。どんな音楽をいいと思うかは、それまでの人生で培ってきた感受性による。小学生でクラシックを聞き、初めて自分のお小遣いで買ったレコードは「およげ!たいやきくん」だが歌謡曲・J-POPを主として聞いた時期はごく少なく中3からは洋楽メインへと移行したオラの例を、日本国民一般へ適用することはできない。
音楽消費者の多くは、同じ日本人が作ってくれる音楽に慣らされ、心からいい音楽だと思ってお金を払うんでしょ。別にいいけど、オラ無差別に混ぜて聞いて、ことに4曲入れている近藤真彦の曲(5など)が聞こえてくると、どうしてこの人が歌を歌ってるんだろう、なんの権利があって他のすばらしい音楽たちと同列に並んでいるんだろう??という違和感を禁じえない。
究極的には、それはジャニー喜多川にケツ穴を掘らせたから、ということにもなりましょうが、やはり同じ時代にオラを含む国民が彼らを受け入れて、彼らの出るテレビを見て、直接・間接に彼らに対してお金を払ったという責任は免れない。たしかに当時の『ザ・ベストテン』などで聞こえる音楽の中で、最初に田原俊彦や近藤真彦が出てきたときはあまりに下手で驚いたが、わりと曲がいいこともあってすぐに慣れてしまったものだ。
それが今になって、古今東西の音楽が一堂に会し、あらゆる国の、あらゆるジャンルの音楽が生まれてきた歴史関係が相互に照らし出されるなかにあって、わが国の音楽だけがポツンと離れて浮き上がっている。1(青江三奈)の1960年代あたりはまだいい。70年代から00年代にかけ、だんだんと特殊化され変なものに。阿久悠>松本隆(5、7)>秋元康ってな具合に作詞家がひどくなってゆくのも見逃せないが、ある市場における経済現象を検討するとすれば、お金や時間を費やす側=われわれも相互的に責任を負うのは当然のこと。音楽先進国のキューバやブラジルは除くとしても、わが国同様に閉ざされていて外からうかがい知れないインド、インドネシア、エチオピア、南アフリカといった国の音楽はよほど他とつながりやすく、有力な音楽誌やサイトでも論評されるとかヒップホップ音楽のサンプル・ネタになったりもしている。
一方わが国の音楽では、「EXILE銀行・DA PUMP保険・ホストクラブ嵐・AKB48耳かき店」といったみなさんにしても無視できないほど大きな市場をおさえているにもかかわらずほとんど黙殺され、まともな論評の対象になっていない。
このことは、先月の主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、各国が2013年までに財政赤字を半減させて2016年までに政府債務の対GDP比を低下・安定化させることが合意されたなか、政府債務残高がGDP比181%でギリシャやイタリアよりも悪く、国民一人あたり700万円近い借金を背負っているのにも等しい日本が“例外あつかい”とされたこととも似た。
日本国債の債務者も債権者も日本人。日本の音楽で儲けるのもお金と時間を費やすのも日本人。彼らにとって、どうなろうが知ったことではない。
最近のニュースを聞くにつけ、豪雨による災害で消防や警察や自衛隊が出動する、あるいは口蹄疫で種牛のみ特例で殺さないかどうか、あるいはSFCGや振興銀で不正が行われたかどうか、あるいは学校や企業や自衛隊の機密情報が自宅に持ち帰って仕事するため流出してしまったとか、多くの例で「公共の福祉」と「個人の自由」が対立して、どちらを優先するかが問題になっている印象だ。そして、マスコミや芸能界やレコード会社を利用して私利私欲を追求する悪徳がはびこり、流行の音楽という誰もが知る「公共の基盤」がだんだんと壊され失われ、世界から相手にされないようなみっともない音楽だらけになってしまったのにも、同じことが、われわれの国民的課題が問われているのではないだろうか。
たまたまオラは音楽を通して気づいたのだが、ほかの分野でも共通する現象が進行中で、将来を左右する喫緊の課題になりつつあるとすれば…。



↑日本企業の主力である輸出産業が、経済成長著しい新興国の市場でシェア獲得できていない様子─週刊東洋経済7月10日号
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伊賀野カバ丸に見る女の保守主義

2010-07-14 22:57:45 | マンガ
よお、おまいら。脇役の人物への呼びかけにも、作者が徹底的に男キャラを格付けし、「たんじゅんそや」「せんさいじょーひん」を対比させて際立たせ、物語の細部まで生き生きと有機的に展開させようとする苦心の跡がうかがえる。と同時に女主人公の麻衣が読者に不人気で、2巻の駅伝のとき初めて姿を見せる疾風がみなしごの影を背負った不良キャラとしてカバ丸をしのぐ人気を集めていく、少女漫画としての恋愛結婚イデオロギーが男性キャラ優位のレビューショーに変換され「少女」の存在が消えてしまう、80年代的な広告・消費者志向も一貫しており、女たちにとって駅伝も野球もホストクラブの上位互換でしかない、結局は学歴や年収や社会的地位は女がよい子どもを産むためにあるという現実主義へといざなう。

沈寝の2人の兄がそれぞれ先行する「宗一郎シリーズ」や「かぎりなくアホにちかい男シリーズ」に登場するなどつながりがあり、正統派の少女漫画から徐々に省略したギャグ風の絵柄を織り交ぜたり、描き文字の遊びが増えたりなどの過程を経て、亜月裕さん独特の作風が最もふさわしく爆発的に発揮される場として『伊賀野カバ丸』は満を持して描かれた。私は高校当時コミックスで見たが、独特なうねりのあるストーリー展開には、月刊誌で1回に50ページ近くが描かれたことも寄与したろう。前半の山場となる80年5月号に掲載された回では、【前回に王玉の寮へ忍び込んだカバ丸がイモに例えて地図を記憶していた】→【それを沈寝らがオモテの番長・白川を護衛に立てて聞いていた様子が、彼に疑いを持つ後輩たちの知るところになる】→【王玉の生徒会長・前島は麻衣に思いを寄せており、ラブレターを書いてあったのをカバ丸が前回持ち去ってスーばあちゃんの食堂へ叩きつけたのをスーばあちゃんが発見して、自分に寄せられたラブレターだと思い込む】→【カバ丸のやきそば代を立て替えるために食堂へ訪れた沈寝に、スーばあちゃんがラブレター返信の代筆を頼む】→【前島は麻衣からの返信だと思い込んで、いよいよデート】→【ストレスのかたまりとなった前島は侵入されたのが金玉学園の仕業だと確信して、夜に後輩たちから呼び出されていた沈寝をバットで襲撃】といった濃い内容がたった1回で繰り広げられる。

今では手塚治虫・萩尾望都はじめ漫画そのものに幻滅を感じることが多く、特に『エースをねらえ』のような少女漫画の父権賛美には嫌悪感を覚えるが、カバ丸とやや先行する弓月光さんの『エリート狂走曲』の2つは少女漫画という枠の中で若い創造性を最大限発揮して読者に夢を見せてくれた、私にとって特別な位置にある作品です。


亜月裕/伊賀野カバ丸/集英社マーガレット・コミックス全12巻+外伝2巻
〝カバ丸〟こと伊賀野影丸は、人里離れた山奥でじいちゃん(伊賀野才蔵)から忍者の修行のため厳しく育てられていたが、ひょんなことからじいちゃんが死んで、じいちゃんが若い頃知っていた東京のばあちゃん(大久保蘭)に引き取られ、蘭ばあちゃんの孫娘・麻衣も通う名門・金玉(きんぎょく)学院に通うことになる。カバ丸はひと目見て麻衣にぞっこんだったが、麻衣にとっては憧れの繊細でもの静かな目白沈寝(しずね)に比べ、大食・野蛮・不潔と三拍子そろったカバ丸がわずらわしくて仕方ない。
ところが、沈寝は実は学園を支配する陰の権力者で、「諸星連盟」として他の学校を束ねる計画も着々と進めていた。学園に来たとたん、並外れた運動神経と常識破りの言動で人気者となったカバ丸は、大好物のスーばあちゃんが作るやきそばを交換条件に、沈寝に協力して駅伝大会に出場したり、駅伝大会で金玉の優勝を阻んだライバル校・王玉(おうぎょく)学園の寮へ忍び込むなどする。

実は、幼いころ兄弟同然に育てられて一緒に忍者修行に励んだが、後にカバ丸を裏切って脱走した霧野疾風(はやて)も東京にいて、王玉の指導をしていたのだ。やがてカバ丸と疾風は、高校野球の春季大会で運命的な対決へと向かう…。

1979~82年に別冊マーガレットに連載された(1~8巻)著者の最高傑作。読者の要望が強く週刊マーガレットで続きが描かれた(9~12巻)ほか外伝も描かれたものの、面白さは本編よりやや劣る。アニメ化・実写化もされ、ずっと後にもカバ丸と麻衣の間に生まれた〝こカバ丸〟を主人公とする続編が描かれた。

※2024年3月に改稿しました。
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【族】─社会党と自民党を貫く、ある逸話

2010-07-13 22:56:12 | 亡国クロニクル
【責任を棚上げする代表者たち】
(「外国人研修・技能実習制度」に基づいて研修生を受け入れるために設立された)協同組合の代表者は、主に、その業界の出身者が多い。たとえば縫製業界であれば、長きにわたって研修生を雇用してきた経営者が、研修ビジネスのシステムを覚えていくなかで、自ら「派遣する側」へと転進するケースだ。もちろん、異業種から転進して協同組合の設立に関わる者も少なくない。外事関係の警察官、暴力団関係者といった経歴を持つ者もいる。
ただし、私がもっとも許せないと思うのは、劣悪な労働条件を強いている協同組合の代表が、労働組合出身者であるといったケースだ。
岐阜県のある大手の協同組合は、元社会党代議士で、一時期は地元労働組合の委員長も務めた人物が理事長に収まっている。この協同組合の傘下企業では、過去に何度も労働基準法違反の事例が明らかとなっている。しかし労働運動出身の理事長は「企業が勝手にやったこと」だと自らの責任を棚上げし、しかも「協同組合は中小・零細企業を守るために存在するのだ」と、研修生保護の姿勢を見せなかった。
この理事長が、若い頃の軍隊経験をもとに反戦活動家となり、かつては未組織労働者のために奔走したこともあるといった経歴に、私は敬意を抱いている。しかし労働者を守るために半生を労働運動に費やした人間が、なぜに「時給300円の労働者」を放置してきたのか。現在の彼の“立ち位置”が、私にはまったく理解できない。
労働運動出身者といえば、日本有数の研修生受け入れ機関である日中技能者交流センターの元会長で、現在は顧問を務める槙枝元文を挙げなくてはならない。“ミスター日教組”とも呼ばれ、80年代には総評議長をも経験した、あの槙枝である。
槙枝が創設し、現在も役員のほとんどが労組関係者で占められる同センターは、「団体監理型」の草分けともいえる存在で、これまで1万人近くもの研修生を中国から受け入れてきた。しかしご多分に漏れず、これまでにも最低賃金法違反、長時間労働、強制帰国など、加盟企業で多くの問題が発生している。
研修生の支援団体である「外国人研修生権利ネットワーク」(本部・東京)では同センターに対し、「日本の労働運動のリーダーたちによって設立された団体で、労働権の侵害が起きている現状を看過するわけにはいかない」という要請書を提出したこともあるほどだ。
私は、あるパーティの席上で槙枝に遭遇し、研修生問題について問い質したことがある。しかし槙枝は「そういう話、よく知らないんですよ。何も問題がないとは言わないが、今後も制度は続けていかないと」と、まるで他人事のような物言いを返しただけだった。

【露骨なピンハネ】
協同組合のなかには、労働権の侵害どころか、泥棒まがいの悪事に手を染めるところもある。
「ピンハネしたカネを返せ」─。
元実習生の中国人男性(26)が、実習生受け入れ機関に賃金の一部を着服されたとして、東京地裁に提訴したのは09年5月7日のことだ。訴えられたのは、「日中経済産業協同組合」(東京都渋谷区)の小渕成康代表理事。故小渕恵三元首相の甥(元首相の兄の長男)で、自民党代議士・小渕優子のいとこにもあたる人物だ。
訴状などによると、男性は2004年11月に来日。同組合に加盟する金属加工会社(群馬県桐生市)で、当初は研修生として働いた。男性は来日前、研修期間中は月額5万円の手当てが支給されるとの説明を受けていたが、実際に支給されたのは約3万円に過ぎなかった。さらに来日2年目からは労働法が適用される技能実習生となったが、毎月11万円支給されるはずの賃金も、やはり2万5千円ほどしか支給されなかった。実は、賃金の大半が同組合によってピンハネされていたのである。男性はこれら未払い分の賃金など、約215万円の支払いを求めている。
代理人の出口裕規弁護士が説明する。
「男性の銀行口座には、実習先の会社から契約通りの賃金が振り込まれていました。しかし通帳と印鑑は組合が保管しており、男性は自由に引き出すことができなかったのです。組合は毎月の賃金のなかから8万円あまりを男性に無断で着服し、残った現金を支給していました」
あまりに露骨な中間搾取ではないか。また、残業代に関しては別途支給されていたが、時給にしてわずか450円という単価であった。これも最低賃金を大きく下回る水準である。男性はこうした低賃金に耐え切れず、07年2月に職場から逃走。知人の紹介で外国人問題を手がける弁護士グループに連絡を取ったことが、今回の提訴につながった。

【サラ金ATMのような感覚】
現在、中国に帰国している男性も次のように訴える。
「労働力を金儲けの手段としたことが許せない。働いた分の賃金は、しっかり払ってほしい」
小渕代表理事は08年12月、別の実習生の賃金を着服したとして、宇都宮地裁足利支部で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けてもいる。刑事に続き、民事における責任も追求されることになるわけだ。小渕代表理事の関係者が説明する。
「小渕さんはかつて、地元で繊維工場を営んでいたが、2001年に外国人研修生の受け入れ団体トップに就任。人手不足に悩む関東各地の中小企業へ中国人を派遣し、業績をのばしてきた。全盛期には1000人近くの中国人を抱えていたはずです。事業としては相当の利益が出ていましたが、他に経営している会社の業績は芳しくなかった。着服したカネは、それらの運営資金や借入金の返済に充てられたようです」
ちなみに小渕代表理事は06年、いとこである小渕優子少子化担当大臣(当時)の資金管理団体「未来産業研究会」に、20万円の献金をしている(その後、返金された)。小渕優子は定例会見で今回の提訴について聞かれ「親類による事件を大変重く受け止めている。世間に対してお騒がせしたことをお詫びしなければならない」と陳謝した。
これほど露骨なピンハネはさすがに大問題となるが、研修生の預金を“無断借用”するくらいならば、「それほど珍しい話ではない」と話す関係者もいる。
「多くの企業や労働組合は、賃金の大半を強制的に貯金させ、印鑑と通帳を預かっているが、なかにはそれを無断で使ってしまう者もいる。事業資金として流用するばかりか、遊興費に使う者も多い。『ちゃんと返せばいいんだろう』と軽い気持ちでやっているのだが、まるで利子のつかないサラ金ATMのような感覚だ。かつては経営者が研修生の預金を、株式投資に回しているケースもあった」(東海地方の元協同組合役員)
もしも“返済”の目処が立たなくなったら間違いなく刑事事件に発展する。実に危ない綱渡りだ。



↑2007年、『報道特集』が日教組を特集した際の槙枝元文氏。「ゆとり教育」を提唱した一人だともいわれる。



↑2009年、第二子を懐妊中に、少子化対策・男女共同参画を担当する大臣として麻生内閣の閣議に出席する小渕優子氏。

光文社新書として6月に出版された『ルポ・差別と貧困の外国人労働者』(安田浩一・著)より引用しました。日系ブラジル人の出稼ぎ労働者について収めた後半は読み終えていないが、中国人の「研修生・実習生」について収めた前半だけでも、『闇金ウシジマくん』を上回る=倫理的には下回る=ひどいエピソードの連続で、恐怖に駆られた。中国側でも、「白と黒」と称される公安(警察)と黒社会(ヤクザ)が結託して、借金を負わせてガンジガラメに縛りつけて彼らを日本へ送り出すので、雇用主ともめ事を起こしたり労組・市民グループ等へ相談しようものなら強制帰国させられて、とても返せない借金だけが残ってしまうので、泣き寝入りせざるをえないことが多いのだとか。こうした問題を、「どうせ中国人のことだから」と軽視するとすれば、それはやがてわれわれ自身にもはね返ってくることは言うまでもない。
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1968 - メキシコ五輪

2010-07-03 23:49:14 | メディア・芸能
いわゆる「天下り」などは公務員に限った話ではない。むしろ民間において大企業が子会社や系列企業を配下として、賄賂・談合・天下りなどをはびこらせる風習のほうに根深いものがあるのではないだろうか。
オラも経験あるだ。労働組合の役員をやったので、30才のとき系列の印刷会社へ出向してみると=当時の高卒社員としてはまずまずのコース、その後一変するんだけど=いるわいるわ、親会社を管理職で定年して天下ってきたのがごろごろ、社長から課長クラスまでほとんどがその類いで、その会社からの直接採用組は「プロパー」と呼ばれて差別される。
すべて親会社を頂点とする構造で、オラの仕事も出身の親会社や系列会社をルート・セールスで回る営業だ。そうやって回る営業先の中に、同じ冠のリース会社があってね、親しくなった担当者もまた出向組で、年もオラと同期。
旧友のM原くんのように、その人もキンクス、ザ・フー、XTC、スクイーズといった英国純正の音楽を好む。会社へ入ってから、そうした話題に通じた人がぜんぜんいなくて、砂漠をさまよう思いだったオラの前に現れたオアシス。
でも、1995~97年という3年ほどの付き合いで、やがてその人は新しい音楽をあんまり聞かなくなって、主に欧州のサッカーのリーグ戦へと趣味の軸足を移していった。
そりゃそうだ。サラリーマンには時間がない。その人は結婚もしていたので、音楽とサッカーの両方をガッツリ楽しむのは無理だったろう。音楽よりサッカーを選んだわけで、日本人が活躍してるわけでもなかったから、当時のオラにはちょっぴり不可解だったが、きのうW杯の準々決勝を見ていて納得いったね。
おもしろいわ。時間が濃い。音楽にも劣らない人類普遍の価値だ。野球ならば個々のプレーの独立性が高く、連関が少ないが、サッカーは前後関係がすべてつながっており、目が離せない。一瞬で守備と攻撃が入れ替わる。そして同じPK戦負けでも、日本はまだあきらめがつくが、ガーナのあの負け方は悔しそうだ。
それぞれの国情などにも興味が湧くし、代表選手個々の名前やどこのチームでプレーしてきたかとか情報が入っていれば、さらに楽しめるに違いない。W杯の試合中だけでなく、出場選手だけでなく、背景となって関連するすべてがそこに凝縮されている、歴史の中を生き、新たな歴史が刻まれるのを見届けるという感覚。
そこへ思い当たると、読売新聞・日本テレビが手を引いたので東京ヴェルディが経営難だとかの話は、結局のところ読売は野球の巨人みたいな、ファンの信仰を集める権威となって自分たちのマスコミ権力維持に役立つ存在でなければ、自分たちの思い通りにならないのであれば切り捨てるという考えでしょ。野球もサッカーも道具でしかない。
いや、ほかの国でも、プロの球団なんてのは、ある程度はそうした企業の帝国主義的発想のもと成り立ってるのかもしんないけど、日本国内の市場さえ制圧できれば、どんなに卑怯な手段でもみっともない音楽でもかまわないJ-POPとも共通する、民主主義の不在、歴史への責任感の欠如というわれわれの病理が、ことに読売には強く匂う気がします。



1968年10月12日、第19回夏季オリンピック・メキシコ大会が開幕。大観衆の拍手の中、オリンピック旗は美濃部東京都知事からブランデージIOC会長を通してロサル・メキシコ市長に引き継がれた。



陸上男子200mで優勝したアメリカの黒人選手トミー・スミスと3位のジョン・カーロスは表彰式で黒手袋のこぶしを突き上げて人種差別に抗議。2人は米チームの一員としての資格を停止され、五輪村を追放されることとなった。



米チームの宿舎に掲げられた「打倒ブランデージ」の幕。当時IOC会長だったアベリー・ブランデージ氏(アメリカ)には親ナチスや反ユダヤの過去があり、彼が掲げた厳格なアマチュアリズムも、共産圏の「ステート・アマ」や米国の大学が黒人選手を奨学金で釣ってかき集める動きの中にあっては現実離れした貴族趣味となりつつあった。



メキシコ市は海抜2230mという高地のため、中長距離では欧米の有力選手が酸素不足で不振な結果となり、ケニアやエチオピアの高地勢が台頭。マラソンではローマ、東京と世界記録で連覇していたアベベ(エチオピア)が途中棄権し、代わって同僚のマモ・ウォルデが30km過ぎから独走して優勝した。



3分ほど遅れ、2番目でもがくように競技場へ入ってきたのは日本の君原健二。前回東京で8位、次回ミュンヘンでも5位と長く活躍した名ランナー。



中長距離の選手を苦しめた高地の気圧は、短距離や跳躍では快記録の誕生を助けた。男子走幅跳のボブ・ビーモン(アメリカ)は従来の世界記録を55cmも上回る8m90という大記録で優勝。この記録は1991年(東京世界陸上で米国のパウエル)まで破られなかった。



あおむけにバーを越える「背面跳び」で男子走高跳を制し、満場の注目を集めたディック・フォスベリー(アメリカ)。以降、この跳び方が定着してゆくこととなった。



男子円盤投げを64m78で制し、オリンピック4連覇となったアル・オーター(アメリカ)。個人種目の4連覇は後のカール・ルイス(アメリカ、走幅跳)と史上わずか2名。



女子バレーボールでソ連とチェコ(白いシャツ)が対戦。チェコスロバキアで起こった民主化の動きに対しソ連軍が侵攻した「プラハの春」の直後だったため、どの会場でも目立った声援を受け、第1セットを取るも、1対3で敗れた。日本は男女とも銀メダルとなった。



体操女子個人総合で3位となったクチンスカヤ(ソ連)の平均台の演技。前回に続いてベラ・チャスラフスカ(チェコスロバキア)が個人総合など3種目を制し、大会後、メキシコ市内の教会で陸上選手と結婚式を挙げて引退を表明した。



体操日本のエース、中山彰規の床運動の演技。個人総合では加藤沢男、ボローニン(ソ連)に次ぐ3位にとどまったが、種目別で鉄棒など3個の金メダルを獲得。



レスリングのグレコローマン・ライト級で優勝した宗村宗二が、予選3回戦でフランスのマルシャンを攻める様子。70~63kgの中量級で優勝したのは当時高く評価された。ちなみに柔道はこの大会では行われていない。



ボートのかじつきフォア決勝では、ニュージーランドが2位東ドイツを一艇身以上引き離し、6分45秒62で優勝した。



日本はアメリカ、ソ連に次いで多い11個の金メダルを獲得したが、ほとんどは体操、重量挙げ、レスリングなど集中的に強化してきた競技によるもので、むしろこの大会の記憶を今にとどめている=オラ3才でしたので直接にはまったく覚えてない=のはサッカーで健闘して3位になったことだといえよう。予選リーグを1勝2分けで突破した日本は、決勝トーナメントでフランスに3対1で勝ち(いちばん上の画像、フランスのディフェンスをかわしながらドリブルする杉山)4強入り、準決勝では東京大会優勝のハンガリーに0対5で敗れたが、3位決定戦で地元メキシコを2対0でくだして史上唯一の銅メダルを獲得。↑前半1対0とリードした日本は、左コーナーへ快走した杉山(左から2人目)が釜本(左端)へパス、釜本は鋭く走ってきてキーパーをかわし、2点目となるシュートを決めた。後半は防戦一方となったが、メキシコの猛攻をしのぎ、逃げ切った。 ─(写真は『アサヒグラフ』1968年11月の増刊号より)
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銀行と映画館2─旧作探訪であつかった100本の映画

2010-07-01 22:32:49 | メディア・芸能
映画の正規料金が1600円、前売り券は1300円、それを公開の残りが1日しかないので、金券屋で200円で売られていたことに、なんらか再起できるかもしれない匂いを嗅ぎつけた肉欲棒太郎。実際見てみると↑、こんな映画に1600円も払わされた客は悲惨やで─。
額面と、実勢価格の差には、彼のようなシタタカ者の付け入る隙は十分。それから10年以上経過した今も、外国映画はだいぶつぶれてしまったが、日本映画では、どうしてこんな映画に出資する会社があるのか不思議な例がちらほら。
映画興行に限った話ではなく、そうした話はあちこちに聞かれるし、たとえば昨今では「公的資金を注入されているのにもかかわらず、経営陣が巨額の報酬を受けているような銀行に預金して、雀の涙みたいな利息しかもらえないお客は悲惨やで─」。



前にも述べたが、果たす役割において似たところのある、銀行と映画館。昭和期の地図など見ると、わりと小さな駅の周辺にも、銀行と映画館を示す記号が集まっている。このことは、大蔵省から護送船団としてあつかわれる銀行も、市場原理に基づく人気商売の映画館も、不特定多数の人びとを相手にする以上、共通する基盤の上に存立していたことを示す。
↑は1972(昭和47)年の中野区沼袋付近なのだが、なぜ沼袋かというとオラの母方の実家=わりと歌舞音曲の好きな職人の家=があるからなのだが、隣の新井薬師前駅のそばに、「薬師東映」なる映画館が。そして注目いただきたいのが、沼袋駅から中野駅方面に向かう途中に、大きな刑務所があることだ。そばには刑務所職員寮も。
東映の映画館でかかる映画の中では、明日をも知れぬヤクザ者が活躍していたかもしれない。現実には、そうした者のうち少なからずの確率でお縄に付く者が出てくるかもしれない。映画館も刑務所も都市の一部としてあることは、そうした者どもが市民社会の中でなるべく避けたいが完全に消し去ることは不可避な者として、共存というか認知されていたことが感じられる。
逆に現在では、そうした者どもがオモテ向きはまったく意識されていない無菌社会となり、大相撲の賭博問題などで意識せざるをえなくなるとあわてて騒ぎ立てる。そしてむしろ、映画館のような特別な場所でなくても、サッカーを中継するTVスタジオになぜかEXILEのみなさんがいたりとか、人身売買みたいなAKB48のみなさんが人気だったりとかで、ヤクザ的なウラ社会の悪徳がより深く根を下ろしている気配だ。
あんなナリでも、EXILE銀行と呼びたいような、石橋をたたいても渡らない安全策の音楽。AKB48なんかでは、もっと直接的に犯罪行為を奨励しているかのよう。「山本耳かき店」のストーカー殺人事件を想起してしまうわん。メンバーがひどい目にあうとしても、お客さんがひどい目にあうとしても、どちらに転んでも秋元康らは儲かる仕組みだ。蟻地獄物産の「両建て」↓。
かつては、犯罪者が追い込まれて困った状況などで用いられた「ヤバイ」という言葉を、昨今の若者がうれしい・おいしいなど良い意味で用いるようになったのは、生まれた時からジャニーズ事務所や秋元康が狡猾なやり方で体制側にそびえ立っているので、無意識のうちに自分も犯罪ギリギリの線を狙わなければ上昇はおろか生き延びることさえ困難だというような時代的思潮が培われているのかもわからない。



★しんぼる
★★★ワンダフルライフ
★★★マーラー
★★★★★トゥモロー・ワールド
★★★レッツ・ゲット・ロスト
★★★★日本沈没
★★十八歳、海へ
★★★★男性・女性
★★★ゴダールのマリア
★★★永遠と一日
★★★★★生きる
★ファッションが教えてくれること
★★★★★七人の侍
★★カラヴァッジオ
★★★★★クローズ・アップ
★★★★ノスタルジア
★★ルナ・パパ
★★★★12モンキーズ
★★★★2001年宇宙の旅
★★いちばん美しい年令(とし)
★★ミミック
★★★★ユリシーズの瞳
★★ZOO
★★★永遠のモータウン
★★★★アメリカン・ヒストリーX
★★★★エル・マリアッチ



★★★菊豆(チュイトウ)
★★★太陽の帝国
★★★ダウン・バイ・ロー
★★★★★ブレードランナー
★★★苺とチョコレート
★★★暗殺・リトビネンコ事件
★★★スペース カウボーイ
★★★シド・アンド・ナンシー
★★★クラム
★★★★メフィスト
★★★エム・バタフライ
★★★この素晴らしき世界
★★★★狼たちの午後
★パラサイト・ドールズ
★★★裸のランチ
★★バッファロー’66
★★★★リアリティ・バイツ
★★★★★暴力脱獄
★★★ハリーとトント
★★★ペーパー・ムーン
★★★★メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
★★★オリバー!
★★★クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
★★★世界最速のインディアン
★★★★シベールの日曜日
★★★エル・スール
★★★花と蛇2 パリ/静子
★★★★★カッコーの巣の上で
★★★イル・ポスティーノ
★★★★うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
★★★バスキア
★★★★★デッドゾーン
★★★悦楽共犯者
★★★★エレファント・マン
★★★精霊の島



★★★★ロジャー・ラビット
★★★トーク・トゥ・ハー
★★人喰いアメーバの恐怖
★★★★ブギーナイツ
★ディア・ピョンヤン
★★輝ける女たち
★★★完全なる飼育 赤い殺意
★★★ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
★★ルート225
★★つげ義春ワールド・ゲンセンカン主人
★★★ファーゴ
★★★カストラート
★★★AIKI
★★★サンキュー・スモーキング
★★★ゴッド・アンド・モンスター
★★★ダーウィンの悪夢
★★★★渚のシンドバッド
★★★キンキーブーツ
★★シルヴィア
★★★★Mr.BOO! インベーダー作戦
★★★東京ゴッドファーザーズ
★★★ヴェロニカ・ゲリン
★★双生児
★★★★★アラバマ物語
★★★★刑事ジョン・ブック 目撃者



★★★ベイビー・イッツ・ユー
★★死ぬまでにしたい10のこと
★★★★グッバイガール
★★★クイズ・ショウ
★★★★モーターサイクル・ダイアリーズ
★★★★マイライフ・アズ・ア・ドッグ
★★★★★蜘蛛女のキス
★★★★恋はデジャ・ブ
★バックダンサーズ!
★★★★コーリャ 愛のプラハ
★★ジャケット
★★★ノー・マンズ・ランド
★★★★シャイン
★★★ドニー・ダーコ
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