マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

シャロン・ジョーンズの愛と死

2017-03-30 20:35:22 | 音楽
森友問題やネトウヨの増殖、エロ同人の言葉たちにみられるような倫理的な退廃。「飲む・打つ・買うを通じた自民党独裁」と題し、近く記事にまとめようと。愛国保守は商売になるのだ。わが国だけにとどまらない。ブレグジットやトランプ現象、右翼ポピュリズムが世界を席巻。

老残の哲学者・梅原猛氏は東京新聞の連載エッセイで「明確な理想をもち得ないポピュリズムはニヒリズムであるともいえる。19世紀末にニーチェは来るべき200年はニヒリズムの時代になると予言し、その原因を、弱者が強者を制するためのキリスト教的道徳がまったく通用しなくなったことに求めた」と。それはまたデカダンスとしても表れるという。理性の否定。退廃と戦争の時代—




Netflixでドキュメンタリー映画『Miss Sharon Jones!』(2015年)を見る。シャロン・ジョーンズは昨年11月、がんのため60歳で亡くなった女性ソウルシンガー。ジョージア州生まれ、幼少期にNYに移り住んで教会でゴスペルを歌うようになり、70年代にはファンク・バンドのバックコーラスなどを務めていたが、ソロ歌手としては長らく芽が出なかった。40歳のときにリー・フィールズのバックコーラスに選ばれたことがきっかけでソウル・プロヴァイダーズとリー・フィールズのアルバムに参加。この時のメンバーとシャロン・ジョーンズ&ザ・ダップキングスを結成し、2002年に遂にアルバム・デビュー。エタ・ジェームズやアーマ・トーマスら往年の正統派シンガーを想起させる力強い歌声で人気を博した。映画は2013年に胆管がんを告知された彼女が、手術や化学療法で闘病ののちステージとアルバムで復活を果たすまでを追う。

彼女の子ども時代、黒人で女性であることは米国で二重のハンディキャップだった。さまざまなところに差別が残る。「♫大声で叫べ。黒人であり、誇り高いということを」とジェームズ・ブラウンが歌ったことは、彼女の心を勇気づけた。キリスト教の教えを実践したのは白人より黒人だ。ゴスペルをルーツとし、愛と希望を歌うソウル・ミュージックは60~70年代、アメリカから世界へ発信された。神の前で人は平等であり、人間の魂は悩みや憎しみから解放され自由になれることを、身をもって示した。




50年代初めまでレイス・ミュージック(人種音楽)と呼ばれ隔離された、ブルースなどの黒人音楽。チェス・レコードのチェス兄弟、Hound Dog, Yakety-Yakなどを書いたリーバー&ストーラーら、ユダヤ人や良心的な白人が後押しし、才能ある黒人アーティストが活躍できる場が広がる。やがて黒人資本のレコード会社や映画製作も。しかし、サム・クック、ジャッキー・ウィルソン、ダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ、マイケル・ジャクソン、プリンスなど、大いに成功し名声を博しながらも、非業の死を遂げたり、健康を害して寿命を縮めたりする例は現在まで続く。

ソウル・ミュージックは歌・演奏と聴衆が一体となるグルーヴ感が命だ。練習しなければ技量は下がる。バック・ミュージシャンにも生活がある。↓のプレイリストのように、シャロン・ジョーンズの曲を10曲持っている。私のチャートに3度入り、1位にもなった。それでも、使ったお金は1500円くらい。よい音楽は無尽蔵にあり、過酷な競争原理がはたらく。米国は世界一の市場を持ち、成功すれば世界に道が開けるが、曲ごとのダウンロード販売や定額聞き放題サービスが普及し、消費のあり方やジャンルが多様化する一方で、新作アルバムとライブを連動させて稼ぐ従来のやり方は行き詰まってきている。

ヒト・モノ・カネ・サービスが国境を超えるグローバル経済。米国の音楽はその先駆者だったともいえるが、同時に、競争に追われ、搾取や退廃に直面するアーティストの姿は、グローバル化のもう一つの側面=戦争や、理想なきひたすらな利潤追求の行く末を示してくれていると申せましょう—





iTunes Playlist "Sharon Jones & the Dap-Kings Playlist" 35 minutes
1) How Long Do I Have to Wait for You? (2005 - Naturally)
2) This Land Is Your Land (2005 - Naturally)



3) Nobody's Baby (2007 - 100 Days, 100 Nights)
4) Tell Me (2007 - 100 Days, 100 Nights)



5) I'm Not Gonna Cry (2007 - Soul Time!)



6) Ain't No Chimneys in the Projects (2009 - It's a Holiday Soul Party)



7) The Game Gets Old (2010 - I Learned the Hard Way)
8) Better Things to Do (2010 - I Learned the Hard Way)



9) Stranger to My Happiness (2014 - Give the People What They Want)



10) I'm Still Here (2016 - Miss Sharon Jones! OST)
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天才ネオリベ殺人鬼

2017-03-28 20:50:59 | 読書
深爪@重版御礼「深爪式」絶賛発売中 @fukazume_taro 3月14日
「コンビニはエロ本を売らずにおむつを売れ」という主張、単に「コンビニでおむつを売って欲しい」と言えばすむことなのにエロ本に対するヘイトを加えたもんだから反感買いまくりなんだけど、何かを腐して己の主張を通そうとするのは愚策にもほどがあるんだなと改めて思った。


「エロ本を売るな」というのはヘイトなのでしょうか。食品や日用品と同じように、エロ本が陳列され、24時間いつでも買えるようになっている。あるいは、若い美人のグラビアが載ってますよと謳う、電車内の中吊り広告。未成年者もいるAKBが水着で並んだ姿。

満員電車で職場や学校へ向かい、ときに痴漢の脅威も受ける女たちにとって、それは絶望的な視界である筈だ。逆にホストクラブのホストや、ジャニーズの芸能人が集団で写る街頭広告は、男たちにとって脅威であるとまではいえないが、もし彼らが半裸の水着姿であるとか、もっとセックスアピールをしていれば、男たちの心にモヤモヤとした不安や苛立ちをかきたてるに違いない。

男と女の対立。男社会の優位は確立されており、女は商品のように扱われがちで、廻り廻ってその運命は男でも立場の弱い男には容赦なく襲いかかる。『闇金ウシジマくん』は一貫してこのテーマを扱う。「フーゾクくん」の杏奈は言う。「会社は正社員は幹部だけで、あとは臨時の契約社員でイイんだよ。契約社員なんて、スキルの付かない雑用やらされて、30歳くらいでクビ切られたらどーすんの? 収入のあるダンナと結婚? どこにいるのだ」。瑞樹も言う。「わたしが女で風俗嬢だからって下に見てるんだろうけど、お前はどんだけ稼ぎがあんじゃい!! (風俗嬢は、性病のリスク、下手すると殺される危険もあり、殺されても、フツーの人が殺されるより罪が軽いというウワサが)」。2人の先輩を見ながらモコも「まともな男なんて、この世にいるのか?…」と。




松永太とは、一体どういう人物なのだろうか。

それを知る上で参考になるものが、松永の供述調書に残っている。「人生のポリシー」について、松永が述べている部分だ。

「私はこれまでに起こったことは全て、他人のせいにしてきました。私自身は手を下さないのです。なぜなら、決断をすると責任を取らされます。仮に計画がうまくいっても、成功というのは長続きするものではありません。私の人生のポリシーに、『自分が責任を取らされる』というのはないのです。(中略)私は提案と助言だけをして、旨味を食い尽してきました。責任を問われる事態になっても私は決断をしていないので責任を取らされないですし、もし取らされそうになったらトンズラすれば良いのです。常に展開に応じて起承転結を考えていました。『人を使うことで責任をとらなくて良い』ので、一石二鳥なんです」

♞ ♞ ♞

供述から本性が見られないのであれば、法廷での松永の表情や態度からはどうだろうかと思い、目を凝らした。しかし、それも雲をつかむようなことだった。彼は変幻自在に表情や態度を豹変させる。人好きのする柔和な表情を浮かべて礼儀正しく答弁しているかと思えば、急にふてぶてしい態度になって「お説教してるんですか!」「無礼ですよ!」などと検察官や(緒方)純子の弁護人を非難したり、急にしおらしい態度になって「裁判長様、ぜひご理解ください」などと哀願したりする。まるでカメレオンである。しかしどれも松永の本性とは言えまい。彼の前妻は私に、こう語った。「恐ろしいときの松永は、蛇のような目つきになるんです」…。そのような冷酷さの片鱗を、作られた姿ではなく、松永の本質の部分を、私は見たかった。 —(豊田正義 『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』 新潮文庫・原著2005年)





『消された一家』を昨秋に読み、震撼とさせられたが、当ブログで記事化することができずにいた。今こそ書きたい。マンションの一室に父娘を監禁し、多額の金を奪うと同時に、電気ショックや睡眠・排泄の制限などで虐待し、男性を衰弱死させた。その後、7人家族を同じ部屋に監禁し、やはり電気ショックなどで奴隷化。果ては、幼い子を含む家族同士を殺し合わせた。洗脳して君臨することで、自らは手を汚さず、「忖度」させて殺し合わせ、死体の処理までさせるよう仕向けた、天才的なシリアルキラー・松永太。

ウシジマくんの最も凄惨なエピソード「洗脳くん」のモデルでもある。私は2002年にこの松永が逮捕され顔写真が公開されたとき、タレントの中山秀征に似ているなと思った。愛嬌があって、一般的にイイ人そうと思われているが、裏では後輩に土下座説教する二面性がある。保守的で、女にはマメな、目立ちたがり。そこへいくと、洗脳くんの神堂は、もっと宗教寄りで、モダンホラーめいた冷酷さの恐怖だ。

導入で、女性誌編集の仕事を持つ女の主人公は、アパレル店員の彼氏がイケメンだが頼りにならず、頼りになる強い男を求めている。スピリチュアル志向も。頼りになる男と結婚できたら、という希望が、恐ろしい男・神堂のつけ入る隙になってしまうあたり、一貫したテーマが生きていて好ましいのだが、しかし「洗脳くん」は、現実を予見したかのようなエピソードもみられるウシジマくんとしては貧弱で、つまらない。事実は漫画よりも奇なりだ。『消された一家』は読みごたえがある。

ネオリベラリズム=新自由主義は、官から民へ、規制緩和、市場原理に委ねる、などを骨子とする政治経済のイデオロギーだが、かねて私は、「自由に伴う責任を回避する」ことこそネオリベの肝で、回避するためには政党・宗教・官僚制・金融・マスコミ・インターネットなどの媒体を必要とすると考えてきた。

松永太が手を汚さず、家族同士、疑いを持たせ、マインドコントロールして殺し合わせる。森友問題で、安倍夫人付けのノンキャリ女性官僚をはじめ、財務省や大阪府などの官僚たちが勝手に忖度して便宜を図ったことにしたい安倍政権。安倍や橋下が「なんとなく・いい人そう・頼りになる」で支持されているのとも重なる。ウシジマくん内の男女対立は、稀に女の悪が上回るが、もっぱら男が悪い。松永以降に明るみに出た計画的な連続殺人では角田美代子・上田美由紀・木嶋佳苗と女の犯行が目立つが、これらが男が経済を支配する既得権のもたらした結果であるかは別途論考したい—



消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)
豊田 正義
新潮社
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北中正和ロック史観

2017-03-26 20:09:28 | 音楽
ロックンロールは誕生以来ずっとコマーシャリズムの中でもまれてきた音楽だ。1960年代中頃に、呼び名がロックに変わっても、その原則に変わりはなかった。しかし、ウッドストック幻想のあった時期には、ロックは音楽産業の利益のためにあるのではなく、人々のものであり、反商業主義的な革命の音楽だ、と主張する人たちも登場してきた。

たとえばサンフランシスコでは、グレートフル・デッドやジェファスン・エアプレインなど、多くのグループが無料コンサートを行って、自分たちを育ててくれたファンに利益を還元しようとした。ロックの殿堂フィルモア・オーディトリアムを作り、サンフランシスコのロックに興行的視点を持ちこんだビル・グレアムは、ヒッピーからヒップ・キャピタリストと非難された。ウッドストックをはじめとしてロック・フェスティバルには無料入場者が押しかけ、ローリング・ストーンは入場料が高いという声にフリー・コンサートで応じなければならなかった。

オルタモント(のライブ中の殺人事件)のような不幸があっても、幻想は簡単には消えなかった。しかし革命や反抗や解放の幻想のかげでは、ロック・ビジネスが着々と巨大化への道を歩んでいた。

☕ ☕ ☕

スペシャルズが最初ツートーン・レーベルで出したシングル「ギャングスターズ」(1979年)は最初5000枚のプレスだったが、大手のクリサリスと契約して同じレコードを販売すると、半年後にイギリスでトップ・テンに入った。このヒットをきっかけにセレクター、マッドネス、ビートなどを巻きこんで、白黒市松模様ファッションのいわゆるツートーン・ブームが起こった。常識的にみれば、ツートーンとクリサリスの提携は完全に成功である。

ところがスペシャルズのメンバーはそう考えていなかったのである。リーダーのジェリー・ダマーズはブームの最中に「ツートーンはフランケンシュタインか何か、手に負えない怪物のようになってしまった。完全にファッションの次元になってしまった。結局、ロックが何の変革も起こせないのは、資本主義にしばられているからだ。ロックのほんとうのメディアは資本主義だ。音楽産業は、最後にはみんなを白痴にする。レコードができると、うたってる歌詞なんて、何の意味もなくなってしまう」とペシミスティックな発言をして注目された。

彼の予言は不幸にも的中した。音楽産業の枠の中では、ブームは絶えず次なるブームにとってかわられ、消費されていく。ツートーン・ブームが去ると、レーベルは多くのバンドを失い、スペシャルズは分裂した。とはいえ、ツートーンの挫折の責任をすべてクリサリスとの提携に押しつけることはできない。ジェリー・ダマーズの発言に、自分たちの音楽に対する甘えや思いあがりがないとは言いきれないからである。

ただ、この時期にジェリー・ダマーズが「ロックはほんとうに国際的になる必要があるのか、地元の人々のための音楽で充分なのではないか」という意味の主張をしたことは、ロックとメディアの今後のあり方を考えていくうえで興味深い問題を示唆するものと言えるだろう。 —(北中正和 『ロック スーパースターの軌跡』 講談社現代新書・1985)






iTunes Playlist "北中正和ロック史観" 308 minutes
1) Elvis Presley / Heartbreak Hotel (1956)
2) The Chords / Sh-Boom (1954)
3) Hank Williams / Cold, Cold Heart (1951)
4) Bill Haley & His Comets / (We're Gonna) Rock Around the Clock (1954)
5) Chuck Berry / Maybellene (1955)
6) Little Richard / Tutti Frutti (1956)
7) Jerry Lee Lewis / Whole Lotta Shakin' Goin' On (1957)
8) Buddy Holly / Peggy Sue (1957)
9) The Coasters / Yakety Yak (1958)
10) Little Eva / The Loco-Motion (1962)



11) The Ronettes / Be My Baby (1963)
12) The Righteous Brothers / You've Lost That Lovin' Feelin' (1964)
13) The Beach Boys / Fun, Fun, Fun (1964)
14) Bob Dylan / Blowin' in the Wind (1963)
15) The Beatles / I Want to Hold Your Hand (1963)
16) The Rolling Stones / (I Can't Get No) Satisfaction (1965)
17) Ray Charles / I've Got a Woman (1954)



18) Jackie Wilson / Lonely Teardrops (1958)
19) James Brown / Papa's Got a Brand New Bag, Pt. 1 (1965)
20) The Four Tops / I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch) (1965)
21) Otis Redding / I've Been Loving You Too Long (to Stop Now) (1965)
22) Aretha Franklin / Respect (1967)
23) Bob Dylan / Like a Rolling Stone (1965)
24) The Byrds / Mr. Tambourine Man (1965)
25) Scott McKenzie / San Francisco (Be Sure to Wear Flowers in Your Hair)
26) Jefferson Airplane / White Rabbit (1967)
27) Buffalo Springfield / For What It's Worth (1966)



28) The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band/With a Little Help from My Friends (1967)
29) Janis Joplin / Little Girl Blue (1969)
30) Steppenwolf / Born to Be Wild (1968)
31) The Jimi Hendrix Experience / Purple Haze (1967)
32) James Taylor / Fire and Rain (1970)
33) John Lennon / God (1970)
34) Carole King / It's Too Late (1971)
35) Elton John / Tiny Dancer (1971)
36) Creedence Clearwater Revival / Proud Mary (1969)
37) The Band / The Weight (1968)
38) Derek & the Dominos / Layla (1970)
39) The Allman Brothers Band / In Memory of Elizabeth Reed (1970)
40) The Kinks / You Really Got Me (1964)
41) The Who / My Generation (1965)
42) Cream / White Room (1968)
43) Led Zeppelin / Communication Breakdown (1969)
44) Kiss / Detroit Rock City (1976)
45) King Crimson / The Court of the Crimson King (1969)
46) David Bowie / Ziggy Stardust/Suffragette City (1972)



47) Roxy Music / Re-Make/Re-Model (1972)
48) The O'Jays / Back Stabbers (1972)
49) Marvin Gaye / What's Going On (1971)
50) Stevie Wonder / Superstition (1972)



51) Sly & the Family Stone / Family Affair (1971)
52) Miles Davis / Miles Runs the Voodoo Down (1969)
53) Boston / More Than a Feeling (1976)
54) The Doobie Brothers / What a Fool Believes (1978)
55) Eagles / One of These Nights (1975)
56) Fleetwood Mac / Dreams (1977)



57) Carly Simon / That's the Way I've Always Heard It Should Be (1971)
58) Joni Mitchell / I Had a King (1968)
59) Bee Gees / Stayin' Alive (1977)
60) Sex Pistols / God Save the Queen (1977)
61) Patti Smith / Gloria (1975)
62) Jimmy Cliff / The Harder They Come (1972)
63) Bob Marley & the Wailers / Concrete Jungle (1973)
64) The Clash / Police & Thieves (1977)
65) Giorgio Moroder / Chase (1978)
66) Thomas Dolby / She Blinded Me with Science (1982)
67) The Specials / Gangsters (1979)
68) Blondie / Heart of Glass (1978)
69) Talking Heads / Once in a Lifetime (1980)
70) Duran Duran / Hungry Like the Wolf (1982)



71) Michael Jackson / Thriller (1982)
72) Prince & the Revolution / Purple Rain (1984)
73) Tina Turner / Let's Stay Together (1984)
74) Afrika Bambaataa & the Soul Sonic Force / Planet Rock (1982)
75) Bruce Springsteen / My Hometown (1984)



この本を読んだころ私は高卒で大田区の電話局の資材係で働いていた。音楽は癒しであり希望だった。いずれ将来、カセットテープ20巻くらいの「ロックの歴史」を編集しようと考え、参考文献を集めたうちの1冊で、日本人の手になる類書としては、最もバランスよく、コンパクトにまとめられた本だったと思う。

北中さんはジャンルの偏食がなく、サブカルチャー/カウンターカルチャーとして出発したロックが、音楽産業(レコードとライブ、放送局など)を母体に、巨大化し、音楽というより若者の文化・消費生活の中心を占めるに至る過程を、冷静な筆致で綴る。




チャック・ベリーが亡くなった。ロックの創始者の一人。私が洋楽を聞き始めた頃、NHK-FMの2時間枠で5日連続の「ロックンロール大全集」という特番が組まれた。1980年はロック25周年で、北中さんの本の85年は30周年ということで、ラジオや本がロックの成り立ちを扱うことがしばしばだった。が、それは遠い日本で、メディアを通して知らされた、少しばかり偽史だったのかも分らない。

87~89年にかけロック史のカセットを作る中で、Rolling Stone Illustrated History of Rock & Rollという大部の洋書に多くを負うことに。北中さんの本でも、ロックのルーツは【1】ニューヨークのティン・パン・アリーの主流ポップ【2】黒人音楽のブルースやリズム&ブルース【3】南部の白人音楽カントリー&ウエスタン、とされている。本来ロックは米国の民俗音楽なのだ。

しかし80年代当時の日本では、むしろ英国のロックが米国ロックの人気を上回っていた。マネージャーのブライアン・エプスタインがビートルズに加えた演出、同じくマルコム・マクラレンがセックス・ピストルズを売り出したやり方、『トミー』などのロック・オペラやグラム・ロックの派手な演出。MTV時代にいち早く適応したデュラン・デュラン、カルチャー・クラブ等々、ビジュアル重視の英国ロックは、メディアに乗って、大きく拡散する。

極めつけは85年に英米2元中継で華やかに行われたチャリティーコンサート『ライブ・エイド』だったろう。ローリングストーンの本で未知の音源を学びながらも、私のカセットはチャプターを基本米英で分け、レゲエの巻はあっても米カントリーの巻はない、YMOは入っていてもセルジュ・ゲンズブールは入っていない、総花的ながら今となっては穴ボコだらけのものにならざるをえなかった。

この時から、既に30年ほど経過。萌芽に過ぎなかったヒップホップは一大ジャンルとなった。北中さんの本でも私のカセットでもハンク・ウィリアムスとジョニー・キャッシュくらいしか触れられていないカントリーの系譜は再評価が進み、他のジャンルと混交してオルタナティブ・カントリーはたまたアメリカーナーと呼ばれるムーブメントが起こっている。

単線の歴史でなく、本流と傍流でもなく、さまざまなジャンルやムーブメントが相互に照らし合いながら、渦巻き星雲のように広がり発展している。ヒットチャートや大手レコード会社は形骸化・空洞化し、メディアより音楽本位に戻ったようにも見えるし、多様化し過ぎてロックという名でくくる必要はないようにも見える。しかしチャック・ベリーやリトル・リチャードやエルヴィス・プレスリーが現れた50年代半ば、音楽のあり方や位置付けは永久に変わった。The Rock Eraという時代の区切りは、これからも続くことだろう—



ロック (講談社現代新書 (776))
北中 正和
講談社
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Top 20 Hits of 25-Mar-2017

2017-03-25 18:48:09 | Weekly Top 15
1. ← 1. 6 Kano / 3 Wheel-up (feat. Wiley & Giggs) (2016 - Made in the Manor)
2. ← 7. 2 Hurray for the Riff Raff / Pa'lante (2017 - The Navigator)
3. ← 2. 4 Calvin Harris / Slide (feat. Frank Ocean & Migos) (2017 - Single)
4. ← 17. 3 Blanck Mass / Silent Treatment (2017 - World Eater)
5. ← 3. 5 Arca / Piel (2017 - Arca)
6. ← 4. 6 The xx / On Hold (2017 - I See You)



7. NEW 1 Downtown Boys / Somos Chulas (No Somos Pendejas) (2017 - Single)
8. ← 6. 5 Alison Krauss / Losing You (2017 - Windy City)
9. ← 5. 5 Crystal Fairy / Chiseler (2017 - Crystal Fairy)
10. ← 10. 3 Kyle Craft / Pentecost (2016 - Dolls of Highland)
11. ← 8. 4 Ryan Adams / Do You Still Love Me? (2017 - Prisoner)
12. ← 18. 2 Fleet Foxes / Third of May/Ōdaigahara (2017 - Crack-Up)
13. ← 20. 2 Milky Chance / Blossom (2017 - Blossom)
14. ← 14. 3 Tinariwen / Nànnuflày (2017 - Elwan)
15. ← 9. 7 Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins) (2017 - Drunk)
16. ← 12. 4 No Joy / Hellhole (2017 - Creep EP)



17. NEW 1 Laura Marling / Nothing, Not Nearly (2017 - Semper Femina)
18. ← 11. 7 Future Islands / Ran (2017 - The Far Field)
19. ← 13. 7 Jlin / Nyakinyua Rise (2017 - Dark Lotus EP)
20. ← 16. 7 The Besnard Lakes / Laura Lee (2017 - The Besnard Lakes Are the Divine Wind)
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妄想性国家一体化病

2017-03-23 21:56:14 | マンガ
1940年5月10日、ヒットラーはついに、「黄色作戦」(対フランス戦)を発動した。ドイツ軍はなだれのごとく中立国ベルギーに侵入し、さらにオランダに殺到した。ヒットラーは、ついにその宿願であった大ゲルマン国家建設のためのヨーロッパ征服を実行にうつしたのだった。「いまから開始される戦いこそ、今後一千年間のドイツ民族の運命を決するのだ!」ヒットラーは叫んだ。

これはひとつの大きな賭けだった。しかしその計画はじつにすばらしい成功をおさめた。5月26日、連合軍はダンケルクから海へと追放され、ほうほうのていでイギリスへ逃げた。

6月10日、ムッソリーニが参戦し、フランスはついにパリをあきらめた。ドイツ軍はパリに無血入城した。ハーケンクロイツの旗はエッフェル塔上にひるがえった。

たしかにヒットラーは戦術的天才であったかもしれない。ナチの軍隊では、いつも指揮官が真っ先に突入するのだ。マジノ線=第二次大戦前に仏陸軍大将マジノの建議で作られた、ドイツとの国境に横たわる近代的要塞線=に一人敢然と突入したのは、なんと師団長のロンメル自身だった。ボルドーに逃げていたフランス政府は、正式にドイツに降伏した。

6月21日、第一次大戦でドイツが降伏調印したコンピエニューの森で、こんどはフランスの降伏調印が行われた。わざわざ第一次大戦のとき調印した古い寝台車が博物館から運び出されて調印式に使われた。こうしてヒットラーは1918年の恥をそそいだ。ヒットラーは軍楽隊に送られて、ゆうゆうと引き上げた。

ヒットラーはパリの建築に深い興味を抱いていた。とくにオペラ座の内部は、見たことがないのにすみずみまで知っていたくらいである。ヒットラーは、シュペーアという建築家などと、3時間だけパリの建築を見てまわった。とくに、日ごろ尊敬していたナポレオンの墓では…。

「これがぼくの生涯の絶頂だろう。パリを見るのが小さいころからの夢だった…。それがいまかなえられて、どんなにうれしいか。口ではいいあらわせないよ」

シュペーアはヒットラーに同情をおぼえた。これが彼のパリ見物の最初で最後だった。

ヒットラーは凱旋将軍として7月6日、ベルリンに帰った。町は旗と花と人の海だった。すべての村々では、教会の鐘がひびき渡った。いまやヒットラーがドイツとなり、ドイツがヒットラーになった。彼はわずか2ヵ月の戦いで史上最大の戦略家として、フリードリッヒ大王以上の人物となった。彼は語った。「わが帝国は今後一千年間持続するであろう」 —(水木しげる 『20世紀の狂気 ヒットラー』 1971年・週刊漫画サンデーに連載)





History in Moments @historyinmoment 3月21日
Adolf Hitler at Kroll Opera House in Berlin 1939. Photo by Hitler's personal photographer Hugo Jaeger.


『劇画ヒットラー』として80年代に復刊されていたのを読み、このほどひさしぶりで手にしたが、内容をほとんど覚えていなかった。題名のように、私が子どもの頃はヒトラーよりヒットラーと表記される方が多かったと思う。

水木さんは兵隊にとられる前、文芸・哲学書を読み漁ったというが、そうした背景がここでも生きており、歴史や伝記漫画というよりは、ヒトラーの主観に基づく、ロマン主義的な栄光と破滅の物語という印象を受ける。ユダヤ人への迫害と虐殺は冒頭にちょっと描かれるだけで、戦争の描写もテキストと大ゴマだけで省略されているが、逆にヒトラーの心情や、周囲の人物がいかに呼応し、彼の狂気を大きな渦巻きとしていくか、そうした人間ドラマ、演劇や小説のおもむき。あとがきで水木さんは、ヒトラーの求心力を「神秘力。とにかく恰好よかった」と綴っており、同じ時代、同盟国の少年が、その渦巻きを目の当りにして生きていた実感がうかがえる。




akabishi2‏ @akabishi2 3月23日
【緩募】小説を読んでいたら、登場人物の一人がネトウヨになっていく様が描かれていて、やっぱネトウヨは何か「罹患」するものなのかな?などと考えてみた。俺が読んだのは葉真中顕氏の『絶叫』。他にネトウヨが出てくる小説があったら教えてください。ネトウヨはどう描かれているのか。知りたいです。

野間易通 @kdxn 3月23日
誰もが思ったと思うけど、口下手な素人のおっさんでも普通に受け答えするだけで質問→答弁はきちんと成立してるよね。ふだんの国会質疑でのやりとり、とくに与党側答弁がいかに異常か、改めて浮き彫りになった。

きづのぶお‏ @jucnag 3月23日
自民党は籠池氏を完全に舐めてましたね。その驕りから致命的な失敗を犯した。




政治に物申す会‏ @boruchiyan 3月17日
安倍政権のことを言っている
ローレンス・ブリット


かつて日本は、この近代化の成功を誇り、東亜の盟主とうぬぼれて、中国その他のアジア諸国を蔑視したが、日本の選択が正しかったかは一概に言えないであろう。中国は、愚かにもその頑迷固陋な中華思想に固執したために近代化に遅れを取り、半植民地化される憂目を見たが、進取の気風に溢れる日本はすばやく文明開化の道に乗り出し、独立を保った…と言い切れるほど、事態は単純ではない。集団のアイデンティティの側面、精神的側面から言えば、日本の方がはるかにひどく侵害され、独立を失っていたと考えられるからである。わたしが、1853年のペリー来航以降の日本近代を、日本の悲劇の時代、精神分裂病の時代と呼んだのはその意味においてであり、この状態は今も本質的に変わっておらず、吉田松陰が生き、そして死んだ時代は現代までつづいている。わたしの見るところによれば、松陰は、日本の精神分裂の結果、外的自己から切り離された内的自己の立場をもっとも純粋な形で代表している思想家であり、日本がこの分裂状態にあるかぎり、松陰のエピゴーネンは、幾たび殺され、生贄にされようとも、この日本の地に絶えることなく輩出しつづけるであろう。われわれはまだ松陰を卒業していない。松陰の問題は、依然、現代の問題である。 —(岸田秀 『ものぐさ精神分析』より「吉田松陰と日本近代」 原著1976)


中央政界で谷口雅春の思想に憑かれた大物政治家の代表が鳩山一郎であろう。鳩山は1954年から約2年間、首相として政権を率い、日ソ国交回復などを成し遂げたが、首相の座に就く前に脳出血で倒れて闘病生活をよぎなくされたことがあった。

この際、鳩山は谷口の『生命の実相』を熱心に読んで感銘を受けたらしく、谷口と共著の形で『危機に立つ日本—それを救う道』なる教団パンフレットに近い著作を発表、挙句の果てには『生命の実相』を「新時代のバイブル」と絶賛するほどだった。前出した大宅壮一の「谷口雅春論」もこれを取り上げ、谷口と鳩山をこんなふうに辛辣に皮肉っている。

<"神さま業"は一度味をしめたらやめられない(略)。人間の無知と盲点の存する限り、その上にアグラをかいておればいいのである。一方で出て行くものがある代りに、新しいカモも続々やってくる。 最近の最上のカモは何といっても鳩山一郎である。(略)谷口と鳩山の共著で、「危機に立つ日本」と題するパンフレットまで出ていて、鳩山は"生長の家"の宣伝に100%利用されている>

意外なところでは、ハト派として知られた元首相・三木武夫も自民党幹事長時代の1964年、生長の家が政治結社・生長の家政治連合を結成した際、この式典に参加して祝辞を述べるなど谷口と近い関係にあった。生前の三木を知る自民党の元参院議員らによれば、三木は学生時代に肺を病み、その際に谷口の『生命の実相』に触れて感銘を受けていたのだという。 —(青木理 『日本会議の正体』 平凡社新書・2016)



水木しげるさんのヒトラー伝で「ヒットラーがドイツとなり、ドイツがヒットラーになった」の一節が印象的なのは、実際、終盤ドイツが敗色濃厚になってソ連の空爆がベルリンに及んでくると、ヒトラーも元気がなくなって病気で伏せりがちになってしまう。

その意味で、ヒトラーのわれこそ国家という狂信は、純粋なものだったとも考えられる。いまの日本会議や自民党は、もっと欲得ずくである。だからナチスのように戦争で周辺諸国を侵略したりユダヤ人を殺したりというより、カモがネギしょってやってくるネトウヨウヨ囲い込んで、比較多数派~既得権となり、それが有効な日本国内限定で私利私欲をむさぼる。

中心思想は、神武天皇以来、わが国は世界に冠たる神の国で、お国に命を捧げれば、その栄光の歴史に連なることができます~という非科学的なバカバカしいもので、対外的な効力はゼロ。そもそも天皇はそんなこと望んでない。天皇の美名の下で悪いことしたい人たちが広める。亡国です—



劇画ヒットラー (ちくま文庫)
水木 しげる
筑摩書房
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Top 20 Hits of 18-Mar-2017

2017-03-18 19:06:47 | Weekly Top 15
1. ← 6. 5 Kano / 3 Wheel-up (feat. Wiley & Giggs) (2016 - Made in the Manor)
2. ← 5. 3 Calvin Harris / Slide (feat. Frank Ocean & Migos) (2017 - Single)
3. ← 4. 4 Arca / Piel (2017 - Arca)
4. ← 2. 5 The xx / On Hold (2017 - I See You)
5. ← 1. 4 Crystal Fairy / Chiseler (2017 - Crystal Fairy)
6. ← 3. 4 Alison Krauss / Losing You (2017 - Windy City)



7. NEW 1 Hurray for the Riff Raff / Pa'lante (2017 - The Navigator)
8. ← 12. 3 Ryan Adams / Do You Still Love Me? (2017 - Prisoner)
9. ← 8. 6 Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
10. ← 17. 2 Kyle Craft / Pentecost (2016 - Dolls of Highland)
11. ← 7. 6 Future Islands / Ran (2017 - The Far Field)
12. ← 15. 3 No Joy / Hellhole (2017 - Creep EP)
13. ← 9. 6 Jlin / Nyakinyua Rise (2017 - Dark Lotus EP)
14. ← 18. 2 Tinariwen / Nànnuflày (2017 - Elwan)
15. ← 10. 5 Father John Misty / Ballad of the Dying Man (2017 - Pure Comedy)
16. ← 16. 6 The Besnard Lakes / Laura Lee (2017 - The Besnard Lakes Are the Divine Wind)
17. ← 20. 2 Blanck Mass / Silent Treatment (2017 - World Eater)



18. NEW 1 Fleet Foxes / Third of May/Ōdaigahara (2017 - Crack-Up)
19. ← 11. 8 Hammock / Dissonance (2016 - Everything and Nothing)



20. NEW 1 Milky Chance / Blossom (2017 - Blossom)
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Glam Rock Playlist

2017-03-16 19:09:40 | 音楽

1) Sly & the Family Stone / Everybody Is a Star (1969 - The Essential Sly & the Family Stone)


2) David Bowie / Queen Bitch (1971 - Hunky Dory)


3) T. Rex / Get It On (1971 - Electric Warrior)


4) Alice Cooper / School's Out (1972 - School's Out)


5) Gary Glitter / Rock and Roll, Pt. 2 (1972 - The Ultimate Gary Glitter: 25 Years of Hits)


6) Mott the Hoople / All the Young Dudes (1972 - All the Young Dudes)


7) Lou Reed / Vicious (1972 - Transformer)


8) David Bowie / The Jean Genie (1973 - Aladdin Sane)


9) Iggy and the Stooges / Search and Destroy (1973 - Raw Power)


10) New York Dolls / Trash (1973 - New York Dolls)


11) Roxy Music / Do the Strand (1973 - For Your Pleasure)


12) The Sensational Alex Harvey Band / Next (1973 - Next)


13) Silverhead / Hello New York (1973 - 16 and Savaged)


14) Slade / Cum On Feel the Noize (1973 - Sladest)


15) Sweet / Ballroom Blitz (1973 - Desolation Boulevard)



16) T. Rex / 20th Century Boy (1973 - Single)



17) Wizzard / See My Baby Jive (1973 - Wizzard Brew, bonus track)


18) David Bowie / Rebel Rebel (1974 - Diamond Dogs)


19) Steve Harley & Cockney Rebel / Sweet Dreams/Psychomodo (1974 - The Psychomodo)


20) Brian Eno / Baby's on Fire (1974 - Here Come the Warm Jets)


21) Suzi Quatro / Devil Gate Drive (1974 - Quatro)



22) Brett Smiley / Va Va Va Voom (1974 - Single)


23) Sparks / This Town Ain't Big Enough for the Both of Us (1974 - Kimono My Hous


24) Be Bop Deluxe / Maid in Heaven (1975 - Futurama)


25) Roxy Music / Out of the Blue (Live) (1976 - Viva!)


26) Abba / Tiger (1976 - Arrival)


27) Iggy Pop / Dum Dum Boys (1977 - The Idiot)


28) Ultravox / The Wild, the Beautiful & the Damned (1977 - Ultravox!)


29) Magnus Uggla / Hallå (1978 - Klassiska mästerverk)



30) Renato Zero / Triangolo (1978 - Zerolandia)


31) Girl / Hollywood Tease (1980 - Sheer Greed)


32) Adam & the Ants / Kings of the Wild Frontier (1980 - Kings of the Wild Frontier)


33) Visage / Fade to Grey (1980 - Visage)


34) Joan Jett & the Blackhearts / I Love Rock 'n Roll (1981 - I Love Rock 'n Roll)


35) Bauhaus / Third Uncle (1982 - The Sky's Gone Out)



36) Parálisis Permanente / Unidos (1982 - Grabaciones completas 1981-1983)


37) Culture Club / Karma Chameleon (1983 - Colour by Numbers)



38) Duran Duran / The Reflex (Single Version) (1984 - Seven and the Ragged Tiger)


39) Julian Cope / Saint Julian (1987 - Saint Julian)


40) Prince / Glam Slam (1988 - Lovesexy)



41) Pulp / Razzmatazz (1993 - His 'n' Hers, bonus track)


42) Suede / Pantomime Horse (1993 - Suede)


43) Elastica / Waking Up (1995 - Elastica)


44) Out of My Hair / Mr Jones (1995 - Drop the Roof)


45) Marc Almond / The Idol (Parts 1 & 2 All Gods Fall) (1996 - Fantastic Star)


46) Spacehog / In the Meantime (1996 - Single)


47) Suede / Beautiful Ones (1996 - Coming Up)


48) Marilyn Manson / The Last Day on Earth (1998 - Mechanical Animals)


49) Cousteau / She Don't Hear Your Prayer (2001 - Cousteau)


50) Destroyer / The Sublimation Hour (2001 - Streethawk: A Seduction)


51) Stephen Trask / The Origin of Love (2001 - Hedwig and the Angry Inch)


52) The Darkness / I Believe in a Thing Called Love (2003 - Permission to Land)


53) The Ark / One of Us Is Gonna Die Young (2004 - State of the Ark)


54) El Presidente / Turn This Thing Around (2005 - El Presidente)



55) Portugal. The Man / So American (2011 - In the Mountain in the Cloud)


56) Charlie Boyer & the Voyeurs / Be Glamorous (2013 - Clarietta)


57) Kyle Craft / Pentecost (2016 - Dolls of Highland)



58) Whitney / No Woman (2016 - Light Upon the Lake)



59) The Lemon Twigs / The One (2020 - Songs for the General Public)



60) Girlpool / Dragging My Life Into a Dream (2022 - Forgiveness)

グラム・ロックは1970年代前半、主に英国で流行したロックのスタイルで、化粧したりきらびやかな衣装をまとった男たちによって歌われ、彼らがGlamorous=魅惑的と形容されたことでそう呼ばれた。グリッター(ギラギラした)ロックとの別称もあり、衣装だけでなく私生活でゲイやバイセクシャルであると広言しているミュージシャンも少なくなかったことから、当時尖端的だったCampなる概念の表れとして、また世紀末的な頽廃、デカダンスを体現する存在として大いにもてはやされた。

ただGlamorousという言葉に「うわべだけの、性的な」含みもあるように、もっぱら外見によって特徴づけられるため、その音楽スタイルはばらばらで、シンプルなブギーでヒットを連発したマーク・ボランのTレックス、アルバムごとに詩的・演劇的なコンセプトを設けて変身を繰り返したデビッド・ボウイ、ホラー映画のように演出されたライブを繰り広げるアリス・クーパー、「ノン・ミュージシャン」と称するブライアン・フェリーとブライアン・イーノを擁し美学生のように音楽を作ったロキシー・ミュージック等々、一つのジャンルに収まるようなものでなく、「グラム・ロック」としての流行は短期間に終わった。

しかしその後のパンク、ニュー・ロマンティックス、ゴシック・ロック、グラム・メタル等々に彼らの残した影響が表れており、90年代にブリットポップが流行した際はスウェードら直接的なフォロワーと目されるグループも注目を集めるなど、現在まで音楽的・精神的に脈々と受け継がれている水源であるといえよう。

かつて特に私がそれを実感したのは1987年から89年にかけ、マーク・アーモンド、ジュリアン・コープ、ニック・ケイヴ、ザ・キュアらが、詩的・耽美的な雰囲気をまとう力作アルバムを続々世に送った折のことで、また同じ時期、古くはロックンロール発明者にしてゲイの黒人であったリトル・リチャードから、デビッド・ボウイら白人の手を経て、絶頂期にあったプリンスがグラム讃歌(35)を通じ返礼するという、文化のキャッチボールが行われたことも忘れ難い記憶である―


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情弱列島 #7 — デフレの権力闘争

2017-03-12 21:48:12 | 亡国クロニクル
♪たばこの匂いのシャツに、そっと寄り添うから~

よい曲だとは思うが、松田聖子「赤いスイートピー」の歌詞のこの部分は、男や男社会への媚びというより、もっと広告的な「多数派への媚び」が感じられ、どんどん直球で叫んでくる多くの洋楽に交っては奇妙に浮き上がってしまう。

宇多田ヒカルにも似たような歌詞があった気がするが、昔はたばこが威張って、あちこちでわがもの顔でプカプカ。近年になればなるほど喫煙者が肩身の狭い立場に追いやられ、広告どころかマイナスイメージが付与。そう劇的に喫煙人口が減ったわけではないと思うが、パワーバランスは完全に逆転した。

70年代終りころ、「タバコの煙がにがてです」という文字をあしらったバッジをつけ嫌煙権なるものを主張する少数派グループがあった。弓月光(ゆづきひかる)さんの少女漫画時代の代表作『エリート狂走曲』(1977~78年)では、主人公の片桐哲也が首尾よく中高一貫の名門私立校に合格したものの、そこでは圧倒的最下位で、すわ退学かというところで、このバッジを模した「嫌勉バッジ=わたしのまわりで勉強しないでください」を発案。劣等生グループに宣伝させ、みなを勉強嫌いにさせて、相対的に順位を上げようという起死回生の策である。

まんまと図に当るのだが、根拠となるのは、みな親や教師に言われて嫌々ながら勉強するので、もし自主的に勉強したいなら、そんなものに惑わされず堂々勉強すればいいという理屈。哲也に好意的な教師も「群がる競争相手を蹴落とす根性と学習意欲。今の彼はこの根性のかたまりだ。成績を落とした生徒は彼の策にはまって競争に負けた。ほかの生徒が真のエリートか否かをはかるリトマス試験紙として彼は当校に必要」と弁護。




メディシス @medicis1917 3月7日
ヤマト運輸の値上げに言及した菅官房長官が、「一般論」と前置きした上で「アベノミクスの成果」などという妄言を吐いていたが、物流コストが上昇している要因は慢性的な人手不足やネット通販などにあり、これは今に始まった話でもなければ成果を誇れる類の話でもない。寧ろ輸送量自体は減少している。

つしまようへい @yohei_tsushima 2月28日
そうした長時間労働がこれまで可能だったのは、女性の無償の家事労働等に社会が「フリーライド」してきたから。月100時間の残業なんて、そういう「フリーライド」の前提がないと成り立たないでしょ。でもいまは性別役割分業じゃいろんな面で社会がもたない。だから働き方改革なんでしょ。変えなきゃ

Macop(まこぷ) ‏@macop_uwf 2月26日
日本礼賛番組、いわゆる愛国ポルノ番組、もっぱらヨーロッパ人が日本を褒めるけど、その時々に映るあちらの日用品や食べ物の価格が日本の1.4~1.6倍くらいで、日本の物価の安さ、つまり賃金の低さが気になって全然ポルノにならない。良い品を安く作らされてる日本凄くない_(:3」 ∠)_

エッタ‏ @reverie_et 2月20日
録画した相棒見てたら「健全な家庭を守る会」て いう会に 日本を牛耳るエリートDV男たちが数多参加していて 暴行から逃げた妻子をクラウドソーシングで連れ戻してる ていう話だった
こういうのを日本のドラマで見たかったんだよ…… こうやって現在進行形の危機を描いてほしいんだよ

あんな@風俗嬢 ‏@Mjk6K 2月13日
今の客ヤバかった。歯真っ黒で溶けてるし。ちんこに白くぶにぶにした部分あったし。ずっと手コキしかしてない。性病なんか、薬か何かの影響なんか。話しかけてもおうむ返しにしないと会話できないっぽいし。話すのも動きも遅いし。一緒に帰ろうとか言われて初めて客に彼氏いるから無理って言った。

都月七夜[リリィ]3日目東A79b ‏@Denpatounokai 1月9日
実は今やもう、とらの男性向けと女性向けの売り上げは拮抗していて、男性向けジャンルがどんどん減っている(ピーク時の3分の1を切りそう)なのに女性向けジャンルがどんどん伸びているのでもうまもなくとらのメイン商材はBL同人誌になるはず。

都月七夜[リリィ]3日目東A79b ‏@Denpatounokai 1月9日
【最近、同人業界で起こっている大きな変化】
1)男性向け同人市場が崩壊。電子ファイルうpが一般化し、無料DL組が圧倒的多数に。うpされない一般向け同人が強くなった&サービスの良いメロン一強状態に
2)女性向け同人市場に覇権アニメが連続出現。BL同人委託に力を入れてきたとら一強状態

tigerlily @luvskm 2013年10月17日
女はすぐ子供のことで仕事休むからダメとか言ってるおじさん方、さっさと隠居してほしい。女性社員たちが子供のことで帰るのは、彼女たちの夫が帰れないからですよ。そしてそれはあなた方世代の男性が勇気を出して「すいません子供小さいんで早く帰ります」ってのを一切やってこなかったツケですよ




前回の「エロ同人の言葉たち」に収めたツイートが多いのですが、とくに日本経済の低迷を浮き彫りにしていると感じたものを再録。

とらのあなの各商品の販売ページがどのくらい注目されているかを上位200位まで、5分刻みに順位化する「とらの瞬間風速」では、上位は男性向けと女性向けが半分半分くらいで、中位~下位と女性向けが優勢な印象。いっぽうしばらく前に女性向け同人の取り扱いをやめたメロンブックスでは、初動はさほどとらに劣らなくても、1ヵ月ほど経つとパッタリ売れなくなる。おそらく、大手サークルであるとか大流行ジャンルであるとかに左右されない、熱心で堅実なお客がとらへ向かう傾向で、それは女性客が主導しているのだろう。

女の発言力が強ければ、より家庭生活に企業側も配意するよう促され、労働時間の短縮と、相反する賃金の上昇がもたらされ、生産性は向上するだろう。もちろん物価も上がるだろう。日本が低成長におちいった90年代半ば以降も、米国とEUの物価とGDPはおおむね伸びている。今の1ドルは物価に対して昔の1ドルより弱いので、デフレが続く日本とではドル安円高が常態となる筈だ。すなわち、アホノミクスの円安誘導は、輸出大企業優先で、内需を冷え込ませることはもちろん、長時間労働や男尊女卑、少子化を招く構造に蓋をして温存固定化する結果につながる根本的な失政といえよう。

闇金ウシジマくん1巻の「若い女くん」は絵に描いたようなデフレ少子化だ。地方出身の若い女が借金のカタに風俗へ売られ、性病、薬物、短期間で別人のように変貌し値段は底へ落ちる。エリート狂走曲の嫌勉バッジのエピソードでも、成功に味を占めた哲也は、美人の佐久間さんと(自分のGFである)美波唯どちらかとのキス&デートをエサに「嫌勉大賞」を企画。美波さんは「あたしたちは品物じゃ…!!」と抗議するが、佐久間さんは「やってもいいなァ」とのことで、渋々従う。

哲也は、いや作者の弓月光さんは天才的だ。もっと倫理が麻痺していれば秋元や橋下にもなれるだろう。わが国のデフレ少子化の根底には、男が女を買い叩ける、男女間の時代錯誤なパワーバランスが横たわっている—



[まとめ買い] エリート狂走曲(マーガレットコミックスDIGITAL)
弓月光
メーカー情報なし
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Top 20 Hits of 11-Mar-2017

2017-03-11 19:34:03 | Weekly Top 15
1. ← 1. 3 Crystal Fairy / Chiseler (2017 - Crystal Fairy)
2. ← 2. 4 The xx / On Hold (2017 - I See You)
3. ← 5. 3 Alison Krauss / Losing You (2017 - Windy City)
4. ← 7. 3 Arca / Piel (2017 - Arca)
5. ← 13. 2 Calvin Harris / Slide (feat. Frank Ocean & Migos) (2017 - Single)
6. ← 14. 4 Kano / 3 Wheel-up (feat. Wiley & Giggs) (2016 - Made in the Manor)
7. ← 3. 5 Future Islands / Ran (2017 - The Far Field)
8. ← 4. 5 Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
9. ← 6. 5 Jlin / Nyakinyua Rise (2017 - Dark Lotus EP)
10. ← 11. 4 Father John Misty / Ballad of the Dying Man (2017 - Pure Comedy)
11. ← 9. 7 Hammock / Dissonance (2016 - Everything and Nothing)
12. ← 17. 2 Ryan Adams / Do You Still Love Me? (2017 - Prisoner)
13. ← 8. 7 Foxygen / America (2017 - Hang)
14. ← 10. 6 Travis Scott / wonderful (2016 - Birds in the Trap Sing McKnight)
15. ← 20. 2 No Joy / Hellhole (2017 - Creep EP)
16. ← 16. 5 The Besnard Lakes / Laura Lee (2017 - The Besnard Lakes Are the Divine Wind)



17. NEW 1 Kyle Craft / Pentecost (2016 - Dolls of Highland)



18. NEW 1 Tinariwen / Nànnuflày (2017 - Elwan)
19. ← 12. 8 Boyboy / Boy (2016 - Technikart 04: Déjà l'automne)



20. NEW 1 Blanck Mass / Silent Treatment (2017 - World Eater)
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Top 20 Hits of 4-Mar-2017

2017-03-04 19:33:24 | Weekly Top 15
1. ← 4. 2 Crystal Fairy / Chiseler (2017 - Crystal Fairy)
2. ← 3. 3 The xx / On Hold (2017 - I See You)
3. ← 1. 4 Future Islands / Ran (2017 - The Far Field)
4. ← 2. 4 Thundercat / Show You the Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
5. ← 11. 2 Alison Krauss / Losing You (2017 - Windy City)
6. ← 9. 4 Jlin / Nyakinyua Rise (2017 - Dark Lotus EP)
7. ← 15. 2 Arca / Piel (2017 - Arca)
8. ← 5. 6 Foxygen / America (2017 - Hang)
9. ← 7. 6 Hammock / Dissonance (2016 - Everything and Nothing)
10. ← 8. 5 Travis Scott / wonderful (2016 - Birds in the Trap Sing McKnight)
11. ← 10. 3 Father John Misty / Ballad of the Dying Man (2017 - Pure Comedy)
12. ← 6. 7 Boyboy / Boy (2016 - Technikart 04: Déjà l'automne)



13. NEW 1 Calvin Harris / Slide (feat. Frank Ocean & Migos) (2017 - Single)
14. ← 18. 3 Kano / 3 Wheel-up (feat. Wiley & Giggs) (2016 - Made in the Manor)
15. ← 14. 6 Hudson Scott / Clay (2016 - Single)
16. ← 16. 4 The Besnard Lakes / Laura Lee (2017 - The Besnard Lakes Are the Divine Wind)



17. NEW 1 Ryan Adams / Do You Still Love Me? (2017 - Prisoner)
18. ← 13. 5 Kehlani / Undercover (2017 - SweetSexySavage)
19. ← 12. 6 Father John Misty / Pure Comedy (2017 - Pure Comedy)



20. NEW 1 No Joy / Hellhole (2017 - Creep EP)
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