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カバ丸健在

2005-04-30 14:53:43 | マンガ
『伊賀野こカバ丸・5』亜月裕(集英社)
あのカバ丸と大久保麻衣の息子・虎影丸(こカバ丸)が東京の小学校で大活躍!
4年ぶりの新刊。
今回は泣かせる話が多い。
こカバ丸が旅役者の末娘・阿国ちゃんを助けて秘めた才能を開花させるエピソードが素晴らしい。
次の巡業先へ向かうため去っていく阿国ちゃんにいちじくを送り、そっと涙をぬぐうこカバ…

オリジナルの『伊賀野カバ丸』は、少年マンガ・少女マンガを通じてストーリー・ギャグマンガの最高峰ではなかろうか。
カバ丸と野乃草かおるが目白沈寝の指令を受けて王玉学園の寮に潜入した際にカバ丸が、王玉の生徒会長・前島の麻衣に宛てたラブレターを発見、ひょんなことからそのラブレターが“まんぷく堂”のスーばあさんの手に渡り、前島はスーばあさんとデートする破目におちいる。
怒りに燃えた前島は金玉学園を闇討ちし、沈寝は骨折してしまうが、それがカバ丸の生まれ故郷での“体力づくり合宿”につながっていく。
このあたりのストーリー展開の見事さは、何度読んでも酔い痴れてしまう。

『美少年』小野塚カホリ作画・団鬼六原作(マガジン・マガジン・ジュネコミックス)
団鬼六の半自伝的小説をボーイズラブの大家がマンガ化。
大学のジャズ研に所属する男が後輩の日本舞踊の名家の少年・菊雄と知り合い親交を深める。
菊雄は同性愛者で主人公を深く愛するが、主人公は同性愛に好奇心以上のものは感じられず、菊雄の過干渉や2人の仲が噂になったことを疎ましく思い、菊雄を狙う悪友の姦計に協力する…

看板に偽りあり。
この顔や身体つきは少年ではなく青年である(そもそも設定が大学生)。
関西弁の女言葉やデカい口(ルパン三世に似てる)にも興ざめ。
最後の10ページほどは文芸的な味があるが、ハードな内容にもかかわらず官能性はない。
団鬼六はSMの大御所かなんか知らんけど、ソウルは薄いと思う。

伊賀野こカバ丸 VOL.5 (5)

集英社

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『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』

2005-04-18 19:37:40 | 映画(映画館)
Thirteen@渋谷・シネマソサエティ、キャサリン・ハードウィック監督(2003年アメリカ)
13歳の優等生・トレイシー(エヴァン・レイチェル・ウッド)はイケてない友達を捨て、イケてる女子の代表格・イーヴィ(ニッキー・リード)と付き合うようになる。
その頃から、必ずしもイーヴィの影響だけではなくトレイシーの生活は荒れはじめ、万引き、ドラッグ、舌ピアス、へそピアス、そしてリストカットまで…

「シモーヌ」ではアル・パチーノ演ずる映画監督の娘という役どころで清楚な魅力を放っていたエヴァン・レイチェル・ウッドが演技を超えた迫真さ。
ローティーンの皮膚感覚がリアルに伝わってくる。
岡崎京子のマンガの世界に近いだろうか。
アヴリル・ラヴィーンが日本の女性に強く支持される理由や、グウェン・ステファニのアルバムで原宿ガールズが大々的にフィーチャーされる理由もなんとなく見えてくる。
痛いシーンは目をつぶってやり過ごしました…

子役出身だというエヴァンの顔、ちょっとウエンツに似てる。
ウエンツも泣いて土下座してから売れてるなァ~。
なぜ『ロンハー』で醜態をさらすと好感度が上がるのだろう…
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サイバーパンク最前線

2005-04-02 19:36:15 | マンガ
地元の居酒屋の片隅でひとり涙ぐんでいた。
「ルサンチマン・4」花沢健吾(小学館)
仮想現実の世界で、幻のゲームソフト「MOON」の作り出した少女・月子と出会った、デブ・ハゲ・メガネの30男・坂本タクロー...
2巻・3巻ではテンションが落ちかけてはなんとか回復していたようで、人気が出ずに早めに打ち切りになったとも聞くが、最終巻では驚天動地の結末を迎える。
1巻から主人公の印刷会社の同期の女性・長尾さんが光っていて、この人が鍵を握るのではと思っていたが、一ひねりも二ひねりもある。
たぶんこの物語を熱く支持する人は世界中に大勢いる筈だ。
作者がこれで情熱を出し尽くしてしまったのでなければいいが、ちょっと心配。
マンガの底力を感じた一作であった。

ルサンチマン 4 (4)

小学館

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