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コレクティブ 国家の噓

2021-10-06 14:58:51 | 映画(映画館)
Colectiv@シアターイメージフォーラム/監督:アレクサンダー・ナナウ/出演:カタリン・トロンタン、カメリア・ロイウ、テディ・ウルスレァヌ、ヴラド・ヴォイクレスク/2019年ルーマニア・ルクセンブルク・ドイツ

薄められた消毒液、製薬会社と病院幹部と社会民主党の癒着。「40年間以上にわたった社会主義体制を洗い流すのは非常に難しい。司法制度も政治システムも、今でも内部はとことん腐敗しているのです (ナナウ監督)」「これほど現代社会を象徴する映画はない…(ワシントン・ポスト)」

本作は2015年、ルーマニアのライブハウスで火災を発端に、助かったはずの数十人が病院で亡くなるという、人命よりエゴや儲けが優先された果てに起こった医療汚職事件の闇と、それに対峙する市民やジャーナリストたちを追った、激動する現実社会を捉えたドキュメンタリー映画である。監督は、世界各国の映画祭で上映され数多くの賞を受賞した『トトとふたりの姉』のアレクサンダー・ナナウ。地元の小さなスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」に勤務し、地道な調査を重ねて真実に迫っていくジャーナリストを映す前半から一転、後半では使命感を胸に就任した保健大臣を追い、異なる立場から権力の腐敗に切り込もうとする者たちを捉えていく。欧米先進国も新型コロナウイルスをめぐって政策の混乱に見舞われるいま、医療と政治とジャーナリズムが抱える問題に真っ向から迫る作品として注目を集め、ルーマニア映画として初めてアカデミー賞ノミネートを国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門で果たした。


和歌山市の水道橋が崩落した様子をみて、数年前の台風で関西空港への連絡橋にタンカーが衝突、映画ターミナルのように空港内に足止めされた乗客たちを尻目に、中国人だけ領事館が手配した連絡船で早々に脱出したことを思い出した。コロナ初期にも彼らが突貫で病院を建てる様子を「中国だから(感染症が広がる)」みたいに対岸視していた筈なのだが、やがて日本では検査も進まず入院もできず自宅で容態急変し死ぬ人が続出。検査に消極的なのは厚労省の方針らしく(責任が増えるから)、どうやら日本の国民皆保険というのは国民のためでなく政府と医療関係者を養うためにあるようなのだった。

親戚の大学院生の子どもが「民主党のときに震災・原発事故が起きたから自分が就職するときは自民党であってほしい」と数年前に。芸人のラランド・サーヤが「人類の文明には宇宙人が関与したって言うと笑われるんですけどわたしは信じてる」とラジオで。前世とかも信じる子多いね。優秀な若者もそこは無学な田舎の老人。日本人は自分の考えがなく、立場でものを考える。若者ほど孤独を恐れ、受験や部活やゲームや推し、人生を安売り。そんな弱さがアイドルだの異世界転生だのせめて自民や維新のような悪人でもチャラチャラした陽キャの側でいたいという「現実逃避としての現状維持・既得権擁護」を選ばせるのだろう。おおむね40歳以下の世代とマスコミ、とくにテレビとSNSがそうなので、政権交代は2度と起こらず、あるとしてもねじれ国会とかで何もできず短期で終り、日本は変らない。食いものにされ人口が減り没落する。


首都ブカレストのライブハウス火災で27人が死に、さらに市内の複数の病院に入院したうち37人が数ヵ月の間に死亡。製薬会社により消毒液が大幅に薄められ、熱傷の手術後に感染症が悪化したり、ウィーンなど国外の専門病院への転院が何者かに妨害されたりといったことで。この裏には、チャウシェスク独裁政権の流れを汲む社会民主党が公立病院の経営を牛耳り、製薬会社から賄賂を受けるなど医療を私物化していた巨悪が横たわる。↑画像の女は熱傷の予後が悪く大きな障害が残ってしまった体をさらし、医療の闇を告発。関係者で内部告発した者も女がほとんど。抗議の波が広がり、内閣は退陣したものの、次の選挙で社会民主党は減税を掲げて大勝。改革のため孤軍奮闘してきた若きヴォイクレスク保健大臣の父は彼に「駄目だ。この国はあと30年は変らない」。大臣「いやもっと長いでしょう」。

音楽世界旅行の企画をやっていて、ハンガリーやポーランドといった旧ソ連圏の国は、貴族社会の発達した大国の面がありながら、ソ連に服従し、ソ連崩壊後はEU加盟するもドイツやフランスから安く扱われ、そのためもあってユダヤ人や移民への差別がひどいという点で日本と相似だと思う。アヘン戦争のように戦うことをせず、自ら白旗を掲げて欧米列強の末席に連なり、自分たち以外の有色人種をいまだに見下している、それを決定づけた明治維新。

戦争と貿易の時代には適合しすぎていて1980年代にはアメリカに迫る豊かな国になったものの、増長して政府債務が膨れ、政府も民間もそれにぶら下がる中間搾取=いわゆる中抜きが電通やパソナだけでなくあらゆるところに異常増殖。安倍昭恵は短大卒資格ながら社長令嬢なので電通に入り、首相夫人に。母子家庭で通常採用の高橋まつりは過労自殺。レイプもみ消しスガ首相の置き土産はレイプもみ消し実行犯の警察トップ就任。日本が豊かだった時代を知らない若者が、犯罪集団でも親ガチャ勝者でキャラが立っている自民党の側に親しみを覚えるのは無理からぬことである。世界史上これほど短期間で没落した国があるのか分らないが、目の当りにできる人生であったことを慰めにしたい。
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