マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

『素粒子』

2007-03-29 21:29:34 | 映画(映画館)
@渋谷・ユーロスペース、オスカー・レーラー監督。
フランスの作家による問題作の小説をドイツの監督が映画化。
幼い頃、自由奔放なヒッピーの母親(ニーナ・ホス)に養育放棄された異父兄弟~国語教師の兄ブルーノ(モーリッツ・ブライプトロイ)と、生物学者の弟ミヒャエル(クリスティアン・ウルメン)。ブルーノは妻子がありながら、性欲を抑えることができず、教え子にセクハラしたり風俗クラブへ出向くようになる。
一方、天才的な研究者として隠者のように暮らすミヒャエルは、クローン技術を応用してセックスぬきで子孫を残す方法を研究する。
兄弟は母の死をきっかけに再会を果たすのだが、ブルーノは離婚を宣告され、性欲の満足もままならず、精神に変調をきたして入院の身となる。
病院を脱け出して訪れたヌーディストのキャンプで、ブルーノはようやくありのままの自分を受け入れてくれそうな女性クリスティアーネ(マルティナ・ゲデック)と出会うのだが…。

なかなか好奇心を誘う映画の見つからない最近、予告編でTレックスの「ゲット・イット・オン」が使われていたことから軽い気持ちで見る気になった1本なのだが…とんでもなく哲学的で重たい、言ってみればファンタジー・ミュージカル要素のない『嫌われ松子の一生』男性版?
原作では弟ミヒャエルの研究が成果をあげてSFのように展開していくとのことだが、映画ではほとんどカットされ、自己中心的で幼稚なのだが人一倍恋愛欲求の強い兄ブルーノを襲う過酷な運命を中心に描いている。
その描きかたに詩的要素が一切なく、徹底的に容赦ない描写がされているので、ブルーノと極めて近いタイプの人間であるオラは後半のめり込んで見てしまったが、それだけに救いのないラストに打ちのめされてしまった。
やるもんだなフランス人とドイツ人、現実と対峙してるね。
オラ現実に救われなくてもエロマンガが救ってくれる国に生きていて幸運でちた…
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リスペクタブル

2007-03-06 20:25:52 | 音楽

iTunesプレイリスト『The Atlantic Story (Disc 1)』
1. "Cole Slaw" Frank Culley '49
2. "One Mint Julep" The Clovers '51
3. "Mama, He Treats Your Daughter Mean" Ruth Brown '52
4. "Shake, Rattle And Roll" Joe Turner & His Blues Kings '54
5. "Jim Dandy" LaVern Baker '56
6. "Pithecanthropus Erectus" Charles Mingus '56
7. "Yakety Yak" The Coasters '58
8. "What'd I Say (Parts 1 & 2)" Ray Charles '59
9. "There Goes My Baby" The Drifters '59
10. "Giant Steps" John Coltrane '60
11. "Young Boy Blues" Ben E. King '60
12. "Green Onions" Booker T. & The MG's '62
13. "Up On The Roof" The Drifters '62
14. "Mercy, Mercy" Don Covay '64
15. "Everybody Needs Somebody To Love" Solomon Burke '64
16. "I've Been Loving You Too Long (To Stop Now)" Otis Redding '65
17. "In The Midnight Hour" Wilson Pickett '65
18. "When A Man Loves A Woman" Percy Sledge '66
19. "Hold On, I'm Coming" Sam & Dave '66
20. "Sweet Soul Music" Arthur Conley '67
21. "Respect" Aretha Franklin '67
22. "Tighten Up" Archie Bell & The Drells '67
23. "Slip Away" Clarence Carter '68

『The Atlantic Story (Disc 2)』
1. "Sunshine Of Your Love" Cream '67
2. "Chain Of Fools" Aretha Franklin '67
3. "A Ray Of Hope" The Rascals '68
4. "Dazed And Confused" Led Zeppelin '69
5. "Presence Of The Lord" Blind Faith '69
6. "Love The One You're With" Stephen Stills '70
7. "Layla" Derek & The Dominos '70
8. "This Christmas" Donny Hathaway '70
9. "Don't Knock My Love (Part 1)" Wilson Pickett '71
10. "Thin Line Between Love And Hate" The Persuaders '71
11. "And You And I" Yes '72
12. "Killing Me Softly With His Song" Roberta Flack '73
13. "Las Vegas Turnaround" Daryl Hall & John Oates '73
14. "Musta Got Lost" J. Geils Band '74
15. "Mighty Love - Pt. 1" Spinners '74
16. "Highway To Hell" AC/DC '79
17. "I Want To Know What Love Is" Foreigner '84

黒人たちはアフリカ大陸西岸から大西洋を渡って、言葉も名前もすべてを奪われ、奴隷としてアメリカ大陸へ連れてこられた…
レコード・コレクターズ誌の3月号で、50年代~60年代のR&Bと、その後の主にイギリス勢のロックの興隆において大きな役割を果たしたアトランティック・レコードの業績を振り返る特集が組まれている。
ボビー・ダーリンとレイ・チャールズの伝記映画の両方に登場するアーメット・アーティガン氏(トルコ系の移民という)らによって創業され、後に「R&B」という呼び名の生みの親ジェリー・ウェクスラー氏、スタジオ技術の名匠トム・ダウド氏、名ソングライター・コンビのリーバー&ストーラーなどが加わり、傘下にアトコやスタックスなどのレーベルを抱えて一大帝国となったが、67年にワーナー・グループに買収され、徐々に拡散の方向へ向かった。
昔、レゲエを有名にしたアイランド・レコードの2枚組コンピ盤『The Island Story』の選曲にたいへん感動した記憶があるので、アトランティックの歴史はとうてい2枚のCDに収まるものでもないが、無理やり圧縮してみました。
そこには、ただ奪われるだけの存在だったアメリカ黒人が怒りや哀しみを人生への讃歌に変え、それを尊重する一部の心ある白人がビジネスとして成り立たせ、遠いイギリスの若者も熱心にブルースやジャズやR&Bのレコードを集めたりして、やがてコピー演奏するようになっていく、その歴史が息づいている。
奪われつくした者が、奪いつくした者に対して恵みを施す、そんな崇高なことが確かに存在した…

選曲したのは超有名曲だらけなのですが、渋いインスト曲1-1と、ホール&オーツ初期の2-13はこのたびの雑誌記事で初めて知りました。
ベン・E・キングといやあ「スタンド・バイ・ミー」か「スパニッシュ・ハーレム」を選ぶのが当然だけど、ここはあえてオラ的にはその2曲に引けをとっていない「ヤング・ボーイ・ブルース」で色をつけてみました。
2-9は「ドリフの早口ことば」の元ネタと思われるので、ドリフターズつながりということで。
がっつり聴いてみて、終盤のホール&オーツ~J・ガイルズ~スピナーズと続くところで大泣き、AC/DCでひと息ついて、最後のフォリナー「愛とはどんなものなのか知りたい。君に見せてほしい」でまた大泣き。
最初に買ったアトランティックのLPレコードはイエスの『危機』だったろうか、その中の2-11邦題を「同志」といった、本当に志を同じゅうする人たちの集まりやったんやなあ…いつも説教くさくてごめんよ。





コメント (2)
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