マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

2009年間TOP20

2009-12-31 23:34:30 | 音楽
1. "My Girls" Animal Collective (2009)
2. "The Rip" Portishead (2008)
3. "I LOVE YOU" 中森明菜 (2009)
4. "Funny the Way It Is" Dave Matthews Band (2009)
5. "Stillness Is the Move" Dirty Projectors (2009)
6. "You Are the Blood" Sufjan Stevens (2009)
7. "Isis Unveiled" ...And You Will Know Us By the Trail of Dead (2009)
8. "Need You" Darkstar (2008)
9. "Kingdom of Rust" Doves (2009)
10. "Daylight and the Sun" Antony & the Johnsons (2009)
11. "The Real Thing" Bebel Gilberto (2009)
12. "You Saved My Life" Cass McCombs (2009)
13. "Ashes in the Snow" MONO (2009)
14. "Fangela" Here We Go Magic (2009)
15. "Batoma" Amadou & Mariam (2008)
16. "Sleepless" The Decemberists (2009)
17. "Dominos" The Big Pink (2009)
18. "Dreamer" Tiny Vipers (2009)
19. "Surf Solar" Fuck Buttons (2009)
20. "三日月" くるり (2009)



2年前の大晦日に「年間トップは創価学会!!ぎゃああっっ」とか叫んだ記憶あるけど、本年もつい10日前くらいまで「年間トップは覚醒剤!!」って叫ばなければならないところだった。いやのりピーじゃなく、中森明菜が尾崎豊をカバーした「I LOVE YOU」に涙して、しばらくその歌に席巻されており、飽きてきてからも代わる曲が見当たらなかったが、12月22日になって「The Rip」に、そして翌23日に「My Girls」にようやく落ち着いたという。
中森明菜がフォーク系の曲をカバーする企画アルバムで、それに合わせてNHKで音楽番組が作られたのを目にしたことから実現した、長く嫌っていた尾崎豊との和解。死んだからとて許せるものではなかった。「創価学会=千の風になって」のため年間首位を阻まれたフジファブリックのボーカル兼ギター兼作曲の人の死因も明らかにされていないが、尾崎豊の死因も「肺水腫」やら「外傷性のクモ膜下出血」やら「致死量の2倍の覚醒剤が胃から検出」やらいまだ謎に包まれたまま。でも、ほかの早世ミュージシャンたちにも増して、死去の報に納得いくような生き急ぎっぷりではあった。



♪二人はまるで捨て猫みたい~~若すぎる二人の愛には、触れられぬ秘密がある~~そりゃ、長生きできないよな。そんなナルシズムたっぷりの歌詞を、すっかり衰えて老残の中森明菜が歌うのがよかった。かつてのように声も張れない。しゃがれた声で、過ぎた日を惜しむかのように歌う。お顔がまた朝丘雪路みたくおばあ…。
明菜は「ちょっとエッチなミルキーっ娘」とのキャッチフレーズでデビューしたと聞くが、今ではもう「ちょっと場末なユキジーっ娘」ってな感じだ。
とわいえお若い方々には明菜も雪路もおわかりいただけないでしょ。すごい存在感だったんよ、1980年代の中森明菜は。そこからの、彼女の軌跡を知るからこそ、「I LOVE YOU」に涙したのでもあった。
それを共有しない人にとってみても等しく価値があるかは、やや疑問。なにより過去の遺産に寄りかかったカバー曲を年間1位に置くというのに、内心複雑でもあった。やっぱ、これからの、新しい才能を待望したい。
そんなこんなの20曲です。今年は、死別・離別など実人生においてはいくつかの人間関係を失って、いっぽうネットでは弊ブログは例年になくたくさんのお客さんを迎えることができた。1年間お世話になりました。
寒い日が続いております。あたたかい年越し
新年をお過ごしください。
2010年も、よろしくお願いいたします。
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カルトリーダーの死

2009-12-30 22:52:33 | マンガ
『火の鳥・復活編』手塚治虫(講談社版全集ほか)
1970~71年に『COM』に連載。『火の鳥』では過去と未来を往復しながら各エピソードが描かれ、だんだん現代に近づいてゆくが、ここではエピソード内でも25世紀と31世紀の遠い未来を往復しながら物語が綴られる。2482年のある日、少年レオナが運転中のエアカーから墜落して死んだ。しかし野心的な科学者ニールセン博士の手によって、内臓の大半、小脳のすべて、大脳の半分以上を人工組織と入れ替える手術を受けてよみがえったのだ。そんな「不死身の体」で生きることになったレオナの目には、人間や植物など命あるものがすべて土くれや岩石のような奇妙な姿に見え、聴覚や触覚においてもそのようにしか認識できない。せっかくよみがえったにもかかわらず、家族ですら奇妙な姿に感じられて孤独におちいるレオナの前に、たった一人まともな人間の姿をして見える者が現れた。それは事務ロボットのチヒロ61298号だったのだ。やがてレオナは、自分が法律上は死亡者としてあつかわれることを知り、親族たちが遺産を狙っていることから、自分が不老不死をもたらす火の鳥の生き血をめぐる陰謀から殺されたのではないかとの疑いを抱く。
アメリカに渡ってそれを確かめたレオナは、工場からチヒロを誘拐して国外逃亡を試みる…。
いっぽう3000年代の地球では、「ロビタ」と呼ばれる独特な親しみやすさを持つタイプのロボットが量産されて各地で労働や子育てに重宝されていたが、ふとした事件から裁判にかけられることになった…。



映画『ブレードランナー』をめぐっても似たようなこと言った記憶あるけど、人権の問題ですわ、ロボットってのも。ただ働かせるだけのためだったら、それに特化した姿でいいので、もし人間の姿に似せて作ろうとしたならバランスが悪くて歩くのでせいいっぱい。レプリカントたちみたいな宇宙での複雑な重労働、あるいは↑画像みたいな子育てできるロボットなんて、とうてい作れるわけがない。もし遠い将来に可能になったとしても、コスト的に人間を使ったほうが安いに決まってる。
だが手塚治虫という神さまに不可能はない。正直たいへんな傑作なので、まだ見てない人のため詳しく触れたくない、ある方法で可能にした。
そこには、いわゆる「ヒューマニスト」とされがちな手塚治虫先生とはやや異なるものが多く漂っている。火の鳥の生き血に頼らずとも、不死身の肉体=脳も含め半分以上が人造の肉体となったレオナには、人間や動植物さえ無機的なものに感じられ、逆に機械じみた姿のロボットが温かな肌をしていて姿も人間のように感じられる。不思議だ。いったい脳というのは、あるいは知覚や認識というのは、どのような作用をしているのだろうか。それだけでなく、彼は人間の内面さえ、みにくくいやらしいものに感じられるように変わってしまった。《ロボットになりたい!!》と願うまでに。
手塚先生の世界観は、人間中心とは異なる。むしろそれを疑い、人間を人間たらしめるものが何なのかをどこまでも突き止めようとする、そういう意味でのヒューマニスト。『火の鳥』と重なる部分の多い『ブッダ』にも、動物に憑依することのできる超能力を持つ賎民のタッタ、未来を予知することができて自分がオオカミに食べられて死ぬ運命まで知っていて、実際そのとおりに死んでいくアッサジ、といった主人公のお釈迦さまより気になる登場人物がいたような。
人間中心だの科学万能だのとは思っていない。そのような、決して人類の未来が輝かしいものでない、むしろ永遠に連環する責め苦のようなものでさえあるかもしれないとするような世界観を、『ブレードランナー』やいわゆるサイバーパンクの動きよりかなり前に、それもマンガという形で描き出したことに驚きを禁じえない。それを突きつけられた小学6年の夏休みのオラが、どれほど圧倒されたことか。
すでに白土三平の『ワタリ』、水木しげるの『悪魔くん(貸本版)』、つげ義春の「ねじ式」といったどえらいマンガたちと出会っていたが、『火の鳥・復活編』ほど斬新で、かっこよくて、なにか高い次元に導いてくれそうに感じたマンガはかつてなかった。夢中になって一晩で見終えた。中野区の親戚の家に泊まりに行ったとき、たまたまイトコの姉ぇーちゃんが貸本屋から借りてきていた1冊だったのだ。当時『火の鳥』は貸本くらいでしか見る手だてがなかったらしく、その直後あたりから朝日ソノラマが創刊した『マンガ少年』という月刊誌で「望郷編」から再開され、翌1977年あたりには同社がB5判で単行本化した旧作も手軽に見られるようになったんですけどね。
あの晩、少しばかり人生が変わったと思う。そう、その姉ぇーちゃんこそ、今秋、クモ膜下出血で帰らぬ人となってしまった、大恩人。後年のどん底に近いような局面でも助けてくれたことは前にも記したが、本来、母方のイトコ6人の中で最年長で、それらマンガなど未知の世界への扉を開いてくれたことも忘れ難い。
近年、頻繁に行き来し、オラのほうからマンガ本をたびたび送りつけたりしたのも、その恩返しや彼女の一人息子さんのためもあるが、子ども時代の幸せの記憶、たくさんのマンガ本を夢中で読みふけったことを、老年になってから彼女の家をマンガ図書館のように利用させてもらって再現しようとも思ってたのだ。
思えば貸本屋ってすっかり姿を消したようだったが、なにやら最近TSUTAYAとかでコミックレンタルが始まってるじゃないのさ。マンガ本は巻数が多くてかさばって、陳列スペースの確保も容易でないので、1990年代以降の売れ筋のものばかりで、かつての名作とかは見かけないが…。『火の鳥』みたく高尚なものはさておき、『トイレット博士』とか『恐怖新聞』とか、今の子どもにとってみてもけっこう面白いんじゃないかって気もします。ともあれ、貸本がマンガに限って復活したのって、わが国に貧困が戻ってきているゆえの現象とも思われるし、まるで『火の鳥』のように歴史は繰り返すんでしょか。

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2000年代の200曲 / 200 Songs of the 2000s

2009-12-29 21:48:13 | 音楽
200. Surfing on a Rocket - Air (04)
199. Les Fleur - 4hero (01)
198. Strange Times - The Black Keys (08)
197. The Ketchup Song (Hey Hah) - Las Ketchup (02)
196. Queen Bee - Medeski, Martin & Wood (04)
195. The Union Forever - The White Stripes (01)
194. PRESTO - 矢野顕子 (06)
193. Kelle Magni - Cheikh Lô (05)
192. Cursed Sleep - Bonnie "Prince" Billy (06)
191. My Rights Versus Yours - The New Pornographers (07)
190. Complicated - Avril Lavigne (02)
189. Everything Means Nothing to Me - Elliott Smith (00)
188. Change - Tracy Chapman (05)
187. Stacy's Mom - Fountains of Wayne (03)
186. John Walker's Blues - Steve Earle (02)
185. Landed - Ben Folds (05)
184. Daughters - John Mayer (03)
183. Islands in the Sun - Weezer (01)
182. You Are the Blood - Sufjan Stevens (09)
181. Turn Me On - Kevin Lyttle (03)



180. Kids - MGMT (05)
179. Schrapnell - Isolée (05)
178. What Happened to That Boy - Baby & Clipse (02)
177. O' Sailor - Fiona Apple (05)
176. Isis Unveiled - ...And You Will Know Us By the Trail of Dead (09)
175. It Wasn't Me - Shaggy (00)
174. Talk - Coldplay (05)
173. Oh Boy - Cam'ron (02)
172. Eskimo - Damien Rice (03)
171. Ashes in the Snow - MONO (09)
170. It Would Be so Easy - Cassandra Wilson (06)
169. The Sweat Descends - Les Savy Fav (04)
168. Something Isn't Right - Herbert (06)
167. Traveling - 宇多田ヒカル (01)
166. The Funeral - Band of Horses (06)
165. Dress Sexy at My Funeral - Smog (00)
164. Monica - Tortoise (01)
163. Stillness Is the Move - Dirty Projectors (09)
162. There She Goes, My Beautiful World - Nick Cave & the Bad Seeds (04)
161. Hoppípolla - Sigur Rós (05)
160. Silently - Blonde Redhead (07)
159. Made You Look - Nas (02)
158. Green Grass of Tunnel - Múm (02)
157. Almost Ready - Dinosaur Jr. (07)
156. Hold On, Hold On - Neko Case (06)
155. The Power Is On - The Go! Team (04)
154. Caecilia - Fennesz (01)
153. There Goes the Fear - Doves (02)
152. Work It - Missy Elliott (02)
151. Multiply - Jamie Lidell (05)
150. New World - Björk (00)



149. Beautiful Life - Gui Boratto (07)
148. Chasing Pavements - Adele (08)
147. Smokin from Shootin - My Morning Jacket (08)
146. Don't Wanna Know Why - Whiskeytown (01)
145. Tears Dry On Their Own - Amy Winehouse (06)
144. One Armed Scissor - At the Drive-In (00)
143. Pick Up the Pieces - Money Mark (07)
142. The English Ladye and the Knight - Loreena McKennitt (06)
141. I Believe In a Thing Called Love - The Darkness (03)
140. Mainstream - Thea Gilmore (03)
139. Direct Hit - Art Brut (07)
138. Odalisque - The Decemberists (02)
137. Old Habits Die Hard - Mick Jagger & Dave Stewart (04)
136. I LOVE YOU - 中森明菜 (09)
135. Hot in Herre - Nelly (02)
134. Matadjem Yinmixan - Tinariwen (07)
133. The Way That He Sings - My Morning Jacket (01)



132. Keep Me in Your Heart - Warren Zevon (03)
131. Cause = Time - Broken Social Scene (02)
130. Phantom Limb - The Shins (06)
129. Coming Home - John Legend (06)



128. Beautiful - Christina Aguilera (02)
127. Rock el Casbah - Rachid Taha (04)
126. Chicago - Sufjan Stevens (05)
125. Reckoner - Radiohead (07)
124. Silent Shout - The Knife (06)
123. Storm - Godspeed You! Black Emperor (00)
122. Al Otro Lado Del Río - Jorge Drexler (04)
121. Squares - The Beta Band (01)
120. Your Cover's Blown - Belle and Sebastian (04)
119. ゆうがたフレンド - ムーンライダーズ (06)
118. Galang - M.I.A. (05)
117. The Origin of Love - Hedwig & the Angry Inch (01)
116. Undress Me Now - Morcheeba (02)
115. Cellphone's Dead - Beck (06)
114. Warwick Avenue - Duffy (08)
113. Good Times - Jim O'Rourke (01)
112. Diamond Heart - Marissa Nadler (06)
111. Young Folks - Peter Bjorn and John (06)
110. Four Winds - Bright Eyes (07)
109. Untitled (How Does It Feel) - D'Angelo (00)
108. For Lovers - Wolfman feat. Pete Doherty (04)
107. The Crystal Lake - Grandaddy (00)
106. 雪の華 - 中島美嘉 (03)
105. What You Know - T.I. (06)
104. Poor Places - Wilco (02)
103. What Else Is There? - Röyksopp (05)
102. 1980 - Estelle (04)
101. House of Jealous Lovers - The Rapture (03)
100. We Are All On Drugs - Weezer (05)
99. Funny the Way It Is - Dave Matthews Band (09)
98. Fix Up, Look Sharp - Dizzee Rascal (03)
97. The Sound of Settling - Death Cab for Cutie (03)
96. Jumpers - Sleater-Kinney (05)
95. Silvertown Blues - Mark Knopfler (00)
94. Grindin' - Clipse (02)
93. Fistful of Love - Antony & the Jnhnsons (05)
92. Dracula Mountain - Lightning Bolt (03)
91. We Are All Made of Stars - Moby (02)



90. スター - aiko (05)
89. Stay Fly - Three 6 Mafia feat. Young Buck, Eightball & MJG (05)
88. Atlas - Battles (07)
87. The Rat - The Walkmen (04)
86. Promiscuous - Nelly Furtado feat. Timbaland (06)
85. One Night Carnival - 氣志圑 (02)
84. The Engine Drive - The Decemberists (05)



83. Ms. Jackson - OutKast (00)
82. The Hand That Feeds - Nine Inch Nails (05)
81. Underneath Your Clothes - Shakira (01)
80. Utopia - Jackson and His Computer Band (05)
79. Nothing Ever Happened - Deerhunter (08)
78. Without Me - Eminem (02)
77. Friends (EP Dance Mix) - Ween (07)
76. Don't Know Why - Norah Jones (02)
75. Breaking the Habit - Linkin Park (03)
74. A Love That Will Never Grow Old - Emmylou Harris (05)
73. Daylight - Aesop Rock (01)
72. Mantra del Bicho Feo - Juana Molina (03)
71. The Seed (2.0) - The Roots (02)
70. The Rip - Portishead (08)
69. All My Friends - LCD Soundsystem (07)



68. Seventeen Years - Ratatat (04)
67. Where Is the Love? - Black Eyed Peas feat. Justin Timberlake (02)
66. 2 Rights Make 1 Wrong - Mogwai (01)
65. Take Me Out - Franz Ferdinand (04)
64. My Girls - Animal Collective (09)
63. The Boom Boom Bap - Scritti Politti (06)
62. Maps - Yeah Yeah Yeahs (03)
61. A Dor - Vinícius Cantuária (05)
60. Bring Me to Life - Evanescence (03)
59. ワダツミの木 - 元ちとせ (02)
58. She Don't Hear Your Prayer - Cousteau (01)
57. Archangel - Burial (07)
56. Barrowland Ballroom - Amy MacDonald (07)
55. Life in a Glass House - Radiohead (01)
54. 99 Problems - Jay-Z (03)
53. Losing My Edge - LCD Soundsystem (02)
52. The Swish - The Hold Steady (04)
51. You Give Me Something - James Morrison (06)
50. Has It Come to This? - The Streets (02)
49. Gabriellas Sång - Helen Sjöholm M.Fl. (04)
48. F**k It (I Don't Want You Back) - Eamon (03)
47. Meant to Be - Shack (04)
46. VALON-1 - Salyu (04)
45. Digital Love - Daft Punk (01)
44. Asha - Pantha Du Prince (07)
43. Formed a Band - Art Brut (04)
42. Blind - Hercules and Love Affair (08)
41. ばらの花 - くるり (01)
40. American Idiot - Green Day (04)
39. Pagan Poetry - Björk (01)



38. Last Nite - The Strokes (01)
37. Hate It or Love It - The Game feat. 50 cent (05)
36. S.S.T. - Prince (05)
35. We Might as Well Be Strangers (DJ Shadow Remix) - DJ Shadow vs. Keane (05)
34. Paper Planes - M.I.A. (07)
33. Bridging the Gap - Nas & Olu Dara (04)



32. She Sends Kisses - The Wrens (03)
31. Knives Out - Radiohead (01)
30. This Love - Maroon 5 (02)
29. D.A.N.C.E. - Justice (07)
28. New Slang - The Shins (01)
27. Seven Nation Army - The White Stripes (03)
26. Rehab - Amy Winehouse (06)
25. Yeah! - Usher feat. Lil' John & Ludacris (04)
24. Hurt - Johnny Cash (02)
23. Hollaback Girl - Gwen Stefani (04)
22. Toxic - Britney Spears (03)
21. Do You Realize?? - The Flaming Lips (02)
20. 千の風になって - 秋川雅史 (06)
19. Umbrella - Rihanna feat. Jay-Z (07)
18. Boulevard of Broken Dreams - Green Day (04)
17. Bootylicious - Destiny's Child (01)
16. Chop Suey! - System of a Down (01)
15. You're Beautiful - James Blunt (05)
14. Stan - Eminem feat. Dido (00)
13. Nothing's Gonna Change Your Mind - Badly Drawn Boy (06)
12. Barra Barra - Rachid Taha (00)
11. Crazy - Gnarls Barkley (06)
10. B.O.B. - OutKast (00)
9. White Flag - Dido (03)
8. 1985 - Bowling for Soup (04)
7. Get Ur Freak On - Missy Elliott (01)



6. Lose Yourself - Eminem (02)
5. 蒼い鳥 - フジファブリック (07)
4. La Réalité - Amadou & Mariam (04)
3. Crazy in Love - Beyoncé feat. Jay-Z (03)
2. JOY - YUKI (05)
1. Hey Ya! - OutKast (03)
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雇用、セーフティネットをめぐる討論:湯浅誠×城繁幸

2009-12-28 22:10:35 | 亡国クロニクル
湯浅誠 新政権がとるべき有効な雇用政策としてまず必要なのはセーフティネットへの対応、年末をどう乗り切るかが一つのヤマです。生活が成り立たず「もやい」に相談に来る人も昨年の3倍、都内の炊き出しもどこも例年の倍以上の列です。その次に雇用創出。介護、農業、林業や新規産業分野への転換も含めて必要です。労働者派遣法や有期雇用法制の規制強化にも、来年の通常国会後半には具体的に着手してほしい。
城繁幸 セーフティネットの必要性は同感です。特に生活保護と雇用保険の間をつなぎ職業訓練機能を伴なう「第2のセーフティネット」(*1)の役割は大きい。ただ規制に関しては湯浅さんと逆で、企業に向けて派遣法はじめ労働規制強化は、少なくとも景気がよくなるまで行わないとアナウンスすることが必要だと思います。先進国の潮流としては、企業に雇用責任を負わせるのではなくて、社会でそれをやりましょうという、“フレキシキュリティ”政策への評価が高く、私も支持しています。具体的には金銭解決の導入など、正社員の解雇規制(*2)の緩和を認め、同時に職業訓練などセーフティネットを充実させる。

【労働市場を変えるため 何を先にすべきか】
湯浅 規制強化すると企業が逃げるという話ですよね。その理屈を認めてしまうと、世界中の法人税がゼロになるまで「逃走競争」は続くことになる。中国からバングラデシュ、次はアフリカ大陸へ。日本企業はフィリピンやマレーシアで労働問題を起こしてますが、日本ほど労働問題の弱い国は滅多にありませんから、種々のコストを考えると必ずしも安上がりになるとは思えない。
 法人税をゼロにしようという説は実際結構あります。従来高かった欧州諸国も、オランダが口火を切って今やチキンレース状態で引き下げが続いています。アジアで日本は飛び抜けて高い。台湾や韓国は半導体や電機関連の法人税を国策的に下げています。企業が社会に提供するものは雇用です。逆に雇用だけでいいと思います。
湯浅 雇用の質はどうなりますか。私は質の劣化は量の増大よりも問題だと思っています。とにかく雇ってくれるだけでありがたいとなると、社会から企業になんら文句を言えないことになる。それは派遣切りに遭ったような人を増やすだけでは。
 小泉政権では非正規雇用の規制緩和は行いましたが、正社員を含めた労働市場全体の改革は行わなかった。これでは正社員と非正社員の間で競争原理が働かない。すべてのツケを非正規に押し付けている身分制。ここが問題の本質です。大手の正社員で年収2000万円もらっている人を1人リストラするだけで、やる気のある20代の非正社員3~4人を雇うことができる。
湯浅 順番が逆ではないですか。この間、非正規の人は契約の中途解約など違法な形で切られている。違法を正すのが先であり、正社員の解雇規制を緩めたらなぜ違法行為がなくなるのかわかりません。
 厳しい法規制を厳密に守れと強制すると、経営が成り立たない企業が出てきますよ。
湯浅 個人が窃盗をしたら、いくらその人が立派な人でも許されない。なのになぜ企業だと、潰れたら元も子もないので多少の違法には目をつぶろうとなるのですか。
 私はトータルでどれだけ利益が残るか考えるべきと思っています。問題は高度経済成長後それに代わる成長モデルを描けていない点にあり、それは人が移れないからに尽きますよ。
湯浅 横断的な労働市場をつくることは同感です。それを妨げるものとして、中途採用に消極的な企業や企業別組合、人材育成能力のない派遣業者などの問題があることもわかります。ただ移るには環境を整えないと無理。第2のセーフティネットもうまくいってません。

【大企業正社員が邪魔をしているのか】
 大企業は職業訓練を受けたとしても、非正社員を正社員として迎えるつもりはないですよ。正社員の解雇規制を緩和しろというと財界べったりと批判されますが逆です。トヨタもキヤノンも終身雇用でいくと言っている。要するにウチの正社員は終身雇用でいきますが、非正社員は雇用の調整弁で使いますよと彼らは言っているわけです。
湯浅 派遣法の規制強化の問題(*3)も、二言目には人件費増に耐えられず潰れる、海外に逃げると言われますが、企業はなぜ期間工なりアルバイトなりの直接雇用でなく間接雇用の派遣の活用を望むのですか。かえってコスト高となりそうですが。
 二つあります。一つは人材募集、管理の負担を委託できる。もう一つは直接雇用することで労使関係が生じてしまう。そのリスクをヘッジするために派遣会社を間に入れているのです。だから、もし解雇の金銭解決が導入されて、たとえば2~3ヵ月分の給与を上乗せするなら何年契約社員をしてても解雇できるとなれば、大企業は派遣会社を使いません。
湯浅 城さんの考えでは諸悪の根源は解雇規制ということになるわけだ。私もフレキシキュリティ政策は評価しますが、それは失業しても生きていけるという状態がなければ無理ですよね。失業しても生きていける、たとえば職業訓練に対する企業のコミットメントなど外部労働市場をつくることに企業も参加してもらわないと。そう問題を立てないと実際に物事は動かなくありませんか。
 職業訓練を受けた人でも採らない一因は年功序列賃金にあります。そこを変えないと何兆円職業訓練につぎ込んでも実りはないですよ。
湯浅 大企業の正社員がどれだけのパイを奪っているんでしょうか。そんなに敵は大きいのかと疑問に感じてしまう。経営者報酬や株主配当のほうが問題になりませんか。
 経営者の報酬は大体大手の平均で5000万円くらいですよ。その会社の正社員の5倍未満です。上場していると赤字転落ともなれば大幅に下げないといけないし、その意味で彼らは責任を取ってますよ。株主配当で言うと配当性向は欧米の主要企業と比較しても4割程度と高くはない。だからそれよりむしろ、日本の大企業全体を覆う正社員サロン、中小企業や非正規労働者を使うことで維持しているヒエラルキーのほうが大きな問題だと思っています。
湯浅 確かに、正社員クラブの弊害で非正規労働者や女性が不利益を被っている。この岩盤は壊していくべきです。ただ問題の立て方として、正社員の解雇規制がスケープゴート的に使われている気がします。

【プロスポーツに例えると】
 よくプロ野球の話をするのですが、選手は成績が上がらなければ賃下げや解雇もされます。ですがプロ野球に非正規雇用の選手はいませんよね。ある球団の選手全員が給与を切り下げられワーキングプア球団になったりしていませんよね。それは球団はペナントレースに勝つことを求めて経営するからで、企業についても同じですよ。
湯浅 その考えは危険だと思います。純粋な競争原理が貫徹できるプロスポーツの世界は、社会のごく一部なんですよ。その原理ですべて成り立つとなれば、それこそ何の規制もいらないし、完全な自由放任がベストでしょうが、人生はプロスポーツではない。誰でも最低限の生活は確保されないと困ります。セーフティネットもいらないし、人がバタバタ死んでも仕方がないということになりませんか。
 私は仕事も全部プロスポーツと同じだと思っています。日本はたまたま運よく高度成長期を遂げられたから、みな気づかずにやってこれただけで、一皮、めくれば実態はシビアなプロスポーツと同じ競争原理で動いていると思います。少なくとも中国人やインド人はそう考えて挑んできている。その中で国が最低限のセーフティネットは張らねばならないとは思いますよ。
湯浅 だけど国家の中に企業もあるわけですよ。企業は治外法権ではありえないんですよ。
 ただ企業は国籍をいくらでも変えられます。企業だけに全部任せるのは間違いだと思います。
湯浅 変えられるでしょうが、輸出型の大企業も日本人を雇用して日本の消費者を相手にして国際企業に成長したわけですよね。そのくせ税金の安いところに国籍を移すとしたら、その姿勢やモラルを社会は許容すべきではありません。
 でもそれは「べき論」ですよね。中国は従ってくれますかね。
湯浅 べき論が支配すれば国際的にも状況は変わる。環境だってそうじゃないですか。国は人の生活を守るためにあるのですから、生存を確保できる最低限の規制は必要です。企業もそこはあきらめてほしい。人の生活を守る、それは日本企業である以上しょうがないと。
 それでは国力が衰退する。じわりじわりと正社員も非正社員も、そしてGDPも下がり続けることに危惧を覚えます。今のひずみは規制緩和が中途半端だったから生じているんです。徹底した労働ビッグバンを行うべきだったんです。
湯浅 横断的労働市場の形成具合に比べれば、正社員の解雇規制の緩和とか年功型賃金の解体のほうが、現実はるかに進んでいると思います。十分なセーフティネットも横断的労働市場の形成もない現段階では企業から離れたら生活できなくなるんだから、既得権と言われようと、しがみつくに決まってますよ。
 いちばん大きいのが入り口の問題であり、解雇できるようにならないと企業は人を採用しません。労働契約なりで解雇はできると明文化すれば見直しは進むはずです。
湯浅 雇用の問題だけで完結する話でもありません。日本では子どもの教育費や家賃、ローン返済など住宅費の負担が急激な山型カーブを描いている事情を加味しないと。ヨーロッパが職務給でやれるのは教育費や住宅負担が少ないからです。
 住宅ローンに関しては今まで会社名を担保に貸していたのを信用情報の一本化、要するにクレジットスコアを作って過去の年収と返済状況で金利を設定する方式で個人に貸そうという動きが進んでおり、期待してます。教育費ですが今の状況では私は大学にはあまり優先順位を感じません。ある程度優秀で熱意がある人しか大学に行く必要はなく、学びたい人は自分で奨学金を取ればいいと思います。

【労働組合は味方になっているのか】
湯浅 城さんの話は「ウルトラC」があるような感じがするんですよ。ここさえやればうまくいくんだ、という。でも私はウルトラCはないと思う。いくつものステップを踏まないと、いきなり欧州型の職務給になどならないし、横断的労働市場も形成されない。
 私はそれでもウルトラCに賭けてみたい。焦っているのには理由があってそれは財政です。すでに維持不可能なレベルで、私はあと10年もたないと思っています。その意味でも一発逆転を図りたい。ハイパーインフレを起こしたら、結局資産を持たない経済的弱者が路頭に迷うことになる。そうした閉塞感を打破するのは改革しかないと思います。
湯浅 構造改革路線では無理だと思いますよ。この閉塞感の震源地は低所得貧困世帯のためです。進学できない、病院に行けない、就職できない、その不安が社会全体に蔓延しているのが今です。その立て直しなくしては、それこそ国際競争にも勝てないと思います。横断的労働市場形成のために労働組合が持つ意味というのは本来大きい。派遣村を一緒にやったような労組の社会的運動が、連合傘下の大産別にも影響を与える動きが理想と感じます。
 企業別労組が解体して職種別労組ができるのは、労働市場の流動化よりハードルは高く、ちょっと期待できない。今後の働き方の理想は中核的なホワイトカラーは3~4年ごとの仕事を請け負う個人事業主になっていく。そのほかに従来型の時給いくらの仕事をする人たちが連なるという形に、否応なく進んでいくと思います。
湯浅 働きがいのある人間らしい労働、ディーセントワークを求めていくしかないと思います。期間の定めのない、直接雇用を雇用の大原則として置き、その例外には一定の縛りがある。かつ失業してもそこで生活が破綻しない、生活が成り立つ社会システムが必要だと思います。

【1・第2のセーフティネット】雇用保険と生活保護の間をつなぐもので、派遣切りなどへの批判が高まる中で創設され、今秋から本格的に動き出した。職業訓練の期間中、月10~12万円が支給される「訓練・生活支援給付金」や2年以内の離職者に生活保護の住宅扶助費と同額を給付する「住宅手当」などが新設されたが、ハローワークや福祉事務所の権限などがからみ「たらい回し」も懸念されるため、一部ハローワークで試験的にワンストップサービスの取り組みも進められている。

【2・正社員の解雇規制】経営不振時の解雇には特段法律上の規定がないが、最高裁が示したいわゆる「整理解雇の4要件=人員整理の必要性、解雇回避努力、対象者を選ぶ合理性、手続きの妥当性」が係争時の基準となってきた。近年の判例では、やや緩和されている向きも。

【3・派遣法の規制強化の問題】1985年の制定時には特定業種に限定されていた労働者派遣法だが、99年に原則自由化、2004年からは製造業への派遣も認められた。だがここ数年の日雇い派遣での違法行為や昨年末の製造業での「派遣切り」が社会問題化し、民主党、社民党、国民新党は連立政権樹立にあたり、仕事のあるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣や製造業派遣を原則禁止するという政策合意を結んだ。来年の通常国会で改正案が提出される見通し。

──Profile──
【湯浅誠─NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長】 ゆあさ・まこと●1969年生まれ。東大法学部卒、同大学院博士課程単位取得退学。1995年からホームレス支援に携わる。著書に『反貧困』など。民主党政権で国家戦略室参与に。
【城繁幸─人事コンサルティング Joe's Labo 代表取締役】 じょう・しげゆき●1973年生まれ。東大法学部卒。富士通人事部などを経て、2004年に人事コンサルタントとして独立。著書に『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』など。



↑湯浅氏が村長を務めた東京・日比谷公園での年越し派遣村 ─(週刊東洋経済2009年11月7日号)
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2009年の映画・星取表

2009-12-27 20:12:46 | 映画(映画館)
★★★★★
チェ39歳 別れの手紙(スティーヴン・ソダーバーグ)
ドグラ・マグラ(松本俊夫)旧作
メトロポリス(フリッツ・ラング)旧作
残菊物語(溝口健二)旧作
グラン・トリノ(クリント・イーストウッド)試写会
花と兵隊(松林要樹)
西鶴一代女(溝口健二)旧作
ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション(ライアン・ラーキンほか)
屋根裏のポムネンカ(イジー・バルタ)

★★★★
動物農場(ジョン・ハラス&ジョイ・バチュラー)旧作
ルー・リード/ベルリン(ジュリアン・シュナーベル)
キャラメル(ナディーン・ラバキー)
ロルナの祈り(ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ)
ブタがいた教室(前田哲)
肉屋(クロード・シャブロル)旧作
THIS IS ENGLAND(シェーン・メドウズ)
ハーヴェイ・ミルク(ロバート・エプスタイン)旧作
ヴィニシウス -愛とボサノヴァの日々-(ミゲル・ファリアJr.)
ティラミス(パウラ・ヴァンデルウスト)
戦艦ポチョムキン(セルゲイ・エイゼンシュテイン)旧作
カメラを持った男(ジガ・ヴェルトフ)旧作
キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語(ダーネル・マーティン)試写会
浪華悲歌(エレジー)(溝口健二)旧作
昭和八十四年 1億3千万分の1の覚え書き(監督なし)
イメルダ(ラモーナ・ディアス)
グワシ!楳図かずおです(伊藤弘二)
戦場でワルツを(アリ・フォルマン)

★★★
ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(マーティン・スコセッシ)
シリアの花嫁(エラン・リクリス)試写会
エル・スール(ビクトル・エリセ)旧作
私の青い鳥(マイケ・デヨング)
彼女の名はサビーヌ(サンドリーヌ・ボネール)
ミルク(ガス・ヴァン・サント)試写会
ダイアナの選択(ヴァディム・パールマン)
テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる(ナム・ギウン)旧作
フィールド・ダイアリー(アモス・ギタイ)旧作
レイチェルの結婚(ジョナサン・デミ)
キング・コーン 世界を作る魔法の一粒(アーロン・ウルフ)
レスラー(ダーレン・アロノフスキー)試写会
THEダイエット!(関口祐加)
ラヴ・パレイド(エルンスト・ルビッチ)旧作
マルクスの二挺拳銃(エドワード・バゼル)旧作
スペースカウボーイ(クリント・イーストウッド)旧作
暗殺・リトビネンコ事件(アンドレイ・ネクラーソフ)旧作
スラムドッグ$ミリオネア(ダニー・ボイル)
カルトーラ ~サンビスタの物語(リリオ・フェレイラ&イルトン・ラセルダ)
永遠のモータウン(ポール・ジャストマン)旧作
こまどり姉妹がやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!(片岡英子)
マラドーナ(エミール・クストリッツァ)

★★
遭難フリーター(岩淵弘樹)
ゴモラ(マッテオ・ガッローネ)
ディア・ドクター(西川美和)試写会
MW –ムウ–(岩本仁志)試写会
解任(ユーリー・ライズマン)旧作
悪名(田中徳三)旧作
動くな、死ね、甦れ!(ヴィターリー・カネフスキー)旧作
嗚呼 満蒙開拓団(監督なし)


ラブドール 抱きしめたい!(村上賢司)
アンヴィル ~夢を諦めきれない男たち~(サーシャ・ガバシ)
キャピタリズム マネーは踊る(マイケル・ムーア)試写会


ザ・スピリット(フランク・ミラー)試写会
ある女学生の日記(監督名不詳)

途中退席
ウィッチマウンテン –地図から消された山–(アンディ・フィックマン)試写会
守護天使(佐藤祐市)



おそらく後年から2009年を振り返るとき、WBC決勝でイチローが決勝タイムリーを打った場面とか、ワールドシリーズでの松井の大活躍などが手がかりになるのかもしれない。しかし、もっとしみったれて、ゆる~いことで印象に残ったビジュアルも。
元ウインク鈴木早智子のヌードな。あれほど哀しい女の裸にお目にかかったことがない。たとえ熟女好きだとしても、あれでは使えまい。脱いだ言い訳がまた情けない。「映画に主演する企画が進んでるので、その一環として写真集や(AVまがいの)DVDを出したんです」。
ほんとうに公開されるのけ??そんな映画。だまされちゃったんじゃないの??さっちん。でも、公開されるとしたら、いったいどんなお客さんなのか、物珍しさで舞台挨拶を見てみたい気もする。
思い出してみたら、初日舞台挨拶に足を運んだのは『遭難フリーター』と『こまどり姉妹』だけだったよ、今年。なんてこったい。不作。いよいよどうにもならなくなってしまった映画界。金融危機以来、配給会社がばたばたつぶれるなどして、ユニークな外国映画は映画館にかかることさえ難しくなってしまった。ハリウッドや日本の大手映画会社もリスクを避けて、有名スターとか派手なCGとかフィーチャーしたお粗末な娯楽大作ばかりで、はなっから問題外。星取表をご覧あれ。★5つが付いたのは、旧作やアニメや実録・伝記ものが多く、純然たる新作の劇映画は『グラン・トリノ』1本のみ。
どうなんでしょ。J-POPなど音楽にもひどいものが増えているが、そんなものは「ひどい音楽」であるどころか音楽ですらない、と無視してまだまだあるいい音楽を探すことも可能。でも映画では、おバカな映画は映画ですらないと言うことはできない。ハリー・ポッターとナントカ、パイレーツ・オブ・ナントカ、ドラえもん・のび太のナントカ、踊る大捜査線ナントカ、それらこそ映画そのものなのだ。お気の毒なのは、そうした底の浅い大作を「スペシャルな娯楽」として与えられるお客さんだが、回り回って、いずれ俳優やスタッフや映画監督も才能を発揮できなくなって枯渇してしまうかも。
今年最後に見た『マラドーナ』では、彼は革命家チェ・ゲバラとカストロ議長を尊敬して、2人の肖像を両腕に入れ墨していた。キューバの革命を成功に導いた後、カストロは指導者となったが、チェ・ゲバラはさらなる革命を志してボリビアの地に倒れる。キューバでは無学な若い兵士たちの教育に力を注いで権力を倒すことができた(『チェ 28歳の革命』)ものの、山岳地帯が多くて人口密度の低いボリビアではそれも思うようにいかなかった(『チェ39歳 別れの手紙』)。今それを思う。映画はでっかい広告だ。作るのに資本が要る。資本家=権力側としては、頭の悪い映画を見せておけば、儲かるうえ体制もゆるぎないものとなって一挙両得。さらにその先も。
『マラドーナ』を見たシアターN渋谷での予告編。《島に放たれた10人の死刑囚。生き残れるのはたった1人。その闘いは全世界に生中継される…》↑。バカか。『監獄島』とかいうアメリカ映画。人の生き死にを安全地帯から賞味する者は、いつの間にやら自分が賞味される立場となってから悔やんでも、後の祭りだと思うよん↓。アメリカというマルチ商法は、これからも経済後進国の人びとを参加させて存続していくことと思われるが、先に参加した人びとに配当金を配ることができなくなってきているのではないだろうか。



米最大「本屋のない市」に  テキサス州ラレド 最後の1店 来月閉店
【ニューヨーク=加藤美喜】米南部テキサス州のメキシコ国境の市ラレドで1月、市内で唯一の書店が閉店することになり、住民が存続運動を続けている。AP通信によると、人口約25万人の同市から本屋が消えれば、米最大の「本屋のない街」になるという。
米最大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)社は10月、事業効率化のため、傘下の小型書店49店の清算を決定。ラレド市の店舗=写真↓AP=はその一つで、1月16日で閉店する。
閉店すれば、ラレド市民にとって最も近い書店は北に240キロ離れたサンアントニオ市の店になる。身近に本屋がない状況は一層の活字離れや教育の低下を招くとして、地元紙や教師、保護者らが「ラレドは読みます」キャンペーンを展開。市議会も12月23日に閉店反対決議を採択し、存続を訴えた。
しかし、B&N社はカフェや音楽ショップなどを備えた複合大型書店への移行を進めており、小型店閉鎖の方針を変えていない。オンライン書店の人気にも押され、小型書店の消滅が続く中、米メディアは子どもたちの「本屋さんを残して」という声を紹介するなど行方を注視している。 ─(東京新聞12月26日夕刊)

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萩尾望都原画展

2009-12-18 23:18:45 | マンガ
デビュー40周年記念・萩尾望都原画展@西武池袋本店・別館2階・西武ギャラリー(12月16日~23日、10:00~20:00、一般700円)
福岡県大牟田市出身の萩尾望都(はぎおもと)。1969年に「ルルとミミ」でデビューし、『ポーの一族』や『トーマの心臓』『11人いる!』といった作品で少女マンガの枠を超えた存在として熱い注目を集め、後続にも大きな影響を与えた。このほどデビュー40周年を迎え、その舞台裏をかいまみせる原画展を初めて開催することになった。これまでに描かれた多くの作品の原画や、単行本表紙やポスターのために描かれたカラー・イラストの展示のほか、グッズや版画の販売も行われる。



↑父・萩尾浩と写る、若き日の萩尾望都

先日の伊藤理佐さんの『やっちまったよ一戸建て!!』の扉ページには、一戸建ての新築風景の写真が何枚か収められているが、その中に理佐ちぇんちぇーの蔵書が写った一枚があり、手塚治虫先生の『ブッダ』や内田春菊の単行本などとともに、『ポーの一族』と『トーマの心臓』の、それも最初のコミックス版が全巻並んでいたのを見逃すオラではない。彼女の中にも萩尾望都さんの世界観が生きている、というか現在30代から40代の人びとにとって萩尾望都という存在は、たとえ少女マンガなど見ない男性からしても、少女の内界をのぞかせる神聖な響きを帯びていたといえましょう。
1970年代の萩尾望都は、1970年代のデビッド・ボウイに劣らぬくらいすごい存在だったと思うし、よりよく生きたい、自分を輝かせたい、あるいは創作の道へ進もうかという者にとって避けては通れない先行者でもあった。描く作品のほぼすべてが傑作。傑作であるとともに、未知の世界を切り開く。
雲行きが変わってきたのは1980年代か。今にして思えば『ポーの一族』にも「生殖の忌避」が表れており、ドラマとしては優れてポップな『トーマの心臓』も時として観念的な方向へ向かう。
宗教やらジェンダーが重苦しくまつわりつき始め、むしろ『11人いる!』や『スター・レッド』といった硬派のSFではそうしたテーマがうまく活かされていたように思うが、80年代に入っての「半神」や「イグアナの娘」といった心理ものは言われるほど傑作とは思わない。さらにどうにもならなかったのが90年代の『残酷な神が支配する』でしたか。その頃までには、輝かしい業績を残した“花の24年組”ら先達のみなさんもほとんどが衰えてしまい、われわれにとって少女マンガは再び霧の向こうへ去ってしまった。今の若い男子たちとかですと、どうしても見ておかなければいけない同時代の少女マンガって、あるのかなあ。あるとすれば、どんなのかなあ。かつての萩尾望都さんは、男子からしても畏怖を起こさせる存在だったんですが、もはやそれは遠い過去のことで、きょうの展覧会でもお客さんは98%女性。身の置き場がないわん。やはりポーやトーマの一角には人だかりができているが、『残酷な~』や『バルバラ異界』で知ったとおぼしき若い世代もちらほら。
若いのもおばはんも、女のタイプが辛酸なめ子言うところの「本命女」で、ほとんどが黒髪、染めてるとしても明るい色は皆無。会場には恋月姫の下品なビスクドールも置かれて八方美人な媚びを放ってたが、客層はぜんぜんエロいオーラを発散してない。だいたい『トーマの心臓』の最後にユーリが神学校へ行って坊主になっちゃうってのがよくないよな、長く読み返してなくて細部覚えてないんだけど、抹香臭い、後に村上春樹に汚染される気配がすでに漂う。
たぶん小学館の少女マンガがいちばんそっち系統で、集英社とか講談社とかですともっと一般的な女性の読者層なんでしょけど。いずれにせよ過去作の現在の出版状況など見ても、熱心なファンがいたり影響力の大きさからすると、とうてい正当に遇されているとは言いがたい。萩尾望都さんに限った話じゃなく。少女マンガがらみのムック本とか、以前はもっと丁寧に編まれてたと思うんだけど、今回の図録もちょっとがっかりする出来ばえ。



↑『ポーの一族』1972~76年。必ずしも物語上の時系列には沿わない形で描き継がれた連作長編。年をとらない吸血鬼の少年を主人公として18世紀から現代にまでいたる荘重なロマンとして熱狂的なフォロワーを生んだ。



↑フラワーコミックス版『ポーの一族』。萩尾望都の初めての単行本で、小学館としても初めての少女マンガ単行本だったという。



↑『トーマの心臓』1974年。少年たちの内向きな心理ドラマのため雑誌のアンケートは最下位でスタートしたが、上掲の『ポーの一族』単行本化が大きな反響を呼び、この作品の人気もぐんぐん上がった。



↑『百億の昼と千億の夜』1977~78年。光瀬龍の原作でも、このマンガ化でも、永い時を戦う「あしゅらおう」のイメージは興福寺の阿修羅像に基づく。飛ぶ鳥を落とす勢いだった当時の少年チャンピオンに連載されたというのも、今となっては信じられない。



↑「小夜の縫うゆかた」1971年。この年から小学館で作品を発表するようになり、爆発的にさまざまな作品を生んでゆく。



↑「ビアンカ」1970年。ビアンカが森で踊っている様子を主人公が見る場面は、ほかにも角度の異なる習作が残されている。「それを描かずにはいられなくて、わたしは画家になったのです」。
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漫画家と家

2009-12-14 22:55:31 | マンガ
『やっちまったよ一戸建て!!(全2巻)』伊藤理佐(双葉社)
30歳になったばかり、(当時)バツイチで、住みかとする2LDKマンション(ローン支払中)も気に入っていた伊藤理佐なのに、突然、注文建築の一戸建てに住みたいという夢が膨れ上がる。予算の都合上、土地だけ先に入手して建物は後からゆっくり、と思っていたものの、総額の有利な「元金均等返済」の住宅ローンでは1年半以内に建物を建てなければならないことがわかり、銀行・不動産(購入と売却)・設計・新築という難題を一挙にこなすことに。まさに「やっちまった」のだ。独身女性が住むよう設計された不思議な一戸建てが建つまでをリアルに楽しく描いた、ためになる?エッセイ漫画。



憶えてます??

「赤!赤!黄色!」

とか、

「むらさき!むらさき!むらさき!」

とか。赤・赤・黄色ではトマト・トマト・レモンとかでいいけど、紫が3つ続くとかの場合は、3つとも違うものを言わなければならないゲーム。テレビの『笑う犬』シリーズでネプチューンや優香がやってた。「ハムえもん」などと称して、ハムスターのかぶりものをかぶって行う。
もちろんそれは、子どもに人気の『とっとこハム太郎』のパロディなわけですが、実のところかわいらしいハムスターが活躍する漫画はハム太郎よりも理佐ちぇんちぇーの『おるちゅばんエビちゅ』が早い。子どもに見せられるようなものじゃないが。
ハム太郎がパクリ!?かどうかはともかく、もし「ハムスターが言葉をしゃべって主役として活躍する」というアイデアに特許権や実用新案が認められるとしたら、伊藤理佐さんは5億とか10億とか、田園調布に家が建つ!!古いか…。いいですよねェ、施主として一戸建てを建てるくらいは。



漫画家さんは一発当てるとでっかいが、浮き沈みの激しい稼業。特に伊藤理佐さんみたく「お笑い」系統の人は、締め切り間際とかアイデアを生むのに苦悶してるのでわ。そうやって売れっ子になったとしても、将来の保証はない。年収が2千万円あったとしても、10年後にはその10分の1になってしまうかも。住宅ローンで大金を貸す銀行としても、審査に困る職業ではないだろうか。↑に引用したコマでは、実際に借りるとき銀行側が浴びせてくる質問内容を、口調のみアレンジして絵に。
それだけに切実ですね。彼らにとって「家」というのは。『闇金ウシジマくん』でも、フリーター編で宇津井一家が返済に窮する住宅ローンのことや、サラリーマン編で小堀がジョギング中に抱く感慨など、あるいはもっと困窮して住みかさえ失う人びとの描写も身につまされる。ほかにオラの見てきた、ほんの一部の漫画にさえ随所にそれにまつわる話題を見つけることができる。いちばん下のつげ義春さんの「事件」では、つげさん若くてアパート住まいのころ、ゴミ出しのことで文句を言ってくる持ち家のばばあが。↓の山岸凉子さんの「あやかしの館」では、自立した大人じゃないのに洋館を建てて欠陥住宅を押しつけられた叔母さん。建築の欠陥以上に「方位」に問題があって、霊やら怪奇現象を招き寄せるという。いつもと違ってコミカル。



実際上に引用した《理佐ちぇんちぇーvs.銀行》の1コマだけで、どれほどの労力を注ぎ、そして2度と同じことを繰り返すのが許されないか、たいへんなお仕事。音楽と漫画って、それぞれ「言葉と音楽」「言葉・ストーリーと絵」に分けられるのが共通してる気もするけど、1回性とか模倣性では漫画がより厳しい。
こないだ「悪貨」って記事書いてて気づいたんだけど、大滝詠一と村上春樹ってやり方が少しかぶる。海外の小説やら音楽から文体を、語り口をパクッて、おしゃれげに装って、それでもって思いっきし日本人らしい、演歌的に唯我独尊なことを語るんだべ。音楽のパクリは簡単に露見するが、村上なんかではあちこちからパクッたうえ翻訳というフィルターを通すことによって、海外の読者までころりとだまされちゃったりね。「言葉」ってのがいちばん信用できない。くだらない小説よりはくだらない音楽、くだらない音楽よりはくだらない漫画を尊重したい。
「柳沢きみおのくだらない漫画」でも「新田たつおのくだらない漫画」でも、あの絵柄であの作風ってのは一つの発明だべ。ほかの人が真似することは許されない。楳図かずおさんの発明した絵柄とか作風とかは、パロディというかオマージュというかあちこちで使われて、もはや公共財の域ですけどね…それだけ偉大だってことですよ。文化勲章はもらえないが、「楳図ハウス」を建てて自ら表彰。先日のドキュメンタリー映画『グワシ!楳図かずおです』の中では、伊藤理佐さんのこの漫画と同様に楳図さんを施主として地鎮祭が行われる様子も。楳図ハウスを建築したのは「住友林業」ってなってた。
メモメモ。いまの経済状況ではとうてい無理だが、ひょっとしてデフレがものすごく進むとかで♪もしも~わたしが~家を建てたなら~~漫画図書館みたく丸ごと漫画本で埋めつくされた一室を~設けるでしょう~~

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いなか、の、じけん

2009-12-10 22:46:48 | 読書
『検証 秋田「連続」児童殺人事件』北羽新報社編集局報道部編(無明舎出版)
平成18年4月9日、世界自然遺産として有名な白神山地のふもとの町で、小学生の女の子が溺死体で発見された。警察は「事故死」と断定したが、女の子が行方不明になった当初からビラを作って情報を求めるなどしていた母親の畠山鈴香(33・当時)は「それはおかしい」と猛烈に抗議。そして約1ヵ月後、今度は女の子の2軒隣りに住む小学生の男の子が米代川沿いで遺体で見つかった…。
2人の子どもの殺人容疑で逮捕されたのは畠山鈴香だった。取調べでは自供したものの、裁判では一貫して「娘に殺意を抱いたことはない」と主張。二審で無期懲役の判決を受けた後、最高裁に上告していたが平成21年5月18日、それを取り下げ、刑が確定。事件の真相には、今も多くの謎が残る。また当地では鈴香の逮捕後にマスコミや野次馬が殺到し、子どもたちがショックを受けるなど二次被害も起こっていた。その状況下でも事件直後から丁寧な取材活動を続けてきた地元紙(能代市)による渾身のルポが1冊の単行本としてまとまった。不可解な事件の核心へ、鈴香の心の深部にまで迫ろうとする、雪国の小さな新聞社の勇気ある挑戦!



オラ昼ごろ起きるので、一日三食といっても昼食・夕食・夜食となります。夜食はほぼ毎日自炊するが、夕食は週のうち外食4:自炊3くらい、昼食はランチへ出るか果物1コとかパン1コで済ませることも。
自炊する食材などは午後3時~5時くらいにスーパーへ買い出しに。その時間帯のスーパーマーケットは汚ばはんの世界。彼女たちはただでさえあつかましいが、そうした時間のそうした場所ではますますずうずうしく振る舞う。売り場でカートを陳列棚にべた~~っとくっつけて品定め。オラ商品に近寄れないだ。買い物が済んで商品をポリ袋などへ詰めた後も、カートやカゴを所定の場所へ戻さない汚ばはんとかな。
レジがまたやっかい。会計が済んで、いくらいくらになります、って言われてんのに「あッッ」とか言って買い忘れた野菜とか取りに行く汚ばはん。小銭を受けるところへ1円玉とか5円玉とか50枚くらいじゃらじゃら乗っける汚ばはん。後ろへ並んでる者のことなどいっさい考えない。特段急いでるわけではないがイラッと来るだ。とび蹴りくらわしたくなるが、そういった汚ばはんは文字通り汚れている。ブスで貧乏そうで。蹴ったり怒鳴ったりしようもんなら、こちらにまで貧乏が感染りかねない。リアル『闇金ウシジマくん』のみなさんだと思って、見ないふり、関係ないふりするだ。
貧乏人たちは、ゆえあって貧乏なのだ。因果がめぐって貧乏。
この本の「畠山鈴香」という女にも、以前の浅い報道からだけでも、がんじがらめにからみ合った因果因縁を感じていた。彼女だけのせいではない。死刑が求刑されて無期懲役となったが、彼女を死刑にして済む話ではない。
鈴香は小学校のころから「ばい菌・心霊写真」などと呼ばれていじめられたといい、不良グループに近づこうとしても相手にされずパシリ的存在にとどまっていたという。高校の卒業文集の寄せ書きでは、彼女に対して「いままでいじめられた分、強くなったべ、俺達にかんしゃしなさい」だの「秋田の土は二度とふむんじゃねえぞ」だのひどいことが書かれている。
家へ帰っても専制君主的な父親から虐待を受けることもあったとか。都会でしたらクラス替えや進学で環境の変化もあるかもしれないが、閉鎖的な地方都市でそれがずっと続くとしたら。
卒業後にいったん栃木県・鬼怒川温泉のホテルで働くが、すぐに辞めて実家へ戻る。そうするうち男ができて駆け落ち同然で鬼怒川へ出るが、また戻って結婚。長女・彩香ちゃんを産むが家事はろくにせず、借金をこしらえて離婚。育児能力がまったくないのに「意地のようなもの」で彩香ちゃんの親権を取る。
パチンコ店などの仕事も長続きせず、平成15年からは生活保護を受けるようになり、使わないからとプロパンガスも止め、うつ病で睡眠薬を処方されて昼まで眠る引きこもりのような暮らし。
近所の人は「起こすなって言ったべ!!」と鈴香が彩香ちゃんを怒鳴る声も耳にしていたくらいで、かわいそうなのは彩香ちゃん。朝食も食べさせてもらえず、風呂にも入れてもらえず、どこかの男が鈴香の体を求めにやって来ると、お外に出されてじっと待っていたという。
鈴香が9歳の彩香ちゃんを橋上で突き落としたのかどうか、それは咄嗟の思いつきか計画的なものか、そしてご近所の米山豪憲くん(7つ)を自宅に招き入れて絞殺したのについても、真実はどこにあるのか、それは本書を読んでもはっきりするわけではない。鈴香は今も「記憶が断片的」などとして語ろうとしないし、検察側のまとめた筋書き、弁護側の弁護する筋書きはむしろはっきりし過ぎていて真相から遠ざかっているようにも思われる。
そのくらい、長きにわたって心を殺されてきた人間のとる行動は支離滅裂でわけがわからない。多くの悪意を受けてきた。それにあらがう術を知らなかった。だからといって自分より弱い者を手にかけることが正当化されるわけではないが、過去の人生で彼女を悪意のはけ口にしてきた者たちも心の裁きを受ける必要がないのか、人の世の不条理になんとも座りのよくない気持ちがする。
なんでも今の学校のいじめは鈴香みたいな特定の被害者というんじゃなく、ローテーションでいじめの標的が移っていったりするとかも聞く。いじめを避けて生き抜くのもむずかしそう。
そうした世相を招き寄せたのには、本や電波を、いわゆるマスコミを通して暴言を吐いたり、あまつさえいじめをショーアップして見せたりする、悪意を世の中に蔓延させたうえ結果責任を負わないで自分たちだけは儲ける人びとなんかもずいぶん貢献したように思います。

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どうして小説を読まなくなったか

2009-12-01 23:23:45 | 読書
出版からそれほど間をおかずに=せいぜい3年か4年まで=読んだ小説本たち
【1980】
★★★★★ 宇宙衛生博覧會(筒井康隆)
★★★★★ 大いなる助走(筒井康隆)
★★ 言語破壊官(かんべむさし)

【1981】
★★ なんとなく、クリスタル(田中康夫)

【1983】
★★★★★ その後の仁義なき桃尻娘(橋本治)

【1984】
★★★★★ 吉里吉里人(井上ひさし)
★★★★ 虚航船団(筒井康隆)
★★★ 帰って来た桃尻娘(橋本治)

【1985】
★★★★ 無花果少年と瓜売小僧(橋本治)

【1986】
★★★ アマノン国往還記(倉橋由美子)
★★★★★ 頭の中がカユいんだ(中島らも)

【1987】
★★★ 歌と饒舌の戦記(筒井康隆)
★★★★ 愛と幻想のファシズム(村上龍)
★★★ 未確認尾行物体(島田雅彦)

【1988】
★★★ 無花果少年と桃尻娘(橋本治)
★★★★ ノーライフキング(いとうせいこう)

【1989】
★★★★★ 透明人間の告白(H・F・セイント)

【1990】
★★★★★ リプレイ(ケン・グリムウッド)
★★★★ ニューロマンサー(ウィリアム・ギブスン)



【1991】
★★ 百万ドルをとり返せ!(ジェフリー・アーチャー)
★★★ ランナーズ(ロバート・ラーマン)
★★★★★ フィーヴァードリーム(G・R・R・マーティン)

【1992】
★★★★ 雨の温州蜜柑姫(橋本治)
★★★★ ふりだしに戻る(ジャック・フィニイ)
★★★★★ ジュラシック・パーク(マイクル・クライトン)
★★★ 文学部唯野教授(筒井康隆)
★★★ 今夜、すべてのバーで(中島らも)
★ ぼくの命を救ってくれなかった友へ(エルヴェ・ギベール)
★★ ヒーザーン(ジャック・ウォマック)

【1993】
★ 怪盗ジバコの復活(北杜夫)
★★★★ 本を読む女(林真理子)
★★★★ 重力が衰えるとき(ジョージ・A・エフィンジャー)

【1994】
★★★ パプリカ(筒井康隆)
★★ ぼくの欲しかったもの(ケン・サイマン)
★★★ ジョイ・ラック・クラブ(エイミ・タン)
★★ 二百回忌(笙野頼子)

【1995】
★★★ 谷川の水を求めて(森内俊雄)
★★★★ 素晴らしき家族旅行(林真理子)
★★★ フェルマータ(ニコルソン・ベイカー)

【1996】
★★★ 恋愛太平記(金井美恵子)
★★★ スキップ(北村薫)
★★★ ロストワールド(マイクル・クライトン)
★★★★ 香水~ある人殺しの物語(パトリック・ジュースキント)
★★ 幸福御礼(林真理子)
★★ むかし僕が死んだ家(東野圭吾)
★★★★ エックス・レイ(レイ・デイヴィス)
★★★★★ 火車(宮部みゆき)

【1997】
★★★ 沈黙の教室(折原一)
★★★ 子役白書(早乙女朋子)
★★★ 鬱 -うつ-(花村萬月)
★★★★★ OUT(桐野夏生)

【1998】
★★★★★ 死の泉(皆川博子)
★★★★ 逃げ道(フランソワーズ・サガン)
★★★ ガラスの麒麟(加納朋子)
★★★★★ マークスの山(高村薫)
★★★ 緋色の記憶(トマス・H・クック)
★★★★ グリンプス(ルイス・シャイナー)
★★★★ 理由(宮部みゆき)

【1999】
★★★★ レディ・ジョーカー(高村薫)

【2000】
★★ 鉄道員(ぽっぽや)(浅田次郎)
★★★ 死の蔵書(ジョン・ダニング)
★★★ ハンニバル(トマス・ハリス)
★★ エンガッツィオ司令塔(筒井康隆)
★★ ぼっけえ、きょうてえ(岩井志麻子)
★★ パラサイト・イヴ(瀬名秀明)
★★ リング(鈴木光司)
★★★ バトル・ロワイアル(高見広春)

【2001】
★★★★ 模倣犯(宮部みゆき)
★★ ヴィーナス・シティ(柾悟郎)
★★★ 監禁(ジェフリー・ディーヴァー)
★★★ R.P.G.(宮部みゆき)

【2002】
★★★ 桃源郷の人々(青木雄二)
★ センセイの鞄(川上弘美)
★★★ 白夜行(東野圭吾)
★★★ ストリート・キッズ(ドン・ウィンズロウ)
★★ 半落ち(横山秀夫)



【2003】
★ 非情銀行(江上剛)
★ かめくん(北野勇作)
★★ 人形(ギニョル)(佐藤ラギ)
★★ 慟哭(貫井徳郎)
★★★ グロテスク(桐野夏生)
★ コッペリア(加納朋子)
★★★★ ZOO(乙一)
★★★ 消えた少年たち(オースン・スコット・カード)
★★★★ GOTH~リストカット事件(乙一)
★ 鱗姫(嶽本野ばら)
★ 誰か(宮部みゆき)
★★ LAST(石田衣良)
★★★ 重力ピエロ(伊坂幸太郎)
★★★★★ 半身(サラ・ウォーターズ)

【2004】
★★★★ 葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午)
★★★ カラフル(森絵都)
★★★ 博士の愛した数式(小川洋子)
★★ 失はれる物語(乙一)
★★★★ もっと、わたしを(平安寿子)
★★★★ ミスティック・リバー(デニス・ルヘイン)
★★ 残虐記(桐野夏生)
★ ジェシカが駆け抜けた七年間について(歌野晶午)
★★ 黄金旅風(飯嶋和一)
★★★★ 荊の城(サラ・ウォーターズ)
★ 孤独か、それに等しいもの(大崎善生)
★★★ ぼくは悪党になりたい(笹生陽子)
★★★ 海の仙人(絲山秋子)
★★ 夜のピクニック(恩田陸)
★★★★ 薔薇密室(皆川博子)
★★ なんにもうまくいかないわ(平安寿子)

【2005】
★ リピート(乾くるみ)
★ 九月が永遠に続けば(沼田まほかる)
★★★ 蝶のゆくえ(橋本治)
★★★ オルタード・カーボン(リチャード・モーガン)
★★ ベルカ、吠えないのか?(古川日出男)
★ 福音の少年(あさのあつこ)
★★★★ ララピポ(奥田英朗)
★★ 容疑者Xの献身(東野圭吾)

【2006】
★ ニート(絲山秋子)
★★★ 銀齢の果て(筒井康隆)
★★ 銃とチョコレート(乙一)
★★ きみがくれたぼくの星空(ロレンツォ・リカルツィ)

【2007】
★★★★ メタボラ(桐野夏生)
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