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ゲイくん再訪

2010-04-01 23:08:17 | マンガ
ひとつひとつのエピソードがそれぞれ劇的で起伏に富んで、濃すぎる、重たすぎるような『闇金ウシジマくん』の中にあって、わずか連載5回分ながら3巻と4巻に分かれて収められた「ゲイくん」はひときわ異色だ。前後を挟む「ヤンキーくん」と「ギャル汚くん」では、凶暴だったり大それた野望があったりする男たちが金策に追われたあげく死んだり、破滅したりするので、同性愛の仲間うちでのカメラを盗んだの、盗まないのといった他愛のない話で、さしたるドラマもなく終わってしまう「ゲイくん」には、やっぱし作者さんものめり込めなくて掘り下げようがなかったのかと、最初見たときは拍子抜けする思いがしたものだ。
でも、見返してみると、けっこう後のエピソードにつながっていくような描写も散見される。主人公のゲイ青年の、日雇い派遣の現場でのこととか、老いて一人暮らしのお母さんへの思いとかね。そして、最も印象的な、ゲイ男性の根本をとらえた言葉ではないかと感じられるのが、↑画像での、僕らはもっと、うれしくなるものいっぱい集めようね、かわいいもの、いっぱいいっぱい集めようね…。
オラ若いころのホモホモ期には新宿二丁目などの、いわゆる「ハッテン場」にうろちょろ出入りしたこともあるが、そうしたところでは、心は女だが性欲は男、というようなタイプの人びとが多数を占め、それらの人びとの間ではホストや自衛官や肉体労働者のような「男性的記号の強い男」に人気が集まる。
よく理解できない嗜好なのだが、人生いろいろ、オカマもいろいろ。男の心のままで男を愛する・かわいがるタイプの人びとも少数派だがいることはいる。おそらく昔の「衆道」とか三島由紀夫なんかもそちらの系統でしょう。
女と結婚して子どもをもって、表向きは性癖をひたすら隠して、たまに二丁目などに通ってくる者も少なくない。世間に知られたら身の破滅だ。同性愛ほど差別・嘲笑の的になる性癖も滅多にない。そういうリスクを負ってまで、うれしくなるもの、かわいいものを《いっぱいいっぱい集める》というのがゲイの肝だといえよう。性関係は乱脈をきわめがちで、かつてはAIDS流行の温床ともなったし、逆に考えれば、そこまでのリスクを負って追求した性癖・美意識であれば、いっぱい集めたものに将来なんらか価値が生まれないとも限らない。
ゲイくんの主人公は芽の出ないカメラマンだが、芸術やファッションの世界で独自な才能を発揮する者に同性愛者が少なくないことの理由ともなっているかもしれない。
たとえば、先日の映画『七人の侍』で、ここにおける木村功を「萌え文化」の元祖とする意見を聞いたことがあるというのは、女性が美少年や男性同性愛を尊ぶ、いわゆるやおいとかオコゲとか腐女子とかの傾向のはしりとなった雑誌でのことだったんです。
黒澤明にはホモっ気はないと思うけど、画家になりたかったそうで審美眼は確かでしょうし、昔の人は江戸川乱歩とか手塚治虫とか、けっこう変態性欲みたいなことからも世界観に取り入れてゆける幅の広さがあったような。生前は性癖がおおやけになることはなかったが、ビートルズのマネージャーを務めたブライアン・エプスタイン氏など、最も男臭いジョン・レノンを好きだったとの説があり、不良然とした格好で演奏していた彼らに、襟なしのスーツやマッシュルーム・ヘアといった「かわいい」演出を施して世界のアイドルに仕立てた功績は、ユダヤ人のうえゲイだという彼の生きざまを抜きにしては考えられないのではないだろうか。
ともあれ今のオラは「かわいいものを集める」といっても、ヤフオクのアラート機能で設定してるのは「石田ゆり子+GORO」「森高千里+月刊PLAYBOY」「ルーク&みちる」「腋毛」とか女性がもっぱらで、それもほとんど集まってしまって、「月川悠貴」「西島隆弘」なんていう柔弱な男子は、いちおうそっちもやってますという片手間で。ただ『愛のむきだし』での西島くんには、片手間では済まされない気迫というか、稀な存在感を感じたのも確か。役柄が限られそうなのが不安材料で、この4月からTBS系で始まる連ドラ『タンブリング』でも、不良どもがなぜか入部することになる男子・新体操部に元からいる、団体戦には興味がなくて個人競技でいきたいと思ってるエース部員の役なので、やっぱそういうのかァ… いや見るけどね。久しぶりだよ、連ドラなんて。その部員たちの“ガチ脱ぎセクシー”グラビアが載ったJUNON誌↓も、恥ずかしいけど買ったよん。西島くん以外の男どもが邪魔だが、ガチでゲイの方々が喜びそうな裸だ。


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