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巻き添え食ってたまるかよ

市場原理と男女の劣化 — 私のキモカネ論

2017-08-27 20:59:29 | マンガ
人間としての私たちの強みと弱みの一つが、注意をあるものから他のものへと切り替える、生まれながらの性癖である。これは私たちを取り巻く環境に何が起きているかを察知するのに役に立つ。インターネットによりいつでも即時に何でも手に入る状況は、この衝動を加速させる。「クラウド(Clouds)」=ウェブを通してアクセスできるバーチャルの貯蔵スペース=が第二の脳になって記憶やタスクを保存してくれるおかげで、私たちは過去や未来ではなく現在に集中できる。これはアクセスの手段され持っていれば、私たちがどこに行こうがついてくる素晴らしいテクノロジーだ。おかげで私たちは自分自身によりいっそう集中できるが、裏を返せば、まわりの世界や他の人々に対する意識は薄れてくる。なぜなら、彼らについて細かいことを覚えておく必要もなければ、彼らが私たちの差し迫ったニーズを満たせる相手でもなさそうだからだ。

2007年に神経心理学者のイアン・ロバートソンが三千人を対象に行った調査では、50歳以上のほぼ全員が親族の誰かの誕生日を即座に言えたのに、30歳未満で言えたのは半数以下だった。残りの人々は答えを見つけるのに携帯電話を取り出さねばならなかった。「ワイアード」誌のライター、クライブ・トンプソンは、答えを見つけるのに反射的にポケットに手を伸ばすこと自体に問題が凝縮されていると述べる。

(中略)同じものにはすぐに慣れてしまう。たとえ自分の性的指向とは一致しないもの=同性愛ものや女装男性ものなど=であっても、違うものなら集中力を維持できる。残念ながら、個人にとって長期的にはマイナスになるものが、ビジネスにはプラスになる。ゲームとポルノの業界が無限のバラエティを供給してくれるので、ポルノ依存者はいつでも自身の「麻薬」を手に入れられる。

興奮依存症は、ユーザーが次の「麻薬」を求めている間、その人物を「拡張した現在」という快楽主義的タイムゾーンに閉じこめる。今の瞬間が広がってすべてを支配するにつれ、過去も未来もはるかかなたに遠ざかる。そして、その現在は絶え間なく変化する画像とともに、並はずれてダイナミックなものになる。ポルノ漬けの脳は、変化や斬新さや絶え間ない刺激を要求できるよう、すでに新しいデジタル方式に完全に配線し直されている。(中略)興奮依存症が行動や生理的反応におよぼす影響は人によりさまざまかもしれないが、ポルノを見すぎることの生理、心理、感情面への将来的な影響を検証することには意味がある。なぜなら、それが自分自身の脳や、ポルノ視聴中や実生活での性交で性的興奮を得る能力に大きな影響をおよぼしているとは、ほとんど誰も考えていないからだ。 —(フィリップ・ジンバルドー&ニキータ・クーロン 『男子劣化社会(Man(Dis)connected)』 晶文社・2017年)





「Bewitching Bygone Baroque — 幻想のあめりか」の記事で、奥さまは魔女、あるいはタガメ女=ある種の専業主婦が夫を縛る=といった題材にちなんで、シンデレラ、アナと雪の女王などのアニメ映画も、女は恋愛と経済の両方で勝利を得なければならない、というマインドの醸成に貢献していると述べた。

タガメ女の本からの受け売りで、私はアナ雪がどんな話なのかも知らないのだが、少女マンガに同じような含みがあるということだったら、よく知っている。中3~高3にかけ、夢中でコミックスを読み、今も愛蔵している『エリート狂走曲』『伊賀野カバ丸』というストーリーギャグ漫画の傑作。この二作は構造が似ている。男の主人公が型破りな野生児に設定されており、都会の学校に転校してくる。女の主人公はそれを迎える側で、最初は男の野蛮さに拒否反応を示すものの、やがて惹かれ、相思相愛に。

男性作家(弓月光)によるエリート~の哲也は、起業家マインドというか、型破りながらも、どんな社会でも頭角を現すに違いないであろう発想と行動力の持ち主だ。やる気になれば学力もメキメキ上昇。恋愛でも経済でも勝ち組になることに説得力がある。が、女性作家(亜月裕)によるカバ丸はもっと意識が低く、マンガ的。山奥の忍者の家でスパルタ教育を受けて育ったことで、並はずれた運動神経と食い意地を発揮。私立の坊ちゃん学校で、当初はそれが「誤解」されて彼は人気者となり、駅伝大会や体力作り合宿や野球大会を通じ、本当のスターになる。どちらも、少女マンガと少年マンガの黄金時代のエッセンスが凝縮されており、連載当時に読むに越したことはないが、今も万人にお勧めできる娯楽長篇だ。

そしてもっと、意識的なマンガ読者がこぞって少女マンガを読む事態をもたらした、より文芸志向の作品にもこの傾向を見いだすことができる。例えばこれも最近「中産階級ハーレム — 東京オリンピック編」の記事で一部紹介した萩尾望都さんの古い短篇「マリーン」だ。貴族の家同士で決められた結婚。女は、いいなずけの男をテニスの技量で圧倒したプロ選手を一目見て本当の恋を知る。海に身を投げ、このプロ選手が過去に不幸な出自から立ち上がろうとする先々に幻影のように現れては勇気づける。注目すべきは、いいなずけもプロ選手もどちらもイケメンで、女が恋愛も(親譲りでない本当の)実力もと欲張った結果、主観的にはともかく、客観的には全員が不幸になっている、後味の悪い話であるということだ。

ただし、これは駄作の部類で、萩尾望都にはもっと鋭敏な問題意識の詰まった良作がいくらでもあるのだが、萩尾と一時同居していた竹宮惠子となると、代表作の『風と木の詩(うた)』の中で、もっとタガメ女に直結する結婚の問題を登場人物に語らせる。↑画像のパスカルだ。この作品は全寮制の学園内におけるジルベールとセルジュの同性愛関係が主題の筈だが、セルジュが先輩ながら落第を繰り返して同学年のパスカルの実家へ泊りに行く、このくだりの実用主義=女は最高の淑女かドタ足のロバでいい=が、かえって全体を観念論めいた色情ドラマとして照らし出し、この時代に流行った「少女マンガにおける男性同性愛」が、性の解放とは逆に、高度成長モデルと専業主婦システムを前提とした、ネオリベ的なサブカルの一種に過ぎなかったのではないかとの疑念を生じさせずにはおかない。




パスカルにはパトリシアという名の妹がおり、絵が好きで、男勝りの個性的ななりをしているが「本当は美人」。最高の淑女になる素質があった。竹宮が罪深いと思うのは、コマの隅っこで「ワタクシ、ダメ?」などと、パスカルの嫁=ドタ足のロバとして立候補するように装っておきながら、実際はパトリシア=最高の淑女=専業主婦のタガメ女の方に自己投影している気配が濃厚だということである。保守的で、意識が低い。

経済のグローバル化、IT化などにより、もはや夫婦のうち一人が働いた額で良い暮らしができるなどという神話は信じられなくなった。わが国の高度成長モデルと特有のメンバーシップ型雇用は、70年代の石油ショックによる不景気を最小限にとどめ、80年代には貿易の勝利とバブル経済により頂点を迎えたものの一転、生産年齢人口が減り始めると、逆に自由経済を阻害する壁として男女の問題や教育問題の解決を難しくしている。

欧米で、↑画像のような方程式がネット上を駆け巡った。女は時間と金を食うから男にとって問題でしかない。女を、男のルックスや経済力しか見ないよう、キモくてお金のない男は無視するよう導いたのは、旧来の構造が女の社会的地位を低くとどめ、男は男で学歴や成果主義で競わせて利益を最大化するよう計らったためである。人間が、物として、利益を生むよう要求されるプレッシャーは、例えばわが国の「草食男子」や「引きこもり」にもつながっているだろうし、おたくだニートだと、自ら社会から一歩引き、ゲームやポルノに溺れたら溺れたで、それもまたお金がすべての構造強化に還元されてしまう。

最近あまり言及していないが、依然として私はシロート童貞だ。そもそも一番好きなのは痩せた少年だし、オナニーのやり過ぎで、射精障害=女の膣をピストン運動してもオーガズムに達しない。根性も体力も乏しく、「学校教育を終え、社会に出て安定した労働力となり、恋愛して結婚し、子どもをもうけて育て上げ、退職後に豊かな老後を楽しむ」などというサイクルからは早々に離脱せざるをえなかった。現今のテクノロジーや、それを利用した新しい資本主義が、こうした問題を解決する方向へ向かうのかは分らないが、このブログや同人誌は一つの自助努力であり、寿命ある限り呼びかけとして続けてゆきたい—



男子劣化社会
高月園子
晶文社
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Top 20 Hits of 26-Aug-2017

2017-08-26 19:58:56 | Weekly Top 15
1. ← 1. 4 Hundred Waters / Blanket Me (2017 - Single)
2. ← 2. 4 Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly, James McAlister / Mercury (2017 - Planetarium)
3. ← 11. 6 Algiers / The Underside of Power (2017 - The Underside of Power)



4. NEW 1 The War On Drugs / Pain (2017 - A Deeper Understanding)
5. ← 3. 5 The Lemon Twigs / Night Song (2017 - Brothers of Destruction EP)
6. ← 7. 7 Broken Social Scene / Hug of Thunder (2017 - Hug of Thunder)
7. ← 5. 3 Four Tet / Planet (2017 - Single)
8. ← 6. 4 Joe Goddard / Home (2017 - Electric Lines)



9. NEW 1 坂本龍一 / Solari (2017 - Async)
10. ← 4. 6 Ariel Pink / Another Weekend (2017 - Dedicated to Bobby Jameson)
11. ← 10. 3 Grouper / Children (2017 - Single)
12. ← 14. 2 Grizzly Bear / Four Cypresses (2017 - Painted Ruins)
13. ← 9. 7 Harry Styles / Sign of the Times (2017 - Harry Styles)



14. NEW 1 Susanne Sundfør / Undercover (2017 - Music for People in Trouble)
15. ← 8. 8 Dan Auerbach / King of a One Horse Town (2017 - Waiting On a Song)
16. ← 18. 2 A Blaze of Feather / More Than I (2017 - A Blaze of Feather)
17. ← 16. 6 Richard Dawson / Ogre (2017 - Peasant)
18. ← 13. 7 Jay-Z / Smile (feat. Gloria Carter) (2017 - 4:44)



19. NEW 1 King Krule / Czech One (2017 - Single)
20. ← 12. 9 The Mountain Goats / Rain in Soho (2017 - Goths)
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Bewitching Bygone Baroque — 幻想のあめりか

2017-08-20 21:36:11 | 音楽
半分くらい見て消去してしまったアメトークの回で「アメリカかぶれ芸人」というのがあった。おおむねつまらないながらも爆笑したところがあって、メイク術や体型維持など美容の知識と実践が売りの女芸人シルクにとって、憧れのアメリカのイメージは往年のドラマ『奥さまは魔女』なのだという。

日本では近年リメイクもされたが、その作品世界やシルクの芸風と相まって、他のメンバーや視聴者とのギャップが浮き彫りとなる、愉快な瞬間だった。昔は地上波で米国産ドラマをいっぱいやってたな。

そしてこのところ、↓に挙げたような本を並行して読む中で、奥さまは魔女と再会。高スペック男を選んで、あるいは自分を選ばせるよう仕向け、専業主婦となって、住宅ローンや小遣い制で夫を縛り、子どもに夢を託し教育ママと化して塾やお稽古事に通わせる、深尾葉子さんが「タガメ女」と命名したような、わが国のある種の女たちの源流の一つが『奥さまは魔女』のサマンサだというのだ。

庭付き一戸建てで、広告代理店勤務の「ダーリン」と幸せに暮らす、エプロン姿のかわいい奥さん。主婦だが、魔法を使える。あるいは『シンデレラ』『アナと雪の女王』といったアニメにおいても、女は恋愛でも経済でも勝利を得なければならないとの刷り込みが行われ、とっくに破綻した高度成長モデル=正社員の夫が献身的に働いて妻子を養いマイホームや家電品を買う=の延命に寄与しているのだとか


日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体 (講談社+α新書)
深尾 葉子
講談社

ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで
大和田 俊之,磯部 涼,吉田 雅史
毎日新聞出版



タガメ女は年一回必ずディズニーランドへ、そして搾取されるカエル男は起業家などが書いた自己啓発ビジネス本を好んで読む、いずれも支配と拘束でがんじがらめの現実を美化し、また逆に逃避するファンタジーの一種なのだという。

米国の音楽は基本ファンタジー=共同幻想として作られるという見地で研究しているのがラップの本の共著者・大和田俊之氏だ。この幻想は、白人と黒人の音楽双方に源流を持つロックの時代には、60年代に一時期ビルボード誌でR&Bのチャートが総合チャートに統合されて姿を消したように、人種や階層の統合と調和を反映したものとなる。メンバー中1人しかサーファーではないビーチ・ボーイズがサーフィンの歌を歌うような、人工的なファンタジーより、公民権運動、ベトナム戦争など、より現実を反映した、怒りや葛藤を感じさせる音楽が優位となる。

70年代から一部の黒人音楽にみられたSFやオカルト志向、また90年代には黒人のギャングスタラップを白人の若者層が映画的な娯楽として消費する一方で、郊外の若者のやり場のない怒りを反映したグランジの動きも起り、虚実の入り混じるファンタジー的な音楽のあり方は、統合から分裂・拡散へと方向を転じた。

差別主義者の老白人が、東南アジア系の若者に自動車整備の技術を教える映画が、共和党強硬派支持のクリント・イーストウッドによって作られる時代。黒人やヒスパニックやアジア系が不可視化された「古き良きアメリカ」には、もう戻れない。Bewitching Bygone Baroque = 魅惑するいにしえのバロックは、既に効力の切れたファンタジーを再現する一つの試みである。ここに挙げた音楽はやや逃避的で、広がりを持たなかった。おそらくボブ・ディラン、グレイトフル・デッド、ランディー・ニューマン、スティーリー・ダンといった面々には、もっと違うアメリカが見えており、後のオルト・カントリーやアメリカーナーと呼ばれる動きも喚起したことだろう。後者はトランプ支持層の怒りや迷走を視野に収めているに違いない—





iTunes Playlist "Bewitching Bygone Baroque" 113 minutes
1) The Beach Boys / Surf's Up (1971 - Surf's Up)



2) Sonny & Cher / The Beat Goes On (1967 - In Case You're in Love)



3) Sufjan Stevens / Pittsfield (2006 - The Avalanche)



4) Frank Sinatra / For a While (1970 - Watertown)



5) Martin Denny / Quiet Village (1959 - Quiet Village)



6) The Beach Boys / Heroes and Villains (1967 - Smiley Smile)



7) Gary Lewis and the Playboys / She's Just My Style (1966 - She's Just My Style)



8) Foxygen / San Francisco (2013 - We Are the 21st Century Ambassadors of Peace & Magic)



9) Frankie Valli & the Four Seasons / Wall Street Village Day (1969 - The Genuine Imitation Life Gazette)



10) The Beach Boys / God Only Knows (1966 - Pet Sounds)



11) Boz Scaggs / My Time (1972 - My Time)



12) Chet Atkins / Boo Boo Stick Beat (1960 - Teensville)



13) Michael Franks / Eggplant (1976 - The Art of Tea)



14) Klaatu / Calling Occupants of Interplanetary Craft (1976 - 3:47 Est)



15) Lee Hazlewood / No Train to Stockholm (1970 - The LHI Years: Singles, Nudes & Backsides 1968-71)
16) The Beach Boys / Disney Girls (1957) (1971 - Surf's Up)



17) Nick DeCaro / Getting Mighty Crowded (1974 - Italian Graffiti)



18) Wondermints / Telemetry (1998 - Bali)



19) The Rascals / My Hawaii (1968 - Once Upon a Dream)
20) The Beach Boys / Pet Sounds (1966 - Pet Sounds)



21) Gene Pitney / 24 Sycamore Street (1967 - The Gene Pitney Story)



22) Dan Fogelberg & Tim Weisberg / Lazy Susan (1978 - Twin Sons of Different Mothers)



23) The Mamas & the Papas / Dedicated to the One I Love (1967 - Gold)



24) Steve Miller Band / Seasons (1969 - Anthology)



25) The Beach Boys / Cuddle Up (1972 - Carl and the Passions: So Tough)



26) The Cowsills / A Time for Remembrance (1967 - We Can Fly)



27) Dennis Wilson / Thoughts of You (1977 - Pacific Ocean Blue)



28) Foxygen / America (2017 - Hang)
29) The Beach Boys / 'Til I Die (1971 - Surf's Up)



30) Lou Christie Sacco / Paint America Love (1971 - Paint America Love)


♜Top Picture - Linda Nelson Stocks
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Top 20 Hits of 19-Aug-2017

2017-08-19 20:28:03 | Weekly Top 15
1. ← 3. 3 Hundred Waters / Blanket Me (2017 - Single)
2. ← 9. 3 Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly, James McAlister / Mercury (2017 - Planetarium)
3. ← 2. 4 The Lemon Twigs / Night Song (2017 - Brothers of Destruction EP)
4. ← 1. 5 Ariel Pink / Another Weekend (2017 - Dedicated to Bobby Jameson)
5. ← 13. 2 Four Tet / Planet (2017 - Single)
6. ← 8. 3 Joe Goddard / Home (2017 - Electric Lines)
7. ← 7. 6 Broken Social Scene / Hug of Thunder (2017 - Hug of Thunder)
8. ← 5. 7 Dan Auerbach / King of a One Horse Town (2017 - Waiting On a Song)
9. ← 4. 6 Harry Styles / Sign of the Times (2017 - Harry Styles)
10. ← 17. 2 Grouper / Children (2017 - Single)
11. ← 14. 5 Algiers / The Underside of Power (2017 - The Underside of Power)
12. ← 6. 8 The Mountain Goats / Rain in Soho (2017 - Goths)
13. ← 10. 6 Jay-Z / Smile (feat. Gloria Carter) (2017 - 4:44)



14. NEW 1 Grizzly Bear / Four Cypresses (2017 - Painted Ruins)
15. ← 11. 5 Waxahatchee / No Question (2017 - Out in the Storm)
16. ← 19. 5 Richard Dawson / Ogre (2017 - Peasant)
17. ← 15. 5 Pond / The Weather (2017 - The Weather)



18. NEW 1 A Blaze of Feather / More Than I (2017 - A Blaze of Feather)
19. ← 12. 6 Japanese Breakfast / Boyish (2017 - Soft Sounds from Another Planet)
20. ← 20. 2 Kelela / LMK (2017 - Take Me Apart)
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Top 20 Hits of 12-Aug-2017

2017-08-12 19:39:34 | Weekly Top 15
1. ← 1. 4 Ariel Pink / Another Weekend (2017 - Dedicated to Bobby Jameson)
2. ← 6. 3 The Lemon Twigs / Night Song (2017 - Brothers of Destruction EP)
3. ← 4. 3 Hundred Waters / Blanket Me (2017 - Single)
4. ← 2. 5 Harry Styles / Sign of the Times (2017 - Harry Styles)
5. ← 5. 6 Dan Auerbach / King of a One Horse Town (2017 - Waiting On a Song)
6. ← 3. 7 The Mountain Goats / Rain in Soho (2017 - Goths)
7. ← 9. 5 Broken Social Scene / Hug of Thunder (2017 - Hug of Thunder)
8. ← 16. 2 Joe Goddard / Home (2017 - Electric Lines)
9. ← 20. 2 Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly, James McAlister / Mercury (2017 - Planetarium)
10. ← 8. 5 Jay-Z / Smile (feat. Gloria Carter) (2017 - 4:44)
11. ← 10. 4 Waxahatchee / No Question (2017 - Out in the Storm)
12. ← 7. 5 Japanese Breakfast / Boyish (2017 - Soft Sounds from Another Planet)



13. NEW 1 Four Tet / Planet (2017 - Single)
14. ← 19. 4 Algiers / The Underside of Power (2017 - The Underside of Power)
15. ← 13. 4 Pond / The Weather (2017 - The Weather)
16. ← 12. 6 Big Thief / Mythological Beauty (2017 - Capacity)



17. NEW 1 Grouper / Children (2017 - Single)
18. ← 11. 9 The New Pornographers / Play Money (2017 - Whiteout Conditions)
19. ← 15. 4 Richard Dawson / Ogre (2017 - Peasant)



20. NEW 1 Kelela / LMK (2017 - Take Me Apart)
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中産階級ハーレム⑫ — 婚活殺人

2017-08-06 20:21:23 | 中産階級ハーレム
「女は昏睡強盗をしている。身は安全ですか。もしかすると、殺されていたかもしれない」

2009年9月21日千葉県内の警察署の一室。当時、木嶋佳苗容疑者(当時34、現在は死刑確定)と交際していた同県の男性会社員(当時46)は、同容疑者の別の男性への結婚詐欺疑惑に絡んで事情を聴かれた際、刑事からそう諭された。

男性は、体内から睡眠導入剤が検出されないかを調べるため尿検査を受け詐欺での被害届を出すようにも言われた。だが「彼女を全面的に信用している」。4時間余りの刑事の説得にも動じず、木嶋容疑者と暮らす自宅に帰った。実はこのとき、男性は木嶋容疑者と出会ってまだ6日しかたっていなかった。

「メールありがとう」。インターネットの結婚紹介サイトで同容疑者にメールを送っていた男性に、返事が届いたのは9月15日。「私は真剣にお付き合いしたい」と返信すると、同容疑者は「私も真剣です」。

翌16日には、木嶋容疑者から東京・池袋のマンションに招かれた。男性はせんべいや紅茶、麦茶など3種類の飲み物をごちそうになりながら、同容疑者から支援を懇願された。「料理教室ができなくなり、マンションを出るのに違約金が必要」「家政婦を雇ったと思ってほしい」

「彼女はこまやかな気遣いがあり、一緒に家で安らげたらいいな」。男性は困っている様子の木嶋容疑者を、一人暮らしの自宅で同居するよう誘った。次の日、要望通り250万円を渡すと、同容疑者は2日後、2トントラックにテーブルや食器などを積み、男性宅に引っ越してきた。

ソーセージとキャベツを煮たスープ、炊き込みご飯、パスタ…。木嶋容疑者は食事や洗濯に加え、2時間置きに床に掃除用のローラーをかけた。「すぐに子どもがほしい。家庭を作りたい」と繰り返し、30年以上の返済が残る男性の住宅ローンに「私が稼げば半分で返せるね」。「46歳でもいいのか」と聞くと「私は年上が好き」と笑い飛ばした。 —(東京新聞2010年2月2~6日の連載記事「偽りの婚活・連続不審死」より冒頭を抜粋。↑画像=高校2年の木嶋容疑者がボランティアの部活動でお年寄りと交流する様子)




キャバクラでモテた話など、聞いていられない。気のあるような素振りやLINEでのやり取りも含めて接客である。また、見た目のアンバランスさから、あからさまな同伴出勤であるにもかかわらず、美人を連れて歩いている俺と誇らしげなおじさんは見ているこちらが恥ずかしくなってしまう。同伴出勤は決してプライベートではなく、キャバクラという空間が街にまで延長している状態なのだ。

(中略)マスコミ報道を通じて援助交際が当たり前になってしまったから、1990年代の中頃には、すでに、女子高生というブランドが陳腐化し、商品としての価値が女子大生やOL、あるいは主婦と同程度にまで下落したとされている(宮台真司『まぼろしの郊外』)。果たして、本当だろうか。

2010年代に入ってからも、JKビジネスと名称を変えて同じことが行われている。JKリフレやJKお散歩といったワードがメディアを賑わせた。女子高生にマッサージをしてもらったり、一緒に街を歩いたりすることが商売として成立している。女子大生やOLであることを売りに同様のサービスを展開しても、女子高生ほど客を集めることはできないだろう。

(中略)女性の価値は若さと美しさである。こうした一つの考え方を盲信し、世に広め、彼女たちにあのベッカム(のファッションセンス)を批評する立場を与えているのは、40男を含めた中高年の男性たちなのだ。キャビンアテンダントも同じである。スチュワーデスと呼ばれていた昔から、おじさんが勝手に彼女たちを特別な存在としてイメージしてきた。

 僕ら40男が若い女の子に振り回されているのではない。女性の魅力を若さや職業、あるいは制服といった要素で計っているのはこちら側である。勝手な基準を押し付けて女性に迷惑をかけているだけではなく、男性は自らが作り出したルールに縛られ、自分を追いつめている。自縄自縛とはまさにこのことである。 —(田中俊之 『40男はなぜ嫌われるか』 イースト新書・2015年)


そもそも、家事や育児というのは男女の分け隔てなく、すべての人間が、生きることの傍らに行うべきものです。

おんぶひもで赤ん坊を背中に背負いながら、家業を手伝う。子守をしながら店番をする。前に述べましたが、結婚した女というのが、ファミリービジネスの「労働力」として認められていた時代では、家事や育児は「労働」として認められておらず、「当たり前にやること」という位置づけでした。

そんな家事・育児を「仕事」としたのが、高度経済成長期の自民党政権でした。

「標準労働者」という言葉を生み、サラリーマン化社会を生み出すことで、女性を「主婦」として労働の現場から隔離して、家庭という「箍(タガ)」をはめて「保護」の対象としました。要するに、女性をうまくいけば遊んで暮らせる「囲われもの」へと変えてしまったのです。

とはいえ、これでは単にサラリーマンに扶養されているだけの存在です。かつての妻のように労働者やビジネスパートナーという役目がなければ、いつポイ捨てされてもおかしくありません。

そこで、主婦たちはかつて仕事と認められなかった家事・育児を「重労働」とふれまわるようになりました。家庭内の大事な労働を担っている存在であれば、夫もなかなか縁を切ろうとは思いません。こうして、日本の長い歴史のなかで初めて「家事・育児を専業として担う女性」が誕生したのです。

そして、このような専業主婦が「タガメ女」として全国に繁殖をしていくわけです。一見すると彼女たちは家事や育児というものを、家庭内の「労働」という位置づけに押し上げたように見えますが、本当のところはカエル男から搾取して、自ら生きながらえるための「手段」に変えたと言っていいかもしれません。 —(深尾葉子 『日本の男を食い尽くすタガメ女の正体』 講談社+α新書・2013年)


社虫太郎‏ @kabutoyama_taro 8月3日
真面目な話、フェミニズムにはシスターフッド(女縁;端的にはレズビアン分離主義)の思想があるのに、弱者男性論には(ホモソーシャルはあっても)そうした相互扶助思想の片鱗すら見えないのは面白い。老後の介護は息子ではなく娘や嫁にやってもらうのを自明視してる爺さんみたいな


新潮文庫の『ヴィヨンの妻』に収められた太宰治の後期の短篇に「いわく、家庭の幸福は諸悪のもと」という、警句のような言葉が。街で太宰が、役人が一般人に対して返答する言葉に「保身」の色濃いことに嫌悪を覚え、いわく~といった文脈で発せられるのだが、タガメ女の本が問題にするような、標準労働者=妻と子ども2人で、家事育児は妻に委ねて会社中心の生活を送り高度成長を支えた=の存在さえ予見するかのよう。

あるいは健康な男のみ従軍する戦争体制が、少し姿を変えて高度成長モデルとなっただけのことなのかも分らない(だから太宰は見通せた)。先日、横浜市長選が行われ、自公推薦で現職の女性市長が三選を果たした。投票率は37%と低く、組織票がものを言い、対立候補の「カジノ反対、中学校に給食を」という訴えは無党派層を投票させるに至らなかった。

公明党=創価学会の組織票の実効性が、選挙直後のツイッターで紹介されており、それによれば創価学会婦人部のおばさんがたが、高齢者=とくに独居の男性を戸別訪問し、車で期日前投票所へ送迎、帰りにはお食事会が用意されているのだという。厳密には選挙違反ではないかと思うが、あらゆる選挙での公明党の勝負強さ、そしていまや盤石の国政与党であることにかんがみ、さもありなんと。

私は小6の途中まで横浜市に住んでいたのだが、恥ずかしながら同市の中学校に給食がないことを初めて知った。「弁当は母の愛」などと称し、女性の社会進出に嫌がらせ。自民党と公明党になすりつけるつもりはない。かつては社会党の市長が長かった。あれほどの大都市で、40年も手つかずの政策。政治経済の男支配はゆるぎない。高市・山谷・稲田・丸川といったコイズミ以降自民党で頭角を現した女の政治家はみな似たような人相の国家主義者になり、一方では、子どもが制服で歌い踊り「握手会」なるものでCDを売るグロテスクなAKB商法がまかり通る。

性差別は再生産され固定化する。北海道出身で、料理やピアノが得意、高校ではボランティア活動の裏で、30~40代の男と交際しているという噂のあった木嶋佳苗は、わが国のいびつな「性役割」の縮図だ。同じ頃に明るみに出た鳥取県の事件は、5人の子どもを抱え、スナックで男をたらし込み、被害者には刑事や全国紙記者もいて、欧米や新興国で起こっても不思議でないように思うが、木嶋の、高額の料理学校へ通いベンツを乗り回しながら、「家政婦を雇ったと思って」と言える媚態。犯行で使う練炭をインターネットで買うずさんさの一方で、冒頭記事の男性宅でも火災報知機をいち早く取り外す、婚活サイトやブログを舞台に次々と男を毒牙にかけながら、自転車操業で破滅へ突っ走る、エゴイズム・承認欲求。実に日本人的である。

高度成長モデルが経済的に機能していれば女の方が「売れ残る」焦りを覚えるが、同モデルが温存されたまま失われた20年を経たいま、コミュニケーション能力が低く、女性経験の乏しい高齢男が結婚を焦って深みにはまる。わが国の行く末を象徴する事件と申せましょう—
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Top 20 Hits of 5-Aug-2017

2017-08-05 19:20:43 | Weekly Top 15
1. ← 4. 3 Ariel Pink / Another Weekend (2017 - Dedicated to Bobby Jameson)
2. ← 2. 4 Harry Styles / Sign of the Times (2017 - Harry Styles)
3. ← 1. 6 The Mountain Goats / Rain in Soho (2017 - Goths)
4. ← 15. 2 Hundred Waters / Blanket Me (2017 - Single)
5. ← 5. 5 Dan Auerbach / King of a One Horse Town (2017 - Waiting On a Song)
6. ← 19. 2 The Lemon Twigs / Night Song (2017 - Brothers of Destruction EP)
7. ← 3. 4 Japanese Breakfast / Boyish (2017 - Soft Sounds from Another Planet)
8. ← 9. 4 Jay-Z / Smile (feat. Gloria Carter) (2017 - 4:44)
9. ← 12. 4 Broken Social Scene / Hug of Thunder (2017 - Hug of Thunder)
10. ← 10. 3 Waxahatchee / No Question (2017 - Out in the Storm)
11. ← 6. 8 The New Pornographers / Play Money (2017 - Whiteout Conditions)
12. ← 8. 5 Big Thief / Mythological Beauty (2017 - Capacity)
13. ← 14. 3 Pond / The Weather (2017 - The Weather)
14. ← 7. 8 Zola Jesus / Exhumed (2017 - Okovi)
15. ← 16. 3 Richard Dawson / Ogre (2017 - Peasant)



16. NEW 1 Joe Goddard / Home (2017 - Electric Lines)
17. ← 11. 6 Haim / Little of Your Love (2017 - Single)
18. ← 13. 7 Fleet Foxes / Fool's Errand (2017 - Crack-Up)
19. ← 17. 3 Algiers / The Underside of Power (2017 - The Underside of Power)



20. NEW 1 Sufjan Stevens, Bryce Dessner, Nico Muhly, James McAlister / Mercury (2017 - Planetarium)
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