マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

お刺身食べたいなァ…

2012-01-02 23:07:05 | メディア・芸能
婆さん 「もう水道代も払えなくって…」
高田 「あっそ。今日、年金の振り込み日だよね」
婆さん 「お刺身食べたいンだけど…」
高田 「あっそ。パチンコやめたら食えるよ」
婆さん 「パチンコやめたら退屈で死んじゃうよォ」
高田 「あっそ。そんじゃまた」

高田 「昼メシうなぎでも食おっか」
マサル 「…」
高田 「どうした?マサル」
マサル 「いや…なんつーか、ヒドイっスね…ハハハ」
高田 「すぐ慣れるさ」
マサル 「…。ハイ!」



『闇金ウシジマくん』の2~3巻「ヤンキーくん」より。
私個人としては、後のエンコーまいたんによる「甘いパン甘いパン」に軍配を上げたいのですが、この「お刺身食べたい」も、作中の名台詞として人気が高いようです。



きのうの記事で、「人の夢や希望は決して滅びない」と述べたものの、「夢や欲望」としたほうが現実に即しているとも思います。─で、夢と欲望って、どう違うのかという問題。
あれこれ考えた結果、夢ってのは、人には左右されないんじゃないかと。誰が何と言おうと、これが私の夢だという確固たる思い。
それに対し欲望ってのは、人に大いに左右される、相対的な位置関係によって燃料を注がれるものなんじゃないかと。平たく言えば、勝った負けたの。自由主義と新自由主義の関係にも似た。
ウシジマくんの作者の真鍋昌平さんが、プリキュアの映画の暴力性について語っておられたが、ウルトラマンや宇宙戦艦ヤマト、あるいは時代劇なども同じ系統と考えられる、「絶対的な悪」が登場して、そして必ず最後に「正義が勝つ」設定。



12月27日にNHKでOAされた『追跡!真相ファイル パチンコにハマる女たち』を見て、ことさら女性のギャンブル依存について取り上げる意味を考えた場合、これまでのウシジマくんや、他のさまざまなマンガで目にしてきた記憶が、一つに焦点を結ぶような。
↑画像は、誰もが知る『ちびまる子ちゃん』が2007年7月に新聞4コマとして連載開始された際のもので、女性が描くマンガとして、やはり男性を際立たせて理想化して描きたい思いもあるのかも分からないけれども、作中で、父ヒロシ、祖父友蔵に比べ、めっきり母や姉の名前が現れることが少ない。祖母の「こたけ」に至っては、このコマ以外で名前を呼ばれるのを目にした記憶がない。老人会とかで、ありましたっけ?
どうも女性というものは、ことにわが国では「母」として陰になって家庭を支える役割面ばかりが求められ、一人の人間としての人格・自由意思といったものがないがしろにされがちなのではないか─という。



番組では、軽い気持ちで始めた女性が、ビギナーズ・ラックで大勝ちした強烈な体験に縛られ、「パチンコ台だけが私を分かってくれる友だち」のようにしてのめり込んでゆく様子が紹介されたが、さらに見逃せない点として、パチンコは景品交換所を介すことにより「法律上は遊戯」と見なされ、遊技場としての警察の取り締まりはあるけれども、病的なギャンブル依存に対しては国も業界もほとんど無策で放置されていることがある。







首相直属ですべてのギャンブル産業を監督する組織を設け、依存症についても国と業界で半分ずつ費用を負担して無料で治療が受けられる施設を設けるなど対策が進んでいる韓国の例に対し、日本では別個にタテ割りで扱われ、国も業界も最終的な責任を免れて、利権だけはもたれ合って分け合う─という、まるで原子力発電所を54基ものさばらせた体制にも酷似。
この場合、いいか悪いかは別として、やはり韓国では賭博や芸能界なども、賤業として蔑みながらも一種の治外法権として認める─というような明確に峻別する態度があると思うのだ。
そこが日本ではあいまいで、すべてが不透明。いざというとき、責任の所在がどこにあるのか分からない。



つげ義春さんは私の亡き両親と同じ世代なので、その中年時代の旅行記マンガに登場する、このお婆さんは、とうの昔に亡くなっていることだろう。たまのお客さんではしゃいでいるが、普段はウイスキー飲んでラジオ聞きながら寝てしまう。
きょうのテーマを考えながら、真っ先に思い出した場面だ。
マンガはパッと見の視覚だから、記憶に焼きつきますよね。逆に、それだけにマンガやアニメやゲームや芸能人・スポーツ選手といった存在が、タテ社会同士で相互に庇い合いながら連携して、われわれから奪うとしたら、脅威である。
その点を、誰もが責任を回避しながら節度がなし崩しに後退し、こうしたお婆さんからも奪い取るようになったのが、冒頭の「お刺身食べたい」いまの時代というわけではないでしょうか。

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