マガジンひとり(ご訪問ありがとうございます。年内に閉鎖を予定しています)

書肆マガジンひとりとしての小規模な同人活動を継続します。

August 2024

2024-08-31 14:10:45 | Monthly Best Songs


7) Tucker Zimmerman / Burial at Sea (feat. Big Thief, iji, Twain) (2024 - Dance of Love)



6) Half Waif / Big Dipper (2024 - See You at the Maypole)



5) Fontaines D.C. / In the Modern World (2024 - Romance)



4) Ravyn Lenae / One Wish (feat. Childish Gambino) (2024 - Bird's Eye)
1) Ravyn Lenae / Love Me Not (2024 - Bird's Eye)



3) Nick Cave & the Bad Seeds / Long Dark Night (2024 - Wild God)


2) Soccer Mommy / M (2024 - Evergreen)

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未必の兵器──731部隊おぼえ書き・エピローグ

2024-08-24 14:44:34 | Bibliomania
■山田朗(明治大学教授) / 日本の秘密戦と731部隊──その記憶を発掘し、継承する意味 (抄録)

戦争には目に見える部分と目に見えない部分という2つの側面がある。目に見えない部分を「秘密戦」という。731部隊は何のために編成され、何をやったのかを考える。狭義の秘密戦には防諜・諜報・謀略・ 宣伝(戦時プロパガンダ)などがある。もう少し広げて広義の秘密戦ということになると化学戦・生物戦なども考えられる。戦間期1925年ジュネーヴ議定書が制定され、化学兵器・生物兵器の先制使用が禁じられた。しかし生産・備蓄はOKであった。サンプルを持っていれば何が使われたか分るという名目。

戦場では給水と防疫が死活的に重要。衛生状態が悪く、悪い水によって感染症が発生しやすいことで、日清戦争では戦闘による戦死より病死者の数が上回り、有名な「征露丸」が日露戦争時に発明される。石井四郎は三等軍正(大佐級)として1928年から30年にかけヨーロッパに4たび出張、そこで細菌戦の有効性・秘匿性・経済性を察知し、「細菌戦は自然発生と区別がつかない、安上がりだ」と陸軍上層部に掛け合う。感染症を防ぐことが「防疫給水」の表の任務であるなら、裏の任務と呼べるのが生物兵器・化学兵器の開発であった。

東京新宿の陸軍科学研究所で毒ガスの開発が行われ、瀬戸内海の大久野島で実際の製造が行われた。労働者が毒ガスの被害に遭い、今はここに大久野島毒ガス資料館がある。731部隊は関東軍防疫給水部としてハルビン郊外の平房に施設を建造したが、満洲国の建国により、内地の日本人の目に触れない場所で研究開発を行うことが可能になったのである。これは同時に非合法な人体実験を行うにあたっても好都合であった。満洲国で「暫行懲治盗匪法」という法律が施行され、これは抗日分子をその場で処分してよいというもので、憲兵隊が「抗日」を捕えて死刑を宣言し、この「死刑囚」を731部隊の実験材料として供給することが可能になる。3000人ともいわれる「マルタ」と呼ばれた犠牲者。

細菌兵器を最初に実戦使用したのはノモンハン事件でソ連軍に対して。しかし詳細は分っていない。やがて牡丹江643部隊、ハイラル543部隊、林口162部隊、孫呉673部隊といった支部が設置され、ペスト・チフス・コレラ・流行性出血熱・炭疽菌を用いて研究開発が進められる。そして大量散布方式の実用化に至る。ペストに感染したネズミの血をノミに吸わせ、このペストノミを陶器爆弾に搭載して飛行機から投下する。陶器爆弾は投下するとそこで割れてノミが生きたまま拡散する。1940年には寧波・衢州で、41年には常徳で、42年には金華で実施するも、この金華での作戦は日本軍にも感染症が増え失敗に終る。

ソ連参戦後、彼らは証拠隠滅に走る。施設を爆破しマルタを殺害。部隊員は日本に逃げ帰り、ごく少数がソ連に抑留され、後に裁判にかけられる。戦後になってアメリカ軍が731部隊員の尋問を始める。1945年9月からサンダースが内藤艮一(後に日本ブラッドバンク⇒ミドリ十字を創業)に尋問、46年1月か らトンプソンが石井四郎に尋問。ところが46年末になってソ連が石井の身柄引き渡しを米軍に求め、翌47年4月に石井四郎は免責を条件に人体実験データを米軍に提供すると申し出る。これを受けて米軍が調査・作成したヒル報告が米本国に届き、生物戦データは戦犯訴追より重要であるとして米極東委員会の承認が下りる。アジアの民衆を下に見る風潮、人権軽視の研究開発、エリート層の保身・無責任、臭いものに蓋をしたまま経済大国となった日本はいまそのツケを失われた30年あるいはそれ以上──という形で味わっているのだろうか。



ことし正月、羽田空港で旅客機と海保機が衝突、間一髪旅客機の乗員乗客が避難した直後に炎上し無残な姿になる(海保機は機長を除く5人が死亡)事故があり、劇的ということで海外でも大きく報じられ、私もユーチューブでそれらの海外ニュースを見たのだがこれがいけなかった。それから「興味なし」「チャンネルをおすすめに表示しない」を連打しても手を変え品を変え航空関連の映像サムネイルが表示される。私はユーチューブに課金しているのだが少なくともグーグルのユーチューブ用AIは顧客ニーズに応えるつもりはなく、グーグルの利益を最大化するよう興味本位ですぐ飛びついてすぐ忘れるユーザー量産するのに最適化されているのだろう。

ツイッター(X)、あるいは他のさまざまなソーシャルメディアにせよ同じ利益追求至上の動機がはたらいていると思う。音楽依存が強い私にとって、2017年から利用し始めたRate Your Music(古今東西の音楽を採点、レビュー、テーマによるリスト化など)、さらには2015年から放置していたlast.fm(音楽の再生を逐一記録)を2022年3月に復活させ、過去の記録を編集したり将来の再生を自動訂正してアルバムをまとめたりできる有料会員になったことによって、ゲームを楽しむように音楽一辺倒に導かれる不健康な日々が続き、結局は当ブログの年内終了をはじめ考え方や生活全般まであらためて点検せざるを得ないこの夏に至ったのである。



近代人は伝統的権威から解放されて「個人」となったが、しかし同時に、かれは孤独な無力なものになり、自分自身や他人から引き離された、外在的な目的の道具となったということ、さらにこの状態は、かれの自我を根底から危うくし、かれを弱め、おびやかし、かれを新しい束縛へすすんで服従させるのである。 ─(エーリッヒ・フロム/自由からの逃走/原著1941)
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昭和博覧会⑨ メトロニュース

2024-08-18 17:54:21 | Bibliomania
メトロニュースは東京地下鉄(東京メトロ)の前身・帝都高速度交通営団が昭和35(1960)年4月から不定期に発行し、駅に置かれる配布物。2022(令和4)年に紙版を終了、現在はnote上で更新されている様子。

創刊号には既に開業している銀座線・丸ノ内線を含め5本の地下鉄が建設されるという計画のあらましと路線図、運賃表とその改正についての記事が掲載され、二つ折りに綴じていないペラ紙を挟んだB5判6ページの体裁。



あなたの財産は、有利に運用されておりますか? 利用方法によってあなたの財産はますますふえていきます。ご存知かもしれませんが、財産をふやす確実有利な方法をお知らせしましょう。(中略)元利金の支払いが確実で、しかも、年七分九厘四毛の高利回りであること。その上、いつでも換金が自由な無記名証券で、いま話題となっている金利引下げに影響ないからです。(中略)皆さんは、地下鉄建設に参加しながら、財産をふやしていけるわけです。 ──no.4に掲載された「東京交通債券の話」。この後も頻繁に掲載。


メトロニュース初期には地下鉄路線網の計画図は毎号掲載されており、昭和38(1963)年7月のno.11に初めて第8号線、後の有楽町線が登場。当初は練馬区中村橋駅付近=江古田=目白=飯田橋=神保町=墨田区錦糸町駅付近のルートで計画されていた。昭和43(1968)年12月のno.39掲載の計画図から市ヶ谷=永田町=銀座付近へ抜ける現在のルートに変更され、昭和49(1974)年10月末に池袋=銀座一丁目間が開業。



昭和40(1965)年11月のno.23表紙に使われた丸ノ内線電車がトレーラーで運ばれる様子。



①no.44(昭和44年11月)千代田線と命名された9号線の新御茶ノ水駅完成予想図②no.45(昭和44年12月)凍結工法の掘削工事③新御茶ノ水駅の仕上げ工事④延長41メートル、当時東洋一長いとされた新御茶ノ水駅のエスカレーター。

地表下34メートルと当時日本一地下深い駅であった新御茶ノ水をはじめ、昭和44(1969)年12月に開通した千代田線の北千住=大手町間は起伏の多い地形で地盤も軟弱、狭い道路の下に建設するなど施工環境が悪かったためシールド工法や凍結工法などの新技術が用いられた。



飛び飛びで入手したのではっきりと分らないが昭和50年代に入りno.70~80あたりで沿線風景に若い女性が写り込んだ表紙が多くなり、やがては風景より女性がメインに。内容も鉄道ファンにアピールするような硬派色は薄れていく。
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AVALON16号

2024-08-14 12:58:23 | 書肆(しょし)マガジンひとり
多彩な顔ぶれによるCOMITIA新刊合同誌です。A5判70ページ、電子書籍版69ページPDF。書店1100円+税、イベントおよび電子書籍版1000円。

■Hiramedousa/表紙+イラスト2p
■村祖俊一劇場④ チョヨケーキ「悦楽の雫・前編」/漫画19p
■大仏「榊原南のインスタント・ラブ」/漫画4p
■afunai「こどものたべもの⑦」/漫画4p
■汐見たく/なにもしらないあたしですけど②「ポケットナイト」/コラム2p
■KIYO/妄想エロ空間⑨/イラスト2p
■ナンブ寛永/愛すべき変な古書、或いは紙モノたち①/コラム4p
■ベルリアック「タクアラ」/漫画12p
■Steph C.「Ghost in the House」/カラー漫画4p
■Danielle Taphanel + Hagai Palevsky「UNTITLED」/漫画4p
■同人作家が選ぶ名曲名盤⑮ 清水清/選曲5p
■清水清/第1回COMITIAの頃/イラスト付エッセイ4p
■シリーズ路地裏⑮ カスミカヲル/企画イラスト1p




紙本発行:2024年8月(COMITIA149)。ピクシブBOOTHにて紙本ご購入の方は電子版もご覧いただけます。8月18日(日)に行われるコミティアでは【そ02b】に配置されており、マガジンひとり野崎は体調不良の回復途上にあり、大事をとって助っ人の餅さんに代理で出展してもらう予定です。当新刊のほか『DOOMED』『妄想空間』など既刊を少数持っていきます。猛暑と感染症対策にご留意のうえよろしくお立ち寄りください。
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