渋谷・シネクイントにて、ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ハリス監督。
アリゾナ州郊外に住むフーヴァー家は、ちょっぴりエキセントリック。家長リチャード(グレッグ・キニア)は“負けを拒否する”がモットーの自己啓発セミナー講師で、家族にも持説を語る。自分で開発した「9ステップ成功論」出版で勝ち組になる気まんまんだ。
そんな父親に反抗するかのように息子ドウェイン(ポール・ダノ)はニーチェに倣って沈黙を続ける。9歳の娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)はビューティー・クイーンになることを夢見、ミスコン出場に備えている。ヘロイン吸引が原因で老人ホームを追い出されたグランパ(アラン・アーキン)は悪癖をやめず、我がままを言い放題。母親シェリル(トニ・コレット)は、てんでバラバラな家族をまとめようと奮闘中だ。
そんなシェリルがゲイの恋人に捨てられて自殺未遂した兄フランク(スティーヴ・カレル)を自宅に引き取った日、オリーヴは「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト決勝への繰上げ出場権を獲得。旅費節約のため、一家そろってぼろっちいミニバスで決戦の地カリフォルニアを目指す旅が始まるのだが…。
「負け組の人生をしゃぶりつくす」ようなんだったらやだなあ、と思って今まで見送ってました。
前半ちょっとぬるいかな?と思ったのだが、最後のミスコンの場面などたいへん素晴らしく、孤独なオラは家族の絆をつくづくうらやましいと…。
無理をしてまでドラマ性をでっちあげようとしない姿勢は『トランスアメリカ』を思い出させますね。
序盤のスティーヴ・カレルの自殺未遂のところでちらっと出てくるのだが、アメリカには国民健康保険に相当するものがなくて、医療を受けられない人がけっこうな数いるのよなぁ。
アフラックとか民間の高額な医療保険に入らなければならない、健康とか病気まで金儲けの道具にされている、過酷な資本主義の国。
なんだか日本もアメリカ化が進んでいて、特に最近景気が回復しつつあるので、そういう時は世の中全体が競争!競争!とせわしなく、勝ち負けの二極化がたいそう際立つ。
正社員は死ぬほどの長時間労働でこき使われ、フリーターは最低時給で満足な生活も送れない。
週刊東洋経済で「過労死は自己管理の問題。労働基準監督署はなくしていい」などと暴言を吐いた奥谷禮子なるクソ女、人材派遣会社の経営者だという、たぶん人肉を食ってでも競争に勝ち残りたいタイプ、人相的にはこの映画のミスコンの主宰者と重なるよ。
アカデミー賞の作品賞に『ドリームガールズ』がノミネートされず、この映画がノミネートされたところを見ると、なんとなくアメリカ人も激しい競争で大きな夢を追いかけるのに疲れてきたんじゃないかな、ファンタジーよりもリアルを重んじるように変わってきている気配が感じられる。
また音楽の大部分を演奏しているDeVotchkaというバンド、アメリカのフォークやカントリーにロシア、ポーランド、ギリシャなどの民俗音楽を組み合わせたらしく、他人事な感じでもなく過度に内省的にもならず、非常によく映画のムードを伝えている。
しかしながら年に1~2本しか映画を見ない人にならば、アメリカ人の総力を挙げた『ドリームガールズ』のほうを奨めたい、『リトル~』はあくまでも良心的で地味な佳品にとどまりますね。
アリゾナ州郊外に住むフーヴァー家は、ちょっぴりエキセントリック。家長リチャード(グレッグ・キニア)は“負けを拒否する”がモットーの自己啓発セミナー講師で、家族にも持説を語る。自分で開発した「9ステップ成功論」出版で勝ち組になる気まんまんだ。
そんな父親に反抗するかのように息子ドウェイン(ポール・ダノ)はニーチェに倣って沈黙を続ける。9歳の娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)はビューティー・クイーンになることを夢見、ミスコン出場に備えている。ヘロイン吸引が原因で老人ホームを追い出されたグランパ(アラン・アーキン)は悪癖をやめず、我がままを言い放題。母親シェリル(トニ・コレット)は、てんでバラバラな家族をまとめようと奮闘中だ。
そんなシェリルがゲイの恋人に捨てられて自殺未遂した兄フランク(スティーヴ・カレル)を自宅に引き取った日、オリーヴは「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト決勝への繰上げ出場権を獲得。旅費節約のため、一家そろってぼろっちいミニバスで決戦の地カリフォルニアを目指す旅が始まるのだが…。
「負け組の人生をしゃぶりつくす」ようなんだったらやだなあ、と思って今まで見送ってました。
前半ちょっとぬるいかな?と思ったのだが、最後のミスコンの場面などたいへん素晴らしく、孤独なオラは家族の絆をつくづくうらやましいと…。
無理をしてまでドラマ性をでっちあげようとしない姿勢は『トランスアメリカ』を思い出させますね。
序盤のスティーヴ・カレルの自殺未遂のところでちらっと出てくるのだが、アメリカには国民健康保険に相当するものがなくて、医療を受けられない人がけっこうな数いるのよなぁ。
アフラックとか民間の高額な医療保険に入らなければならない、健康とか病気まで金儲けの道具にされている、過酷な資本主義の国。
なんだか日本もアメリカ化が進んでいて、特に最近景気が回復しつつあるので、そういう時は世の中全体が競争!競争!とせわしなく、勝ち負けの二極化がたいそう際立つ。
正社員は死ぬほどの長時間労働でこき使われ、フリーターは最低時給で満足な生活も送れない。
週刊東洋経済で「過労死は自己管理の問題。労働基準監督署はなくしていい」などと暴言を吐いた奥谷禮子なるクソ女、人材派遣会社の経営者だという、たぶん人肉を食ってでも競争に勝ち残りたいタイプ、人相的にはこの映画のミスコンの主宰者と重なるよ。
アカデミー賞の作品賞に『ドリームガールズ』がノミネートされず、この映画がノミネートされたところを見ると、なんとなくアメリカ人も激しい競争で大きな夢を追いかけるのに疲れてきたんじゃないかな、ファンタジーよりもリアルを重んじるように変わってきている気配が感じられる。
また音楽の大部分を演奏しているDeVotchkaというバンド、アメリカのフォークやカントリーにロシア、ポーランド、ギリシャなどの民俗音楽を組み合わせたらしく、他人事な感じでもなく過度に内省的にもならず、非常によく映画のムードを伝えている。
しかしながら年に1~2本しか映画を見ない人にならば、アメリカ人の総力を挙げた『ドリームガールズ』のほうを奨めたい、『リトル~』はあくまでも良心的で地味な佳品にとどまりますね。
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