山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

キャンピングカーとモーターホーム 

2007-09-28 04:40:24 | くるま旅くらしの話

 昨日27日、東京池袋の豊島区民センターにおいて、日本RV協会主催の「よりよきくるま旅を目指して」というテーマでのシンポジウムにパネラーの一人として参加した。ユーザー代表という途轍もない大役だった。

このシンポジウムは、キャンピングカー等RV車の製作・販売に係わる業界の代表機関ともいえる日本RV協会(=JRVA)が、販売後のユーザーの車の使い方に関して、マナー違反やモラル欠如等が引き起こす反社会的な問題に危機感を抱かれ、これを何とか改善して社会に受け入れられるより良いくるま旅の実現を目指すために、何が必要なのかを探る場の一つとして開催されたものである。

パネリストとして、マスコミ代表としてジャーナリストの中島祥和氏、キャンプ場代表として岩手県立陸前高田オートキャンプ場モビリア支配人の蒲生哲氏、ビルダー代表として()アネックス代表取締役の田中昭市氏、そしてユーザー代表として下名が、それぞれの立場でのテーマに関する考えの現状報告を行い、その後で日本RV協会会長増田英樹氏のコーディネイトにより、会場の出席者も参加して討議が行われたものである。参加者は総勢70名ほど、予想以上の盛況だった。

メインテーマは「より良きくるま旅を目指して」であるが、事前に頂いたのは、このメインテーマに関する次の4項目の問題提起であった。

           キャンピングカーユーザーの使用実態は如何なるものであるか。そこにはどのような問題点がひそんでいるのか。

           将来のキャンピングカーユーザーの宿泊場所として、どのような場所が相応しいのか。又新しい宿泊施設として、どのような場所が開拓できるのか。

           宿泊・休憩などによって生じるゴミ問題及びマナー違反問題などを解決するための有効な方法はあり得るのか。

           環境保全が社会の要請としてクローズアップされるような時代を迎え、キャンピングカーを製造する者と使用する者とが、一体となって社会に提案できるテーマはあるのか。

これら各項目に対して、それぞれの立場での現状報告や問題提起、或いは解決案の提示をするわけだが、いずれもたくさんの課題を抱えており、これを15分という決められた時間内に報告するのは至難のことだと思いつつ、5分ほど時間超過して①②③のテーマについて報告したのだが、④についてはあまりにテーマが大きすぎて報告できる内容を得るには至らなかった。

シンポジウムにおいてどのような議論が展開されたかについては、追ってご報告をしたいと思っているが、ここでは先ず、このシンポジウムを通して一番に感じたことを述べてみたい。それがタイトルの「キャンピングカーとモーターホーム」ということである。

私はくるま旅というのは、特に自由に使える時間が有り余るほどあるリタイア後の世代にとっては、キャンプというイメージから来るアウトドアの野営というような時間の過ごし方とは全く違ったものだと思っている。くるま旅というのは、その内容がどのようなものであれ、基本的には現役時代には果たせなかった様々な夢を実現するための一つの暮らしだと思っている。

旅と暮らしとは別の物であり、普段の暮らしを離れてこそ旅というものの意味がある、という考え方は正論だと思う。だけど、本当にそうだろうか?旅と暮らしとが一緒になってしまったら、それはジプシー(今は使ってはいけない言葉のようだが)のような存在となってしまうのではないか、という見方もあると思う。確かに似ている部分はあるけど、くるま旅くらしは本質的に違うのだ。ジプシーは初めから終りまで放浪暮らしという生活スタイルが本質だが、くるま旅くらしは出会いと()発見の楽しみが無限に詰まった生き方であり、いつでも本来の暮らしに戻れるという確かさがある。家にも戻らず生涯を車の中で流浪しつつ過ごすのはくるま旅くらしではない。それは流浪の暮らしそのものだ。勿論その良し悪しを論ずるつもりはなく、それはその当事者の判断に委ねるしかない。

それ故にくるま旅くらしというのは、車社会が生み出した新しい旅の形なのだと私は理解している。今手探り状態の中で、新しい旅の形が芽生えようとしている、と考えたい。まだ出来上がった旅の姿ではない。これから育ってゆく新しい旅の形なのだと思っている。

しかしこれを受け入れる環境は未だ整っていない。安心、安全に旅ができる環境として、最大の要件は宿泊場所の確保にあると思うが、今世の中に用意されているのは、アウトドアスタイルの生活をチョッピリ楽しむキャンプ場であり、車社会を支える基地の一つとして国と地方行政が用意した道の駅や高速道のSAやPAくらいに過ぎない。それらは本来くるま旅などというもののために用意されたものではないのに、勝手にくるま旅用として使おうとする者が、理不尽な行為をして批判を浴びているのが現状であろう。

今回のシンポジウムにおいてもこのような現状に関してどう改善に取り組むのか、取り組めるのかについて幾つかの意見が呈され、これからの自分自身のくるま旅を考える上でもいろいろ勉強になった。しかし、何だかモヤモヤとしたものが残っている。5万台を超えるユーザーの方々を代表する意見の開陳が出来たとはとても思えない。スッキリしないのである。

それで家に戻ってからいろいろ考えてみた。その結果辿り付いた考えの一つが、モーターホームとキャンピングカーの差を問題にすることが、くるま旅の環境整備の鍵になるのではないかということだった。キャンプ場にキャンプを楽しみに行くのにキャンピングカーなどというものが必要なのだろうか?という疑問が私にはある。よく考えれば、オートキャンプなどというのも何だか変な用語のようにも思える。キャンプ場にやって来て、テントも張らないでくるまの中に寝泊りするというのは、めんどくさがり屋の贅沢そのもののように思える。テントを張って野営をしている通常のキャンパーから見れば、あれは何だ!と異常視されて当然のようにも思える。その様なキャンピングカーがくるま旅を主張する資格がないのは明らかだ。しかしわが国の現状は、キャンプ場にキャンピングカーが泊ることにさしたる疑問も感じていない。ま、キャンプなのだからそのためにキャンピングカーというものがあっても、それがキャンプ場に泊っても、ガタガタ騒ぐようなことではないのかも知れない。

くるま旅というのはキャンプなのだろうか?キャンピングカーというのは連日キャンプをしながら旅をし続けるための車なのであろうか?これはノー!だと思う。くるま旅の中にキャンプが入ることはあるとしても、連日キャンプを続けるということではないと思う。それで気づくのは、今の時代、特にくるま旅という新しい旅が誕生しつつある状況においては、そもそもキャンピングカーという最初の命名が正鵠を射ていなかったと思わざるを得ない。何時、どなたが命名されたのか、海外においてもその様な呼称があるのか、日本国しか知らない私には知る由もないが、キャンピングカーというのは、くるま旅にはいかにも相応しくない呼び方だと思う。

くるま旅用の車は、キャンピングカーではなくバンコン、キャブコンなどの差を問わず全てモーターホームと呼んだ方が実態を反映できるように思う。キャンピングカーというからキャンプ場という風につながってしまうのだ。モーターホームというならキャンプ場という発想が直結することはないのではないか。キャンプ場にモーターホームの車が入ってきたら、違和感を感ずるのは当然であろう。モーターホームというような呼称が定着するにつれ、やがて、それ専用の宿泊設備が用意されてくるに違いない。キャンピングカーでは、何時まで経っても新しい宿泊設備は生まれてこないような気がするのである。

今回のシンポジウムでは、このことを含めてくるま旅が新しい旅の形であることについて、もっと主張すべきだったと反省した次第である。キャンピングカーからモーターホームへと呼称を切り替えるだけで、くるま旅の考え方は大きく進展できるような気がする。最初からモーターホームと呼んでおられるメーカーさんもあるが、もっと声を大きくしてそのことを主張して欲しいなと思うし、又旅車を安易にキャンピングカーと呼ぶことには見直しが必要ではないか。このことを改めて思ったのだった

コメント (1)
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