人間が、自分とは何か、とか、哲学の神秘とかを考えるときと目の前の物質の存在を考えるときとでは、脳の働きはどう違うか? そういう話をするとき、話し手と聞き手の共感はどう作られるのか? 一緒にご飯を食べているときやセックスしているときとは、どう違うのか? 協力して縄文式土器を作っているときや天体物理学の数式を語り合うときとは、どう違うのか? それらの脳機構はどう進化したのか? それらの哲学に関する行動や課題を表わす言葉は、人類の進化において、どのように発生したのか?
こういうテーマについて、筆者はこの十年来、(アマチュアとしては)かなり熱心に内外の人文系および自然科学の論文、研究書その他の文献を探しましたが、明快に議論を展開している文献は見つかりませんでした。たぶんその理由は、こういうテーマを学術研究の対象にするには方法論が未熟すぎるからでしょう。