本人としては「私は食欲を感じたから、レストランに行って、カレーライスを食べるという行動を計画し、実行した」と思っているでしょう。しかし実際は、血糖値の低下などが、自動的に食べるという無意識の運動プログラムを潜在的に(仮想的に)引き起こしていて、それ(仮想運動)の運動神経信号が、レストランに行ってカレーライスを食べる、という習熟した行動を思い出させ、その行動を実行させた、というほうが正しいでしょう。レストランに行ってカレーライスを食べることを思い浮かべると、身体が動き出してレストランに行く準備を始めてしまうのです。口の中に唾液も出てくるでしょう。もうカレーのことばかりを考えてしまいます。家を出ると、足がレストランに向いてしまう。その結果、レストランに入ってカレーを注文してしまうのです。友達とレストランに行くときは「私は食欲を感じている」とか「私はカレーライスが食べたい」などと言いながら、行くわけです。ところが、一人だけでカレー専門店に行くときなど、「私は食欲を感じている」とか「私はカレーライスが食べたい」などと思わないうちに、実際カレーを食べている、という場合のほうが多いでしょう?
つまり、欲望という言葉とか、「私は・・・したい」などという言葉は、人に自分の行動を説明したり、自分が記憶したり記録したり、日記を書いたりするためには便利ですが、人間行動の根源などではない。むしろ、自分の行動を説明せず、日記にも書かない動物たち、タコや魚、あるいはトカゲなどと共通の機械的な反射運動の連鎖が、人間の行動の原型を作っている。
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